プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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>メインキャラは冒頭のちゆしかいませんが、

「……ボクはメインキャラじゃあないペェ?」
ゴメンナサイ。メインキャラです。

今話も鳴滝くん中心ではありますが。
一応、みんないますね。
いてもセリフがない子はいますが。
文量は平均的。


決め手のひと味!おなかいっぱい大作戦‐その3

結論から言うと、やっぱりアッサリボコられた。

物陰からF・F弾を撃ち込もうとした俺は、

気が付けば『ツルンッ』の文字を踏みつけており、

滑ってコケたところを康一に接近されて

Act3.FREEZEであっけなく地面に沈んだ。

仗助に触れるうんぬん以前に、康一一人にやられちまった。

そして、慌てて参戦してきたプリキュアたちの姿を認めた仗助は、

動けない俺をキッチリとドララララとボコッて再起不能にしていったわけだ。

 

…当然だが、本人じゃあない。

承太郎の記憶を元に復元したイミテーションだ。

だが本人をしっかり再現してもいない。

それをやったら、ジョセフの言うところの『死者の復活』になっちまうからな。

だから、花寺は何度かの練習を経てこうやることにした。

俺達を、『矢』を持つ『明確な敵』と設定して。

敵に対する『戦闘』だけを再現したマシーンを作ったんだ。

これはこれでおぞましい。人を人とも思わない行為と言えるかもしれない。

そう思った上で、花寺は割り切った。

 

「クレイジー・ダイヤモンド。あなたは誰よりも優しい力!

 ザ・ハンド…無敵の右手は、最後まで誰の生命も奪わなかった。

 エコーズ。大切な人たちと町を、ついに守り切った『音』!

 ……お願いします。わたしたちに戦いを教えてください」

 

罪滅ぼしになんかならないって、花寺自身が思ってるんだろうな。

それでも、他の誰にも任せず、花寺自らが作った。

俺達は負けたら死ぬ戦いの中にいる。取れる手はすべて打たざるを得ない。

だから、これは私達みんながやることなのよ。沢泉はそう言って、全員が頷いている。

そもそも言い出しっぺは俺なんだし、全責任の半分は俺によこしてくれていい。

そうやって出来たのは、仗助ロボ。億泰ロボ。康一ロボ。

ラバー素材と、ボルトだとかナットで出来たみたいな姿のそいつらを

今回の舞台、杜王町に放り込んで戦いは始まった。

 

…で、早々に脱落した俺をよそに戦いは続いたわけだが。

わかってはいたが、プリキュアたちの敗北だ。

気絶させられた俺に見ていられるはずもなく、今、こうやって反省会を始めている。

仗助たち行きつけの喫茶店、カフェ・ドゥ・マゴでだ。

当然、仗助ロボたちはいない。戦闘終了後に全員で

『ありがとうございました!』と頭を下げてから消している。

ちなみに、消され際にみんなケガを治された。クレイジー・ダイヤモンドで。

 

「あー。なんだ…その。

 昨日の、東方仗助への暴言は…悪かった。反省する」

 

何も配慮する必要がありゃしない仗助ロボにああされたら、俺も謝るしかないな。

聞いた沢泉は、うなずいてから自身も頭を下げてきた。

 

「私こそ、悪かったわ。

 私のやったことは、ただ負ける原因を作っただけよ。

 これは『夢』だけど、実戦だったら『死ね』と言ってるのも同じ仕打ちよね。

 他にやり方はいくらでもあったはずよ…ごめんなさい」

 

…調子が狂う。

俺が悪かったって言ってるし、でなきゃあお前もこんなことしなかっただろ。

そりゃあ不満には思ったけどよぉぉー。

でも、こんなやり取りを引きずる方が互いに面倒くさいに違いない。

 

「わかった。この件はこれで終わりということで」

「ええ、お願い」

 

余計な話を締めくくった後で話すのは結局、沢泉。

すっかり訓練の司会進行と化している。

すこ中のホープで、ガチのアスリートだからな。

人選としては当然ってとこだな…

 

