プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
ペギタンへの言葉がちゆ自身に帰ってきたことからもそう思う。
次のプリキュアへのカウントダウンが始まりつつある。
今話は単独行動してる鳴滝くんばかりを追ってる状態。
メインキャラは冒頭のちゆしかいませんが、
かといってプリキュアキャラが全然いないわけではありません。
文量的には若干多めか。
「あ、そうそう。
明日、仗助さん億泰さん康一さん…に見立てた敵と
戦ってみるって話だけれど。
まず最初、あなた一人で戦ってもらうわね。
私達はしばらく見てるだけ」
「…な、なんで?」
「スタンド使いには、まずあなたが向かう。
作戦通りにやるっていうのもあるけれど。
さっきの物言い…東方仗助になるぞ、って。
モノスゴく失礼よ。私だったら傷つくわ。
そういうの、許すべきじゃあないと思うから。
それに、一番傷つくのはあなたの品性よ。
だから、あなたが最初に仗助さんに触れなさい」
……ああ、クソ。
ボコボコ確定じゃあねーかよ。
面倒なことになった…ちゃんとやるよ。しょーがねーもん。
逆らえなくなったもんだ。
そんなことを考えながら教室で弁当をつついてる。
これだけは明日からも変わらず食える、教員と同じ日替わり弁当…
普通は取れないが、俺の場合は身障者の一人暮らしってことで特例。
代金は実家から引き落としだからな。問題ない。
唐揚げにチリソース…デザートにイチゴ、か。悪くはない。
全体的に味が薄めなのはマイナスだがな。
とか思うんだが、味が気になりだしたのはここ一週間くらいのこと。
それより前は、食ってること自体ろくすっぽ覚えてなかった。
…死んでるって感じ?まあそうなんだろう。
家での自炊にはわりと必死になったんだけどな。
どんなに呆けた人間でも、度が過ぎた空腹の前では我に返るんだよ。
あのときはお徳用ピーナッツをひったくるように買ってきてゴリゴリ食った。
料理なんかできなかったからな…こっち来たてだと。
そんな経緯もあって、調べものには抵抗がない。
食い終わったら席を立ち、図書室に向かう。
ここのところ連日だ。目当ての本は『工作機械』…
そのものズバリのやつはほとんどないが、
文字通り工作用の機械の使い方を書いてるやつなら結構ある。
それと、工場に関係する本をあされば、いける手応えはあるな…
「きみは…興味があるのかな?工作に」
「松葉杖。前、折ってしまったので…
自分で作れたら安いかな、程度の思いつきです」
「なら、3Dプリンターとか、どうだね。
設計図を作れば、後は全自動らしいよ」
「ありがとうございます。親にねだってみます」
後ろから声をかけてきてる痩せたメガネのオッサンは、隣のクラスの担任だ。
つまりは、花寺、沢泉、平光の担任。
それがいきなり近くに現れるようになったのは…
警戒されている。明らかにだ。
俺の背景を知らないはずがない立場の人間だ。
沢泉に対してやったことも知られているだろうよ。
未遂だがほとんど性犯罪者だからな、当然か。
今後、一生こうなんだろうな。俺…しかるべき報いってやつだ。
げんなりする資格もなし。ただ粛々と受け入れるだけだな。
それとも……土下座でもした方がいいのかな?人の顔を見るたびに。
「顔が硬いねぇ。きみは」
「見ていて面白い顔でもないでしょう。失礼します」
こうして探りを入れられるのだって、まったく当然のこと。
さっさと去るの一手だ。ボロを出したらヤバイんだ。
本は借りていこうかと思ったが、早く立ち去るのが優先!
あまり成果があったとは言えないな…
教室に戻る途中、ボーイッシュと温和を見かけた。
軽く手を振ってきたので会釈だけ返した。
放課後。何もせず家に直行。外が明るい。これ自体はいつものことだが。
…さて、ついに来ちまったな。カネなしメシなしタイムが。
俺が高校生だったら良かったんだがな。バイトできるから。
いや、できないか。誰も俺を雇わないかも…
実際、どれだけ知られてるんだ俺?
