プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
公園とか学校とか駅とか、プリキュア各自の自宅とか。
位置関係がわかるだけで話作りのタネになるし、
逆に成立するわけがない話も予防できるんで…
今回はオリ主の尋問回なんで、ちょいとギスギスします。
「これだけは最初に言わせろ。こいつが起きる前でなくっちゃあならないからな」
もう俺には逃げる気も抵抗する気もない。
少なくとも、こいつらをダマくらかしたことは明るみに出ちまったようだ。
ここで逃亡を選んだなら、その先にはそれこそ無意味な死しかない。
平光ひなたを射程外に出しちまう。F・Fの苦労が完全にパーってことだ。
じゃあ、かついで逃げるか?バカだろ、それ…誘拐犯になるだけで、即座に鎮圧で終了だな。
「俺は、こいつをプリキュアに推薦する。
こいつは、俺の『前科』を知っていたくせに、何も考えず助けに入ってきた。
ヒーローとしては充分だと思う」
「覚えてはおくぜ」
ニャトランが答えた。
ペギタンは、すでにパートナーを見つけていた。
見覚えがあるはずだった。沢泉ちゆだったんだからな。
さっきまでの二十分弱の間に決まったらしいな。
だから、プリキュア候補が必要なのは、あとはコイツだけなんだが…
大して食いつかれもせずに脇にやられた。
「だけどよ、わかってるよな?
今のおめーから、そいつを聞き入れる理由も信用もねぇーってことをよ」
「そう…だな」
「それがイヤなら、こっから先でツマンネー嘘つくんじゃあねぇーぞ。
黙秘も拒否も一切許さねー。いいよな!」
「…わかった。好きに聞きゃあいい」
「じゃあ、聞くね。わたし達と別れてから何があったの?
順番に話して」
場の仕切りが花寺のどかに移った。
年貢の納め時ってやつだな…そんなフウに思いながら話した。
まず、この平光ひなたを適当に追い払ったこと。
着信履歴があるから、これは花寺のどかにもすぐわかった。
追い払った直後にビョーゲンズのダルイゼンが現れ、
メガビョーゲンをけしかけられたこと。
そして俺はその状況を『次善』だと判断し、適当なところで死のうとしたこと。
だがそれを果たす前に平光ひなたが戻ってきて、助けに入ってしまったこと。
俺としては、道連れを作るなんてまっぴらごめんなので、逃がすために戦おうとしたこと。
そうしたら、平光ひなたがスタンド使いであることが発覚した…
『太陽』のスタンドがメガビョーゲンと渡り合える破壊力を持っていたため、
撃退する方向に舵を切ったが、最終的に俺が足を引っ張る形になり、
例の発作を起こした俺を助けようとしたばっかりに、平光ひなたが重傷を負ったこと。
事ここに至ってはフー・ファイターズのDISCなしに救助は不能と判断し、
そこを以てこの場の死だけは絶対に許されなくなったこと。
プリキュアである花寺のどかが戻ってくるまでダルイゼンに食い下がろうとしたこと。
「そして、花寺のどか…お前が来た!DISCも戻ってきた……
それを使って、かろうじて平光ひなたの治療に成功した。以上、だ」
「待てよ。F・Fが助けてくれたってのはどうしたよ」
ニャトランの突っ込みが入る。
オカルトを入れたらややこしい話になるだけだぞ?
だが黙秘も拒否も許さないと言われた。なら話そう。
どう取るかなんて、知るか。
「……平光ひなたの容態は、まもなく死ぬような状態だった。
ほとんど絶望のその場しのぎを続けていたら、F・Fが頭の中に話しかけてきた。
付きっ切りでアドバイスをもらって、必死でついていってたら…平光ひなたは助かった。
それだけだ。それだけの、俺から見た事実だ!証明なんかできないね!」
「そこはオレも証言するぜ。メソメソ泣いてたと思ったら、ウツロな目でブツブツ言いだしてよ。
そこからだぜ。コイツの容態が見る見る良くなっていったのはよぉー」
すぴー。ベンチの上から寝息が答えた。
今更だが場所は移ってる。さっきの現場からかなり離れた位置のベンチにだ。
あんなところに長時間留まったら事情聴取待ったなしだってんでな…これ、沢泉ちゆの提案な。
戦闘中の泥まみれについては解決した。『フー・ファイターズ』でヨゴレを強力に分解だ!
