プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
ウザッたいだけなんで、一連の話で多少改善させます。
「おはよ、タッキー」
ア然とした。
というより、俺に言われていると思わず、周りをキョロキョロしちまった。
学校の廊下で声をかけてきたのは平光ひなた。
「……お、おう」
思わずキョドッた返事を返した俺は悪くない。
よくそこまで気安くなれるもんだな、昨日の今日で。
…そうだよ、俺は恩人だったな…居心地が悪い、心臓に生ぬるいミミズがのたくってるみたいだ。
ああそうだ、昔の俺ならどうしたっけ。ああ、エラそーに無視したっけな。
そのくせアイサツしねーザコ野郎はナンクセつけてシメて……参考になるか、こんなもん。
「おはよう。鳴滝くん」
「……おはよう」
後ろから続いて花寺のどかが来て、気が進まなさそうに沢泉ちゆも来た。
「…ああ……おはよう」
返すものは返して、とっとと撤退を決め込んだ俺。
何考えてんだアイツら。周り中人、人、人だらけだろーがッ
俺と関わると、どういうウワサになるかわからないんだぞ!
それをちょっとでも考え……ないだろうやつが明らかに一人。
あとの二人は引きずられただけだな。
一人は、このままじゃ孤立させるかも、って判断してイヤイヤ貧乏クジ引いたわけだ。
残った一人は…実際のところ、どういうつもりなんだか。一番わからない。
やわらかい笑顔のウソのなさ。俺にはそれがうさんくさく思えてしまうんだ。
きっと、穢れた人間のひがみなんだろうな……
物思いにフケッてる場合じゃあないだろう。まずはやめさせることだ!
教室まで来てショートメールを打つ。
俺を気にするやつなんか誰もいないから文面を覗かれる心配なんか…
あっ、ウロンな目で見てるヤツが何人かいる。さっきの目撃者だろうか?
あのカメラぶらさげたジョニー・デップくずれのダセェヤツ…あいつは!
名前なんだっけ……とにかく、知りたがりの煙たがられ野郎だ!
…いや、オレほどじゃあねーけどさ
チクショオメンドくせえ!これ以上大ごとになる前に止めねぇと。
『必要以上に俺に関わらないようにしてください。
すでに何人かが俺を胡乱な目で見ており、
あなた方が同類視されるかもしれません。そうなる前に。』
始業直前あたりで回答がきた。
『わかりました。打ち合わせは放課後に校外でしましょう。
ちゆちゃんから伝言です。卑屈な態度をとった方が疑われるそうです。
ひなたちゃんも楽しみにしてます。』
……ああ、わかる。わかるさ。オドオドしてるヤツとか格好のマトだもんな!
まさか俺がそうなるとは思わなかったよなぁー。誰のせいだよ?…ほぼ俺のせい。
フー・ファイターズのDISCがある以上、向こうも俺に関わらざるを得ない。
DISCだけ取り上げて死なせた方が得だろうけど、
個人的な信条から俺を死なせたくないんだと……
考えてみれば、俺はあいつらをダシに『気持ちのイイ』死を遂げようとしたわけだし。
あっちが被害者で迷惑しかしてない。
今、生きていて不始末のケツをぬぐってもらった俺が憂鬱に思うのは…バカにした話だな、これ。
生き延びて恥をかくのは……、一種の罰ってとこか。
オレのモノローグなんざどうでもいいんだ、飛べ!放課後に!
「よかった、ここは閉まってなくて!」
「よく考えなくても当然よね。噴水が壊されるなんて怪事件があったんだもの」
「…アハハ、もしかしなくてもあたブッ」
「余計なこと言わないで、どうなっても知らないわよ」
「ムグ、ムグ~!」
放課後、公園近くの展望台に遅れてやってきた俺は三人の後ろ姿を見つけた。それと犬一匹。
沢泉ちゆが今言っている通り、公園自体は今閉鎖されてしまっている。
学校に引き続き、噴水が、何者かにより破壊された。
こっちは、何をどうやって破壊したのかすらも理解できないだろう。
スタンドは、スタンド使い以外には見えないし聞こえないんだからな…
今、すこやか市全体がものものしい雰囲気に包まれつつある感があるな。
温泉街だろ、ここ?ダメージでかいよな…
「遅れた、すまない」
「あ、タッキー、お~っす」
「大丈夫だよ。急ぎたくても急げないもんね」
「…さっそく始めましょう。もうすぐ日が傾くわ」
放課後すぐ駆け付けたとしても、そんな時間になる。周りに人はほぼいない。
平日ならそんなもんだ。沢泉ちゆは、おそらく部活を抜けてきてる。
待ち合わせる相手が俺ということもあるが…ピリピリするのも仕方ないな。
で、調整したのは花寺のどかだな、当然…
こいつは偽善者だとしても、とてつもなく気合が入った偽善者だ。
支払った労力に値する以上のことを、俺はやる必要がある。
「平光ひなた」
「昨日から思ったけどさぁー、ナニそのフルネーム呼び!
