プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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「それじゃあ、土曜日ね……って、おかしいわ。
 なにかがおかしい……」
「私がDEATH13に襲撃されたのは日曜日の深夜!
 のどかが自分でDEATH13の実験をしたのは月曜で、
 私達も一緒に夢に入ったのは火曜…のどかの親孝行は水曜よね?」
「木曜に、承太郎さん達から戦いを教わって…
 土曜にゆめポートに行く約束をした今日は……『金曜』」
「私達が、明日からあると思っていた『平日』は……何?」
「つじつまが合わないわッ!スタンド攻撃を受けている!」
「ペェーーーーーーッ!?」

※前話にて、「土曜日にゆめポートに行く」と約束してましたが、
 時系列的に、その土曜日は確実に『翌日』でした。
 ちゃんと順を追うと、前話は『金曜日の出来事』でしかありえない。
 作者自身、素で平日が二日くらい残ってる認識で書いてました。ヤバイ。
 今話の投稿とともに修正します。
 また、オリ主が使っていた『ビデオデッキ』はいくらなんでも無理筋だったので
 『DVDプレイヤー』に修正します。戦隊モノ見てたヤツ。
 勢いだけでやるとこうなるんじゃよー。過ちは可能な限り正します。

身内の手術は無事完了しました。当面の心配は不要に。よかった。


ゆめポートに遊びに行こう!‐その2

目が覚めたら、夢の中だった。

何を言ってるんだかわからないと思うが、とにかくその通りだった。

花寺がいる。制服じゃあない、普段着だ。

初遭遇の時に来てたスカートの赤だった。

彼女はこっちを指さして、すっとんきょうな声を上げた。

 

「寝てた!」

「……ハァ?」

 

わからん。何を言っているんだ?

 

「待ち合わせの時間に来てないから、

 まさかと思ってDEATH13使ったの」

「…………アッ!?」

 

し、しまった。

ここは『夢』だ!

昨日の『夢』で約束してただろ!

今日、土曜日!待ち合わせは12時!

 

「い……今何時?」

「12時10分。でもよかった。無事だったね」

「すまん…マジにすまん。すぐに起きねーと。

 とはいっても、どうすれば…自分じゃあ起きられないぞ」

「今、ひなたちゃんが怒って走ってったよ。

 寝てたって伝えたらすぐに…

 そっちについたら、絶対起きるよ」

「…うへェ」

「あと、ちゆちゃんが電話かけてる。

 音に気づければ起きると思うけど…」

「望み薄だな。たぶん気づかない」

 

F・Fも出てきた。

こいつ自身はただのスタンドだから睡眠不要なんだが。

『夢』についてくる都合上、俺についてくる形で眠ってる。

要するに、こいつも寝てる。俺を起こすなんてできない。

 

「疲れてたの?わたしも最近疲れ気味だけど」

「変身の実験で遅くまで色々やってたからな。

 歩いたり走ったりをな…ま、無理もないね」

「そっか。待ち合わせが決まったのも昨日の夢だもんね…

 用意なんか、できないよね…

 わたしたちは待ってるから、ひなたちゃんと一緒に来てね」

 

理解を示してくれたのは助かった。

沢泉もたぶん、同じ判断をしてくれるだろ。

面白い顔はしないにせよ。ただ、願わくば…

 

「平光に伝わってる?今の話…」

「伝えてないよ。

 電話したら足止まっちゃうから」

「……観念するか」

「しょうがないよね」

 

理解は示しても、同情するつもりはないらしい。

そっけない花寺だった。

ちょっとして、俺は『夢』から叩き出された。

 

「起きろーーーーーーーッッッ!!!」

 

『夢』の意識が一瞬で現実に切り替わる。

コマ落としで目の前の花寺が自室の天井に変わり、

テレポートでもさせられた気分だった。

ドアがブッ叩かれている!

 

ドン ドッ ドン!

 

「スグに起きろーーーーッ

 起きて出てこォーいッ!!」

「で、出てく!出てくからサワグな!」

「1分以内!」

「できねェェーよ!?

