プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
書けたので、即座に投下。
当話は定期更新分としてはノーカンです。
来週日曜日は、また別に投稿するつもりです。
F・F以外のジョジョ側キャラ一名の参戦確定話ですね。
オリ主の話もあるけど…オリ『主』である以上、もう避けられないと判断。
前向きが鍵ね…!?
性質上、今話は語り部なし。
文字数はほぼ5000字。標準的。
これは、主人公たちのいないところでの話。
ゆえに、誰でもない視点から語られることを承知いただきたい。
場所は花寺家…すでに日が暮れ、夕食も済んだ後で。
花寺のどかの父、花寺たけしは表に出て、
スマートフォンで電話をかけていた。平光家に、だ。
「あの後、すぐに振り込まれてきたらしいですね」
「もう聞いておいでですか。一万円、返しに来ましたよ」
「ハハハ、ウチにも直接お礼を言いに来ました。
手紙に返事はおありで?」
「ありましたよ。紋切型の返答ですがね…
ご迷惑をおかけしました、としか書いていませんでしたな」
花寺たけしは、やはり、と思った。
本人から聞いたうえで、娘からも聞いたのだ。
本人が言うには、役立たずには居場所がない家。
どんな手を使ってでも勝利する気風の家で、
だからこそ全国レベルの走者であるうちはどんな我儘も許容され、
足が動かなくなれば用済みとなった。
娘が言うには、どうやらまともな人間がいない家。
彼の、肩を貸されて背を支えられると過呼吸になる体質は、
家族からされた仕打ちが原因だと娘は考えている……
だから、聞く。不審に思っていたのだ。
すなわち。鳴滝家とはまともな家なのか?
「平光さん。鳴滝家っていうのはなんなのか、ご存じなんですか?」
「知っているといえば知っていますが…どういう意味で?」
「彼がやったことが、おそろしい非行だったのは確かですがね…
遠く離れた町にまでそれが知れ渡って、大人にまで警戒されている……
異常ですよ、この状況は?殺人事件でも起こしたみたいな扱いだ…
…鳴滝という家自体に、悪名がない限りはありえません」
「ふむ……おっしゃる通りです。
かくいう私も警戒しとるんですよ。
今、あなたは殺人事件とおっしゃった…それに近いものです」
「…どういうことです?」
唾を飲み込んで聞き返す花寺たけし。
そんな人間に、娘は関わってしまったのか?
いや、まず最後まで聞かなければなるまい……と。
「すこ中の近くに駄菓子屋がありますな。『
もっとも、10年前に閉店していますから、ご存じないでしょうが」
「その、村雨さんが?」
「娘さんを亡くしています。利発で元気なお嬢さんでした。
村雨さんには唯一残っていた家族だったんですが…
お孫さんも、生まれてすぐ事故で亡くなってしまいましたし」
「…続けてください」
オホン、という咳払いが通話で聞こえた。
「初音さん、というんですがね。
12年前ですな…鳴滝家に家政婦として雇われていたようなんです。
それ以上のことはわかりませんが…ある日、『怒って鳴滝家に抗議に行った』」
「それは一体?」
「わかりません…彼女のお友達から、わずかな証言が得られただけでして。
そして、『血まみれに叩きのめされて帰ってきた』」
「なんですかそれは!?大事件じゃあないかッ!?」
「正確には、鳴滝家に行った帰りに、通り魔に遭遇したという話ですが…
彼女自身は何も言わないまま入院して、1年後に病死しました」
「病死?」
「傷から感染症を次々に併発して、
傷がふさがっても体力が落ち込み切って、助からなかったそうです」
傷がふさがったのに体力が戻らない。
その単語の連なりは、なぜか花寺たけしの脳裏に響くものがあった。
が、今は重要ではないと思った。本題に戻る。
「つまり…確たる証拠はないにせよ、手引きをしたと疑われている、と?」
「そういうことになります。
あの事件を知る地元人なら、みんな警戒してますよ…
うちも、ひなた以外はみんな知ってます。
その一族の子供が、突然転校してきたわけですな。
調べればすぐにわかる悪名つきで」
「……なんてことだ。ぼくだって、知っていたら娘を近づけなかった。
しかし…12年前じゃあ、1歳だ。彼は、犯人になりようがない!
親の罪が子に祟っている?それもそれで、おかしい……
ぼく自身、彼を助けたことを恥じたくはない。娘は、気高いことをしたはずだ」
「同感です。ウワサほどの悪タレではないようですしな…ま、様子を見ましょう!