今回の戦いの経緯は、こうだ。

まず、俺が一瞬で鎮圧された。

距離をとっていたプリキュアたちは間に合わなかった。

それでも数としては3対3。単純なパワーならプリキュア側が上だ。

なので、真っ先に億泰ロボを全力で潰そうとしたが…

そこにきて康一ロボがひたすらイヤラシイ妨害を繰り返してきた。

スパークルの着地点に尻尾文字『ポヨヨォォ~~ン』を置いて、

あらぬ方角にふっ飛ばしたりだとか。

億泰ロボの正面を迂回して突っ込んだフォンテーヌの足元に

尻尾文字『スッテーン』を置いて、突っ込む先をショーウインドウに変えたりとか。

そんなことをやっているうちに、フォンテーヌのすぐ傍にいきなり康一ロボが現れた。

億泰ロボのザ・ハンドで、削り取った空間が閉じる『引き寄せ』で瞬間移動してきたのだ。

瞬時にAct3.FREEZEを叩き込まれたフォンテーヌは

アスファルトに全身をめり込ませたまま指一本も動かせなくなり、助けに入ろうとしたグレースが

逆に仗助ロボと億泰ロボの挟み撃ちに遭ってボコボコにされ、あえなく変身解除。

一人残ったスパークルは進退窮まり、多少は反撃するも叶わず。

太陽(サン)?使えるわきゃあねーだろ、街のド真ん中で!

これにて全員戦闘不能。敗北確定。

 

「振り返ると…今回、一番恐ろしかったのは康一さんだわ。

 億泰さんに攻撃するところまでいっても、すぐに引き離されたもの」

「それを言うなら、仗助さんだってスゴかったよ。

 わたしにピッタリ張り付いて、逃がしてくれないんだもん。

 今回の戦いで、『なおす』力は全然使ってない…スタンドの地力だけでこれだよ?」

「あたしはみんなコワイ。フクロ叩きじゃん最終的に!」

 

今回の花寺は、前回のエジプト行きチーム戦とは逆の立ち位置になったようだ。

仗助にマークされたまま動けなくなり、そのまま挽回できなかった。

当然ながら、仗助のいた場所は俺のいた場所だ。

人質に等しい状態だっただろうよ。誰かひとりは仗助に向かわざるを得なかったんだ。

こっちは前回とまったく同じ状態だなぁー俺。

今回に限っては責任は薄いが、足を引っ張ったには変わりない。

もちっと、どうにかならねーかなぁ。

口には出さん。沢泉を怒らせることがわかりきってる。

たった今決着した話を舌の根も乾かねえうちに蒸し返すんだからな。

とか思ってたら、本人が言った。おい。

 

「やっぱり、4対3で戦うべきだったわね。

 鳴滝くんを先に行かせるにしても、すぐ戦える位置に私達がいないと

 今回みたいに『瞬殺』されて、どうにもならなくなるかもしれないわ」

「死んじゃったら、おしまい…そんなことはさせないよね」

「そん時は助けてくれ。

 ま…俺のスタンドはフー・ファイターズだからな。

 即死しない限りはなんとかなるだろうよ」

「手とか足とかなくしちゃうのもヤダかんね。

 それ以上不自由になったらさぁー、一人暮らしとかムリじゃん!」

「たぶん…その辺も……」

 

…待て。

待て俺。口走る前に考えろ!

俺が、言おうとしたのは……

 

『大丈夫じゃあねーかなぁ。

 今、俺、左手ないんだぜ?皮だけ緊急でこさえたF・Fの塊…

 最悪、頭と臓器が生き残ってりゃなんとかなるだろ』

 

知ってるだろ。俺がよくても、こいつらは良くないんだ。

沢泉にあれだけ怒られて、まだそんなセリフをぬかすのか?

 

「どったの?」

「…その辺も……その通りだ。

 F・Fがいるから、だましだましはやれるけどな」

 

……よし、乗り切った。

三人と四匹がそれぞれにヘンな顔をしているが!