 足動かねーんだもん!10分くれーッ」

「…信じらンない!寝坊でスッポカすとか!」

 

幸い、その後はフツーに待っててくれた。

今ある中で唯一マトモな外出に耐えうる服…

つまり制服に着替えて急ぎ飛び出す。

あとは、財布…全財産が入った…と、スマホ。

当然、松葉杖もすでにある。これがなきゃあ歩けん!

 

「マジにスミマセンでした」

「ホントだよ、もーッ!

 ……って、なんか木くずクサくない?部屋…」

「なんでもない。

 …アレだ。リフォーム直後に入ったからな、ここ!

 新しいんだよ木材が…急ごう」

「ふーん?」

「のどかとちゆが待ってんぜ。

 なるべく急いでこーぜ。ひなた、魁よぉー」

 

ニャトランの急かしに便乗して出発すると、

憤慨した平光がすぐに追い越してきた。

当然、私服だな。

俺とは違い、奇跡的に破れずに済んだジャンパーと、シャツにスカートだ。

そのぶん身体がこっぴどくやられたわけだがな。

 

「アンタ、こーゆー約束事はシッカリしてるヤツだって

 思ってたんだケド?ちょっと見損なったかも!」

「そう言ってやるなよ、ひなた。

 遅くまで練習してたんだぜ、こいつ…変身の」

 

俺の喉からF・Fがフォローに入る。

腹話術状態だ。傍から見たら独り言に等しいのでは?

 

「あッ、そっか。

 そういや、色々アツくカタッてたじゃん昨日!

 遅くまで変身の練習ガンバって、

 タッキー、エライ!スゴイ!」

「…遅くまでヒーローゴッコやってる痛いヤツ。

 って言われてる気分になってきたんだが」

「当たらずも遠からずじゃあないの?」

 

そして、この平光の悪意ゼロ発言。

理解してくれたのはいいが、俺のダメージはさらに深まった。

歯にキヌ着せてくれよ、F・F…

 

「ゴッコじゃないじゃん、マジメじゃん。

 タッキーはマジメに変身してるんでしょ?

 変身できる場所とか考えてたじゃん、昨日だってさぁーッ

 日帰り浴場で試してみんだよね?変身」

「変身変身連呼すんのやめような?頼むから!

 わかんねーだろ、誰の目があるか!」

 

言われてから、やっちった、とばかりに目をそらして

自身の唇をペロリとナメる平光。ごまかされんからな俺は。

ま、強くは言うまい。そもそもこの状況は俺が悪いんだからな。

少し前を歩く平光は、首だけをこっちに向けていた。

 

「ゴメン、秘密だったね」

「お前のも秘密だろ、平光。

 どっちもバレるわけにはいかない。理由はわかるよな?」

「うん。巻き込まれる人が増えちゃうから。

 シャベッちゃいそうだったら怒ってくんない?

 ホラ、あたしウッカリ多いからさぁー」

「できる限り、な?

 花寺と沢泉もそうだけど、いつでも止めてやれるワケじゃあないからな。

 自分でシッカリしろよ?とくに…」

 

この先を言うのはためらった。

だけど、最悪を考えるとな…

 

「とくに?」

「とくに…お前の兄貴、だ!

 ちょっとしたことで異変に気付いちまうかも知れねーんだぞ」

 

言われた平光の瞳がわずかに陰った。

俺にはない弱点だな。突かれたくなかったよな。

 

「…それはヤダ」

「姉貴もいるんだったな。昨日のジュースの…

 その、なんだ。大事なら、がんばれ」

「うん…」

 

平光が前を見た。ただ歩くだけになる。

大概、シミッタレたクチしか聞けない男だよな、俺。

お前みたいにはなれない。違いすぎる。

そんな素質があったとしても、とうの昔に死んでいる。

俺自身が殺したんだからな。間違いない。

 

「お前の兄貴さ…いいよな」

「…いいっしょ?

 あたしの自慢のお兄だよ」

 

しばらく沈黙が続いたが、

気まずくなる前に、平光がまたこっちを見た。

 

「あのさ。聞いてもいいのかな、コレ……」

「…言ってみ」

「『通し字(とおしじ)』って何?」

 

…なんでそんな面倒くさいことに限って覚えてるんだよ、お前。

恨むぜ、ダーティ・ウォーター。

 

「お前さ、織田信長、知ってる?」

「知ってるよ!サスガにバカにしすぎ!