それはそれとして、娘に手を出したら地獄を見せてやりますが」
「…そうですね。ハハハッ、そうしましょう!」
後は、平和な雑談になる……ここは、ここまで。
場所は変わる。人間の世界ですらない。
地平線の彼方まで、穢れきった大気と大地、澱んだ海原が続く…
『彼ら』と、『彼らと戦う者たち』は、この土地の名を知っている。
ビョーゲン・キングダムという名を!
とはいえ、実際のところ…この土地に住まう者は多くない。
宿敵であるヒーリング・アニマルとの闘いで、『彼ら』ビョーゲンズの大半は
討ち取られてしまっているからだ。
ヒーリング・ガーデンの女王テアティーヌは、それほどまでに強かった。
しかし、大量の犠牲を強いられたのはヒーリング・ガーデンも同じこと。
今は互いに痛み分けだが…戦況は、ビョーゲンズ有利の形で推移しており、
彼らビョーゲンズの人間界進出を邪魔できるものは、ほぼいなかった。
「プリキュアを除いて、だけどね」
「クゥ~~~ッ、いまいましいわ、あいつら!」
三人のビョーゲンズが、一か所の岩場にまばらに散ってぼやいている。
それぞれが勝手にふるまっている。コミュニケーションをとる気があるかは怪しい。
岩に寝転がる少年はダルイゼン。
高いところでガツガツ地面を踏み鳴らしているのがシンドイーネだ。
どちらも人間界にてプリキュアと遭遇。負け越している。
「いや!そんな連中よりも!
ナゾの力を使う人間どもの方が脅威だぞ!
このグアイワルの意表をついて、卑怯な一撃をくれよった…
…アガ、アイタタタタタ…ケツがぁぁ…」
そこに脇から異を唱えたのは、岩場にベッドを置いてウツブセに
シャクトリムシのような動きをしている筋肉ダルマ、グアイワルだった。
現存する幹部級のビョーゲンズは、この三名のみ。
組織力は、ほぼ皆無と言っていい。だからこそプリキュアは戦えている。
ヒーリング・ガーデンは、人間界をギリギリのところで守り抜いたと言えた。
「あらァ……バッッッッッカじゃないの?
あんなゴミほどの役にも立たないデミビョーゲンに、
デミビョーゲンにすらなってない人間にしてやられるなんて」
「やかましい!だいいち、ナゾの力の持ち主を確保するのは
キングビョーゲンの命令だろうが!
指示をないがしろにして帰ってきたお前に言われたくないわ!」
「さまをつけなさいよダルマヤロウ。
アタシは一目見てわかったんですゥゥーーーーッ!
あのデミビョーゲンはクズ!ゴミ!ゴミ以下!ゴミ以下の以下!
キングビョーゲンさまの目を汚すゴミ以下の以下の以下には、
捨てゴマでも上等のVIPなんですゥゥゥゥーーーーーーッッッ!」
「手伝ってやれば、勝てたかもしれなかったのに」
始まった口喧嘩に、心底バカにしたような野次を投げたダルイゼンは、
わざとらしく、あーあ、と言ってのけた。
「なによエラッソーに!見てただけのブンザイで…
アンタがクダラナイ任務をしくじったせいで、
アタシに尻ぬぐいさせてんじゃない、ザッケんじゃないわよ」
「あの力を持ったヤツがプリキュアになっちゃったけど?
なりたてで倒せなかったのは誰の責任?オレじゃあないね」
「アンタがさらって来れなかったんでしょうがそもそも!!」
『やめよ』
三者の争いが激化しようとしたところに、空からかかる声。
シンドイーネが激しく反応して見上げると、
暗黒の空に浮かび上がる、邪悪な煙のような顔。
「あああッッッキングビョーゲンさまァッ!?」
黄色い声を上げるシンドイーネに、
尻に鞭打って姿勢を正そうとするグアイワル。
ダルイゼンは横になったまま動かない。
気にすることなく、空の顔は続けた。
『プリキュアは脅威にならぬ。
プリキュアが現れるということは、
まともに戦えるヒーリング・アニマルがいないことの証明。
それよりも…人間どもに現れた、不可解な超能力の解明が先決だ』
「ハイッ、ハイッ、そーですよねキングビョーゲンさまァー!?
