第四次聖杯戦争 ピンクの悪魔の物語   作:不能力者

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第三話 カレー大食い対決ペポ

「ペポ♪ ペポ♪ ポペ♪」

 

 「……はぁ」

 

 ウェイバーとライダーは町中を歩いていた。本来、サーヴァントは霊体化するのだがライダーはそれが嫌いらしく、今は人が回りにいないため実体化している。だがライダーが鼻歌混じりにステップを踏みながら機嫌よく歩いているのとは対照的にウェイバーはすごく暗く、蓋が開いている財布を逆さにしてため息をつきながら重い足取りであった。

 今日の深夜にライダーを召喚した後、マッケンジー宅へと帰宅途中にコンビニによった時とさっきのカレー屋で日本での活動資金が尽きてしまったのだ。

 

 「ウェイバー、元気出すペポ」

 

 「……何が元気だせだよ! 全部、お前のせいだぞ、ライダー! お前がコンビニにある食べ物、すべて一種類ずつ買うとか言うからだろ!」

 

 「おいしかったペポ」

 

 ウェイバーは怒鳴り散らすがライダーは意に介さずという感じで歩いていたが突如、ウェイバーが腕に掛けている手提げバックで霊体化を解除しコンビニで買ったカ〇ルを食べ始めた。

 

 「やっぱりカ〇ルはおいしいペポ♪」

 

 「……お前、さっきカレー屋で眼鏡かけた青い髪の女の人と、カレー大食い対決であれだけ食べておいてまだ食うか……」

 

 「おやつは別腹ペポ」

 

 カ〇ルを食べ終わり、ポッ〇ーの袋を開けながら言うライダーをウェイバーは見ながら思った。

 

 (こいつ、どこが腹なんだ?)

 

 今日食べた量はどう考えてもライダーの腹どころか、体全体の体積を遥かに超えている。

 コンビニで買った食品を持って帰るまでのわずかな時間で、どう考えても持ち運び出来ない量だったので借りたトラックのコンテナの中ですべて食べてしまった。

 おかげで荷を下ろそうとして食品がなくなっていたことに驚いた運転手に、暗示をかけないと駄目だったのだ。

 しかも、その1時間後には「お腹、空いたペポ~」とか言って来たのだから手に負えない。

 だが、あれのおかげでライダーの恐ろしさを知ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウェイバー、お腹すいたペポ~。外に食べにいくペポ」

 

 コンビニから帰ってきて一時間後にライダーはこんなことを言ってきたのだった

 

 「はぁ!? 馬鹿も休み休み言え! あれだけ食べてまだ足りないんですか、馬鹿野郎!」

 

 1時間前にあれだけ食べたのだから大丈夫だろ、そもそもサーヴァントは何も食べなくても問題ないんだ。

 呆れながらライダーの意見を拒否したウェイバーだったが、もちろんそれで従うようなライダーではない。

 

 「お腹すいたペポ! お腹すいたペポ! お腹すいたペポ!」

 

 仰向けになって喚きながらじたばたとまるで子供のように暴れるライダー。だが、こんなので屈してはならない、予算は有限なのだ。というか既にほぼないに等しい。これ以上の浪費は絶対に避けなければならない、そう考えていたウェイバーは絶対に買わないつもりだった。

 

 「ああ、もう五月蝿い! これでも食べてろ!」

 

 ウェイバーはマッケンジー夫妻に「ウェイバーちゃん、これ好きだったでしょ」と渡されたラムネを渡した。

 だが、これが間違いだったのだった。この入れ物はマイクの形をしていたのだ。

 

 「む、マイクを持つと歌いたくなってきたペポ!」

 

 「あんまり大きな声で歌うなよ」

 

 どうせ五月蝿いなら食事をせがまれるより歌っていた方がお金が減らないだけましだ、そう結論を出したウェイバーは許可を出してしまった。

 

 「じゃあ、歌うペポ!」

 

 ライダーは思いっきり息を吸い、そしてマイクに出せるだけの声をぶちまける。

 

 「■▲■〇~! ★Ω■☆◆~!」

 

