プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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『ゆめポートのショッピングモールを破壊する』
この文面で、ひなたに命令DISCを差し込んでいましたが、
これだと太陽のDISCと一緒に入れられた時点で
その場でゆめポートを襲いに行ってしまいます。
なので、過去に遡って以下に修正します。
『ゆめポートに来たとき、ショッピングモールを破壊する』

かなり経ってから気づく間違いって、時間経過に比例してハズカシイ

あと、再来週あたり当作品のタイトルを変えようと考えています。
現在のタイトルは、オリ主一人のことしか見ていないように思うので…
新タイトルは、
『プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐』
を予定しています。


ゆめポートに遊びに行こう!‐その3

「ちゆちゃん、準備はいい?」

「ひなたの体内のフー・ファイターズは…動くわ。

 いつでもオーケーよ」

 

私、沢泉ちゆは受け取った直後、すでにDISCは入れている。

バスの中で操作確認もしたから大丈夫よね。

F・F本人からもコッソリとアドバイスもらってたし。

存在も感じているわ。ひなたの体内に何ヶ所かまとまって固まった『コロニー』がある。

のどかも同じね。鳴滝くんに輸血したときに血の代わりをしたやつが、同じようにある。

もう、ふたりとも何とも思わないのかしらね。

その気になりさえすれば、何もできずに操り人形よ?

……まあ、わかっているのよ。私も。

今、あいつが私達を裏切って生きていけるはずがないってこと。

逆に私達も、同じように試されているわね。

 

「のどかっち、お願い」

「うん」

 

ゆめポートのバス停からだいぶ距離をとった私達は、

絶対に確かめるべき実験を、今、開始した。

私は、さらに少し離れてプリキュアに変身する。

これは私の提案ね。最初から『命令』を邪魔するとわかっている相手が

すぐそばにいるのなら、真っ先に排除される可能性がある。

そうなったら、ひなたは友達殺しになってしまうわ。

のどかも当然、同じこと。

ひなたの額にDISCを差し込んだ瞬間に飛びのいて、

プリキュアに変身して身構えたのは、のどかよ。

立ち尽くすひなたの周辺に何も起こらず、1秒、2秒、3秒……

 

「…やった!ダイジョブッぽい!」

 

はしゃぐひなたの背後に回り込むように近づいたグレースは、

額にサッと手を当て、DISCを引っこ抜く。

さすが、慣れてるだけに早いわね。

 

「うッひゃあ!速すぎて目で追っかけらんないじゃん。

 やっぱスゴイよね、プリキュアってさぁー」

「抵抗、なし……

 もし、『判断して発動する』としても、

 それはわたしたちを想定してない、ってこと!」

「そして、ひなたの判断で『可能になり次第』っていうのも無いわ。

 もしそうなら、自分の足で無理にでもここに来て破壊してるはず。

 昨日の時点ですでに可能性は潰れてるわね」

「えっとー、ツマリ?」

 

私とのどかは、そろって変身を解いた。

手にあるDISCをまたひなたの額に差し込みながら、

のどかは柔らかく微笑んだ。

 

「ハイ、もう大丈夫だよ。

 お変わりありませんか?ひなたちゃん」

「……やッ…ヤッタァァァーーーーッッッ!!

 買い物できるぞーーーーッ、できるぞーーーーーーッッッ!!」

「はしゃぎすぎよ、ひなた!

 チョット人目を気にしてほしいわ」

 

そうは言いつつ、笑っちゃう私がいるわね。

ひなたはこういう子なのよ。

ちょっとどうかと思うトコロも事実だけどね…

そのくらいなら、私とのどかが補うわ。

鳴滝くんもそうかしら?ここにいたら文句タレてるでしょうね、ひなたに。

 

「んじゃ、後はニャトランとタッキー待ちだね。

 オシャベリしてる間に来るっしょ」

「それなんだがな。

 今ここで話しておきたいことがある!」

 

ひなたのノンキな声に、私の喉の奥が返事をした。

…大丈夫、わかっているわ!F・Fの声帯よ。

わかっていても驚くわね……

 

「F・F…なにかあったの?」

 

居住まいを正して、のどかは真剣な目を向けてくる。

私の中にいるF・Fにね。

 

「ラビリンとペギタンも混じってほしい。

 場合によっては命がヤバイ話なんだ……魁のな」

 

のどかの雰囲気が変わった。

『怒気』って言うのかしら?

