プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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今回は、オリ主とF・Fが変身とかで試行錯誤する話です。
プリキュアの皆は、彼らの話の中にしか出てきません。
現実逃避気味に書いてたんで、思ったより文量は多い。

身内の手術は前回だけで終わらず、遠からずもう一度あります。
更新が途切れる可能性のある際には、直近の前書きにて通知します。


松葉杖をDIYしよう!

「おい……F・F。あと、どれくらいかかるんだ?」

「あと十五分…訂正。二十分かかるなこれは…

 すでに作った場所にも水を回さなきゃあいけないし」

「それが大きくなればなるほど…『乾く』

 ますます水が必要になって、こんな蛇口じゃあ補いきれなくなっていくのか?」

「ダメだこりゃ…話にならない。

 メガビョーゲンとかスタンド使いが出るたび、三十分かけて『変身』…

 ナンセンスってやつね」

 

昨日の夢のあと…翌日の夕方が今だ。

俺とF・Fはさっそく『変身』の練習にかかった。

やると決めたのなら、一日も早く使えるべきだ。

意気込んで放課後を待ち帰宅したはいいものの…

ご覧の通りだ。あまり順調とは言えないな。

そうそう。今のF・Fは俺の体内に声帯を作り、喉の奥から勝手にしゃべっている。

『エートロ』の姿をとれるのは『夢』の中だけな。念のため。

 

話を戻そう…まず俺達は、ウチの水道蛇口に向かい、試した。

これだったら、少し探せば町中ならどこにでもあるからな。

しかし、ダメ…今の会話の通り!

フー・ファイターズはひたすらに増殖できるが、増殖した全てが水を必要とする。

体外に展開すればするほど、必要な水量がタテ×ヨコ×高さで増えていく。

『変身』している最中にもガンガン乾いていくわけだ。

さらに言うと、完全な真水だと育ちが悪い。

養分がないと急成長させられない。蛇口からの『変身』はこの二重苦だ。

結論をいえば…非現実的!やってられるかコンナモノ!

 

「もっと言えば、『変身』後にこそ水がいる…

 どっかに貯めて持っておかないと、あっという間にボソボソ崩れるぜ」

「ぬぐぐッ…やっかいな。

 だが、そういうことなら…

 水と養分がたくさんあるところで、

 素早く『変身』した方がロスがないっつーんなら!」

 

「風呂ッ!」

 

ドジャーーーッ

 

「『白だし』!」

 

コポッ コポ コポ

 

「沈むぜッ!」

 

ドッボボォォォー〜ン

 

……………………

 

な…何やってるんだろう、俺?

ジャージ姿のまま、俺はショッパイ風呂に首まで沈んでいる…

 

「あッ、イイ…グッド!

 これならかなり早いぜ!超スムーズ!」

「……そりゃあよかった」

「ただ、ちっと塩が濃すぎるな!

 あんまり濃すぎるとそれはそれで繁殖できないから、もう少し薄味が好みね…

 コンソメとかよくない?どお?牛脂沈めてみる?」

「注文多いな!」

 

目論見通り、『変身』はできた。計算通りだ!

そういうことにしておいてくれ…頼む。

今の俺は、湿原でエルメェスと戦ったF・Fの分体を纏っている。

元の身長163cmから2mくらいにまでなっている。

着ぐるみがデカくて、動かす感覚が難しいな…慣れるしかない。

しかも、ただの着ぐるみじゃあない。

俺の歩行をサポートするパワードスーツだからな…

歩くたび、不自然に締め付けられてメチャクチャ痛い!

歩くだけでこれだぞ?走ったらどうなるんだ?

調整を重ねる…

 

日が地平線に消えかかる頃、今のところの最適解と思えるものにたどり着いた。

スーツ部分はほとんど歩行補助の筋肉だけとなり、

他はフルフェイスのマスクに背中の水タンク、

それを全身に行き渡らせるためのポンプと配管。

ただ正体を隠せて、人並に走れるだけのもの。

防御力はほぼゼロだが、締め付けの痛みもゼロだ。

俺の意思で動く…F・Fも動かせる。

 

「歩けるな……歩ける…歩ける」

「歩くだけじゃあない、だろ?