ただドモッた程度だ。それで通せる。

F・Fには察されたくさいけどな。そっちは仕方ねえ。

 

「その意味じゃあ、お前らよりはずっと取返しがつく。

 一人暮らしだからな。ごまかす相手が誰もいないぜ…

 そういうことだから、ひとまずは命だけ助けてくれれば十分だ。

 お前らこそそういう目に遭うなよ。F・Fの貸し出しとか、無理だぞ」

「パパとか、お兄とお姉に、なんて言えばいいのかな…

 そんなコトになったらさぁー」

「F・Fで代わりを作って、俺みたいに時間をかけて治すとしてだ。

 50m以内に張り付き続けることになるな、一か月以上……」

「ストーカーじゃん」

「イヤならンなケガすんな。そーゆーこった」

 

空気も戻った。期待した通りの反応だ。助かるぜ平光。

だけど、俺はこいつみたいにはなれないのはわかってる。

わかったつもりで気安く軽口を叩いてたら、いつか地雷を踏むかも…

用心しなければ。こいつは、俺の最大の後ろ盾なんだ。

今の俺は、皆の助けになるためにあるんだと思ってる。

それを、誰にも望まれなくするわけにはいかないだろ?

進んで死にたいとはもう思わないからな。だからこそ身を守らないとな。

 

「ン?」

「なんでもない、こっち見んな」

 

オホン、と沢泉が咳払いをした。

 

「…まあ、そうね。

 スタンド使いが相手だったら、やっぱりあなたにまず行ってもらうしかないわ。

 こんなこと言いたくないけど…本当に嫌だけど。

 そういうことになって一番取返しがつくのは、F・Fと一緒のあなただものね。

 でもね、忘れないで。あなたが痛くなくても、私が痛いわ」

「……。あぁ、わかってる」

 

思いとどまってよかったよ。さっきの言葉。

というか…やっぱり、感づかれてたくさい?

花寺も身を乗り出してきた。

 

「鳴滝くん。わたしが死んだり、大怪我をしないように…守ってくれるよね?」

「ま、そーだな。力の及ぶ限りだけど…」

「ありがとう。わたしも守るよ。

 また血が足りなくなったら、わたしから輸血するよね?

 だから…わたしを守ってくれるように、鳴滝くん自身を守ってほしいな」

 

ああ…そりゃあそうなるだろうよ。

血液型の関係で、俺に輸血できるのは花寺だけなんだから。

俺が多量に出血すれば、花寺が穴埋めするしかないんだもんな。

こりゃあうかつにダメージ負えねーよ。なんつー論法だ。

しかも、これだと…逆に俺が花寺の輸血パックになるケースもありえるわけで、

だったらなおのこと粗末に扱えないこの体だな……メシ食わねーと。

 

「それじゃあ、先頭に立たせた鳴滝くんの守り方は今後の課題ね。

 一人での戦いは論外ってことよ…

 話を戻すわ。仗助さんたちの戦い方は、やっぱりチームワークよね」

「うん。でも、別にあらかじめフォーメーションとか決めてるわけじゃあなくって。

 億泰さん、たぶん思ってるままに動いてたよね?」

「それよ。康一さんは、それをわかって完璧に合わせてきてる感じだったわ…

 億泰さんのスタンドプレーを抑えないで、そこに連携できるのよ。

 お互いのクセとか考えを隅から隅まで知ってるからこその動きよね…」

「仗助さんは、それを邪魔させないためにわたしを逃がさなかったのかな。

 だとしたら、すごいよ…信頼だけで作戦が出来ちゃってる」

 

言っている通りに話は戻る。戦いの反省会にだ。

億泰は、仗助たちチームの中では最も考えが浅いだろう人間になるが。

その直感と感情で動く気質にピタリと合わせられる仲間がいることで、

爆発力だけを発揮していたのが今回の戦いだった…

以前、平光は軽はずみな行動を非難されている。花京院にだ。

だがそれも、クセを読み切れる仲間のフォローがあるなら長所だけを残せるかも…

短所を潰すのではなく長所を伸ばし掛け合わせる。

そんな手ごたえを得た、有意義な訓練ではあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、翌日の夕方だが。

俺はまた、フー・ファイターズを固めた栄養ブロックをこさえて帰ってきた。

今度は商店街裏のドブ川でやった。

こっちには水のエレメントさんがいたが、ちゃんと許可はとったぞ。

一か所で何度もやるな。最低でも二週間空けろ。

取っていいのは指定した8つのポイントだけ。

(どれも温泉の排水が合流してくるポイントで、ソーメンみたいなのがなびいてた)

条件を守っている限りなら、まあ許容できる…という回答だった。

これなら、日帰り浴場と併せれば毎日一個作る分には困らない。

完全な自活が可能になったと言えるだろう……食えるもんならな!