一瞬だけメラッと立ち上った何かが見えたわ。

口調も静かに激しくなっていく。

 

「…それって、さっきの……

 後ろめたい顔と、関係あるの?

 また何か、危ないことがあるのに隠してるの?」

「あいつはあんたを裏切っちゃあいないよ、のどか。

 後ろめたいのは内心の問題で、あいつは今は

 生きるために行動している…それは保証する」

「……。じゃあ、何?ヤバイ話って…」

 

F・Fの説得で沈静化したのどか。安心したのは私もよ。

あれだけ。あれだけの骨を折って助けたのに、

それをすぐに平然と台無しにするようなことを?

だったら、ツバを吐きかけられるのと何も変わらないものね。

気を取り直して、F・Fは続ける。

 

「あいつの一日の摂取カロリーだ…

 基礎代謝量より少し多いくらいしかない」

「基礎代謝……それなら知ってる。

 人間が、ただ生きてるダケで必要な一日のカロリー量、だっけ」

 

あら、ひなたも知っていたわ。それもそうか。

この中で、一番普通の女の子してる子だもの。

スイーツが好きなら、体重の悩みは尽きないわ。

それはともかく。

 

「そのカロリーが…足りてないっていうのね?

 一日の運動量に対して」

「そういうこと。あんたらのような育ち盛りの子供がとるべき量には到底足りない。

 ましてや、ガチのスタンドバトルの中ではね…」

「でも、なんで?ダイエット?

 タッキー太ってないじゃん!むしろチョットコケ気味」

「ド直球で言う。単純に金がない。

 これは『肉体の記憶』を読んだから確かだ。

 宿主の命に係わることだからね。遠慮はしなかったわ。

 そして間もなく、その金も尽きる!」

 

お金。すぐに理解したわ。

あいつは、ろくでなしの家族に…

おそらくは、家族とは名ばかりのものに、追放されてここに来た。

 

「アレッ?じゃあさ、服買ってる場合なの?タッキーさぁ…」

「服が全滅してる。そして服はフー・ファイターズで代わりを作るのは難しい。

 だから魁は服を買って、メシを諦めることにした」

「……そッ…そ、っか。暮らせないもんね、服ナシじゃあ」

 

ひなたが気にすることも、もっともよね。

でも、F・Fの回答にはうなずくしかないわ。

着ぐるみめいたスーツですら維持に多量の水がいるのに、

それが薄手の生地なんかになっちゃったら…再現できても、保てない。

 

「F・F。鳴滝くんに聞いたとして、ね?

 話してくれるのかな?事情……」

「話さないだろうね。

 あいつはあんたらに迷惑をかけるのを嫌ってるし、

 『かわいそう』と思われたらもっとみじめになるだけだからな」

「…………。わかった。聞かない」

 

うつむいたのどかは、顔を上げると決断した。

 

「それがあんたの選択だな。のどか。

 あたしは最悪、全部を吐くつもりで来た」

「わたしね、すでに『かわいそう』って思っちゃってる。

 それが鳴滝くんを傷つけるって、もう知ってるんだから…

 ダーティ・ウォーターが言ってたんだ。

 俺を踏み台にして、弱ってることに気づきもしない、って。

 だからね…待つよ。大丈夫になるまで」

「……フゥゥ~~、気が長いね。あんたも」

「ただし、命が危険にならない間だけ!

 危険になったらお手当てするよ?仲間だもん」

「ありがとよ。それを期待してたんだ」

 

F・Fの声は私の中からしてるから、

表情なんかわかりようがないんだけど。

自然と笑顔が頭に浮かぶわね。エートロさんの。

あのヒトも誘拐犯だったっけ…なんとなくでやっちゃった、っていう。

わからないわね、人間って。

当然、エートロさんとF・Fは別人だから、同じ顔でも顔つきがまるで別人だけれどね。

 

「それで…ボクたちは何をすればいいペェ?」

「あんたらが介入する口実がほしい!

