プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
深夜テンションのパワーを借りて書いてたんですけど、
書いてる最中に寝ちまったんです。
はっきりいって第一印象は最悪だよ。
わたし、花寺のどかに適応したスタンドDISCは、
ちゆちゃんに乱暴しようとしたひどい人のものだった。
『スタンド能力は無意識の才能』…汐華初流乃さんはそう言って、
承太郎さんもそれに同意した。その人の心の在り方や願いが、
スタンドの
そして、スタンドDISCには相性があって、
合わない人間にはそのスタンドを使うことができない。
なら、これが適合したわたしは……
授業中も、そんなことばかりずっと考えて。
「おーい、のどかっち」
「……えっ?な、な何?ひなたちゃん」
帰り道も、考えるのをやめられなかったら。
ひなたちゃんがいつの間にか真正面に立っていた。
「あたしの本体、アラビアデブ!…あ、元の本体ね」
「ん、んん?あ、あの」
「のどかっち、ずっと落ち込んでたからさぁー。
でも原因、あのDISCくらいしかないと思って……
ともかく、あたしデブじゃあないじゃん!ゼンゼン!
石投げられただけでヤラレちゃうワケないし、あたし!」
腕をワタワタ振り回しながらまくし立ててくるひなたちゃん。
そっか。見てわかるほどに落ち込んじゃってたんだ。わたし。
迷惑かけないように元気を装うのは得意なつもりだったんだけどなぁ。
…そんなことないね。バレバレだったもん。
お母さんにも、お父さんにも。そして今、ひなたちゃんにも。
そんなわたしは、らしいのかな?らしくないのかな?
「花寺さん。何を悩んでいるのかはわかるつもりよ。
ここにいるみんな知ってるわ。F・FのDISCを読んだんだもの。
そう、F・FのDISCはあなたにも適合しているでしょう?
私たちは、一緒よ」
横を歩いていたちゆちゃんも来た。
F・Fはなんだか特殊みたいだから、ちょっと違う気もするけど。
でも、ふたりとも、あったかい。
いたわってくれてるのが、すっごくわかる。
「あー、その、なんだ。余計なことかもしんねーけど。
仮にお前に…おぞましい『悪』の心があったとしても。
ちゃんと手綱を握っていれば、それでいい…と思う。
間違えないよ、お前は…たぶん」
前でカッツンカッツン松葉杖をついていた鳴滝くんも、
こっちを振り向いて、言った。
…ちょっと買いかぶりすぎじゃないかなぁー。
わたしの中の『悪』、意識したことなんかなかったけど。
「…わたし、ね。小さいとき、お母さんにすっごく迷惑かけたんだ」
先を促すみたいに、みんなうなずく。
道路の真ん中で立ち止まっちゃうんで、みんなで脇に避けた。
「病院から出られなかったわたしに、お母さんはいつもついててくれたけど。
それでも、ずっとわたしのそばにいるわけにはいかなくて…
わたしはそれがつらくって、お母さんを勝手に追いかけて。追いかけた先で倒れて…
あれも…『悪』だったのかな。自分のことしか考えない『悪』」
「そんなワケないよ!
ママに会いたいって気持ちが悪なワケない!」
「花寺さん、それはおかしいわ。
子供が持っていて当たり前の気持ちじゃないの、それは」
ふたりの言ってくれてることは正しいと思う。
でも、あの後しばらくして、お母さんがどれだけ苦労したのかを
お父さんから伝えられた。責めたりはしないけど、知っておきなさいって。
…情けなかったなぁ。何もしてあげられないわたしが。
今は、そのぶんまで色々してあげたいんだ。
受け入れてくれた『ありがとう』を返したい。
「……花寺」
「ん?」
「お前は、他人に暴力をふるってスッキリしたことはあるか?
抵抗できない人間を一方的に傷つけて、楽しいと思ったことはあるのか?」
少し遅れた、鳴滝くんの声だけが、だいぶ冷たかった。
答えられるわけがなかった。
「お前の目の前にいる男が『それ』なんだよ。
お前とは『違う』んだ。お前は『違う』」
返せる言葉が浮かんでこない。
けど、はっきりとわかった。
わたしはまだ、『それ』を選んでない。
選んだ人は、引き返せないところに行ってしまったんだ。
…でも、そんなこと、ない。
聞きとがめたちゆちゃんが、彼に詰め寄った。
「ちょっと。鳴滝くん」
「なんだよ」
「言ったはずよ。これからのあなたを信じるって。
そんなことをえらそうに言わないで!」
『違う』けど、今はわたしたちのそばにいるよ。
鳴滝くんは、それを選んだんでしょ?…なりゆきかもしれないけど。
面食らった顔っていうのかな。ちょっとうろたえた鳴滝くんは、
わかった、とだけ返して、一人で先に歩き出した。
まだまだ先は長そう。わたしたちも目的を果たさないと。
三人で、その後ろをゆっくりゆっくりと歩いて追う。
DEATH13が人を夢の世界に引き込むために必要なのは、
その人が寝ているおおよその場所。鳴滝くんはその実験台になると言った。
今回に限らず、スタンドに関わることでは最初に鳴滝くんが向かうことは
全員の話し合いで決まった。例えば『サーフィス』みたいな、
体の自由を奪うタイプのスタンドにつかまった場合、
女の子が『女の子』であるというだけで、どういう目に遭わされるか。
今回の件も含めて、噛んで含めるみたいに説得されて、わたしたちも呑んだ。
男は、『男』であるというだけで、例外なくその手のクズの素質を持っている。だって。
「到着……ここだ」
住宅街から外れて、そろそろ畑だらけになるあたりで足が止まった。
わたしの家より少し小さいくらいの敷地に建ってるアパートだった。
二階建てで…6部屋かな?家族みんなで入居するような広さじゃあなさそう。
「どれどれ…突撃となりの晩ごは~ん!」
「上がんなコラ。ろくなモンねぇーし、食わすメシもねぇっての!
