プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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かなりキツイ難産でした。
今回で承太郎たちの出番は終了の予定でしたが、
話自体が長引いてしまったため、次回に持ち越しです。

チラシの裏から表に出て、UA数が激増したことに喜んでいます。
アンケートの回答数も一気に増えて嬉しいです。
さらに欲をかくのですが、感想もスッゴク欲しいです。
作者以外の目から見た印象は、やっぱり欲しいので…


お願い、スターダストクルセイダース!‐その5

「ゲヒッ!見ろよ!

 オレ、は…役に立……フヒ、フヒハ。ケヒッ」

 

ゴボッ ゴボボッ ドチア

 

わたしたちは見た。見ていることしかできなかった。

追い詰められた鳴滝くんが、全身から血を噴きながら戦い…

自分の足をつぶし、胸で剣を止め、切り離した腕を操って裏をかき。

それでもかなわず…最後には、心臓を爆発させて仰向けにくずれ落ちる姿を。

この世のものとは思えないひどい笑顔だった。

右目と左目が反対方向に裏返って、アゴは外れたままになって舌が飛び出して…

 

「Oh、My…なんてことじゃ。この、バカヤロウめ……」

「同じじゃあないか、これでは…DIOの、狂信者と……

 それでいいと思っているのか?きさまは」

 

立ち尽くすジョセフ・ジョースターとアヴドゥル。

それをさせたのは一体誰なの?…なんなの?その他人事みたいな言い草。

ハーミット・パープルがゆるみ、みんな十字架からその足元に落っこちた。

 

「『あの方にだけは見捨てられたくない』か…」

「承太郎?」

「いや…ンドゥールとか言ったな。

 おめーの目を切り裂いたあのスタンド使いがな…

 自害した時にそんなことを言っていただけだ」

「わかる、な…ぼくも同じだったんだ。

 肉の芽だけのせいじゃあない。

 すがるもののない、弱かったぼくは…どのみち、DIOに心酔しただろう…!

 …そこの彼も、それと同じだと?」

「さあな。だがひとつ言えそうなのは…

 そこのそいつが、すがられる側の迷惑を考えてねーってことだけだな」

「……同感だ。

 花寺さん。ハイエロファント・グリーンはすでに解除した。

 戦いは終わった。きみたちの負けでな。

 まずは、彼を起こして…」

 

言いたいことは山ほどある。でも、このままグズグズしていたら、

鳴滝くんが『自分は死んだ』と思い込んでしまいかねない。

記憶が現実世界に持ち込まれるのなら、現実世界の鳴滝くんもまた死んじゃう。

まずはキズをさっと治す。見ていられないよ…嫌だよ。

わたしは涙まみれになっていた。

こんなにつらいんだ…何もできずに見ているのって。

無力って、こんなにつらいんだ……ッ

ううん、これ自体は知っている。わたしの治らない体を前に

悩み続けるお母さんにお父さん、先生たちを見ていたときの気持ちと同じ。

でも、今はプリキュアになっている。戦えるはずだったのに!

なのに、力が足りなくって見ているしかなくなる、このさらにひどい無力!

鳴滝くんも、吊るされたわたしたちに同じものを見たのかな?

だから、あんな捨てバチな戦いをやったの?

『生きることを捨てちゃった戦い』をッ!

夢だから、終わってしまえば元通り…って、考えたのもあるかもしれない。

わたし一人を解放できればみんな無事に終わるのは事実だったとは思うよ?

そこまで先回りして考えても、こんなのってない(・・・・・・・・)

だからといって、わたしに何ができたの?

 

わたしが弱いのがいけないの(・・・・・・・・・・・・・)

 

ちゆちゃんを見る。

ぺたんと座り込んだまま、顔を両手で押さえてフゥフゥ息を漏らしてる。

その手から雫が伝って、足元を濡らしてる……

その先の、ひなたちゃんを見る。

涙とか鼻水とかマミレのまま呆然としていたひなたちゃんは、

突然スックと立ち上がった。歩いていく。進む先には、ポルナレフ。

太陽(サン)が浮かんだ。異様なほどに静かな太陽(サン)

 

「…………。来な。

 てめーのスタンドの、最強の一撃でよ…」

 

ポルナレフは姿勢だけで向き直る。

ひなたちゃんは寄る。一歩、二歩、三歩…

同じように、少しずつ近づく太陽が、きらめく。

 

「ひなたちゃんッ!」

 

駆け出したわたしは、ひなたちゃんの背中にすがりついた。

 

「のどかっち…どいてよ。それじゃ戦えない」

「悪い夢だよ。これは悪い夢で!

