プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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よ、よかったというべきか…
ダルイゼンの所業はベイビィ・フェイスではなく
どっちかというと女帝(エンプレス)だった模様。
あんな状態を二週間も三週間も続けたらメインターゲットたるチビッ子が
離れちゃうから、すぐに回復するんだろーなとは思ってはいた。

本作にてオリ主がナノビョーゲンくらって
テラビョーゲン的な知性体になっちゃってますけど、
大丈夫、つじつまが合う状態は揺らいでいない!

あと、このままだとマジェント・マジェントになりそうなので
次回を機にチラシの裏から表に出ます。

※今回、プリキュアたちがかなり痛い目に遭います。夢だけど
 とはいえ、今後のダメージレートもジョジョ寄りになると思われます。


お願い、スターダストクルセイダース!‐その3

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ

 

私達が我に返る瞬間には、拳の鈍い連打音が打楽器みたいに鳴り響いていた。

鳴滝くんがラッシュをくらっている!無敵のスター・プラチナのラッシュを!

平和なヒーリング・ガーデンに似つかわしくない音、音、音…

へ…変身よ!グズグズしていたら…

 

「イキナリ何すんだよ、このーーッ!!」

「よせーーーッひなたァァーーーッ!?」

 

平光さん何やってるの!?

変身もせずに突っ込んでいくバカをやる普通!?

変身を終えて割り込む直前で、彼女の頬を鉄拳が打ち抜いた。

打撃音というよりも、風船の破裂音がした。

 

「…バカか」

 

承太郎さ…空条承太郎が冷淡に吐き捨てると、

脇に一撃入れて宙に叩き上げ、鳴滝くんとまとめた。

中華鍋でチャーハンでも炒めてるみたいな手際だった。

 

「おろかな…戦いが『いっせーの』で始まるとでも思ったのか?」

「いや、イイ子じゃ…イイ子なんじゃよ。

 何も考えずに助けに入っとる…探しても見つからんわい。あんな子」

「できれば…わかってほしかったですねジョースターさん。

 今すでに戦う場面だったということを…」

「…クソッ、見てらんねーぜ」

 

誰か何か言っていたようだけど聞いているヒマもなかった。

変身した私は、拳の中に割り込む…なんてマネはしない。脇をつく!

 

「オラァ!」

「うッ……!」

 

刺した拳は即座に迎え撃たれた。当然だけど気づかれてたわね。

そうなると思ってたから、差し込んだ直後に一歩引いていた。

反撃にきてくれた…目的は達したわ。二人への攻撃は止めた!

つまり。空条承太郎は私が受け持った。

守りに入れば即死。攻めるしかない。

今の私ができる限りの、全力のラッシュを!

可能な限り死角に回りながらッ!

 

「オラオラオラオラオラオラぁぁーーーッ!」

「やれやれ、こうも露骨にマネされるとはな…

 仕方がねえ。嫌ってほど教えてやる。本家大本ってやつをな」

 

承太郎はこっちを向かず、スター・プラチナだけが来る。

顔に不思議なくまどり(・・・・)を施した、古代の格闘家。

そんな(ヴィジョン)が躍りかかってきた。

打ち合ったら命がいくつあっても足りないわ。

でも、留まるしかないわね。二人がこの場を引くまでは。

二人の様子もわかりゃあしない…振り向く暇なんてないんだから。

両足を地に踏みしめる。無理にでも殴る。

 

「オラぁーーッ!オラオラオラーーーッ!」

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ

 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

 

違いすぎるッ…!一発殴る間に五発は飛んでくる。

パワーだけでいうならこっちに分がある。

でも、『パワー×スピード』で攻撃力が決まるとしたら…

スター・プラチナの攻撃力は、少なくとも今の私の優に三倍。

でも、彼の強さの本質はこんなものではなく…

 

「オラァーーッ!!」

 

ガシッ パキョ!

 

「ぐッ?うぐううううううう」

「ペェェーーーッ!?フォンテーヌ!指をッ!?」

「敵の前で不用意に拳をほどけばそうなる…覚えときな。

 次は、切断するぜ」

 

やられた、一瞬で。

右手の小指と薬指を、つかまれてへし折られた。

痛みがッ…感じたことのない痛みが遅れてやってくる!

陸上部だから、何度か手とか足を痛めたりはした。

そんな生易しいものじゃあない。肉体が欠損すれば、これ以上?

 

「そして、こっちもわかってきたぜ。

 そのプリキュアとやら…『衝撃』だとか『刺突』にはめっぽう強いが、

 『圧迫』には弱いらしいな…なら、倒し方はできている。

 スター・プラチナの指先で、1cm単位でツマんでむしれば済む話ってことだ」

 

なんておそろしいことを考えつくの…!?