さっすがですゥゥーーーッ」
『そう思うのであれば、あのデミビョーゲンを
連れ帰ってくるべきだったな。シンドイーネよ』
「ウッ……」
「言われてやんの」
「黙んなさい、この!」
また争いが起こりそうになるも、主が目の前である。
先にシンドイーネが自粛して、ダルイゼンも特に何もしなかった。
『まあ、よい。
我にはわかる。あの能力は、ヒーリング・アニマルどもの仕業ではない。
であれば、人間界に突然現れた何かであろう。
そして、それが我らがデミビョーゲンとして手中に出来るものならば…
むしろ、我らにとっての力となるものよ…………ダルイゼン』
「何か?」
『しばらくは人間界を蝕まずともよい。
代わりに、同じような能力者を探すのだ。プリキュアの周辺には限らぬ。
発見次第、我に報告せよ。最低ひとりを、間違いなく手に入れるためにな…』
「…了解」
『シンドイーネとグアイワルは、今まで通りに蝕み続けよ。
ただし、能力者を発見したならば…最優先で連れ帰るのだ。
プリキュアと、その仲間は…もはや敵とみなしてよい。倒せ』
「ははッ!」
「かしこまりましたわッ、キングビョーゲンさま」
発言を終えた空の顔は、出てきた時のように
ただの煙のようになり、やがて何もなかったかのように消えた。
いつものことであり、ここに気にする者は誰もいない。
互いに見下しあう三人衆は、王の命令の元に動くだけだ……
「先生。バイタルは安定しました」
「やっとか…なんとか持ってくれたか」
また、場所は変わる。人間界は日本の、病院だ。
すこやか市からはだいぶ離れる、都心近くの総合病院である。
こと、機器、設備に関しては最新鋭を誇っており、
他ではどうにもならない難病を抱える患者の命を、今日もまたつないでいた。
その中の一床に、『奇妙な患者』を抱えている。
「なんなんですか、これは……
原因がないのに、症状だけがあるとしか言えません。
本来なら回復する状況なのに、意識不明で弱っていくままなんて」
「ああ…わからない。
だからこそ、ぼくに回ってきたはずなんだ。彼は…」
「同じような症状を、見てらしたんでしたっけ。先生は」
「うん。あの子は、なんとか持ち直してくれた。
中学校に通って、友達ができたって手紙をくれたよ。
……何もできなかったんだけどな。ぼくは。
何ひとつできないままに、原因不明のままあの子は回復したんだ」
先生と呼ばれた男は、デスクの角を握りしめた。
夜の病棟で、デスクを叩くわけにはいかなかったからだ。
「ぼくは…同じ無念を舐めるために、ここにいるわけじゃあないッ……!
今度こそ、尻尾をつかんでみせなければ……!」
「でも、何もわからないじゃあないですか。
患者が何者かすらも、我々にはわからないんですよね?」
先生と呼ばれた男よりも、スタッフは幾分未熟のようだった。
だが、そんな不安を口に出してしまうのも仕方がないような事情を、
『奇妙な患者』は持っていた……
「伊豆半島中部の山中に、裸で倒れているのを発見された金髪の青年…
日本人とヨーロッパ系白人のハーフ。年齢は24~5。
戸籍をどれだけ当たっても見つからず、DNAを見るしかなかった、か」
「DNA鑑定の結果、母親らしき日本人は見つかった…
しかし、年齢から逆算する生まれ年には、その母親はすでに死んでいた。
…怪談じゃあないんですよ?どういうことなんですか」
「……わからない。彼女には一人娘しかいなかった。父親のわからない『娘』…
その娘だって、育児放棄のせいで4歳で死んでいるが…
認知しない子を作ったとして、死後3年後に出産される子供なんて、いるはずがないッ。
何が、どうなっているのか……」
ふたりとも知っていた。カルテに使われている『
あらゆる手を尽くして得た成果らしいものは、現状ただひとつ、それなのだ。
母親とおぼしき人間の名、『汐華せいら』しかわかっていない。
まさか、娘の名前『汐華はるの』を使うわけにもいかず、苗字だけが書いてある。
「確かなのは…彼には、家も、身寄りも、何もないということだけだな…
あの子には、まだ支えてくれる家族がいたんだ…金銭面でも、精神面でも!
彼には、それすらない!
亡くなろうものなら、誰にも見送られずに無縁仏になってしまう…」
「やりきれませんね…あれほどの美男子。
女の子の方が放っておかないに決まってるのに。それが、誰にも」
「彼には、生きていい目を見てもらいたいね。
それが、ぼくの願いだ。いや、誓いだな…」
病棟の夜は更けていく。
ここはある意味で、スタンド使いやプリキュア達に
いささかも劣らない戦士たちの戦場なのだ……
可能な限り早く『彼』を出したいとか思っちゃいますけど、
近道して真実を見失うことだけは避けないと……
遠回りは近道のはずですから。
あ、ちゃんとストーリー上のアテがあって出してますよ。
キーパーソンです。
『彼』の母の名前は独自設定となります。原作にありません。
ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。