第四次聖杯戦争 ピンクの悪魔の物語   作:不能力者

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この投稿を持って連載再開の発表とさせていただきます。

感想をいただいたwein様、きなこもちアイス様、返信出来ず申し訳ありませんでした。

そして今回の感想。

ライダーが出ないとギャグは難しい。

次回はもう少しギャグとシリアスを入れたい。

8月21日 追記 最後の文が意味分からなかったので直しました。文がSAN値チェック失敗していたみたいです。すいません。


第七話 SAN値チェ……ゲームが違うペポ

 「それじゃあ行きましょう、セイバー」

 

 太陽が照りつける船の甲板からいかにも今から海に潜るという恰好である潜水用の装備のアイリスフィールと自殺願望者としか思えず、一般人どころか水泳のオリンピック選手でも間違いなくドザエもんになるであろう姿である騎士甲冑のセイバーが海へと潜り始めた。

 先刻、ライダーによって吐き出された宝具――『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』は未だ海の底へと沈んでいた。

 剣の力が戦力の大半を担っているセイバーにおいて、剣がないことは翼をもがれた鳥と同義であり、それを再び装備しなければセイバーは騎士王ではなくただの腹ペコ王であり、間違いなく第四次聖杯戦争のサーヴァント最弱の力である。

 聖杯戦争を勝利するためには宝具を何としても引き上げる必要があった。

 事態を非常に重く見たアイリスフィールは、衛宮切継という男に聖剣を探すように頼み、発見されたことで宝具を取りに行くことは可能になった。

 セイバーが独りで回収するのが一番望ましいことではあるが、その場合、少しの間アイリスフィールは完全に無防備な状態になってしまう。

 それではアサシンに暗殺してくださいと言っているようなものだ。

 実はアイリスフィールはセイバーの本来のマスターではない。万が一、殺されても聖杯戦争の勝敗にはあまり関係がないのだ。

 無論、だからといってアイリスフィールを死なせるつもりはない。

 すなわち、セイバーとアイリスフィールは一時的にも離れることは出来ない。

 船の上に残すのも、聖剣は思ったより深い場所に沈んでいるため、一番下まで潜っている時にアサシンが現れれば、終わりである。

 最終的にセイバーがとっさに護れる距離を保ちつつ、聖剣を取りに行くには、二人で潜水していくしかない。

 非常に効率の悪いやり方であるが、これならばアイリをとっさに護れるうえに、人智を超えた存在であるサーヴァントとはいえ、もとは人であった者たちだ。水中では動きが鈍るため、無理にしかけてくることはないだろうということでも良策である。

 そのため、二人で潜ることになったのだった。 

 

 (待っていろ、『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』よ!)

 

 セイバーは必ず、剣を自分の手に戻すつもりだった。少しばかり潜っていく、否、鎧の重さで堕ちていくと黄金の輝きが海の中で輝き照らすのを見つけ安堵する。

 しかし、安堵は驚きへと変わった。騎士甲冑の重量による浮力の差によって少し距離のあいたセイバー、アイリスフィール、そして『約束された勝利の剣』の間を阻むように、巨大な触手をたくさん持った蛸のような名状しがたき何かが現れる。

 それは一瞬でアイリスフィールを捕える。

 セイバーは抵抗しようとしたが水中では動きが緩慢になって思うように動けない。しかし、その蛸のような生物は水中なのに高い敏捷性でセイバーはろくに抵抗できずに捕えられる。

 二人が触手にからめ捕られたところで水中に何者かの声が響いた。

 

 『ジャンヌよ。どうですかな? 我が盟友フランソワ・プレラーティーから賜りし、螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)が呼び出す海魔の力は?』

 

 「貴様は!」

 

 どこからともなく聞こえる声が水中に響く。セイバーはこの声に聞き覚えがあった。先ほど、ライダーとの戦闘後、拠点である城へと戻っている最中にいきなり目の前に現れ、自分をジャンヌという人物と勘違いしている男の声だ。

 そしてその男は英霊だ。自分自身をキャスターとして召喚された、そして後にもう一度やってくると言っていた。

 だが、キャスターが戦いを挑んで来ようとも問題ないはずだった。

 セイバーには高い対魔力があり、それは魔術で戦うキャスターにとって天敵となる力である。

 そのため、剣がなくともキャスターには相性的に遅れはしないと踏んでいた。

 その考えが甘かったことが今の状況で証明されているのだが。

 

 『ふふふ、ジャンヌ。流石のあなたも水中では海魔には勝てますまい。さて……そうですね、あなたのマスターを辱めてあげましょう。あなたがされたあの凌辱を見れば記憶が戻るかもしれません』

 

 (やめろ!)

 

 キャスターはセイバーをジャンヌという人物と勘違いをしている。そのため、あなたがされた凌辱と言われても何をするかまでは分からない。

 しかし、辱めるというのを黙って見過ごすわけにはいかず、触手を振りほどこうとしたがびくともしない。認めたくはなかったがやはり水中で素手では力で海魔に勝つことは出来ない。

 悔しさに唇を噛みつつ打開策を考える。しかし、水中でなおかつ聖剣もない状況ではセイバーに出来ることはない。

 何も考え付かないまま、アイリスフィールの潜水用装備の間から海魔の触手が彼女の体に這いよっていく。

 水中であるため、声は聞こえないがおぞましい触手に体を触られる感触、その辛さはかなりのものだろう。

 だが、セイバーはそれを見ていることしか出来ない。あまりの悔しさにセイバーは唇を噛み、手ははちきれんばかりに握られている。

 

 『悔しいでしょう? 何の誉れもない海魔に何も出来ずにマスターを辱められることは。さあ、では始めるとしましょ……なんですか!?』

 