ホンットに幸いなことに、平光ひなたの服が破けたりとかはしていなかった。
それは『幸』だが…引き換えの『不幸』が、今かな…?
とにかく俺は、平光ひなたを脇に置いてベンチに座らされ、
周囲をヒーリングアニマル…改め、プリキュア御一行に取り囲まれているのだ。
……話は続く。
「…うん、わかった。納得できないけど、わかった。
『次善』って何?どうして死のうとなんてしたの?」
「有効な反撃手段を用意できた上で、ダルイゼンなりメガビョーゲンなりを撃退する。
そこまでいかなくとも逃げ切る。これが『最善』だ。これはわかるよな」
「うん」
「有効な反撃手段がなかったら負ける。
そこでDISCも持っていたらほぼ確実に調べられて、暴かれて取られる。
これは『最悪』のパターンだ。今日の話し合いで可能性が出てきた『最悪』がこれだな?」
「うん……」
目を細めた花寺のどかは、フゥ、と不快げな溜息を漏らした。
「だからDISCを渡した。これで『最悪』は無くなる。
それでもDISCの情報は俺自身が知っている。
捕まった俺が拷問だとか洗脳に屈しちまったら同じことで、『最悪』の次に悪い!
逆を言えば、俺さえいなけりゃあそれでいい。
俺が情報ごとこの世から消えれば、襲ってきたビョーゲンズはただバカを見るだけ!
フー・ファイターズはプリキュアが持っているから実質何も失わない。『次善』だろ?」
「何も、失わない…って……鳴滝くんの生命が無くなるじゃない」
「俺だって無意味に死ぬつもりはないね。俺にとってはそれこそが『最悪』なんだからな。
生命ある限り…『最善』の目を引き続ける限り、俺は囮として機能できる。
ま…理想だな、これは!」
「わかんないよ。あなたは、何がしたいの?」
何がしたいの、か。
答えることをためらった。俺は明らかに、こいつと相容れない。だから、だました。
だがもう、バレている。さっきの反応は明らかに、俺の答えを事前に予測していた。
つまり結局、正直に話す以外ない。
くそ、ヒトをハダカにムくみたいなマネしやがって…
だが正当な報復だ。答えてやるよ!そんなに聞きたいんなら!
「意味のある『死』がほしい!
この足が役立たずになった日から、俺は死んだも同然だ。
でも、DISCには希望があった。F・Fは納得して死んだんだよ…
俺も納得したい。死ぬことに、俺が信じられる価値がほしい」
「あなた…最低ね」
横から話をぶった斬ったのは、ほとんど黙って話を聞いていた沢泉ちゆだった。
俺は元々最低だ。わかりきったことをワザワザ言うこともないだろう?
いや、ただの罵倒か。そうだな、それは有りだ。
せいぜいウサを晴らすんだな。お前にはその資格がある…存分にキズをつけていけ。
「実家の権力の次は、プリキュアの力に頼るつもり?」
「……。なんでそうなるんだ?」
「さっきの話、自分の都合しか見てないじゃないの。最初から最後まで!
なんで花寺さんが、あなたなんかの生命をしょい込まなきゃあいけないの?