教師?センコーきどり?」
「…最終的なチェックを今した。身体は問題ない。
俺が能力を解除しても問題ない状態まで持ち直したな」
「ン…ありがと!」
「血が足りてないと思うから、しばらくは運動を避けて回復を待つんだな…
これで本題に移れるな。まずはこのDISCを『見て』もらう」
DISCを取り出しても問題ない状態でなくっちゃあ出来ないことだ。
射程外に外れたフー・ファイターズは『休眠状態』になるだけだったが、
DISCを外してどうなるかは正直わからないからな。
最悪、根こそぎ消えて、瞬間、平光ひなたは血を吐いて死ぬんだ。
それだけは避けられたようだ。
DISCを外した…フー・ファイターズが感知できなくなる。
それをまずは、沢泉ちゆに手渡す。特に嫌がられることもなかった。
「こうしろってことね」
ためらいなくDISCを額に運び、頭蓋の中に吸い取った。
タダモノじゃあないな、こいつも。プリキュアなんてモノになるわけだよ。
顔をゆがめて、ふらつき、地面に手をつく…花寺のどかに事前に聞いてたな、これは。
こうなると予想していたような対応をしてるのが見ていてわかる。
「なるほどね、イヤでもわかったわ。スタンドのことが。
スタンドをばらまいてるっていうのは……あいつね、『ホワイトスネイク』!」
「確認したい。今、平光ひなたの体内にあるフー・ファイターズ…お前、認識できるか?」
「……認識できるわね。動かすことも可能よ。
そう、あなたの体内にもびっしりいる…
恐ろしい…おぞましいわ!あなたがこんな力を手にしていたことがッ」
「ちっ…ちゆちー!なんでそんなこと」
「でも、こうしてみてわかることもある!
あなたは、平光さんを操り人形にはしなかった…助けるためだけに使ったのは嘘じゃあない。
それに免じて…あなたを信用するわ」
「操り、人形?…なにそれ」
「後でお前も見るんだ、平光ひなた。
そして、昨日がどれだけやばかったのかを理解しろ」
ある意味、ここからこそが本題だ。
昨日まで、俺自身までもが存在を認識していなかったもの。
「沢泉ちゆ。F・Fの最期を探るんだ。そこに『空条承太郎』の記憶がある」
「……あったわ。正直、頭がどうにかなりそうね。
吸血鬼だの幽霊だの、顔を変えて潜んだ殺人鬼だの……どういう人生送ってるのよこの人!?
再会した友達が亀に取り憑い…イイカゲンにしてちょうだいッ!!
これ知って私にどうしろっていうの!?」
「いや、昨日な…F・Fがそれだけは知っておけっていうから。
俺だって途方に暮れたよ正直!土の中で…」
「情報が多すぎる…今、何がどーこーって反応するのは無理よ。
パス。平光さんにパス。これ以上聞かないで!」
「その前に花寺のどか、な。まだ知らねーから!」
キレ散らかした沢泉ちゆからDISCを受け取り、
もの欲しそーな平光ひなたをスルーして花寺のどかに手渡す。
無言でDISCを頭に入れた彼女は、数秒して脳ミソから湯気を吐いた。
顔がトロけるチーズみたいになってる。
「ぐへぇ~~、何これ~~」
「ぐへぇー、ってお前…いや、わかるけど」
「プリキュアとかビョーゲンズとか、結構スゴイことに巻き込まれたと思ってたけど…
それすらカスむよ、この人の人生…ムチャクチャすぎるよ~
あっ、でも『星の王子さま』好きなんだね。わたしも好きだよ『星の王子さま』」
「だよなぁー、ヒーローではあるが、マネしたくはないっつーか…ムリに共通点探すな。
それと…出てきていーぞ、ラビリン、ペギタンにニャトラン。いるんだろ?」
藪の中から、気が進まなさそーにペギタンから出てきた。
続いて、ラビリンにニャトラン。ラテは最初からいる。
…わかってんのか?お前も見るんだぞ?他人事みてーに草ムラ転げんな!