私達自身が気づいてもいなかった弱点を、一度打ち合っただけで!

これが、空条承太郎。敵として立ちふさがるなら、これほどまでに…

恐怖で固まってる場合じゃあないのよ!私は何をしに来たの?

 

「フォンテーヌ、いったん退くペェ!」

「退かないわ!

 1cm単位でむしってくるというのなら、

 致命傷になる部分ばかりを狙わざるをえないもの!

 耐えきって、本体を叩く…勝ち筋はそれだけよ」

 

それに、この場は1対1じゃあないってことも忘れちゃあいけないわ。

今は至近距離で戦ってるから外野がちょっかいを出してこないけど、

退けばそれはなくなる。全員が私を狙ってくるかも。

そういえば…グレースは?

 

「……チッ」

 

承太郎が飛びのいた。一瞬遅れて、桃色の光が来る!

地面に着弾、炸裂。吹っ飛ばされた。私と、後ろの二人もろとも。

その後からグレースが飛んできて、そばに着地した。

 

「グレース?これは?」

「ごめんね、これしかなかった!」

 

元来た方向へ構えをとるグレースは、明らかにダメージを受けていた。

そう、今まで私が承太郎と1対1で戦っていたということは…

当然、グレースは1対4!5かもしれない!

現に遅れて追ってきたのは、花京院とジョセフ・ジョースター。

そのすぐ後ろにアヴドゥルとポルナレフもいる。

 

「なかなか…大したものですね。彼女…

 わたしにマジシャンズ・レッドを使わせなかった」

「守りに入らず逆に突っ込んでくるとはのォー、1対4の状況で…」

 

なるほど、大筋で私と同じことをやったみたいね。

至近距離で戦って同士討ちを恐れさせ、隙をついて光弾を放った…

言うのは簡単だけど、1対4よ?歴戦のスタンド使いが4人!

しかもその中にはシルバー・チャリオッツがいる。

承太郎のスター・プラチナですらスピードで敵うか怪しいほどのスタンドが。

今までこの子は、私以上におそろしい目に遭っていた!

 

「グレース、あなた…」

「今は、負けないことだけ考えよう?」

「…え、ええ」

 

そこへ、黄色い光が立ち上り、キュアスパークルが隣に並ぶ。

でも…見ていられない有様ね。

右手でお腹を押さえてて、左腕は上がらない様子。

口と鼻からは少しだけど血が垂れてる…

変身前に受けたダメージは、プリキュアに引き継がれてしまう。

これはおそらく、現実でも同じね。

 

「スパークル!?」

「……エヘヘ、ドジッちった…ケホッ。

 やっぱダメだねぇー、考えるより前に動いちゃう…

 行くよ。勝つしかないっしょ?」

「うん。負けたら終わる。そんな戦いに、わたしたちは行くんだもん」

「甘えた心じゃあ、何もつかめないわ」

 

プリキュア三人は立った。立って戦える。

それはいいんだけど、あと一人……

 

「ぐ、が、が、が……」

『おい…おい魁ッ!

 起きろッ!頭を動かせ!ヘイッ!』

 

鼻が陥没して血を垂れ流し。

右腕左腕、左足がヘンな風によじれて

コンパクトに折りたたまれたままうわ言を漏らす鳴滝くん。

松葉杖はもちろん粉みじん。破片がちょっと見つかるくらい。

 

「かばって戦うしかないわね…」

「うん…無理もないよ」

 

ここまで、もしかしたら待っていてくれたのかもしれない。

このやり取りが終わった瞬間、緑の光弾が殺到してきた。

鳴滝くんに向かって!

 

ドバァァ

 

「プニ・シールドッ!」

「ラビ!」

「ペェ!」

 

グレースと私とでプニ・シールドを展開し防ぐ。

…知っている。これは花京院典明のエメラルド・スプラッシュ。

 

「なんてことすんの!?もう戦えないじゃん!」

「弱点を狙うのは当然のこと。足手まといを利用しない手はないな…」

 

間断なく撃ち込まれ続ける破壊エネルギーは私達を釘付けにして動かさない。

動いたら、鳴滝くんがやられる…現実だったら死ぬでしょうね。

それを思ったら動くわけにはいかない。まずいわ…敵が散開する。

こっちが動けない中、敵だけがフォーメーションを作ってしまう。

打開するべく動いたのは、スパークルだった。

 

「ぐッ、エレメント、チャージ!」

「ひな…ニャア!」

「プリキュア・ヒーリングゥゥ……フラーーッシュ!!」

 

ギュワワ ゴバォオ

 

プニ・シールドの裏側から転び出たスパークルは、花京院を狙い撃った。

必殺技ともいえるこの攻撃はとても無視できるものじゃあないわ。

ビョーゲンズを浄化するための技とはいえ、

大きなエネルギーと、人間を気絶させるに十分な威力を持ち合わせているはず。

花京院はハイエロファント・グリーンの触手を近場の木に伸ばし、跳んで回避…

それだけでは終わらない。スパークルは同時に太陽(サン)をも展開している。

降り注ぐレーザーが花京院のいた場所を追って吹き飛ばしていく。

エメラルド・スプラッシュは完全に止んだわ!

