第四次聖杯戦争 ピンクの悪魔の物語   作:不能力者

6 / 8
第五話 ペポ時だよ、全員集合ポヨ

セイバーは現在、戦っている英霊のことが気になっていた。

 

 (人ではない……奴は何者だ?)

 

 無論、聞くのは簡単だが素直に答えるようなサーヴァントはいないだろう。自分の情報を教えるということは敵に自らの弱点を教えることと同義だ。

 正直、最初に町中で見た時、危うく声を出して驚きそうになった。

 何故、こんな謎の者がいるのか、そしてこんな人ではない何かが町中を歩いているというのに、周りの衆人は全く無反応なのか、と。

 しかし、相手がサーヴァントである以上、毅然とした態度で敵に挑まねば舐められかねない。

 サーヴァントとして召喚されたということはあの者――クラスはライダーらしい――も英霊であり、偉業なしえた誇り高き人物? であるはずだ。それを相手に非礼をするのは騎士にあるまじき行為だと、そう感じたセイバーはライダーのいでたちについては何も触れず、通常のサーヴァントと同じように決闘を申し込んだ。

 そのあと、ライダーとそのマスターを連れてアイリスフィールにたこ焼きへ買って持っていくと、彼女は一言、「ずいぶんとそっくりな二人ね」と言っていた。

 彼らを似ているなどという表現はどう考えてもおかしい、ライダーは何らかの方法でアイリスフィールをも騙すほどの力を持っていると分かったのである。

 その力はおそらく魔術による催眠の類であろう、それならばアイリスフィールや一般人には効果があり、対魔力を持ち、魔術をほぼ無効化するセイバーであるこの私には効き目がないのも理解できる。

 しかし、ライダーでありながらそれほどの魔術を使えるならば厄介な敵である。

 たこ焼きを食べているライダーは力を隠しているのか、強者が纏う闘気は感じられなかった。ただ、ライダーがたこ焼きを30人前も食べているのをばれない程度に見ていたが、羨ま…………ライダーのステータスが気になるところだが、偽装のマスターであるアイリスフィールにはそれがを確認することが出来ない。

 少なくとも楽勝の敵ではなさそうだ、と考えていたがそれは的中していた。

 ライダーはそのクラスに恥じない騎乗能力を持っており、星――ワープスター――を乗りこなすことで、こと剣の扱いにおいて右に出る者はいないクラスである、このセイバーに剣で渡り合っている。

 初戦からこのような強敵と戦うことになる。それは本来ならば悲観することであるが、誇り高き武人であるセイバーは内心、心高ぶっていた。それとたこ焼き食べていたのが羨ましいので少し、八つ当たり的な意味も入っていた。

 騎士である以上、正々堂々と強者と戦うことはやはり心躍る。

 そしてそれに勝利することで味わえる快感は名状しがたいほどに甘美な物である。

 セイバーをして勝利したいと思わせる力が、ライダーは英霊と呼ばれるにふさわしい者であると語っていた。後、たこ焼き羨ましい。

 ならば、彼が何故このような姿をしているかなどはどうでもいい。 

 余計な思考は剣を鈍らせ、自らを敗北へと導く足枷だ。

 

 (ライダー、貴方の正体等に興味はない。私は貴方を切り伏せ、アイリスフィールに勝利をもたらすのみだ! あと、勝利したらたこ焼きを要求しよう!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライダーとセイバーの一進一退の攻防の最中(さなか)、彼らのマスター達を殺そうとする影が迫っていた。

 気配遮断によってサーヴァントにすらその存在を気付かせないことを可能とするクラス――アサシン。

 黒のピッチリとしたタイツに髑髏を模したような仮面をかぶった彼ら(・・)は気づかれないように少しずつウェイバーとアイリスフィールの背後に忍び寄る。

 そして、必殺の範囲内へと侵入し、武器であるダガーを取り出しマスター達の心臓をめがけて投げつけた。

 それはわずかのズレもなく彼らの命を刈り取る。そう確信したアサシンは自分たちの任務の成功の喜びで仮面の中で薄ら笑みを浮かべる。

 しかし――

 

 「彼らの決闘に横槍を入れるのは看破出来ぬな」

 

 必殺を確信して投じたダガーは標的の心臓へと到達することなく、何者かによって叩き落された。

 

 「「ペポ!?(何だ!?)」」

 

 金属のぶつかりあう音を聞いたセイバーとライダー、そして彼らのマスター達はは何が起きたのかと、ダガーを叩き落とした何者かとアサシンの方を見る。

 