 それは歌という名の超音波だった。いや、音波なんて生易しい物ではなかった。聞き続ければ人どころが熊、いや英霊ですら死んでしまうかのようなまさに殺人級の何かだった。

 その時、ウェイバーは知ったのだった。サーヴァントは人間とは比べるのも馬鹿らしい者であることを、歌ですら人を殺せるほどに無茶苦茶な存在であることを。

 ウェイバーは両手で押しつぶすくらいのつもりで耳を押さえ、はいつくばりながらライダーの近くへ行き、マイクを奪い取る。

 

 「何するペポ!?」

 

 「僕が悪かった! どこにでも食べに行っていいからもう歌わないでくれ!」

 

 ウェイバーはもはや悲鳴のように叫びライダーに懇願した。ライダーは少し物足りないようで不満げな表情をしていたが、食事を連れて行ってもらえるならばまぁいいやと二人で出て行った。

 ちなみにこのライダーの殺人歌は周囲1キロに渡って響き、その範囲内の人間はすべて気絶した。

 魔術教会はそれを隠ぺいするために、超高密度の催眠ガスがその周辺にばらまかれたという偽りの情報を流したのであった。

 

 

 

 

 

 「ここがいいペポ!」

 

 ライダーが指……ではなく手を指したのはペンキが塗りたての真っ白の建物で、いかにも開店直後のでカレー屋だった。曰く、すばらしく美味しそうな匂いがしたらしい。

 ちなみに、ここに来るまでの所要時間は20分。近辺の場所だと思うだろうが、実は今もライダーの召喚したワープスターという光輝く星のような乗り物に乗って――正確には無理やり乗せられて、飛行機にも劣らないような速さでやってきたのだ。

 それだけ遠いところの匂いを嗅ぎ分けるという離れ業に、またもやウェイバーはサーヴァントの恐ろしさを実感したのだった、戦闘にはまったく必要ないが。

 ライダーはワープスターをカレー屋の裏口へと下ろすことで、ようやくウェイバーは地へと足を付けることが出来た。

 ワープスターはかなりの安定感があり、まるで何かに吸い付かれているかのように星に張り付くことが出来たため、空中で宙返りをしても落ちることがなかった。

 だが、周りに壁がなく、空しか見えない状態だったので恐怖のためウェイバーは四つん這いになってワープスターにしがみついていた、そのため地上に降りたことでようやく安堵することが出来た。

 

 「……で、今更なんだがどうやってカレー屋で食事する気だ?」

 

 ライダーは桃色サッカーボール手足つきのため、人目のあるところで食べるわけにはいかない。

 そのことは出発前にも言ったのだがライダーは「大丈夫、問題ないペポ」との一言だけで実際にはどうするのかを何も話さなかった。

 

 「こうするペポ」

 

 どうするのかと、腕を組んで監視しているウェイバーに向き直ったライダーは口を開き、いきなり物凄い量の息を吸った。いや、吸っているのは空気だけではない、周りの木や落ち葉、石や土、ウェイバーなども一緒に吸い込んだ。

 そして、ウェイバーだけを吐き出した。彼は地面に叩き付けられ尻餅をついてしまった。

 

 「何するんだ! ライ……」

 

 ウェイバーは最後まで怒りを言葉にすることが出来なかった。本来、ライダーがいるはずの場所にいたのは自分(ウェイバー)だったのだ。

 

 「これが僕の宝具、『奇跡なる移し身(コピー能力)』ペポ。今の僕はウェイバーカービィペポ。ウェイバーカービィの時に使える能力は変身ペポ。じゃあ、食べに行くペポ」

 

 未だに茫然としていて尻を地面に付けているウェイバーは、自分と同じ姿をしたライダーに手を差し出され、それを掴んでようやく立ち上がる。

 そして、カレー屋へと入っていった。するととたんに素晴らしく美味しそうなカレーの匂いがウェイバーたちを包んだ。ライダーなどすでに涎が垂れて地面にポトリと落ちている。