 …いや、実際のところ、ヤバイことはあいつ自身が一番わかってるのよ。

 手持ちの食糧がなくなったあたりで、フー・ファイターズを使って

 何かをやるつもりみたいなんだけど……」

「それって、犯罪とかじゃあないラビ?」

「そうだとしても最後の手段だろうね、ラビリン。

 さっきも言ったが、あいつはあんたらに迷惑をかけたくないんだ。

 あんたらに飛び火するようなことは意地でも避けると思う」

「…ラビ。わかったラビ。信じるラビ」

「うん。ちっと横にそれたけど。

 重要なのはあんたよ、ペギタン。それとニャトランだ」

「ペェ?」

 

F・Fが説明していく。

今の鳴滝くんにとって、一番素直におしゃべりできるのはペギタンとニャトラン。

今までの経緯で信頼したのもあるし、何より人間関係のしがらみがない。

もともとヒーリング・ガーデンの住人で、プリキュア同士としか関係ないんだから当然ね。

さらに。より重要なのが、性別、男ということ。

夕飯の後にいきなり訪ねてきても、

多少のおしゃべりくらいなら受け入れるだろうってF・Fは踏んだ。

 

「つまり…ボクとニャトランで、しょっちゅう遊びに行くってコトだペェ?」

「最悪、入れなくったって構わない。あたしと連絡が取れりゃあいいんだ…

 そこで、まともにメシが食えていないと判断した時点で……あんたらが動く!」

「動くのはいいけどさ…どうすんの?

 あたしもあんましお金ないよ。おやつラーメンくらいならなんとかなるケド」

 

切実な問題がひなたから飛んできたわね。

ひなたが言わなければ私が言ったし、私が言わなければのどかが言ったでしょうね。

 

「私が…、一日三個のおやつラーメンだけで。

 ハイジャンプの練習をこなせるかって言われたら…無理よ。

 そんな状態で戦いなんてやったら、途中で倒れかねないわ」

「それに、長続きしない。わたしたち中学生が自由にできるお金で、人一人を支えきるなんて…

 やめよう。これはわたしたちみんなが不幸になる道だよ」

 

悩んで頭をひねったところで、なんの答えも出やしないわ。

子供の無力がそこにある。だから大人が必要なのに、

まだ見たことのない、見たくもないあっちの大人はまるで当てにならない。できない。

恐ろしいわ。しかるべき大人に身も心も支えてもらえない子供なんて。

代わりをやるのが、なぜか私達。どういうことなのよ。でも、四の五の言わないわ。

 

「誰か、大人を引き込むしかないわね」

 

私がやっと絞り出した言葉は結局それ。

ジョセフさんにも指摘されていたもの。手に負えないって。

提案できる候補は一人。鳴滝くんの足を見てるお医者さん。

具合をいつも見てるんだから、栄養不足を家族に伝えても不自然じゃあない。

離れて暮らす子供が危機に陥っている。助けないっていうのは道義上、ない(・・)わ。

 

「…で、そこでウダウダ言うんなら、子供を捨てたも同じだわ。警察よ」

「おー、良さそーじゃん。ちゆちー。

 警察(ケーサツ)ってのが特にいい…いーかげんムカツイてんだよ、あたし」

「この状態まで持ち込んだなら、たぶん『勝てる』わ。

 子供を捨てて裁判騒ぎになるなんて、商売人として致命的のはずよ。

 おばあちゃんも言っていたもの。信用を失った旅館はおしまいだって。

 大事(おおごと)にするくらいなら、ちょっと多めのお金を振り込むようにして決着させる…と思うの。

 それで黙っているなら安いもの。そう判断すると思うわ」

「そうなれば目的達成、だよね」

 

付け足してうなずいてくれるのどか。

嬉しいけど…なんで、こんな生々しいこと考えなくっちゃあいけないの?

場違いに巨大な問題を抱えて私達の前に現れたあいつのせいよね。

そして、捨てられない。DISCとプリキュアで結ばれた運命共同体だもの。

いいえ。それ以前に。自力で立つことも難しい人間を私は見捨てるかしら?

…NO、よ!私の手が届くのなら!私は、そういう人間のつもりだわ!

ハァ……頭痛いわ。

 

「そうなれば、ね…」

 

話は一旦終わりかな、と思っていたのだけれど。

F・Fが、不穏な口調で切り出した。

 

「ひとつだけ言わせろ。その時、相手から見た魁を考えるんだ……あたしにはこう見えるぜ。

 『見逃してやった小僧が生意気にもカネをタカッてきた』ってな。

 元々、死ぬのを待ってた小僧に対して…相手は、どうすると思う?」

 

信じられないことを言ってきたわね。

のどかも、ひなたも口ごもった。もちろん、私もよ。

ラビリンも、ペギタンも……ラテまで、凍ったみたいに立ち尽くしていたわ。

 

「あたしの、最悪の予想を言う。ホントに最悪の場合だぞ?