 「暗殺者よ、剣を引け。そなたの目論見は潰えた。それでもなおこの二人の戦いの邪魔をするならば、このランサーが相手をしよう」

 

 ランサーが双槍を構えて、アサシンを威圧する。ランサーの横槍(・・)によってアサシンの狙いであったマスターの暗殺は不可能となった。そしてアサシンは能力的に劣るクラスのため、三大騎士クラスであるランサーとまともに戦うなど下の下の策である。

 そう一瞬で判断したアサシンは霊体化して、闇夜へと溶けていった。

 このあたりの判断の速さは流石、暗殺者と言ったところだろう。

 アサシンが撤退したと判断したランサーは、先ほどまで白熱した戦いを演じていた彼らに顔を向ける。

 

 「セイバー、そしてライダーよ。そなたらの戦いは見事だ。まさに英霊に相応しい、それゆえに暗殺者等という無粋な輩が水を差すのを黙って見物するなど私にはできなかった」

 

 ランサーは繰り広げられている戦闘とそれを行うサーヴァントたちに敬意を表す。

 

 「どうもペポ」

 

 ライダーが自分たちの戦いを賞賛されたことへの礼を送る。

 どうやらランサーは正々堂々とした戦いを望む英霊、セイバーと同じく騎士のようである。

 だが――

 

 『何をしている、ランサーよ。私は戦いを傍観することは許した。だが、姿を見せることは許しておらぬ』

 

 辺りにだれかの声が響く、ここにいる人物の声ではない。

 

 「申し訳ありません、我が主よ! しかし、アサシンは彼らの尋常なる戦いの妨害をしようとしたのです! これを黙って見逃すなど……」

 

 『……まぁ、いい。既にやってしまったことをネチネチと責めるほど、私は人間が出来ていないわけではない。それよりも、ウェイバー・ベルベッド君。どうして君がサーヴァントを連れているのかね?』

 

 その言葉を聴いた瞬間、ウェイバーは全身の毛が逆立ち、震え上がる。

 どこかで聞いたことのある声ではあった。しかし、自分の名前を言われるまでは気づかなかった。

 いや、気づきたくなかったために考えなかったのかもしれない。

 ウェイバーにはこの声の主が分かった、いや分かってしまった。

 ――ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。ウェイバーの時計塔での教師であり、ウェイバーにとって最も唾棄する魔術師だった。そして、イスカンダルを召喚するはずだった聖遺物は彼から盗み出したのだ。

 

 『まさか、君のような凡才の魔術師がこの聖杯戦争に参戦しているとはな。やれやれ、わざわざ命を捨てに来るとはな。酔狂なことだね、ウェイバー・ベルベッド君』

 

 ケイネスの嫌味と蔑みを帯びた声がこだまする。

 どうやら、聖遺物を盗んだ犯人がウェイバーであることは分かってないらしい。もし、イスカンダルを召喚していればばれただろうが。

 

 「ぼ、僕は死に来たわけじゃない!」

 

 ウェイバーは持てる気力を振り絞り、ケイネスに反論する。無論、ウェイバーもこの聖杯戦争を勝ち抜き、魔術師として名声を得るために参加したのだ。命がけの戦いになることは分かっているが、死にに来たわけではない。

 

 『その貧弱なサーヴァントでもそんなことが言えるのかね、君は? 私のサーヴァントの足元に及ばないその能力で?』

 

 ケイネスはライダーのステータスを見て、言っているのだろう。ウェイバーはランサーのステータスを確認する。

 

 

 ランサー

 

 筋力:A

 耐久:B

 敏捷:A++

 魔力:D

 幸運:A

 宝具:B

 

 

 ウェイバーは反論の言葉を失った。確かにケイネスのサーヴァントであるランサーのステータスは非の打ちどころのないほど優秀だ。魔力のみ低いがランサーは魔術を使わないクラスであるため、力に関係はない。実質、C以下の能力はないことになる。しかも、このサーヴァントは本来、ケイネスが召喚しようとしたイスカンダルの外套をウェイバーが盗んだのだから、征服王よりは劣る英霊であるはずだ。

 それでこのステータスなのだ。これはケイネスの力による補正が大きいだろう。ウェイバーはケイネスとの魔術師の格の差をまざまざと見せつけられているかのように感じた。

 

 『おや、ウェイバー君。何も言わないのかね?』

 

 「の、能力がすべてじゃない」

 

 ケイネスの勝ち誇った声にウェイバーはなんとか腹から声を絞り出し答える。これは負け惜しみではない。事実、ライダーはステータスこそ劣るが、セイバー相手に互角の勝負を繰り広げたのだ。

