プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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遅刻です。今の今まで書いていました。申し訳ありません。
推敲が甘いと思われるので、あとからいろいろ直すかも…

放送中の原作…
ダルイゼンを味方につけるルートが仮にあったなら、
あすみんはああせずに済んだのか…とか思いました。
だとしても、ぶっちゃけキングビョーゲン倒したところで
手の平返すでしょあの子。ガチで心服させないと。
生まれついての邪悪というか、生まれそのものが邪悪だから厄介。
ダルのどの道は容易ならざるものです。
いや、プリキュアでも前例かなりいるけど。邪悪な出身で味方になったやつ。
ジョジョだって億泰とかF・Fが光堕ち組だし……
敵幹部は全員消えた。あとは最終決戦あるのみか。

さて、予定変更です。
当話含めて6話分、ひなた回でやっていきます。
スタンド使いは出ますがビョーゲンズは関与してきます。

今回の語り部は、鳴滝くん。
文字数は5000字強。このくらいの量を1話分と考えたいです。



スカー・ティシューはここにある‐その1

「まず謝らせてくれ。改めて、だ」

 

『夢』の中。カフェ・ドゥ・マゴ。

俺は四人と四匹に、座ったままだが頭を下げた。

あれからの展開は早かったんだ。

平光父の、鳴滝家への問い合わせからわずか3日で

指定の金額が俺の口座に振り込まれるに至った。

事前に1万円を借りていたのもあって、すでに俺は

『垢』だの『生ゴミ』だのからすでに逃げ出している。

 

「特に、花寺……

 お前の父さんな、普通だったら…

 俺の事情なんか知ったところで、首を突っ込んでなんか来ないはずだぞ。

 俺とお前だったら、お前の方が明らかに大事なんだからな。そうだろ?」

 

うなずいた花寺を見て、先を続ける。

みんな、口をはさまずに黙って聞いてくれていた。

 

「それが、ああなったのは…俺が、目の前で『自殺』したからだ。

 そして、お前がそうしたように、お前の父さんも俺を助けた。

 言い換えるなら…俺は、俺の命を人質にとって脅迫したわけだな。

 お前が独占して当然のものを、俺によこせと言ったんだ」

 

みじめな気分や悲しみ以外で出る涙なんか、初めてだった。

…いや、あの日、退院して家に帰り着いたとき、

それらしいものが流れたことはあったけど…今回が、本物だ。

それだけに、許すべきじゃあない。あれは俺のものじゃあない(・・・・・・・・・・・・)

 

「わざとじゃあねえ。バカと偶然が積み重なった結果がアレだったとは言ってもな…

 後から考えるに、どう考えても俺のやったことは卑劣だった…すまん」

「うん。それで、鳴滝くんはどうしたいの?」

「この埋め合わせは必ずする。どういう形になるかはわからないがな。

 これは返すべきものだ」

 

静かになる。言葉を発するものが誰もいない、無人の喫茶店。

ややあって、花寺は了承の返事をくれた。

 

「…うん、わかった。わたしはそれでいいよ」

 

借金のまま利子だけが積み重なって、さらに借金してる有様だがな、俺。

だがもう、それは今は考えない。いい加減疲れたぜ。辛気臭いこと考えンの!

というか、現金なモンで。

あのオムライスは、食っただけで『苦い』ものとか『苦しい』思いの大部分を消していた。

たぶん一時的に、だろうけどな。だがこの流れに乗るべきだ。

ウジウジ無駄な消耗を繰り返して、みんなを困らせるくらいならな。

抜かりはない…作り方はこの3日で覚えた。

これからはひとりでオムライス食いまくりだ。F・Fもいるけど。

 

「ともかく…今後、何か問題を抱えたのなら。

 まずは、相談…させてもらっても、いいのか?