なにが意味のある『死』よ。後始末は全部、私たち持ちじゃない…冗談じゃあないわ!」
「後始末なんかまったく必要ないだろ。
クソ野郎が一人死んだ。それでおしまいだ…みんな喜ぶ」
「それはゲスの考えよ!一緒にしないで!」
「そうだよ。ゲスとつるむなよ。すこ中のホープ」
「ぐッ…この!」
「…ラビリンから!ラビリンからひと言、言っておくラビ!」
さらにラビリンが飛び込んできて、話をぶった斬りにかかった。
俺としちゃあ、もうここで決定的な決裂、さようならでもいいんだがな。
疲れるだろ、こんなやつを相手にしてさ…
「まず、あなたの言う『最善』も『次善』も、ラビリンたちにとっては『論外』ラビ。
無防備な仲間を助けないで、しかもそれを好都合に思うなんて…ビョーゲンズ以下ラビ。
そんなの、もうプリキュアでもないし、ヒーリング・アニマルでもないラビ」
「結果さえ正しければ、お前たちは正しいさ。つまらないことにこだわると負けるぜ」
「うぅ~ッ…完全にヘソ曲げてるラビ」
「もう、これ以上は…頭を冷やして出直すべきだペェ。
でも、魁。ボクは魁に死んでほしくなんかないペェ」
安い文句だな。どうせおためごかしなんだろ。
心底うざったくて、そちらを見てペギタンの顔を見ると。
…出かけた言葉が、喉の奥に引っ込んでいった。
こいつは、過呼吸の俺に辛抱強く付き合ったんだ。
というか、ラビリンとラテ以外の全員がそうだ。
その他、面倒をかけまくること多々…病院とか、よく付き合ってくれたもんだよ。
おまけに今日、俺と平光ひなたを助けたのは誰だ、って話だ。
そして俺自身それをアテにして、最後にはみっともなく助けを求めて叫んだよな?
そのくせに今の物言いは……結果の正しさを見るんなら、この場で一番間違ってるのは誰だよ?
イライラが一気に冷却していった。代わりにいたたまれなくなった。
死んでいればこんなこと、考えずに済んだのに。
俺はうつむいて黙ることになった。二十秒くらいの気まずい沈黙。
「俺には、わからない……でも、今。
俺がお前らを侮辱しちまったことだけはわかったよ。
そこは、悪かった。すまなかった」
「……今はそれでいいわ。私はね」
沢泉ちゆが、まず応えた。
お前が気まずそうにする必要がどこにあるんだ。
おずおずと、花寺のどかが進み出る。
「わたしもそれでいい、けど…ひとつだけ聞かせて」
うなずき、促す。
少なくとも、俺みたいに決裂を望んでるやつは誰もいないみたいだな…
「どうして、ひなたちゃんを助けたの?」
「巻き添えにしたくなかったからだ。
俺の巻き添えになろうものなら、それは最悪よりもひどい『無』だ。
俺は、生まれてきたこと自体が間違いだったことになる…それだけだ」
「それだけ…そっか。わかった。
鳴滝くん、ありがとう!」
「ん……はぁ?」
「鳴滝くんのおかげで、わたしの友達が助かったんだよ」
「あ、あー。…そりゃ、どうも」
そもそも、俺がいなきゃあ、平光ひなただってケガもしなかったと思うんだがね。
そこの所をどう思っているのか、花寺のどか……
満面の笑みは本気か、それとも芝居か。
こいつはたぶん、必要であれば嘘をつく奴だと思う。
ただし、善性に基づいて。俺とは違う。
ま、むやみにつついて話を蒸し返す必要はないな。
「友達を助けてくれた人が死ぬなんて、わたしは悲しいよ。
だから、今回みたいなことはもうやめて。
ビョーゲンズが現れたら、わたしを呼んで。ね?」
キレーにシメにかかりやがったこいつ。
そしてもう、俺にこいつを拒絶する術はない。
死んだら迷惑だと明言して縛ってきやがってる。
『誰の迷惑にもならない』理屈が消滅した。
ああ、もう…俺の自由になる生命じゃあないのか。釈然としない。
「…………わかった」
その後、すぐにスマホの番号を交換された。
電話帳の登録者74人目だな。
もっとも、他の連中と連絡を取ったのは、去年の退院直後が最後だから、
事実上、ただのメモリの肥やしだな…他の73人。
確かなのは、この花寺のどかは、かつての他の連中みたいにアゴで使えないってことだ。
俺はもう、お願いして慈悲にすがる立場でしかない……弱いよなぁ、俺。今更すぎる。
花寺のどか。お前は好きに与えて、好きに奪える。俺からな。かつての俺のように。
俺から取れるものなんか何もないはずなんだが、まさか生命を握られるとは。
嘘はずいぶん高くついたな。
憂鬱だった。こいつは俺を悪いようにはしないだろう。そうは思っても、だ。
ようこそ、首輪付きの俺。いや、久しぶり、かな?