何がトナリなんだよ、だいいち…」
「にひッ」
ひなたちゃんも冗談だったみたいで、止められたらすぐに止まって笑ってる。
そういえばニャトランは、ここで泊まったんだったっけ。
「入口入ってすぐにキッチンと風呂、トイレ。
奥に一部屋とクローゼット。それとロフトな。
俺はその一部屋で寝起きしてメシ食ってる。
それと、大体10時には寝ちまってる…これで十分だろ」
「うん、大丈夫だと思う」
「えっ、早すぎない?テレビとかは?スマホいじったりは?」
「ねーよンなモン。スマホもデータ容量ねぇーからほぼ使えねーし」
「なんで耐えられんのソレで?」
「どーでもいーだろがッ。無きゃそれまでで、それだけだろうよ!」
そこから先は、とくに何もない。
強いて言えば、ひなたちゃんに質問を重ねられた鳴滝くんが
ちょっとヘソを曲げちゃったくらい。
生活に踏み込まれたのがイヤだったみたい。
ひなたちゃんもすぐに謝って、それで終わり。
さてと、もう寝るだけになったよ。
ラテも寝かしつけたし、ラビリンとはこれから一緒に行くんだもん。
「準備、いいかな。ラビリン」
「バッチリラビ」
「それじゃあ…DEATH13!」
心の中にある、違う自分を動かす。
説明の難しいこの感覚を使うと、『どこか』への道が唐突に開けた。
気が付けば、わたしはその中にいる。
一面の草むらと花畑、それと森。お日様に照らされた、抜けるような青空。
「ふわぁー、これが夢の世界?」
「ラ、ラビーーーッ!のどかが死神になってるラビ!」
ラビリンが飛んでのけぞった。
自分の姿を見ようと思って鏡を探したら、手元にすぐ出た。
なるほどだよ。死神そのもの…仮面をかぶった黒マントに巨大な鎌だった。
これがDEATH13の
首と肩と両手だけがある、そういうデザインのスタンドなんだね。
「ええと、夢はなんでも思い通り…のはず、だから」
紅茶に砂糖を混ぜるよりも簡単だった。
一軒家を望んだら、次の瞬間には丸太組みの家が現れていた。
これは…スゴく、ワクワクする!
「ラビリンもやってみて。夢だけど、思い通りになるよ」
「ラビ!」
ラビリンが何か考え込み始めると、一軒家の周りがきらびやかな森に変わった。
優しい光に包まれた、においまでもが暖かい世界。
「これって、もしかして…」
「『ヒーリング・ガーデン』ラビ。のどかに見せてあげたかったラビ」
これが、ラビリンたちが守りたいものなんだ。
わたしたちが守るべきものなんだ。
ビョーゲンズには渡せない。これを見ればわかるよ。
地球さんの輝きが、きっとここにあるんだね。
ラテをここに呼んであげたい。
離れなくちゃいけなかった故郷の景色が、ちょっとでも慰めになるのなら。
でも、その前にやることがある。この能力を、わたしはまだ把握していない。
「それじゃあ、鳴滝くん呼ぼっか」
「ラビ。遊びじゃないラビ。仕方ないラビ」
ラビリンは彼のこと、嫌っているわけではないけど、あまりいい感情も持ってないみたい。
ある意味、わたしも一緒。気難しくてメンドくさいヒトだし。
それに過去の経緯も、正直まだ怖い…けど、それを怖がってるのはあの人も一緒だし、
だからこそ悪い心を持って襲ってくる『人間』と戦うときは、きっと一番頼れる。
帰りに見たあの場所を思い浮かべて…魂をつかむ感覚が、あった!
必要なのは、場所と、名前と、眠っているその人!