「見ろっていうペェ?」
「むしろ一番見るべきだろお前ら。この超常現象ども!」
「うわーキズつくなーおい…見るよ。元からそのつもりだぜ」
死んだ目で半笑いの花寺のどかが、これまた無言でニャトランの額にDISCを刺した。
猫のアゴが外れるのを初めて見た。
「なんだよコレ。広すぎねーか、世の中…
『猫草』ってなんだよ?何がどーなったらあんな生き物ができんだよ」
「な、なんかスゴく見たくないラビ。でも、見たいよーな気も…」
「ペンギンは一体どうなってるペェ」
幸い、ウサギについては小学校の頃に飼育当番で抱っこしただけが接点だった。
ペンギンについてはかなりあった。海洋冒険家と博士の肩書もあって、
水族館で講演したこともあったし、南米最南端のペンギンコロニーを訪ねて和んだこともあった。
どっちにせよ、ビックリ生物はいなかった。よかったなお前ら。
だがなラテ。お前はある意味例外だ。
DISCを刺されたラテの反応は…意外にも好印象。
「ワゥ?」
目がパチパチと瞬きしては輝いている。
花寺のどかが例の聴診器を取り出し、聞くと。
『イギーさん、カッコイイラテ』
「…だって」
「マジか……」
『コーヒーガム、食べてみたいラテ』
「ダメだよ、それはダメ」
「アレは不良ラビーーーッ!」
「ま、まぁ、命をかけて友達を救った生き様はイイよな!
ラテ様もお目が高いってことでココはひとつ!」
ニューヨーク野良犬界の帝王だもんな、アレ。
ううむ、当然の成り行きなのか、これ…あんま納得できん。
空条承太郎は、彼の死後にその足跡をニューヨークで追っていた。
さんざんな扱いをしまくったし、ケンカ売るみたいなこともされたが、
それでも仲間に変わりなかったんだな。ちょっとでも思い出を増やしたかったらしい。
最期を看取ることができたのは、ポルナレフただ一人だったんだからな…
「で、やっとあたしかぁー、ワクワク♪」
「お前な、遊びじゃあないんだぞ…花寺のどか、DISCの回収頼む」
「うん。スタンドDISC二枚は入らないだろうしね」
何度かやって慣れたのか、要領をつかんだ手つきでスタンドDISCを回収した花寺のどかは、
そのまま俺から受け取ったF・FのDISCを入れ替わりに押し込んだ。
数秒間、無言。目を見開いたまま、真顔で、どこも見ていない。焦点が目の前にない。
平光ひなたは、ここではない、どこか別の世界に意識を飛ばしていた。
その後も二分くらい何も言わず反応せず…花寺のどかが、何か危険なことが起こったと判断。
DISCを取り出しにかかったところで……
「うひゃハァァーーーーーーッ!!」
目をギラギラ光らせて奇声を上げた。
ビビッた花寺のどかが尻餅をついた。
「何これ、何これ、何これェェェーーーッ
お母さんのためにエジプトまで旅、打倒吸血鬼DIO?
リーゼントにーちゃんと一緒に町の平和を守る戦い?
アメリカの、無実の罪でハメられた徐倫ちゃんを守って戦う?
F・Fも徐倫ちゃんのために戦う!
スゴイ、スゴイ、スゴイィィーーーーッ
こんなの、どんなマンガやドラマでも見られない!
こんなスゴイ体験!サイッコーーーー!
えっ、岸部露伴?マンガ家?知らない…チェックしよーッと!」
「お前ぇぇー、…どこまで危機感ねぇんだよ」
俺も地べたにずり落ちた。
あ、いちいち助け起こさなくていいからな、花寺のどか。
松葉杖あるんだから立てる、立てるって。
「楽しんでるところ悪いんだけど…そこの鳴滝魁の言う通りよ。
それはたぶん、この世界で現実に起こったことよ。
これがたちの悪い作り物だっていうのはありえないわ。現代の人間には無理!
というか、あなたのスタンドらしきものを私は見たわよ、サウジアラビアの砂漠で!」
「ちゆちー、そんなトコに旅行したの?」
「DISCの!承太郎さんの記憶よ!