こっちを見るなり身構える大人がそれなりにいることまではわかってるけど。
どうあれ、今の俺は13歳。俺を働かせたヤツは児童労働でしょっぴかれるわけだ。
新聞配達ならやれる場合があるらしいが、それも両親が国に許可を取ってくれればの話。
そんな協力、望めるはずがない。そもそも、この足でどうするっていうんだ。
ずっと色々考えてはきたが、真っ当に金を稼ぐことは不可能との結論はどうにもならず、だった。
金がなければメシは買えない。メシがなければいずれ人は死ぬ。
つまり、金なしにメシを手に入れるアテがなければならないわけだが…
前も言ったな。我に秘策あり、だ。
「……で、どうする気?」
「メシのことを言ってるんだよな」
「当然。前にも言ったけど、栄養が欠乏している…
こんなんじゃあ、あんたの左手はいつまでたっても元に戻せない」
「それなんだが…そこらへんも、お前の力を借りることになるな」
「まあ、黙って見てる…けど、生きる死ぬの問題になったら、
あたしは勝手にスマホを使う。あんたのね」
「今日まで俺が考えてきたのは、それをさせないためなんだぜ」
F・Fも、今日までしつこいくらいに聞いてきてる。
栄養が足りない。メシが足りない。どうする気なんだ…
百も承知だよ。今、死ぬ気はないんだから。
「もう一度言っておく!
魁。あたしはあんたを『エートロ』にするつもりはない。
死んだなら、その肉体は腐るに任せる。
それをあいつらに見せることになる」
「…やめろよ、ンな悪趣味なコト」
「させるなと言ってるのよ。あんたはわかっているはず」
「わかってる」
さすがの俺にもわかる。すでに関わりすぎた。
勝手に罪悪感を感じられて数か月単位で引きずられるだろう。
そういう人種に生まれて、そういう文化で育ってきた奴らなんだ。
無駄な消耗をさせるわけには…いかないな。
家に鞄を置いて、畑ばかりの方角に向かう。目的地は河原。
「承太郎さん、こんなトコでネズミ追跡したのな」
「『ラット』か?水にクツ落とすなよ」
「落とすも何も、入らない。
用があるのは、川沿いに堆積した土なんでな」
「じゃあーダニ注意だな。ベッドにつくとメンドくせえぞ」
「『水族館』での経験?」
「まあね。経験というか伝聞だけど…
それより、堆積した土?」
「ナイル川の
数十万人とか、数百万人の食い扶持をまかなう巨大な恵みだぜ…
そこまではいかなくともよぉーーッ
俺一人養うくらいなら余裕の栄養が、ここにはあるはずだよなぁー」
「…まさか、てめーッ!?」
「フー・ファイターズッ!」
F・Fのひきつった声を俺は思いっきり無視し、
足元の土に右手を向けてF・F弾を撃ち込む。
そのまさかだぜ。『
もちろん、植物なんかすぐに育つわけがない。
だが、あるじゃあないか…栄養があれば、すぐにでも育つ生物がな!
それがたとえスタンドであったとしても、実体化型のスタンドであるならば!
「よし、『囲った』!
この1m四方の、人間向けの栄養素全てを抽出して固める!」
土の中からムリムリと押し出されてくるチューブのカラシじみたドロドロが、
俺の目当ての『栄養』だ。
あえて繁殖に使わず、ひたすら凝縮して固めた『栄養』。
もちろん、フー・ファイターズだ。水生微生物の塊!
「……食うのか?それをよぉぉ~~~ッ」
「当然だろ。この過程で土の中の微生物だの何だのを根こそぎ殺してる…
食わない方がよっぽどバチあたりだぜ、すでに」
「ゲェェーーッなんてこった!
てめーのスタンドを食うバカがいるとは……
思いもしなかったぜ。こんな目に遭う日が来るなんて」
「トニオさんをバカだと?
味はともかく、栄養では負けずにやってみるぜ」
「勝手にしろよ、もォォ~~~~~ッ…」
元が生き物だからこそ、完全栄養食になるんだぜ。
炭水化物もアミノ酸もビタミンもカルシウムも、すべてここから摂ってみせる。
俺だってフー・ファイターズをかなり扱ってきたんだ。
こういうことも、わかるようになってきた…!