 

 『ふっ、どうやら今回のセイバーはかなり弱いらしいな。あんなピンクボールにすら互角とは。最優のサーヴァントがこの程度か。どうやら聖杯はこのケイネス・エルメロイ・アーチボルトが獲得したも同然だな』

 

 ケイネスはライダーとセイバーを同時に侮辱する。矛先を向けられたセイバーもこの言葉は許せないらしく、口を開く。

 

 「ランサーのマスターよ。今の言葉は聞き捨てならない。私もライダーも貴様が思っているような弱者ではない」

 

 「我が主よ、この二人は確かに英霊と呼ばれるにふさわしい力を持っております。私も死力を尽くし、立ち合いたいと思うほどに」

 

 ランサーも彼らの力を認めているようでセイバーとライダーを擁護する。

 

 『ほう、ランサー。貴様は私に聖杯を献上すると言ったではないか、ならば……くっ!? どうやら邪魔者が入ったようだ! ランサーよ、令呪を持って命じる、わが元へと戻れ!』

 

 ケイネスに何かがあったようでランサーは令呪によってマスターの元へと転送された。

 

 「……言いたいことだけ言ってどこかへ行ったわね」

 

 展開の速さと自分だけ無視された感じのアイリスフィールは一人ごちる。

 その時だった、何者かの言葉になっていない叫び声が響いた。

 叫び声の聞こえた方角に全員の視線が集まる。そこには黒い気のような物を纏った西洋風の甲冑を着た戦士――人語でないあの叫び声からおそらくバーサーカーであろう――がいた。

 バーサーカーはいきなり街頭のポールへと体当たりを食らわした。

 すると、また一人サーヴァントが現れた。黄金の鎧に金髪、高貴な雰囲気を持ちつつも己以外のすべてを見下したような目を持った者だ。

 

 「雑種、この我(おれ)を同じ大地に立たせるとはよほど命が要らぬ者と見える」

 

 黄金を纏ったサーヴァントはどこからか剣を宙に出現させ、それを先ほど自らを地へと落した者に打ち出す。

 しかし、それをいとも簡単に素手で取ったバーサーカー。それは黄金のサーヴァントの怒りを買い、更に大量の剣を発射するがその雨嵐を奪い取った武器で撃ち落とすバーサーカー。

 その動きは狂っているどころが熟練の武人の卓越したものであり、見ていたものを驚愕させた。

 黄金のサーヴァント――どう考えてもキャスターではないので消去法でアーチャーであろう――は己の財であり武具を見下しているものに使用されているのが我慢ならないらしく、すさまじく怒気を孕んだ声で叫ぶ。

 

 「我が至高の財、貴様のような醜悪な者が触れて、ましてや使用するなどと……もはや、塵一つ残さぬぞ、狗!」

 

 アーチャーは先ほどとは比べようがないほどの武器を展開する。

 バーサーカーはそれを全て、弾き飛ばそうとするが……消えた。一瞬で姿が消えたのだ。

 ランサーのように令呪によって転送されたか、霊体化したかは分からないがとりあえずこの場からいなくなる。

 黄金のサーヴァントはとりあえず眼前に目障りな者がいなくなったため、誰に向かってでもなく言葉を発する。

 

 「雑種どもよ、貴様らがどれほど強さを語ろうと、この我の前ではしょせんは有象無象に過ぎぬ」

 

 「……有象無象ってどういう意味ペポ?」

 

 黄金のサーヴァント――どう考えてもキャスターではないので消去法でアーチャーであろう――はその言葉を発した者を一瞥する。

 

 「雑種よ、いい心がけだ。同じ大地に立っていても我を仰ぎ見、畏敬の念を抱くその態度こそ、この我を(まなこ)に入れ、敬うに相応しき姿だ」

 

 ライダーの身長などを自分に都合のいいように解釈したアーチャー。このサーヴァントの世界は俺を中心に回っているような物言いはライダーに不快感を――

 

 「難しい言葉をあまりならべないで欲しいペポ……何言ってるか分からないペポ」

 

 ――与えなかった。というか何を言ってるかイマイチ理解してなかった。

 

 「ここで貴様らを滅ぼすのは簡単だが、勝手に死合うというならば我が手をくだすまでもない。生き残った雑種一人を狩ればそれで終わる。次までに有象無象を間引いておけ、雑種」

 

 そう言い残し、アーチャーは霊体となって景色に溶け込んでいった。

 残ったのは最初に決闘していたセイバーとライダーとそのマスター達だ。

 再び、戦闘を再開しようとセイバーは武器を構えるが

 