 まもなく日も落ちる…行こうぜ、試運転」

 

そうだ。長時間の走行に耐えるのが最低条件だ。

自分に言い聞かせて玄関から外に出る。

目的地はすでに決めている。

ウチからさらに街はずれに向かえば、畑の先に川があり…

沿っていけば、人の踏み入らない、半分『山』の雑木林に行き当たる。

そしてそこには、俺のまた別の目的があるのだ。

道路に出る。『歩く』から『走る』にシフト…

俺の感覚はほぼそのまま持ち込めるが、手足の長さが違う。タンクのせいで重心も違う。

フォームは完全じゃあない。やっぱり練習はいる。

でも、俺は。

 

「…………走っ、てる……走ってる、んだ」

「そう、あんたは『走っている』…

 ま!走ったら?満足するまでね…」

 

乾いたアスファルトにしみ込んでいく、にわか雨のような感情だった。

一滴、二滴は無意味でも、後からそれが無数に続いた。

とにかく俺は夢中になった。足が地を蹴り『推進』する感覚に。

それを重ね、重ねて世界が流れる…速くなる!

マスク越しでもわかる。向かい風が俺を抱く。

久しぶりに会った古い知人だと思った。

だが俺は、その手を振り払っていく!それが駆ける者の礼儀だから!

全速力…やはりというか、『本来の俺』よりだいぶ遅い。

だが、それはすでに来た道だ。どうとでもしてみせる…『動く』のなら。

 

「F・F。頼みがある」

「ン?」

「マスクを開けてくれ。

 風を感じたいんだ。心地良い『風』を……」

「…悪いけど。

 あんたが一番わかっているはずよ」

「……。だよな。悪い…忘れろ」

 

そのためのスーツ。そのためのマスク。

厳に慎むべき行動だった。そんなことはわかっていた。

俺は、開けない。ただ、わからなかっただけなんだ。

足の速さに、俺は『力』しか求めていなかったはずだ。

家に居場所を作るため、他人を振り回し従わせるためだけの『力』…

今の俺には、もはやどっちも意味がない。

手放したくはなかった…が、今改めて、あれを望むか?

今、ここを投げ出してまで…戻りたいか?

NO、だ。YESはひとつもない!

なら俺は、なんで今泣いている?

悔いとか悲しみじゃあないものが、目の奥からあふれている…

 

「…生きてる、って感じ…?」

 

口をついて出たのは、花寺が何度か口走ったそれ。

間違いじゃあない。俺にとって走ることは生きる(すべ)だったものな。

でも、たぶん。それだけで片付けられないものが、ここにはあったんだ。

 

「ついたな…この辺でいいんだろ?止まれって」

 

F・Fに言われ、足を止める。

さすがに雑木林を全速力で突っ切るのは無理だった。

この奥に目的がある…倒木だ。

それもある程度乾燥したやつがいい。

以前から存在だけは知っていたんだ。

自殺のため、テルミット爆弾を自作していた頃に、

迷惑がかからない自殺場所を物色して徘徊していた時期があった。その時だ。

発見から一月程度経過したが!まだあまり痛んではいないはず。

 

「じゃあ作るか。松葉杖…」

「あたしが採寸する。あんたは削り出して形を作るのよ」

「OK。ノコギリとグラインダーを『作って』削り出す」

「木くずで水分を奪われるのはわかりきってる!

 まずは持ち運び可能に加工して川まで持っていく!」

 

ご存じ、松葉杖だ。

さすがに俺も学習した。戦闘になれば基本、松葉杖は折られると。

今のところ例外はたったひとつ。平光を助けた時のダルイゼン戦だけだ。

(あと、ダーティ・ウォーターにされた時はそもそも持ってなかった。

 戦闘終了後の足は、平光がすぐ近くの自宅から持ってきた傘二本な!)