出来て当然と思うこと。それこそがスタンドを扱うコツだもんな。
このままブロック状に固めて、それを3つくらい作って持ち帰ってやるぜ。
ホクホクで次の作業にかかろうとすると、草ムラから覚えのない声がした。
「や、やめてください。ヒーリングアニマルさん」
「…………。ハァ?」
「そんなことをしたら、みんながここで暮らせなくなってしまいます」
「……き、気のせい?」
「違うみたいね。この、リンゴに手足が生えたみたいなヤツは…
スタンド?でもないようだし……オイてめえ、何者だ?」
「いや待て、F・F。まさか…エレメント、さん?」
俺の手の甲から銃口を生やしてきたF・Fをなだめつつ、その半透明な存在をながめる。
DISCの知識だけならば、俺はこいつをスタンドだと判断しただろうが…
それだけではないことを、俺もF・Fも知っている。ましてや俺は経験者だ。
ダーティ・ウォーターが捕らえていたのは俺だけではなく、
水のエレメントさんもだったんだからな。
F・Fの言う通り、そいつは、手足の生えた、つぶらな瞳のリンゴだった。
「はい。実りのエレメントです。
お願いです。こんなことはやめてください。
みんなの恵みを根こそぎ持っていくなんて」
「……ま、マジか」
エレメントさんに止められるとは…ここで強行するのは簡単だ。
だが、こいつの言う通りだとして。
ここで『みんな』…生き物全てのことだな…が暮らせなくなるというのなら、
俺はビョーゲンズの同類に成り下がるわけで。
ヒーリングアニマル、そしてプリキュアの目的と真っ向から反することになる…んだな。
今のところ、あいつらの助けになるために生きてるっていうのに、
進んで敵対行為を働いたなら、とどのつまりは遠回りの自殺。アホだ。
「ああ、チキショオ。のっけから頓挫した…
悪かったよ。やめるよ…『栄養』も返すよ。
殺しちまった生き物は返せねえ。それだけは……すまない」
「よかった……なにか、お困りですか?」
エレメントさん相手に見栄を張っても無意味だと思った。
たくさんいる中でピンポイントでこいつがビョーゲンズに攻撃されて、
プリキュアに助けられる可能性は、ほぼ無視していいだろうしな。
なので、素直に相談する。
「俺は…見ての通り、人間なんだがな。
人間の仕組みの中で、メシが食えなくなっちまってる。
このままじゃあいずれ死ぬ…けどな。
人間の決まり事を破ることはしたくない。
だから、こんなことをしようとしたんだが……
何か、代わる方法はあるか?」
「あっちのイチゴ農園が、今年は豊作です。
事情を説明すれば、きっと分けてくれます」
話にならん。
相談しておいてエラそうなことに、俺の顔は歪んでいたことだろう。
イチゴか。弁当のやつ、ウマかったが…
「悪いけど、その手は無理だ。
俺は嫌われ者の人間なんだ…人間は頼れない!」
「死にそうなのを見捨てられるほどですか?」
「……いや、全員がそうじゃあない。
でも、頼ることがどう考えても迷惑になる。
人間を頼らない方法をくれ……!」
「ワタシだって迷惑ですよ?」
「うッ……」
……強烈な一撃をもらった。油断しきった脇腹に、だ。
そりゃあ当然だ。人間に限った話じゃあないよな。
ペギタンだって、ニャトランだって、迷惑してるに決まってる…!
俺はもう、さっさと立ち去りたくなった。
だけどな…『中立』…いや、『好意的』なこいつとすら
まともに話をまとめられないんだったら、俺はもう何もできやしない。
踏みとどまる……よし。
もう慣れっこだろ。きつい言葉なんて。
「な、なら。俺が、何かお前に利益を提供できないか?
その代わりに、エレメントさんに迷惑がかからない方法を」
「ごめんなさい。言い方が悪かったです。
生き物は、絶対に迷惑をかけています。生きてる限り…
でも、そこにはたくさんの『ありがとう』があるんですよ?