 アレでしょ?ウツケ!」

「……信長の親父の名前は信秀(のぶひで)だ。

 で、弟の名前は信勝(のぶかつ)で…息子の名前は信忠(のぶただ)。共通点は?」

「ノブ!」

「そう、ノブだな。一族で名前に同じ漢字を受け継ぎ続けるのが通し字(とおしじ)だ」

「…タッキーは?」

「『(かげ)』な。親父が景勝(かげかつ)で、上の兄が景継(かげつぐ)、下の兄が景弼(かげすけ)

 俺は(かい)。俺だけ『景』がない。それだけ」

「それってさ…やっぱいいや。ありがとね」

「ま…あれだ。戦国武将みたいな名前の一族なんだよ」

 

質問を自身で打ち切って、それ以上は聞いてこなかった平光。

意外だったが…助かったな。

心中でホッと息をついていると、平光がまた別の顔を浮かべていた。

…百面相。落着きがないヤツ。

 

「あ、もひとつ。『垢抜けない』ってさ、どーゆー意味?」

「ん?…あぁ。

 『田舎くさい』とか『なんとなくダサイ』とか、そういう意味だな」

「へー。んじゃあさぁータッキー、『垢抜けない』んだね」

「素直にダサイと言え!言うんなら!

 遠まわしがかえってムカツクぞ、それ」

「遠まわしなコトバ使ってんのタッキーじゃん」

「……あいつらが『垢』『垢』言うから、つい」

「アレで笑うのちゆちーだけだよ。たぶん」

「安心しろ。笑かすつもりねーから」

 

うん。やっぱりお前みたいにはなれない。

クッソくだらないバカ話を繰り返しているうちに、

やがて大通りに出た。向こう側に見えた花寺と沢泉に、おーい!と駆け寄っていく平光。

当たり前だが、沢泉も私服な。肩を出した上着にロングスカート。

 

「お待たせー」

「ひなたちゃん、鳴滝くんから事情は聞いた?」

「聞いたよ。忙しかったんでしょ昨日」

「大丈夫そうね。普通に話しながら来てたし…

 行きましょう。向こうにつく頃には1時よ」

「行こ行こー、オナカすいちゃった!」

 

…あ、恐れてたパターンか?

黙ってても沢泉が言うけど…言うべきか?

 

「じゃ、ちゆちー。DISCとって」

「えっ?

 そうね。私も取る練習しておかないとね…

 ええと…こうかしら?」

 

よかった…忘れていなかった。

さすがにこれは忘れなかった!

ニンマリ笑って進み出る平光の額に、

沢泉が探るように手を這わせる。

まわりに人がいないのは確認済みだ。

そりゃあちょっとはいるが…こっちを見てるヤツはいない。

 

「あった。それじゃあ、預かるわね」

「お願ーい、ちゆちー」

 

沢泉の手にあるのは太陽(サン)のDISCだな、当然。

取り出す意志があれば自分で取れるし、

取り出させる意志があれば人に取らせることもできる。

気絶してる場合は好き勝手に取れちまうようだな…

こういう性質も、ちゃんと押さえておかないとな。

さて、俺もだ。

 

「じゃ、F・F。また後でな」

「うん。30分後にキッチリ来な」

 

声帯を引っ込めて待機状態になったのを確認。

自分の手でDISCを取り出すと、

それを見ていた花寺が寄ってきた。

…手渡す。

 

「借りるね。借りるだけだよ?

 取りに来てね…約束」

 

あの裏切りを水に流す機会ってことらしい。

甘いヤツとも思えるが…そんなことは決してない。

次はもう許さない。俺にはそう言っているように見えた。

 

…………怖い。

 

なんでだ。なんでそんなフウに思うんだ?

こいつはただ笑顔で見守ってくれてるだけで!

そんなことはとっくにわかっている…

おとといの沢泉みたいに怒りを向けてきてるわけでもないのに、

どうして、こうも隔りを感じる?