 覚めたらみんな終わる夢なの!」

「どいてよ。だったら、もっとこのままじゃあ終われないでしょ」

「終わってよ!」

 

ひなたちゃんの背中に全力で抱きつく。

この先には絶対に進ませない。進ませたくない!

 

「終わってよ!こんな夢は終わってよ!

 ひなたちゃんが、こんな怖い顔をしてる夢なんか!

 わたしはッ!いつものひなたちゃんがいいの…

 おひさまみたいな、元気な笑顔のひなたちゃんがいいの!

 嫌だよ…こんなの、嫌だよッ」

 

もう理屈もなんにもない。

だいいち、わたしだって、ひなたちゃんと出会ってからせいぜい一週間。

知ったつもりになるには短すぎて…

でも、わたしの大好きな笑顔のひなたちゃんが消えていく!

壊しちゃあいけないものが壊れちゃう!

ただそれだけを止めたいの。それだけが絶対にイヤ!

わがままでわたしは泣いた。泣きじゃくった。

用事で出かけちゃうお母さんを引き止めていた小さいわたしみたいに、

必死で首に背中にまとわりついた。

 

「……私も、嫌よ」

「ちゆ、ちー?」

 

ちゆちゃんの声が、すぐ前からした。

ひなたちゃんの前に立ちふさがって、両手を広げてた。

 

「あなたが人を撃ち殺すところ、なんかッ…見たくもないわ。

 平光さ…………ひなたッ!!

 もう戻れないところになんて、絶対に行かせないわ!」

 

三人が、そのまま固まった。

わたしとちゆちゃんは、ただ止めたいから動かない。

ひなたちゃんが動こうものなら、全力で止めるだけ。

どれだけそうしていたのか…わたしには、数分にも数十分にも思えたけれど。

ひなたちゃんが、ひざを折って座り込んだ。

 

「ひなたちゃ…」

「……ふ、うぅ。うぅぅぅ~~~~ッ!

 う"あ"あ"あ"あ"ーーーーッ!!」

 

逆にひなたちゃんの抱きマクラにされたわたしは、

少しして、同じようにひなたちゃんを抱きしめて、泣いた。

もう、周りなんかどうでもよかった。

ちゆちゃんの腕が、それをさらに外側から包んでくれていた。

 

「…止めおったな。復讐心を止めおった!

 壊れてはならんものを『治す』…

 傷つき欠けた心に寄り添い、『癒す』……

 わしらには到底マネできん強さじゃ」

「そして、その傷をつけたのは他ならぬわたし達!

 正直、胸クソ悪さでいっぱいですよ。ジョースターさん」

「……やれやれ、だ。じゃあ、必要なのは野郎の教育だけだな」

「…………。クッ、クッソぉぉ……チクショウッ!!

 バッカヤロ~……なんでわからねえんだ」

「それを教えるんだ、ポルナレフ。

 もっとも、ぼくらの役目じゃあないかもしれないが」

 

 

 

 

 

 

 

少しして、わたしたちはやっと落ち着いた。

ラビリン、ペギタン、ニャトランが飛んでくる。

 

「それじゃあ、ちゆちゃんは最初から気づいてたの?」

「最初からじゃあないわ。髪を切られたところで確信しただけ。

 もし、本当に『その気』だったとしたら…その。

 もっと切るところがたくさんあるでしょう?」

「……そっか。服、無事ですんでんだもんね、あたしたち」

「ポルナレフの…うんニャ、あいつらの目的は」

「いきなり気絶しちゃった魁の本気を見ることだったんだペェ」

「ヒドイ話ラビ。そりゃ、戦いを教えてって言ったのはコッチだけど…」

 

わたしたちが立ち上がったあたりを見計らってたんだと思う。

ジョセフ・ジョースター…ジョセフさんがこっちに来た。

 