 

「どうする気?食えねェーんだよな?」

「要は栄養が行きわたればいいんだよな…だから、こうする」

 

落ちてたビニール袋をよく洗う。もちろんフー・ファイターズでな。

ちょっとくらいの汚れや病原菌なら食い尽くして消しちまえる。

そうやってキレイになった中に、栄養ブロックを砕いて入れる。

そこに、水道水を注ぐ。いっぱいになるまでな。

 

「……あ、わかった」

 

俺自身の腕からフー・ファイターズのチューブを生成。

直接、静脈の中から伸ばしたそれをビニール袋に突き刺せば完成だ。

 

「血管から食えばいい。どんなにマズかろーが、これでクリアだ」

 

もちろん、ただの点滴じゃあない。

静脈の中からやってきたフー・ファイターズが、

ビニール袋の中の栄養素を直接持って体内に帰っていくんだからな。

ありえないくらい多い量の点滴になるが、だから問題ない。

30分もあれば『食い終わる』ことができる。

…だが、F・Fから見ると、あまり賛成はできないらしい。

 

「まぁ…緊急用の手段としてはオーケーよ、魁。

 よく工夫してるんじゃあないの…?

 昼飯は学校でマトモに食うんだから、いいのかもな」

「何か問題が?」

「消化器官を使わないのが気になっただけ。

 使わないとひたすら弱っていくらしいからね…

 それとあんた。空腹感はどうすんの?」

「水」

 

点滴片手にコップに注ぎ、グビグビ飲んでいくタダの水。

栄養が取れているのなら、空腹感に対してはごまかしでかまわないはずだ。

腹さえ膨れればそれでオッケー!

水道代は実家持ちだ。このくらいはタカらせろ!

 

「オーマイガッ。

 『水族館』でこんな晩メシ出されたら暴動モンだぜ…

 徐倫のブチ込まれた懲罰房棟並みかもな」

「なら、メシの思い出よこしてくれよ、お前の。

 じっくり味わうからなぁー」

「言っててムナしくなんないの、それ?」

「…言うなよ」

 

言われてマジにむなしくなった。

気力を失って、引きっぱなしの布団に寝転がる。

そろそろ干したいな…明後日が土曜日だ。それまでお預け。

宿題もやりたくねえ。明日、学校で間に合わす。

そのまま寝ちまおうとしたところで、ニャトランが来た。

なんだ…?昨日のペギタンといい…

 

「別に何の用でもねぇーよ?

 ただ遊びに来ただけだぜ」

「なら帰ってくれ。俺は眠い…」

「オイオイ、七時半じゃあねーかよ」

 

無理に追い返すのも気が引けたので、起きることにした。

ここに来た目的を、それとなく探ってもいいしな。

 

「昨日の『夢』でよ。反省会でよ…

 おめー何か言いかけてやめたよな?」

「……なんの話?」

「ひなたとか、みんなに言えねーっつーんならよ。

 オレが聞くぜ。吐いちまえよ」

 

やっぱり、全員に感づかれていたらしい。

感づくんなら、そこでやめた事情も感づいてくれよ。

 

「俺な…スタンドが、フー・ファイターズだろ?

 脳ミソと臓器さえ無事だったら、

 他はみんなブッ壊されても大丈夫なんじゃあないかって。

 ふと、そう思っちまっただけな」

「うげぇ…カンベンしてくれよ。

 そりゃあ言わなくて正解だったぜ」

「だろ?」

 

別に答える必要もないんだよな、俺も。

スットボければよかっただろうによ。

聞かされてニコニコしてるとは限らないんだぜ。

それでも、なんでだろうな…言っちまった。

偉そうに。俺はこいつを試しているのかもしれない…

 

「そんなコトになったら、だけどなー。

 オレはきっと悲しいぜ…

 無事な方がいいに決まってんじゃあねぇーか」

「そりゃあ、なぁ…」

「頼れよ。ンなコトになる前によ…

 前にも言ったよな?信じろよな、オレを!」

 

ニャトランは結局、九時過ぎまで居座って帰った。

目的はわからないままだし、大して追及もしなかった。

それから宿題をやって寝た。

 




VS仗助億泰康一は、ガッツリ書けばこれだけで四回は更新できそうですが。
あんまりミクロで書いていってもキリがありませんので、アッサリ目に。

ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。

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