卑怯者、腐れ男のスティーリー・ダンのちょっと後!
ほら、ラクダで砂漠を突っ切るところ!」
この場で気づいてないのお前だけじゃあねーかな。平光ひなた。
しばらく記憶を探ったのだろう、神妙な顔で黙った後。
梅干しが突然口の中に溢れかえったみたいな顔をしてから苦情をタレた。
「……ヒドすぎない?
あのアラビアデブのスタンドがあたしに?
石投げつけられたダケで終わっちゃったじゃん、あいつ!」
「問題はそこじゃあなくってだなぁー。
そのスタンドを取り出して、お前にくれたのは誰だってことになる?」
「…………ホワイトスネイク?しかいないよね」
「その目的がわからない。わからないが、お前に何かさせようとしてるんだ。
無意味に与えてサヨウナラなんて、そんなわけがない!」
「どゆこと?」
「スタンドを知らないビョーゲンズだって、俺とかお前を捕まえて調べようとしている。
それとは別に、正体も目的もわからない敵が、この町にもうひとついると言っているんだ。
善良な目的で動いてるとは思えないね!
警戒して備えなきゃあ、どうされるかわからない!」
無意味に怖がらせるつもりもないが、言っておかなきゃあならないな。
遠からず自力でたどり着きはするだろう。でもそれじゃあ遅いんだ。
「この際だから言っておく。
F・Fが徐倫との闘いでやった攻撃を一通り思い出せ。
さっき沢泉ちゆが言った『操り人形』…昨日も、今も、お前はいつでもそうなった。
俺がその気になりさえすればな」
言われて、少し考えたヤツの目の色が恐怖で染まった。
自分の体を食い破るか、内側から浸食してゾンビに仕立て上げるものが
体内に居座っていたことを、ようやく認識したようだった。
腰を抜かして転げた彼女は、自分の体のあちこちをまさぐったかと思うと、
ノドに手を突っ込んで何かを必死で吐き出そうとする。
「ひなたちゃん、落ち着いて!
鳴滝くんは、そんなつもりがないから言ってるんだよ!」
「今はお前のスタンドだ!消えろと念じれば消える。
怖ければ、消せ。どのみち問題ない」
左右を花寺のどか、沢泉ちゆに支えられ、ひざの上にニャトランが乗っかった彼女は
少し深めに息をして呼吸を落ち着かせると、頭からDISCを取り出して俺に差し出した。
受け取り、俺の中にDISCを戻す。
って、消せよ、お前…まあいいや、あとは自然死して体外に出ていくだけだ。
「今の怖さを忘れないでくれ。
スタンド使いと戦うとき、それを忘れたら死ぬんだと思う。
俺も、死を甘く見たから昨日みたいなことになった。お前を巻き込んだ」
「別に…あたしが勝手に突っ込んだだけじゃん?
はぁ、なんかヘコんじゃったなぁー。
ありがと、二人とも。それとニャトラン。カワイイー、やさしー」
力なく笑う平光ひなたを横目に、俺はそのまま帰途についた。
すっかり空気を悪くしたからな…頃合いだろう。
花寺のどかが、軽くパタパタと手を振っていた。
これから共闘する。変なところで仲がこじれるようなことをするわけにはいかない。
だが、仲良くすることは手段であって目的じゃあない。
必要なことを、必要なだけ言う…そのためで充分!
以前の俺だったらきっと、モノでつって、テキトーにおだてて、所々で権力をチラつかせて…
でも、あの三人は誰も、その方法じゃあなびかないだろうよ。
ま、今は絶対にやりようがないし、そういう方向を目指す気はさらっさらない。
最悪にぶざまな焼き直しになるだろうからな。
そもそも、近づくと穢れる。あいつらがな。
こういう、今の力がない俺の手探りを、良い変化として受け入れようと思うしかない一方で、
かつての力をなつかしむ心が、やっぱりどうしてもどこかにはあって…
翌朝、俺はそこに付け込まれた。
「進化しなさい、ナノビョーゲン」
「ぐッ…お、お前は」
「シンドイーネよ。初めまして…これからアンタのご主人様になる女よ。
こんな割に合わない使い方、したくないけど…これもキングビョーゲン様のためだもの。
さあ、暴れなさいな。チョットは役に立ってもらうわ」
現状、原作上でナノビョーゲンを人間に対して使った事例は無し。
いずれやる気はしますが、その時、整合性が取れなくなったらどうする気だ?