こんなことを四度も五度も繰り返したら、金も立場もあったもんじゃあない。

今後は『変身』で走れるようになるにしても、奇襲をくらえば同じこと。

なので、自作することにした。成功すれば、今後も続けるだろう。

 

ガシッ ガシッ ガシッ

 

ギッギッギッ…

 

シャッ、シャッ、シャッ…

 

ガリ ガリ… ビシッ!

 

……困難をきわめた。大変な重労働だ。破片もヤバイ。

ある程度まで削れば、後はフー・ファイターズによる浸食で形を整えられるが、

それ以前の段階で成形失敗が2回、ボキッと折ってしまったのが1回。

大きな材木を線に沿ってまっすぐ切るだけでも一大事業なんだよマジに。

なんとか成功した最初の二本は、なのに要求してる強度に満たなかった。これじゃあ使えない。

構造を見直し、また作る…スタンド能力なんてズルをフル稼働しても、現状一本あたり30分。

ただの手作業だったら、一日潰してやっと一本かもしれん。

日々励んでいる木工職人さんのスゴさと苦労を身に染みて理解した。

 

そういやさっき、グラインダーを作るとか抜かしちまったがな…

木を削れる高速回転のヤスリとか、フー・ファイターズにできるわけねーだろ、ボゲッ!

という結論に早々に達し、歯とか骨の応用で作れる普通のヤスリに変更している。

仮にグラインダーを実現できていたところで、使いこなせていたかどうか…

正直、助けを呼びたい。けど、あいつらをここに?

…無理。いろんな意味で。だいいち、来させて何させる気だよ?

 

「あと、音が立つのがヤバイ。引き寄せられるのが『敵』かもしれない…

 場所は変えてやるべきよ。毎回ね」

「その辺はいくつか見繕っている…今朝も話したよな。

 しかし、慣れもあるけど、思った以上に時間がかかるな…

 九時を回ったら切り上げよう。メシも食うし、『夢』には遅刻できない」

「1セット完品が作れればバンザイってトコだな、これは。

 確か『水族館』の刑務作業にもあったけどなぁー、木工…あたしはやってない」

「承太郎が何度も道具の自作やってる。無人島とかで。

 でも、松葉杖が欲しくなったことは一度もないんだよなぁー

 するにしても、折ったり削ったりのカンタンな加工だけだし…」

「ムダのなさは参考になるけどね」

 

だから、俺が重ねるしかない。経験を重ねるしか…

考えるまでもない、当然のこと。

こんなコトをやってる日が来るとはなぁ。ワケがわからん。

 

「承太郎と言えば、だけどな」

「ン?」

「お前と沢泉、最後に承太郎と何を話してたんだ?昨日…」

「んー、ま、いいや。隠す必要もないか」

 

ちょっとだけ迷ったF・Fは、わりとアッケラカンと話し出した。

 

「あたしはね?

 『あんたの娘は最高だ』って、そう言ってただけ!

 あたしに『生きる』ことをくれた。『思い出』をくれた。

 たとえ、ただの影だとわかっていても…感謝したかっただけよ。

 あたしは、ついに会えなかったんだ。本人にね」

「…会えたと、思うのか?その…徐倫は。承太郎に」

「会えた。絶対に会えた。そこだけは自信をもって言う!

 根拠なんか必要ない。徐倫だからな。

 エルメェスがいる。エンポリオがいる。ウェザーもいるんだ。

 やれるよ、あたしがいなくても……アナスイもいるしな」

 

F・Fは、カケラほどの疑いもなく言い切る。

言っている『目つき』が言葉からわかった。

F・Fの記憶の中にある徐倫を追う…なんてことは、もうしない。

彼女がヒーリング・アニマル?として人格を取り戻した以上、

一方的に記憶を探るのは出歯亀野郎のすることだ。

承太郎の記憶だけが共有財になっている。暗黙の了解だな。

 

というよりも、俺自身がこりごりだった。

他人を傷つけ力で押さえ、力を失った瞬間に全員が傷つけ返してきた。

押さえていた以上の力で…あの焼き直しは二度とごめんだ。

そんなことをしてくるあいつらを想像しただけで気が滅入ってくる。慎重にもなるさ。

傷つけないのは俺自身のためだ。あいつらみたくキレイにはなれない。

もう俺は生きると決めていて、それはあいつらの差し伸べてくれた手だけにかかっている。

F・Fだって同じことだ。むしろ、ある意味最初に出会ったからこそもっと重要かもしれない。

 

「んで、ちゆか?