椅子の上に実体化させると、眠ったままの彼が現れる。そしてその瞬間に理解した。
今、わたしはこの人を、あっさりと死なせることができるって。
ここにあるむき出しの魂を、わたしは今、握りしめているんだ。ラビリンも同じ。
引き込んだ時点で、99%殺しは終わっている…DEATH13の名にウソはなかった。
「のどか、どうしたラビ?」
「……これ、とんでもなく怖い力だって、わかっちゃって」
「のどかは怖くないラビ。大丈夫ラビ」
わたしは、人を傷つけるなんて、うれしくもなんともない。そんなの悲しいだけ。
そこから外になんて、絶対に出るもんか。
「う……花寺?…ここは?」
「…ようこそ、夢の世界へ!」
努めてニッコリと笑った。彼はこの能力を知ってここに来た。
不安にさせたら、いけないもん。
「……あ。DEATH13か。うまくいったんだな。
しかしパジャマで引き込まれるのかよ…どうにかなんない?」
「夢の中は思い通りだよ?試してみて」
さっきのラビリンと同じように考え込む仕草。
パジャマはすぐに学校の制服に変わった。
あ、わたしも制服だよ。ガクセーはガクセーらしく、だよね。
「よし…じゃあ早速やるか、実験。
まず言っとくがビビるなよ、必要だからやるんだからな」
言うか早いか、彼は千枚通しを持ち出した。
そして、それで自分の右腕をプスッと突いた。ちょっと血が出る。
…あの、見せられる方の身になってほしいかも……
ひなたちゃんとは別の意味で回りが見えてないよ、この人。
「自分の痛みで起きることは…できないみたいだ。
花寺、俺を起こすことはできるか?」
試してはみる。捕らえた魂を手放せば起きるのかな?
というわけで放す。消える鳴滝くん。
こっちから向こうの様子がわかるわけもなくって。
ちょっと待ってから、もう一度引き込んだ。
「起きなかった…みたい?」
「花寺?ここは、一体?」
「……忘れてるラビ?」
「…あっ、DEATH13!思い出した、傷は?」
傷を確認。ついたまま。
ということは、ここでのダメージは現実にも跳ね返るということ。ますます怖いよ。
この様子だと、起こすことは出来ていない。
眠らせることと起こすこと、どちらもできないと考えていいみたい。
「次の実験だ」
「えっ、オセロ?」
「お前は白、俺は黒な」
「えぇー…、いいけど」
出てきたオセロの盤面にコマを置こうとしたら、
その瞬間に盤面すべてが真っ黒なコマで埋め尽くされた。
「えーーーッ?ヒドイよ!」
「白にしてみろ。俺は黒にする」
「……そういうこと?」
「そういうこと」
「どういうことラビ?」
盤面はせめぎ合い…には、ならなかった。
わたしの白いコマは、絶対にひっくり返らなかった。
念じ疲れたらしい鳴滝くんは、そのままラビリンに同じ勝負を持ち掛ける。
どっちもコマを持つことなく、ひたすら盤をにらんでる。
盤上のコマは、突然白にすり替わったり、宙を舞って黒にひっくり返ったりしている。
「ぬううううう」
「ラビーッ…!」
…何コレ?どういうゲームだっけコレ?
最終的に、顔を真っ赤にしたラビリンが押し切って白の勝ち。
くたびれた顔をした鳴滝くんは、実験の結論で締めくくる。
「まず、夢の世界のマスターは花寺だ。花寺がすべてに優先される。
それ以外の魂同士で『夢争い』すると…気合い合戦になるな、単純に」
「フンッ、気合が足りてないラビ」
「オセロにならないのはわかった…ウン」
わたしは紅茶を出して、鳴滝くんはコーヒーを出す。
それを交換して飲む…うちのコーヒーじゃない。
味覚の経験を、こうやって伝え合えるみたい。これは楽しい。
なら、味覚に限らず、いろんな経験を共有できるのかな。
怖いばかりじゃあないのかも。この能力。
「今、出来そうなことはこのくらいか…お開きにしようぜ。
明日は、あいつらも入れよう。俺に異常が起こらなければ、だけどな」
「うん。じゃあね、また明日」
「ああ」
怖い能力だけど、付き合い方はあるかもしれない。
こうやって実験していけば、それも順番にわかっていくはず。
ちょっと芽生えた希望を胸に、わたしはみんなの魂を手放す…
「…………。アレッ?」
「おい…なんだよ。嫌な予感しかしねぇー…んだが」
「みんなを返せない。どうして?」
自分で言って、その数秒後に気が付いた。
今まで、わたしは『起きて』スタンドを操っていたことに。
ラビリンを抱いてベッドに入ったまま、今までのことをやっていた。
変な話になるけど、現実世界を見ながら、同時に夢の世界を見て動いてたの。
それがいつの間にか、夢の世界だけになってる……
スタンドを使っていたのは、現実世界のわたし。
「ご、ごめん。寝ちゃった…わたし、寝ちゃったみたい」
「寝ると…その、どうなるよ?」
「わたしもね?夢の世界にいる魂のひとつになっちゃう。みたい」
「出られる…ラビ?」
「わかんない……」
あとのことはあんまり覚えてない。
夢を使ってあの手この手で脱出しようとしたけど、
夢は結局、どこまでいっても夢で……
最終的にわたしはベッドから落っこちた。
よかった!目が覚めてホントによかった!
のどか
「あああう
あああわ!!」
DEATH13の諸々の条件は原作から解釈が成立する範囲での
独自設定になっています。実際のマニッシュボーイ(本体)がどうだったかは不明。