 確かにこの匂いを嗅げばここに行きたいと思うのも納得だというほどに味覚に訴える匂いだった。

 しかし、席こそ多いもののランチタイムだというのに店の中にいる人はほとんどいない。

 不思議に思いながらもまぁ空いてる方が早く注文が通っていいかと、店員に案内された席へとつく。

 相変わらずライダーは涎をだらだらと垂らしてしまりのない顔をしていた。自分の姿でそんな無様なことをして欲しくなかったが、それを叱っているうちにライダーが変身しているということをばらしてしまってはまずいと考えたため、何も言わなかった。

 変身能力はそれなりに使える能力だが、それはその能力を有していることを知られていないという前提のもとで成り立つ。

 知っていればいくらでも対策されてしまう。

 どこに魔術師かあるいは使い魔がいるかわからないのだ。既に聖杯戦争は始まっているに等しい、ウェイバーはそう心構えていた。

 

 

 「いい匂いペポ~、早く来るペポ~」

 

 ウェイバーのそんな考えは露知らず、ライダーは両手にスプーンを持って顔を机に乗せていた。

 無論、涎がテーブルに垂れていて、小さな水たまりを作っていた。

 

 「ふふ、よっぽどカレーが好きなんですね、貴方」

 

 すると隣の席にいた人が話しかけて来た。青い髪のショートヘアで眼鏡をした優しそうな女の人だった。だいたい高校生くらいだろうか。

 

 

 「もちろんペポ! 三度のご飯より好きペポ」

 

 「ペポ? 変わった言葉づかいですね。それにカレーはご飯だと思いますよ」

 

 笑いながら女の人はライダーと少しの間会話をしていた。ウェイバーはライダーにぼろを出しそうになったらすぐに止めるように身構えていた為、会話には入っていなかった。すると女の人はこちらに視線を移す。

 

 「お二人はすごく似てますね」

 

 ウェイバーはライダーの失言などに警戒しつつも、返事をする。

 

 「そうですね、よく言われます。双子なんです、僕が兄で」

 

 怪しまれないように双子という設定にしておくことにする。ライダーが何かを言おうとしたら口を塞ぐつもりだったがカレーが待ち遠しいようで「カレー♪ カレー♪」と独り言を呟いていた。

 すると女の人は「そうですか」と言い、少し目を細めてこちらの目を見る。

 

 「本当に弟さんと似てらっしゃいますね。まるで貴方を弟さんがコピーしたみたいに」

 

 その含みのある言葉を聞いた瞬間、ウェイバーは驚きを顔に出してしまった。これでは、貴方の言うことは正しいです、ライダーは僕をコピーしています、と言っているようなものだ。この女の人は魔術師か、あるいは考えたくはないが聖杯戦争の……参加者かもしれない。

 

 「あ、あなたはもしかして聖杯せ「あ、カレー出来たみたいですよ」……」

 

 ウェイバーの言葉が最後まで言い終わるまでに女の人がそれを止めるかのように口をはさむ。

 それと同時にライダーが「来たーーーー!」と叫んだため、もうさっきの質問を聞けるような雰囲気ではなくなってしまった。それによく考えてみればさっきの言葉も似ているの婉曲な表現に取れなくもない。偶然、コピーという単語が出ただけかも知れない。それならばむしろ、さっきの言葉について深く聞いてしまっては駄目だ、そこから疑われてしまうと考えたウェイバーは、とりあえず前に置かれたカレーを食べることにした。

 店内にはカレーの匂いは充満していたが、それでも目の前に置かれた物の匂いはまた絶品で鼻腔をくすぐる香ばしい匂いを楽しんでいると。

 

 「おかわりペポ!」

 

 「おかわりお願いします!」

 

 ライダーと女の人が既に食べ終わったようで二つ目を注文していた。

 貴方たち、いくらなんでも食べるの速すぎません?