腰を下ろしているラテに妙に親近感が湧いた。向こうは不審な目を向けてきたがな!
ここでようやく、平光ひなたが目を覚ました。
「ン…うぅ~~ン……あ、あれっ?怪物は?」
「正義の味方が倒してくれたよ!通りすがりのな!」
「えっ、何それ?なんで起こしてくんないかなぁ~~ッ」
ガバッと起きだして迫ってくる。
いきなりやかましいやつ!今まで寝てて良かったよホントに。
「ひなたちゃん!体は大丈夫なの?」
「あ、のどかっち。体って……あ、そういえばあたし、怪物に…う、うぅッ!」
花寺のどかの言葉をきっかけに思い出したようだ。
自分がどういう状態にあったかを。
目の色が恐怖一色になって、自分の体のあちこちを探っている。
「そ、そうだよ。あたし死んだじゃん。ゼッタイ助からなかったじゃん!
ノドに血がつっかえて、頭が真っ白になっていったの覚えてるよ?
ってことは、あたし……ユーレイ?ゾンビ?えええッ?」
「生きてるっての!俺の能力は『治療』だ!
怪物が追っ払われたからギリギリ間に合った。わかった?」
微生物うんぬんをここで言い出しても絶対理解されねえ。
とにかくとにかく単純化しないと話が進まないのはわかりきっていた。
ウソさえつかなきゃあそれでいいだろ。
「えっ、てぇ~ことはぁ……命の恩人じゃん!」
「こっちに寄るな!オレがどういうヤツか、忘れたのか?」
「悪いウワサはスッゴイ聞いてたから警戒はしてたけどさ。
アンタ結局何もしてないし…今は恩人でいいと思うな。
あっ、のどかっちストーキングしてたっけ?」
よし、そこは無視する。
話があちこちに飛び火されたら、たまらん。
「それでも、必要以上に寄るのはやめとけ。
鼻つまみものと関わると周りから冷たくされるぞ」
「…ンー?」
「鼻つまんで首をかしげるな!
あぁ~~もういい!今は正義の味方の話を聞いとけ!」
誰かこいつに辞書を買ってやれ!読まないだろうけど!
それより正義の味方だ。二人の方を見る。
二人ともキョトンとしている。話を振られると思っていなかったらしい。
「おい…もう無関係じゃあないぞ、こいつ。
俺と同じスタンド使いだということは、俺と同じように狙われる!
守れるやつがいるとしたら、プリキュアだけだ。
秘密にしたまま守り切るのは、かなり厳しいと思うんだが…どうよ?
『友達』の花寺のどかさん?」
「ちょっ、あなた、何を勝手に」
「……うん、そうだね。危ないよね」
戸惑いをすぐに収めた花寺のどかは、平光ひなたに歩み寄っていき、
いきなりその額に手をかぶせた。
「な、何?のどかっち、いきなり…ハンドパワー?」
「たしか、この辺で……つかんだ!」
そして、平光ひなたの額から取り出したのはDISC。
やっぱりか。俺と同じだ……生まれついてのスタンド使いじゃあない。
「えぇぇぇ~ッ何それ!あたしの頭から、それ何?
ブルーレイにしては大きいし…手品?」
「花寺さん、なんなの、それ…」
「これで二枚目。もう、偶然なんかじゃあないよね。
誰かがスタンド能力をばらまいてる!」
「ホワイトスネイク…か?」
「神父さん本人か、DISCをたくさん持ってる誰か、かな…
でも、目的は何?スタンド能力で、その人は何をさせようとしてるの?
……うぐぅ!」
バチィ~ン
話しながら、花寺のどかは自分の頭にそのDISCを押し込んだ。
その全体が頭の中に納まったように見えた次の瞬間、花寺のどかはその場にずっこけた。
頭からはじけ飛ぶDISCは、ちょうど俺の目の前に落ちた。
「適合しなかった。これは普通のDISCみたい」
「記憶とセットじゃあないってことか。
平光ひなたの様子を見ても、見当がつくことではあるな」
「あの、置いてけボリにしないで。サミシーから!」
「…超能力の種だよ、これは。頭にハメとけ」
「えぇと…おおっ、ハマッた!スゴーい!