わからないのは俺自身だった。

 

「と、取りに行くよ。すぐに!

 無きゃあ死にかねないんだからな。

 …約束します。取りに行きます……」

「……。うん…」

 

バスが来た。

DISCを渡したのなら、追うのは30分後だ。

気持ちはどうあれ、もう裏切るつもりなんかない。最初からだ。

沢泉と平光が不審な顔をしちまってる。

何食わぬ顔で見送ろう。ややこしいのはごめんだ。

 

「じゃあ、沢泉…頼むな。F・Fのこと」

「頼まれたわ」

 

三人を見送る。

30分後まで乗りもしないのにベンチに座るわけにはいかない。

少し離れた位置の、石の花壇に腰掛けた。

チューリップの林の中にニャトランが来る。

 

「……で。昨日何やってたんだ?実際よぉー」

「なんの話?」

「木くずクサい部屋のワケだよ!

 話せよ。オレはおめーを信じてんだぜ。

 おめーもオレを信じろってんだ」

 

これでNOとか言ったら関係はご破算だった。

なかなかズルいやつ…単に、俺の扱い方を覚えられたのかな?

荒っぽい口調のわりに、じっとそういうの観察してるヤツなんだよな。

思えば、ずいぶんと懐に入られてる。

経緯も含めて、俺に一番近しい存在かもしれないヤツだった。ペギタンもほぼ同率な。

もっとも…二匹?…ふたりとも正式なパートナーを得てからは少し疎遠気味ではある。

 

「…松葉杖。自作してた」

「木彫りでかよ?気合入ってんなぁー」

「戦いになったら折れる。そのたび買ってたら金がいくらあっても足りないんでな…

 あ、スタンド使って作ってるから、多少はラクしてるぞ。多少は」

「カネの問題か…切実だなぁー。ひなたも小遣いでアタマ抱えてんぜ」

「平光も?何に困ってるっていうんだ?」

「新しい服とかアクセとか小物だとか欲しーのにカネ足んねーんだとよ」

「聞いて損したんだが」

「買ってやったら?ヨロコブぜ!」

「断る。俺にもヤツにも、そんな筋合いはない。

 そもそも、こちとらメシ食うだけで手一杯なんだよ」

 

その金すらも今日なくなるがな!

衣食住とは言うが、今回は衣と食が金銭的に両立不能!

衣がなけりゃあ社会生活は不可能だから、こっちが優先だ。

当然だが飢え死になんかするつもりはない。我に秘策あり、だ。

最悪、自販機下の小銭をフー・ファイターズで漁りまわる…が、

こいつは本当の本当に最後の手段になる。フツーに軽犯罪だし。

先週の俺の望み通り、死んでたら悩まずに済んだろうがな、こんなこと。

今は違うんだから、暗い明日を迎え撃たなくっちゃあな。

 

「そーだな。おめー自炊だもんな。

 あの時はゴチソーサマだぜ」

「このオカズドロボーネコめ!」

「オイオイ、まー、そー言うなって。次は何か持ってくからよ」

「…ちょっと期待しとく……と言いたいが、やめとけ。やめてくれ」

 

カツオブシ持ってこい。アレと醤油でメシは成立する。

いや、てめーで食っちまうかネコだと。

というか、どこから持ってくる気だよ。平光家しかないよな?

イヤだぞ、空き巣の罪カブるの。

しゃべっている間に返事が180度回転していた。

 

「とにかく、松葉杖の件…みんなには黙っててくれよ。

 放課後に材木切り出して松葉杖作ってくれとか、頼めるわけないだろ」

「どーにかできるアテあんの?相談した方が早道かも知れねーぜ?」

「F・Fと相談しながら進めてる。まずは俺とF・Fだけでやってみるよ」

「そーいうことならわかったぜ。F・Fがバラしたときはあきらめろよ?」

「今のところ、黙っててくれるつもりみたいだな…」

 

そろそろ、あいつらのバスもゆめポートに到着しているな。

今頃、何しゃべってんだろーな、F・F……

 




アンケートは新年まで続ける予定です。
よろしければご協力ください。

ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。
きっと、カオルちゃんのドーナッツのように元気になれますので。
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