 「……お腹減ったペポ~」

 

 ライダーは尻をつけて地面にぐったりと座っていた。今のライダーは隙だらけ……というか隙しかなく、一撃のもとに打ち取れるだろう。

 

 「ら、ライダー!? お前、敵を目の前にして何やってるんだ!?」

 

 マスターであるウェイバーがライダーの敵を前にしているとは思えない行動を叱責するがライダーは動かないままである。

 セイバーは剣を振り上げ、ライダーを切り伏せようとするがライダーの視線はセイバーの黄金の剣を……本来ならば不可視の結界があるはずなのだが見えていた……涎を垂らしながら。

 

 「……芋ようかんペポ」

 

 その血走った眼が黄金の剣を舐めるように見ている。また、ライダーは妙な気を発している、セイバーですら威圧されるほどのおどろおどしい気を。

 

 「い、芋ようかん?」

 

 その不気味な力に押されながらもセイバーは凛とした目でライダーを睨み返す。

 しかしライダーはセイバーのことなど全く興味はないようで剣だけを凝視している。

 

 「もう限界ペポ! いただきま~す!」

 

 そう言うやいなや、セイバーに向けて吸い込み始めるライダー。それにより、烈風が起き、不可視の剣はウェイバーたちにも可視へと変わった。

 

 「くっ!?」

 

 予想外の攻撃に戸惑いながらもセイバーもそう簡単には吸い込まれるかと足を踏ん張る。

 しかし、ライダーの狙いはセイバーではなかった。手に持っている黄金の剣である。

 黄金の剣はセイバーの手から離れ、ライダーの口の中へと入っていった。

 

 「わ、私の『約束された勝利の剣』が……」

 

 セイバーは自分の宝具が飲み込まれたことにショックを受けている。それも当然だろう、宝具とは自分の生きた証、また己の半身と言っても過言ではないのだから。

 ライダーはそれを味わうように口の中で動かしているようで、収まりきれていない剣が体の内部の肉を押し出し、頬が飛び出ている。

 

 「……まずいペポ!」

 

 『約束された勝利の剣』はライダーにとって満足できる味ではなかったようで勢いよく吐き出す。剣は無残にも海へ堕ち、そのまま沈んでいった。

 

 「……ライダー、我が宝具である剣を食物と同義にみなすとは……貴方はそれでも英霊か!」

 

 セイバーの怒りの咆哮、しかしライダーはペタンと地面に再び、尻餅をつく。しかし、今度はいつの間にかナイトキャップをかぶり、すぐにすやすやといびきを立てて寝てしまった。

 

 「え、ええええええ!? 何で、敵を目の前にして寝るんだよ!」

 

 ウェイバーが悲鳴を上げる。しかし、ライダーは全く起きる気配がない。

 それも当然である、これはライダーの宝具の力であるのだ。

 その態度にセイバーも毒気を抜かれた。

 

 「……ライダー、貴方はいったい何者なのだ? 騎士のように正々堂々と私と戦ったかと思えば、わが魂の半身である宝具を食べようとするなどと……まぁいい、ライダーよ、貴方は既に闘志を無くしたようだ。私も今、武器はない。この戦い、いずれ決着をつけよう」

 

 セイバーとアイリスフィールは剣が水没した方向へと歩いて行った。

 この後、全然起きないライダーを鞄に詰め込み、なんとか家に帰ったウェイバーだったがそれからすぐライダーが目覚めて、そこからは地獄だった。

 冬木市を一時的なバブル経済へと移行させるほどの金が消費されたのだった。

 

 




ここで……皆様に見てもらいたい物があります……まずは……こちらをどうぞ……(心霊写真紹介的な感じで)


ランサー

筋力:A
耐久:B
敏捷:A++
魔力:D
幸運:A
宝具:B

お分かり頂けただろうか……? もう一度見ていただきたい


ランサー

筋力:A
耐久:B
敏捷:A++
魔力:D
幸運:A
宝具:B

これでも分からないだろうか……? 

幸運:A

ランサーの幸運がAである……Aである。
これが一体、この聖杯戦争に、どのような結果を、もたらすのであろうか……?

ネタはさておき、ランサーの能力がかなり上がっています。
幸運はライダー補正で、能力はまた説明します。

では今回出た宝具の説明です。

 妨げられぬ眠り(スリープ){対人宝具 E レンジ0}・・・どんな状況であろうと眠ってしまう。

間違いなく最弱宝具でしょう、これ。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。