『太陽』出たぁーーーッ」
「出すな!お前のスタンドは相当やべーんだよ!」
その後、今日のところはスタンド能力はただの超能力として終わらせ、
プリキュアとビョーゲンズの説明を一通りすることになった。
沢泉ちゆも、今日なったばかりで背景を全然知らなかったからな。
ヒーリング・アニマルの皆も平光ひなたの前で自己紹介をすることになったが…
「……キィャヤアアアアアアしゃべッたァァァァァァァーーーーッ!
何これ?何これ?万国ビックリ動物!
カワイイーーーーッ、スゴーーーーイ!」
目もあてられないほどの大騒ぎをしやがって話の腰が盛大にへし折れた。
沢泉ちゆが、ここでモノスゴく頼りになったおかげでなんとか進んだけどな。
「平光さん!話が進まないでしょう?騒いでいいけど後にして」
「…ゴメンナサイ」
ここでプリキュアなんかに変身したらどう騒がれるかわかったもんじゃあなく、
変身して、常人を圧倒するパワーでビョーゲンズと戦えることだけを説明して、
日が傾いてきたのでお開きになった。
たぶん、あいつの中のビョーゲンズの認識は侵略宇宙人のまま変わってない。
大差ないっちゃあそうだろうけど。
帰途につく。ニャトランは、今日は花寺のどかの家に帰った。
俺はというと…まだ仕事があるんだな、これが。
「ぶーぶー、イイじゃん変身くらい見してくれたってぇー」
「お前がハシャギすぎるからだ!楽しみは後に取っとけ」
「ハァー、しょーがないかぁ。で、アンタどうすんの?
今日一日は、離れすぎたらあたしが死ぬ、って言ってたけど…」
「50mだ!50mまでは、お前の体に俺の能力が及ぶ!
安全をとって、お前の家から30mくらいの距離でジッとしてるよ。
あんまウロウロすんなよ」
「ジッとしてるって、ドコで?知り合いでもいんの?」
「そんなとこだ。気にしないでいい」
「ありがとね。いつか恩は返すからさぁー」
生命があった、という意味では助けられたのはむしろ俺になるんだがなぁ。
ありがたいかはまた別だ。明日もきっと苦悩する。とはいえ恩は恩なんだ。
その分の感謝は今日一日の、フー・ファイターズ付きっ切りの看護で返そう。
F・Fは徐倫が遠く離れても、ふさいだ傷に問題が起こらない制御を知っていた。
だが俺は使い始めたばかり、しかもF・Fの方法論がそのまま通じるとは限らない。
その意味でも、これはいつか必ず経験する必要があることだ。
花寺のどかの下についた今となってはな。
平光ひなたの家のかなり離れた位置で別れた俺は、ほどなく適当な空き地を発見。
フー・ファイターズを足から展開、ドリルを作って土砂を掘り上げ土中に埋まった。
どうせもう台無しの服だから土まみれになっても何も惜しくないね。
あとは鼻と口からシュノーケルを作って伸ばし、明日の日の出を待つだけだ。
腹が減った…。一日くらい抜いても死にはしないけど。
それにしても土ってのは思ったより冷たい。
死んで感じる世界はこれか……やっぱり、死ななくてよかった、かな?
治療に集中だ。万が一、いきなり能力が解除されても死なないように、
大静脈の破損部へ重点的に、全身から細胞をかき集めてきて固めていく…
全部終わったのは、たぶん深夜一時頃。俺自身もまた、泥のように眠った。
「……ブボボアガガオゲェェェ~~~ッ!!」
翌日、ブ男とホウキ頭に立ちションベンひっかけられる夢を見て飛び起きた。
何バカ笑いしてんのお前ら!ユメにモンクいってもしょーがねーけど!
人の性格がそんなに簡単に変えられ成長できるなら誰も苦労しません