転げたスパークルは身体の傷をかばいながらも立ち上がる。

 

「だ、大丈夫?」

「だいじょぶ!あたし、アイツ受け持つから!

 あのブーメラン頭!メロンオバケ!」

「それ…しかないよね」

 

勝つには、もうそれしかない。

鳴滝くんが弱点になってしまっている以上、三人一緒であたるわけにはいかない。

それぞれが最低一人を倒して数の有利を作るしかないわ。

出来る出来ないじゃあない。やるしかないのよ。

 

「次にお前さんは、じゃあ仕切り直しよ、と言う!」

「じゃあ仕切り直しよ!……ハッ!?」

「ペェーーーッ!?」

 

ジョセフ・ジョースター!?

私の次の言葉を寸分たがわず当ててきた?

 

「そして次のセリフは!

 それがなんだっていうのよ。こんなことで動揺なんかしてあげないわ!…じゃ」

「それがなんだっていうのよ。こんなことで動揺なんかしてあげないわ!

 ………なッ…………ッ!?」

「なッ…なんなんだァァーーペェーーーーッ!?」

 

何よ、何なのよ…だからって何よ?

ペースに乗せられるわけにはいかないわ。

早く接近して混戦に持ち込まないと……

 

「……に、げろ」

「…え?気が付いたのね、鳴滝く…」

「逃げろ!そこから跳べーーーーッ

 すでに何かされている!」

 

そこでもう四の五の聞くのはやめにして跳んだ。

けど、もう遅かった。跳べない…

足元にからみつく何かに、そこでやっと気が付いた。

 

「な、ナニコレー!?」

「紫の、いばら(・・・)?」

「ハーミット・パープル…足、が。動けないわ」

「何よこんなの!引きちぎっちゃえば…」

「もう遅い。詰みだな、きみたちの!」

 

アヴドゥルがマジシャンズ・レッドを出している。あんな距離から何を?

いや、知っているわね。クロスファイヤー・ハリケーン・スペシャルを。

炎うずまく紋章の嵐を叩きつける必殺技を。

でも、それだったら足が動かないでも対抗できるわ。

私が、プリキュア・ヒーリング・ストリームを正面からぶつければいいんだもの。

炎対水、試してみるのも悪くないわ。

でも…いっこうに撃つ様子がない。なぜ?

いいえ、まさか…地面が、光っ…

 

「もう、撃った後…!?」

「チッ!チッ!チッ!

 YES I DID!」

 

ドッゴォォ~~ン

 

クロスファイヤー・ハリケーン・スペシャルは地中から噴火みたいに炸裂した。

これは…タイガーバームガーデンでポルナレフがやられた手と同じ…

気づくべきだったわ…ぬかったわね……

密集していた私達はまとめて空に吹っ飛ばされ、プリキュアのエネルギー切れ。

変身が勝手に解けて、三者三様に地面に落っこちた。

遅れてもう一人…鳴滝くんも音を立てて叩きつけられる。

って、燃えてるじゃない!?私達はプリキュアだったから助かったの?

 

「熱ッ、あ、ああ、熱ッづゥ」

 

転がって消そうとしているけど消えない。

スタンドを使って消そうにも、炎はF・Fの天敵よ。

これじゃあ何もできないわ!

身体を起こして助けに向かおうとするけど、ダメージが大きすぎて動けない…

どうすればいいのか焦燥感だけが大きくなっていったのを、ポルナレフが終わらせた。

騎士甲冑の剣閃が走って、鳴滝くんにまとわりついた炎だけを切り落とす。

非現実的に細い体躯もあって、ガイコツみたいな印象のスタンドよね。

…私も、ここでノンキに構えすぎた。

 

「つッ……た、助かッ」

「助かった、とでも?

 ボケも休み休みに言いな、カス野郎」

 

戦いは終わっていない。

鳴滝くんを踏みつけ、剣を突き付けたポルナレフが、そう言っている。

いえ、終わっていないんじゃあない…『負けた』のよ、私達は。




次回、ほぼ役に立たなかったオリ主の根性叩き直し回。

プリキュアが『圧迫』に弱いウンヌンは…
ホラ、多いじゃあないですか。
プリキュアが敵の攻撃で苦しめられるときは、
触腕とかに捕まってギシギシ圧迫祭りされてる場合が多いから…

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