「あー、そろそろ…いいかの?お嬢さん方…

 やった方がいいじゃろ?反省会」

 

ものすごく気まずそうに挙動不審な感じでやってきたのを見て、

多少はわたしの敵意も飛んだ。完全に、とはいかないけど。

でも、これじゃあいけない。ラビリンの言うとおり、頼んだのはわたしたちなんだから。

わたしたちはみんなで焚き火を囲んだ…あ、みんなじゃあないね。

ポルナレフさんは離れたところにいるよ。混じる気になれないみたい。

それと鳴滝くんは、ジョセフさんの希望でいったん夢の外に出しちゃってる。

ちゃんと生きてて異常なしってことは、そこで確認できた…DEATH13でね。

 

「まず、お嬢さん方のボロ負けでこそ終わっとるがな。

 わしとしては、現時点ではお嬢さん方には問題ないと思っとる!

 というか、勝たれたら逆に完全アウトじゃよわしら。

 ベトナムを戦い抜いたベテランが新兵のヒヨッ子どもに蹴散らされるみたいなもんじゃ!

 ギャグじゃろ、それ?」

「…は、はぁ」

「MVPは花寺さん、アンタじゃッ!

 わしらのうち4人をたった一人で拘束し、一時的とはいえ場を支配した…

 あれで、圧倒的不利をかなり押し返したんじゃぞ?

 攻撃をためらってたポルナレフに張り付いたのがさらに高得点じゃ。

 ま、たぶん…必死だっただけじゃろうけど。そういう直感が生死を分けるぞ」

 

そう、必死だっただけ。

ポルナレフさんに突っ込んでいった理由は、現実的にあの人しか狙えなかったから。

他のアヴドゥルさん、ジョセフさん、花京院さんはそろって遠距離攻撃できるから、

一人でも自由になられたらそこでわたしはオシマイ。

だったらもう、武器が剣だから近づくのが一番楽(・・・・・・・・・・・・・・・)なポルナレフさんを盾にするしかない。

そこに賭けるしかなかった。攻撃をためらってたかどうかなんて、わかんない。

 

「もちろん、沢泉さん、平光さんも大したモンじゃ。

 わが孫、承太郎と格闘で張り合い、花京院を遠距離戦で退けた…

 まともに戦い始めて一週間でこれじゃろ?

 いくらプリキュアのパワーがスゴかろうと、これは誇ってイイんじゃぞ?」

「ホメてくれんのは、ウレシーけどさ……実戦で、負けちったら」

「これから強くなるんじゃろ?

 お前さんたちはイヤってほど味わったろう!『無力』の恐ろしさをな…

 アレを現実にしないため、これから色々策を練るんじゃ。

 戦いは力じゃあない。ハートよ、ハート!

 折れちまわない限り、考え続ける限り、活路は開けるんじゃ。

 そして、その辺について、わしはお前さんたちをまったく心配しとらん!

 ただ一人を除いて、じゃがな」

「…鳴滝くん、ね。どうしてかしら?」

 

ここからがどうも本題だよね。

察して、ちゆちゃんが先をうながした。

 

「お嬢さん方の戦いにはあって、あのボウヤには無いものが答えじゃ。

 そいつは後で本人を交えて言うとして…ここでお嬢さん方に聞こう。

 お嬢さん方にとって、あのボウヤは何じゃ?どう思っとる?」

 

うーん。困ったこと聞くなぁ。

スタンドDISCがある以上、切り捨てるなんてありえない。

それをわかって聞いてるんだよね?

 

「……ちょっと、困った友達で、一緒に戦う仲間です。

 その…面倒くさい人だけど、がんばってほしいなって」

「腐れ縁ね。それと、運命共同体。この戦いが終わるまでは…ね。

 それと…私たちは、あいつにとっての最後のチャンスだと思っているわ。

 見捨てたら、もう立ち直れないでしょうね…そんなことにはしたくないわ」

「命の恩人だよ!あたしを助けるのに、めっちゃ必死になってくれた…

 なんかイロイロ複雑っぽいけどさ、それだけは単純にウレシイんだ。そんだけ」

 

言うだけ言ってみたら、わたしが一番冷めた回答だった。

経緯を考えたら自然ではあるんだけど…

 