 もちろん断っていいぞ。俺の責任を負わされる筋合いはないんだからな」

「断んないって。お互いサマじゃん」

「そうね。あなたのせいでいわれのない苦労を負わされるのはごめんだわ。

 だからこそ、相談してほしいわね。

 ひとりで抱え込んで問題を大きくするより、ずっとマシよ」

 

即答する平光に、少し考えて言葉を選んだ沢泉。

沢泉からは、すでに聞いている。

俺が金銭的な危機に陥っていたことは、ゆめポートの時点で感づいており…

最悪、沢泉の祖母(ばあ)さんを頼る予定だったと。

…いやいやいや。無理筋だと思うんだが、接点がなさすぎて。

それに、お前は知らないだろうが…

お前の母さん、俺に対していい感情を持ちようがないぞ。

だが俺は、そんな無理筋を通させる覚悟をこいつにさせていた。

俺がバカな独り相撲をやってるうちに…

ああ、こっちでもだ。俺は俺の命を人質にとってたわけだ。

せざるをえなかったんだ。誇り高いヤツだからな。

…ハイ、ここまで。無駄な消耗なし!

もう二度と繰り返さん。こっちもいずれ埋め合わせる。それでいいだろ!

前回といい、ゆめポートといい…ヒトにグチを吐き出してばっかりだ。

もう、俺の醜態に俺自身がガマンできん。なんとしてもカッコつけるぞ。

 

「まず、俺の『変身』が事実上、使い物にならない件について」

「……そうねぇ」

 

ハァァ…と、沢泉がヘキエキしたツラでため息をついた。

人目のあるところで二分間、半身不随の男が全身を水につける。

それがどれほど困難か、前回の事件で証明されきっちまったんだからな。

 

「はっきり言うわ。他に方法がないのなら、今はあきらめるべきね。

 悩むべきことは、他にもたくさんあるんだし」

「短い夢だったなぁ~~、魁」

「F・F、お前な…沢泉が言うんならともかく」

「実際、無理でしょ…人目を避けようと思うのなら、

 マジでコンソメ片手に人家の風呂に忍び込むしかなくなる」

「ソコで原点回帰かヨ!」

 

そこに戻ってくるとは思わなかったよ。マジに。

 

「入水自殺がイヤならヘンタイになるしかねえのか、俺は?」

「あ、コンソメはいらなかった…

 前回の事件で作ったろ、栄養ブロック。『垢』の!

 あれを代わりに使えば問題ないわね」

「問題しかねえ」

「タッキー、マジ、アカナメじゃん?ソレ」

「うるせえ。ンなこと言ってると食わすぞ、てめーに!」

「おぞましーコト言ってるラビ。ヘンタイラビ」

「自殺はともかく、ヘンタイは誰が助けてくれるペェ?」

「ケーサツだぜ、ソッコーでタイホだぜぇー」

 

各々、勝手なコトばかり言って収拾がつかなくなりかけたのを、

花寺がきっちりシメた。お前がリーダーだよな、やっぱり。

 

「マジメに言うよ?

 それ、やって人に見つかったら…居場所なくなるよ。この町に…

 問題外、検討する価値もない…で、いいと思うな」

 

グウの音も出ねえ。そもそもイヤだけどな俺だって。

そこへさらに、沢泉のトドメが加わった。

 

「もっと言えば、鳴滝くん。

 あなたを助けてくれた大人、全員の顔がつぶれるわね。思いっきり…

 私も、『なし』だと思うわ。あきらめましょう」

「…マジか。始まる前に全てが終わったぞ…チキショオ」

 

この結論だと、アドバイスくれたジョセフの面目も丸つぶれなんだがな?

俺自身、正直面白くない。当初は乗り気じゃあなかったとはいえ…

今までの労力が無駄だったと言われるのは…ああ、面白くない。

だが、まったく言う通りで、それを覆すだけの材料を持たない俺だった。

しょうがない。しばらくは水面下で、迷惑をかけない範囲で研究していくか。

F・Fもイヤとは言わないだろ。

 

「……ン?

 もしかしてさ、くやしい?ムカツく?」

「ンなこたぁーない」

「変身の練習、ガンバッてしてたじゃん。

 実は、さぁー。あたしも…始まる前に終わっちゃったんだよねー」

 

…何が?

全員の動きが止まって、平光を見た。

いや、ニャトランだけは例外みたいだ。

腕組んで、ウンウンとうなずいてる。

 

「あたしさ、投稿してみたかったんだ。動画…

 自撮りで歌ってみたり、踊ってみたりとかさぁー」

「練習に付き合ったんだぜー、オレも」

「……止めるしかないんだけど?