 ちゆはな…『あなたみたいな大人になりたいわ』だと。

 不良時代の非行には山ほど文句あるけど、ってつけ足したがな。

 本人を前に言って、願をかけたかったらしいね」

「そりゃあまた。頼もしいこった」

 

あんまり嬉しくない声で返してしまった。

いや、頼もしいと思うよ?ホントに。

ただ、承太郎は自らの行動で相手の非をわからせる人だった。

相手をとがめたり非難したりするんじゃあなく、

そいつの過ちが招いた災いから、むしろ自分の身を敷いて守る男だ。

傷だらけになりながら、それを『やれやれだぜ』の一言で済ませてきた男なんだ。

それは……嫌だな。カッコいいかもしれないが。

 

「手ェ止まってんぞ」

「悪い」

 

ヤスリでヘンな所を削っちまうよりはマシだった。

手が止まってて、運がよかったかもな。

ほどなくして九時を回る。あっという間だ…ヘトヘトでもある。

 

「なんとか使えそーなのが1セット、か」

「先は長いねぇー、こりゃ…」

「このやり方はダメだ。手作業じゃあなく大量生産できないと…

 俺が精魂尽き果てる。戦いに、日ごろの疲れで負けちまう」

「なら、『工作機械』を作るしかない。

 部品を全自動で作る『工作機械』……

 松葉杖は、部品の組み合わせで構成するんだ」

「そうだな…材木からキレイに一本削りだすとか、バカなことを考えたもんだ…

 どうあがいても俺が職人になるしかないよな、これ。

 認めるよ。木工を甘く見た。見下していた」

「『工作機械』でさぁー、同じこと繰り返すなよ?」

「まずは本だな。明日、図書室を当たるよ。

 それでもなけりゃ図書館だ」

「というかさ。あいつらに相談したら?」

「…最悪、そうする」

 

来たときと、同じように走って復路を行く。

ほとんど畑と道路ばかりだから、人に会うことがなくていい。

その辺、ちゃんと考えて決めたからな…これはホントに計算通り。

今度もマスクを外したくなるが、自重。

やがて家に帰りつき、風呂場で変身を解く。

膝から崩れ落ちて尻もちをついたのは当然の帰結だった。

 

歩けないんだよ(・・・・・・・)、俺は。

 

今までは、シンデレラにかかった魔法にすぎない。

男の俺には死ぬほど気色の悪い例えになるが…

魔法のドレスが剥がれ落ちれば、残っているのはただのボロ。そういうことだ。

いや、少しだけ違っているな。俺のは、魔法じゃあなく、本物だった。

それを汚して、ボロにしたのは俺なんだ。繕うこともできやしない、台無しのボロ。

さっきまで感じていた風を思い出して、みじめさに俺は泣いた。

F・FのDISCは、すでに外している。

『痛みを感じる』『泣いてやる』のはダーティ・ウォーターとの約束だ。

だから、この場ですべて済ます。

『夢』に持ち込まないために……




カンタンにはうまくいきません。
プリキュアのみんなも同じ条件です。

そろそろ、時を加速します。
ジョジョ第五部みたいな日程で動き回らされてるんですもん、みんな。
このままじゃ、生活も何もあったもんじゃあない。
守るべき日常と幸せをガッツリ描くのがプリキュアのはず。
四六時中戦い、戦い、戦いなんてプリキュアじゃあないやいッ
なので、せめて杜王町レベルにまで戦闘濃度を落とさないと。
文句なんか言い合って日常を踊れ!今日も心に栄養休養!

次回、グアイワル。
やっとビョーゲンズ三人衆が揃うのか、長かった…

ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。
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