 まず、話し合いのためと称して実家に呼びつける。

 来ないのなら、『助けを求めてきたのに来なかった』で黙殺だな…

 で、来たのなら……魁は、実家までたどりつけない。途中で『事故死』するからな。

 あとはどうとでも片付けちまえばいい…死人に口なし、ってやつ」

 

事故死。白々しい単語ねぇ。

 

「そんなの……ヤクザじゃない……」

「わかってる限りでスデにロクデナシなんだ。

 ヤクザとつるんでるのも想定した方がいい…あたしが思うにね」

 

もう、考えうる限り全ての悪徳が集まりつつある勢いね。

想定するのはわかったけど、こう…現実味がないわ。

でも、私は知っている。『みかじめ料』を求めてやってくるヤクザは現実だって。

おばあちゃんから聞いている。みんなで力を合わせて、すこやか市から叩き出したんだって。

この町は、昔から結束が強い。

 

「鳴滝くんが表に出ちゃあいけない。そう言ってるって思っていい?」

「ああ。一見関係のない第三者からやりたい。

 できれば、このすこやか市で社会的な信用を得ている大人を間に立てたいな…

 道理さえ通っていれば、妙なことはされないと思う。危害を加えるメリットがないからね」

 

…気を取り直したのどかが、F・Fに確認する。

一見関係のない第三者。最初に出た候補は、やっぱりというか、私のおばあちゃんだった。

決して小さくはない、古くからある旅館の主よ。町の顔の一人だって、私も思ってる。

でも、駄目ね。おばあちゃんは、本当に何ひとつ関わりがないわ。鳴滝くんと。

せいぜい先週、お風呂に入りに来たときにすれ違ったくらいじゃあないかしら?

理由がなさすぎて必然性ゼロよ。

それしか方法がないっていうのなら、最悪拝み倒すけどね、私が。

 

「ん、ンーーーーーーッ!」

「ひなた?」

 

唐突に背伸びしながらうなり声を上げ始めるひなた。

手とか背中とか固まってたみたいに、左右に体をひねってる。

それが終わると、目つきをキリッとさせて肩を叩いてきた。私と、のどかの。

 

「ヒートアップしすぎ!いったん離れよ!

 アソビに来たんだよあたしたち!」

「そ、そうなの?」

 

DISCの命令が解けてるか確認しに来たんじゃあなかったの?

っていうのは、突っ込むだけ野暮ね。もう。

 

「そうだね。鳴滝くんがうまく乗り切ってくれれば、必要のない話し合いだもんね」

「…そうね。DISCの命令は解けていたわ。遊びましょう?」

 

のどかが乗ったのに、私も乗った。

額にシワ寄せて腕組んでニラみ合っててもダメよね!

 

「それでいいぜ。あたし抜きでも話し合えるトコまで進んでたしね。

 さて、ボチボチ見えるだろ!あたしの本体の松葉杖がね…」

「…あ、来たラビ」

「後ろの方に乗ってるペェ」

 

みんなで戻ると、止まったバスが乗客を吐き出し始めていた。

その最後あたりで、松葉杖がスッと出てきた。

…それとナス頭。




オリ主が孤軍奮闘の綱渡りに挑んでると思ってる中、
プリキュアとヒーリングアニマル達はその下で網を広げて待っている。
これ自体は『らしい』ムーブだとは思うんですが。

今後、オリ主を描く予定のある方は、
オリ主に巨大すぎる問題を背負わせることはオススメできません。
御覧のように仲間たちに自動的に問題が降りかかってしまいます。
結果、仲間たちはオリ主の話ばっかりをする羽目に。
いいのか。本当にいいのかと毎話毎話自分に問いかけてる状態。

でも、巨大すぎる問題と対決して、
読者の目からも明らかに勝つオリ主は、よいオリ主です。
この鳴滝魁も、できうることなら、そうさせたいのです…

ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。
ジャイロのようにタフなセリフを吐きたい
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