「…って、あのときのタッキー、ヤバかったのにゼンゼンF・F使ってなかった。

 なんで石コロなんかで戦ってたの?F・Fでもっとやれたじゃん」

「あっ…、そっか。ひなたちゃんだけ知らなかったんだ」

 

話す必要ないことだって思って、承太郎さん達への事情説明でも

鳴滝くんの自殺未遂、というか『口封じ』未遂については黙ってた。

ひなたちゃんには、単に話す機会がないまま今日まで来ちゃってたね。

本人が言ったことを中心にして、わかる限りの背景を含めてきちんと説明する…

 

「……ハァ?意味のある『死』?ワケわかんない!

 死んだらなんにもならないじゃん!

 全部なくなるじゃん!あたしも、みんなも、明日も…

 そこから助けてくれたのに、なんで?」

 

ホントに死にかけたひなたちゃんだからこそ、言葉が重い。

ジョセフさんが、顔を抑えて首を振った。

 

「…………ハァ~~ッメンドくせ~ヤツッ!

 話が見えてきちまったわい!」

「どゆこと?」

「今、お前さんが言ったことに答えがみんな並んどるよ!

 わかりたかったら、答えはお前さんたち自身で見出すべきじゃな。

 で!本題はここからじゃ!」

 

続けてジョセフさんが言うには。

戦いの間の言動だけを見ても…鳴滝くんは、力へのひどいコンプレックスにまみれてる。

育った家庭環境がろくなものじゃあないだろうことはこの時点で丸見えで、

だからこそ、わたしたちの手には余る。

おかしい家庭、っていうのは、すでにダーティ・ウォーターからたっぷり聞かされてるし。

そして、この『弱さ』はいつか致命傷となってわたしたちに降りかかる。

もしかしたら、今日みたいな形で。

 

「単純に考えるならな、まともな家族がいりゃあいい!

 問題が多かろうと、あとは時間が癒してくれるじゃろ。

 こんくらいの歳なら、まだ取り返しはつく!

 …で、お前さんたち、なってやれる?」

 

みんなで顔を見合わせた。沈黙。

 

「ま、無理じゃな!トーゼンじゃよ。

 人生短し恋せよオトメ!…だったかの?

 好きでもねー男に連れ添ってやるほど、お嬢さん方の青春は軽くないんじゃ」

「それでさっきの質問だったのね…」

「そこで、まだしも現実的な提案がある!」

 

ジョセフさんはさらに続けた。

なんだかんだ言っても、鳴滝くんはわたしたちを助けるために命を賭けてくれた。

スタンド能力がない状況で、ひなたちゃんを守って戦い、ついに生還させた。

そこには確かな『愛』の片鱗があって、誰かから受け継いだもののはずだって。

そのルーツを見つけられれば、家族に負けないくらいの強い芯になるはずだ、って。

 

「ビョーゲンズとやらにホワイトスネイクとやら。

 こいつらがいつ襲ってくるかもわからん状況じゃあ他人は巻き込めんよなぁー?

 そんな中になるが、これなら『手伝い』でなんとかなるかもしれんぞ」

 

簡単じゃあないと思う。

でも、目標もなくウロウロしてるより、ずっといいよね。

ニャトランは言ってたよね。『お手当て』が必要だって。

わたしは、ずっと『お手当て』されてきた。だから、今度はわたしの番。

その中にきっと、鳴滝くんも入っているんだよ。

ちょっと、頑張ってみようかな。

 

「ウム、よし。いいじゃろ!

 ボウヤをここに入れてくれ」

 

……にしても、ボウヤって。ヒドイ!




オリ主のことを仲間だと思ってるし友達だとも思ってるのどかですが、
今までかけられた迷惑から、ちゆとひなたに比べれば扱いは二段階くらい落ちます。
そうはいっても、目の前で死なれたらやっぱり泣きます。

というか、あんまり良く思ってない相手とはいえ、
知り合いの同級生が自分をかばって無残に死ぬシチュエーションで
平気な顔をしていられるプリキュアはいません。断言。
それに付け込んだ展開になってしまいました。
良くも悪くもその場の状況に振り回されるひなたが、最も激烈に反応してしまいました。
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