あなたも、『ありがとう』を返せばいいんです。
あなたは、きっと頼るべきです」
「……なら、頼らせてください。エレメントさん…お願いします。
もし、あいつらを頼ろうものなら、ほとんど確実に『幸せ』を脅かすんだ。
俺が近くにいるだけで、すでに迷惑があふれ出してるのに…
だから、人間の仕組みの外側で食いつなぐしか、俺には、ない!」
松葉杖を手放し、ほとんど倒れるままに土に手をついて頭を下げる。
また、汚れちまうが…洗えばいいんだよ、洗えば。
どうせ俺の差し出せるものは、下げる頭くらいのものだ。
あとは体だ。労働力…なんでもやってやるさ。
俺の行動にビビッたしぐさを見せたエレメントさんだが、
笑顔で返したものは拒絶じゃあなかった。
「はい、頼られました」
そこからは、しっかりと相談に乗ってもらった。
結論としては、俺が当初やろうとしたようなことは、
ほぼどこであろうとエレメントさんの迷惑になる。
唯一迷惑になりにくいのが、常に水と恵みが巡っている海だったが。
それでも比較的でしかなく、最後の手段にしておくべきだ、との見解を授かった。
そして質疑応答の中で、エレメントさんが関わりにくい状況を知ることができた。
すなわち、エレメントさんはほとんど人間に密着しないこと。
つまり、出たての『残飯』や『老廃物』にエレメントさんはまず存在しない。
そこから栄養素を搾り取る分には…少なくとも、人間一人分程度なら…
エレメントさんとは、ぶつからない!
そして『老廃物』については…すでに、俺は知っている!
「ありがとうございます。これなら、やれる!」
「どういたしまして。
困ったら、他のエレメントさんにも相談してみてください。
あなたの中のヒーリングアニマルさんも」
俺は、喜び勇んで行ったともさ。
日帰り浴場に。古い方な。
そこでコソコソ隠れて、同じように栄養分を抽出した。
極端な話、人間をゆでたダシ汁だからな。
わずかながら有用な栄養分も溶け込んでいる。
メインとなる大量の『老廃物』と合わせて、
三十分ほど抽出を頑張った結果…
一食に相当するブロックを、辛うじて一個作成できたのだ。
抽出開始時の排出口の汚れ具合から見るに、
これは…毎日とまではいわないまでも、二日に一個の作成は可能と見た!
同じことができる場所を、もう一か所見いだせたなら…
俺はもう、完全な自活が可能だ。金銭も、今後いちいち破損するだろう
服だとか松葉杖に回せるようになる。やったぞ。
想定通り、エレメントさんの苦情もない。極上だ。
……ん?原材料が何かわかってるのかって?
俺はな、過程や方法なんか求めちゃあいねーんだよ。
ただ栄養素が足りるという結果さえあればいいんだ。
宇宙飛行士だっててめーのションベン飲んでんだよ!濾過したやつ!
って、ずいぶん前に読んだ本に書いてあった、と思う。
…とか、考えてたんだがな。
俺はまた、かけがえのないことを学んだよ。
人間、やせ我慢でどうにかするにも限度があるってことをな……
あえて語らない。死ぬような目に遭ったとだけ。
だって、絶対に気分悪くなるぜ、語ったら。
…わかった、簡単にだけ言う。
ドブを食ったに等しいものだった。
俺は吐いたが、他に何もないので無理やり飲み込んだ。
それだけだ。それ以上聞くな。マジにやばいんだ。
「明日から…毎日さ。食うのコレ?」
「……無理だ。いずれ発狂して死ぬ。
グゥブッ……『残飯』だ。やっぱり『残飯』しか……ゴボッ」
ケイレンする喉と胃をねじ伏せ続けること1時間。
ペギタンが来た。F・Fがニュッと伸びてドアを開けてくれた。
「ペェッ!?いったいどうしたんだペェーッ!?」
「お前、こそ、こんな時間に…グフッ」
「どうでもいいペェ。何があったペェ!」
「…みっともねーとこ、見せちまったなぁ。
もう、食えねえ。しばらく食いたくねえ。ゲブッ」
ウソはついてない。ウソはな。
食べ過ぎだと解釈したペギタンは、首をかしげながら、
ビックリしたペェ、とだけ言い残して今日は帰った。
俺か?俺は、そのまま動けず寝ちまったよ。
大丈夫。『夢』の俺は健康だ。『夢』は何でもありなんだからな。
プリキュアっぽいというかむしろ四部っぽい?
エレメントさんが関わりにくい状況うんぬんは独自設定となります。
最後の部分、当初はガチに食レポやらせてたんですが、
ストローおじさんじみた不快感のある文章になったんで
ボツにしてあっさりめにしました。
なお、ストローおじさんを知らない方は、知らない方がいいでしょう。
端的に言うと、読むだけで吐き気をもよおす、物理的破壊力を持った文章です。
ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。