 キャスターが言葉を言い終える前に、穏やかだった海にまるで津波でも起きたかのような強烈な水流が起きた。

 その水の奔流はセイバー、アイリスフィールはもちろんのこと、水の中でも俊敏に動ける海魔ですら抗えず、流れの方向へと流されていく。

 海魔が水に流されることに抵抗しようと触手を使いもがく、海魔の呪縛から逃れることが出来たセイバーはアイリスフィールを守るために手をつなぎ離れないようにした。

 そして彼らは全員、海水と一緒に海の外へと放り出される。その瞬間、セイバーは水の奔流の原因を見た。それはライダーが海の水を吸い込んでいるところだった。

 セイバーは空中に投げ出されながらも、その吸い込みに抵抗し空中で体制を立て直し、アイリスフィールをお姫様抱っこならぬお嬢様抱っこして着地する。

 そこは海岸だったため、着地の風圧で砂利がふわりと宙を舞った。

 海魔も吸い込まれなかったようで海から打ち上げられた後、セイバーたちの近くに墜落したがコンクリートの上に叩き付けられたらしく、陸に揚げられた魚のように少しびちびちと動いた後、そのまま消滅していった。

 

 「不味いペポ!」

 

 ライダーが悲痛な声を上げる。セイバーが視線を移すと『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』が再び涎と共に吐き出されていた。

 

 「あれは私の!? クッ……させるか!」

 

 このままでは海に落ちてしまう、そう直感したセイバーはアイリを離して、死ぬ気でダイビングして受け止める、それにより海には水没しなかった。涎には水没したが。

 その代わり、セイバーは剣を受け止めた後、うまく着地できず、砂浜にヘッドスライディングしてしまった。

 セイバーは口に砂利が多量に侵入する異物感に顔を多少歪めながら、自分たちを巻き込んだ水流を作った原因、すなわちライダーへと視線を移す。

 ライダーは魚貝類を口の中に含めるだけ含んで、大口を開けていた。

 その中にはイカ、タコ、海老、フグなどの海の定番はもちろんのこと、見たことのないような巨大な長細い魚――リュウグウノツカイなどまでもが入っている。

 

 「フガフガフガフガ(これで寿司を作って食べるペポ)」

 

 ライダーは何か人語を喋っているようだが、口が閉じれていないため、それはコミュニケーションとしての機能を果たしていない。

 

 「何て言ってるのか分かるわけないだろ!」

 

 その横でライダーのマスターである少年――ウェイバー・ベルベットがツッコミを入れる。

 それはもはや阿吽の呼吸で、彼らはペアの漫才師なのかと思わせるほどだった。

 

 「……ジャンヌ、もしや私のことを忘れていないでしょうか?」

 

 その言葉にセイバーはハッと我に返る。そう、今はキャスターの襲撃にあっていたのだ。

 少し、失念していた自分に辟易しつつも、セイバーは声の発生源の方向へと涎をポタポタと落す剣を構える。

 そこにいたのは……人の姿をした何かだった。体全体に真っ黒な触手のようなものを身に着け、ポタポタと地面に水やドロドロとしたどす黒い液体を垂らしながら、のそのそとこちらに向かってくる。

 妖怪、化け物といった類の名称が似合うそれに、気づいたアイリスフィールはそのあまりにグロテスクさに息を飲む。

 常人が見れば、発狂してもおかしくないほどのおぞましさをもったそれを見たのだ、むしろ悲鳴を我慢しただけでも大したものだ。

 ライダーのマスターも化け物に気づいたようで悲鳴を上げる。

 

 「ヒイッ!? モンスター!? いや、サーヴァント!? ば、馬鹿な! サーヴァントは人間のはずだろ!? こんなモンスターが英霊なわけが!?」

 

 「フガフガフガ!(あ、悪霊退散ペポ!)」

 

 彼は自分のサーヴァントも人ではない何かであるのを完全に棚に上げて叫び、ライダーもその姿におそらく驚いているであろう……口を閉じれていないので相変わらず何を言っているのかさっぱりであるが。

 渚のビーチで皆の視線を悪い意味で独り占めしている何かは、フルフルと体を震わしている。

 その動きはより不気味さを加速させている。

 流石のセイバーもこれには動揺を隠せなかった。

 そしてとうとうその何かから言葉が発せられる。

 

 「……この私の邪魔をするばかりか、モンスター呼ばわりとは……許さん! 祈っても許さん!」

 

 その言葉とともに、先ほどセイバー達を苦しめた触手たちが海面からどんどん現れていく。

 だが、触手とは先ほどとは姿が変わっていた。蛸の脚のような触手に、言葉を発した何かと同じ触手が絡みついている。

 そこでセイバーは気づいた。その黒い触手は、海藻であると。

 

 「貴様らのせいで私は海藻とヘドロに頭から突っ込んでしまい、このようになってしまったのだ!」

 

 怒号と共に彼に纏わりついていたヘドロや海藻が吹き飛び、キャスターの姿となる。

 彼の怒りの叫びを聞きつつ、セイバーは少しだけキャスターに同情していた。自分の邪魔をされたばかりか、ヘドロなどに突っ込まれ、かつ犯人には化け物扱い……まさに踏んだり蹴ったりである。

 キャスターの怒りを代弁するように触手たちはセイバー、そしてライダーへと襲い掛かってきた。

 

 




次回は新たなコピー能力が! こうご期待?

後、最近TRPGなるものを知り、興味が出てきました。
今回の話は微妙にクトゥルフTRPGネタを入れました。
ただ、私はクトゥルフあんまり知りません。
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