 すると、すぐに二杯目のカレーを店員さんが持ってくる。それをテーブルに置き、店員さんが再び、カウンターに戻るまでに再び「「おかわりペポ!(お願いします!)」という声が響いた。

 そこからは食事という名の戦争、テレビなどでやっているものがすごくしょぼく見えるほどの大食い対決が始まった。

 カレーを運ぶ店員は一人では到底足らず、四人全員で運んでいたがそれでも足らず、その食いっぷりを目の当たりにした店の客まで手伝ってようやく間に合っているという状況だ。

 なんせカレーを二人の前に出すとその5秒後には米粒一つ残らないという状況。

 だが、とうとう終わりが来た。しかし、限界が来たのは二人ではなくカレー屋の店主であった。

 どうやら腕を酷使しすぎてつってしまったので、これ以上は今までの味が出せないと厨房から出てきて土下座して二人に謝罪していた。

 その二人は店長に向けて笑いかけ「「素晴らしく美味しいカレーだったペポ(でした)」と返した。

 その瞬間、店の中にいた店員や客、二人の大食い対決を聞いて見に来た人たちから物凄い歓声と拍手が沸いた。

 二人の食べっぷりと店長の腕をつってまでお客にカレーを出す心意気を、そこにいた人たち全員が賞賛していた。

 大食い対決の結果は二人とも40皿で引き分けだった。

 ライダーと女の人はお互いに見つめあい、ともに固く握手をし

 

 「いい食べっぷりでした!」

 

 「そっちもペポ!」

 

 と互いに健闘を認め合っていた。そのあと、彼女はウェイバーに近づき、耳元で

 

 「貴方たちの勝利を祈っています」

 

 とウェイバーにしか聞こえないような声で囁いた。驚きを隠せないウェイバーだったが彼が何か言葉を発する前に女の人がウェイバーに封筒を手渡す。

 

 「私、今日中に海外に行かないと駄目なんですよ。なのでそれ差し上げますね。飛行機の時間に遅れるとまずいので、それでは!」

 

 封筒の中身を訪ねる時間すら与えず、女の人は猛スピードで店を出て行ってしまった。

 あれだけ食べてよく動けるな、と呆れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そういえばもらった封筒には何が入ってたポヨ?」

 

 「あれか? 宝くじだよ。明日、当選番号が発表だから一応見てみるか」

 

 「当たったらまたカレー食べに行くペポ」

 

 

 「あれだけ食べてまだ食べるのかよ……」

 

 ウェイバーは呆れてこれ以上何も言えなかった。

 余談だが、あのカレー屋はあの時の大食い勝負で『あまりの美味しさに40皿食べれるカレー屋』というキャッチコピーで繁盛し、世界一美味しいカレー屋の称号を得るのだがそれは十年後の話である。

 それと貰った宝くじで合計金額120億というふざけた額を当選させたウェイバーだったが、その120億も聖杯戦争中に亡くなってしまうのであった。

 




くじがあたったのはカービィの幸運ランクが満腹のため一時的にEXになったためです。


それと最初の出方がこれかよと思った人が多いと思う宝具の説明




奇跡なる移し身{対人宝具 E~A+ レンジ1人}・・・コピー能力。吸い込みによって吸収した物が条件を満たした時発動し、自分のステータスやスキル、姿を変更する。吸い込みによって得るため魔力は要らない。能力によっては回数制限がある力もある。



ちなみにウェイバーとなったカービィのパラメータは


 筋力:E
 耐久:E
 敏捷:E
 魔力:D
 幸運:B
 宝具:C+

 ウェイバーカービィ{対人宝具 E レンジ0 他の姿へと変身しているように相手に催眠を掛ける能力を得る。バーサーカーの『己が栄光のためでなく』(フォー・サムワンズ・グロウリー)の劣化版。対魔力B以上には効果がなく、ステータス隠ぺいもない。……使い道がほぼないという不遇能力です。

幸運はコンビニで少し食べていた為、上昇しています。ようは宝具とは関係がないです。
ウェイバーは一応、魔術師であり、英霊にもなっているため魔力が上がります。
それと本文にも書いていますがウェイバーの姿をしているのはあくまでウェイバーカービィ(仮)のコピー能力、変身によってです。ウェイバーに変身しているのです。そのため、セイバーなどを吸っても、セイバーそのままの姿ではなく大乱闘スマブラ的な感じです。カツラ的な感じです。
……ウェイバーは王の軍勢で召喚されているから英霊になったはずなんですけどアニメスタッフの遊び心の可能性もありますので本当に英霊になっているかは微妙ですが。

後、もう少し長い方がいいのではないかとのご意見をいただきましたので今回は多少、長くしました。
もう少し短い方がいいという意見がございましたら言っていただければ幸いです。
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