 今、やろうっていうのなら…」

 

鼻白んだ様子の沢泉が、それでも身を乗り出した。

俺も同じように思うし、花寺も同意見のようだった。

で、それは平光自身も同じだったらしく。

手をパタパタ振って苦笑いしていた。

 

「さすがのあたしもワカッたって!

 ウチがみんな危なくなっちゃうかもしんないし!

 投稿する前に思い付いたんだ、プッチ神父にコレ見られたら、って」

 

そう、こいつはホワイトスネイクに命令DISCを差し込まれていた。

それも、遠からずゆめポートに行くのを見越した上でのものだろうヤツをだ。

今はまだ、たまたま行く用事がないのが続いてると考えて不自然じゃあないが…

いずれ、不審に思うときがやってくる。

そこへ、本人が動画配信なんかしてみろ。寝た子を起こすマネになる。

 

「あの。根本的な質問オッケー?」

「ン?」

「動画投稿ってなんのこと?」

 

F・Fは基礎から理解できてなかった。

彼女が元々生きてた2011年当時でも動画投稿サイトくらいあっただろうが、

『水族館』だとアクセスできる環境がなかったらしいな。

順当かもしれん。脱獄に利用されそうなモノを備えておく理由もないからな。

 

「タッキーさあ。教えてあげよーよ、ジョーシキくらい…

 そんなん知んないのヤバイっしょ」

「テレビもねえ、新聞もねえ。そんな俺にどうしろと?」

「『水族館』の方がまだマシだよな、おまえんチ!」

「だろーよ。メシ、フロ、ネルしかねーもん。あとは宿題と、図書室の本!」

「図書室といえば、だけど…TVガイドないの?

 ウェザーがTVガイドマニアなんで、たまに見してもらってたんだけど」

「図書室にTVガイド?それ、めっちゃイイ!よくない?」

「ねぇーよ…ん?」

 

死ぬほどくだらん話に脱線しつつあったが、

沢泉が沈痛な面持ちで首を左右させているのを見て、

一人、二人と、みんな自然にそちらを向いた。

 

「ちゆ、どうしたペェ?」

「ペギタン…いいえ、大したことじゃあないわ。本当に。

 ただ、その…動画を見られたら、って言ったじゃない。プッチ神父に…」

「それが、どうしたんだペェ?」

「…なんて、ヒドイ絵面なのかしら、って……」

「…………」

 

肌の浅黒い、神父服を着た壮年の偉丈夫がパソコンで動画投稿サイトを見てる。

女子中学生の歌とかダンスを。あのツラで。

親指のツメとか噛んでそうだよな、あいつ。

 

「……ひでえな」

「引くね」

「ないわー……

 って、ま、まあ!ソンなコトがあったから!」

 

なんともいえない無残な想像を打ち切るためか、平光が無理に明るい声を出した。

ある意味、異常事態だな。

 

「あたしのデビュー動画もオクラ入り!

 そんだけ!そんだけのハナシ!

 …あ、そーいや、ちょっち気になるコトあったっけ」

 

気になること?なんだそれは。

全員、積極的に話に乗った。妙なくらい熱心に。

この際、内容はなんでもよかったんだろう。

 

「自分で動画撮んのに、イロイロ見てたんだよ参考としてさ。オベンキョーね?

 見る方に夢中になって一週間くらいツブレちったけど……

 そのなかに再生数37とか、そんなのあってさ…だいぶ前に投稿されたヤツなんだけど」

「ほとんど見てもらえてない動画、っていうことでいいのね?」

「ウン、そー。そのヒトのやつね、それより前の動画も似たようなモンだったんだけど…

 おとといくらいに投稿したのが、イキナリ20000再生だったんだ」

「ふわぁー、一気に増えたね。大ブレイクしちゃったの?」

「……チガうんだよねー。むしろ『炎上』?」

 

確かに、気にはなるな。

俺は動画投稿サイトに関心を持ったことはほぼないんだが、

そんな俺にだって理解はできる。

投稿して数か月経っても再生数3ケタも行かないとなると、

マジに箸にも棒にも引っかからないヤツだろう。

その評判が定着しきっちまったヤツのはずだ。

 

「『炎上』?なんだそりゃ」

「そうね…見る人を怒らせたり、極端にバカみたいな内容の動画で、

 悪い意味で注目集めちゃってる状態のこと…で、わかるかしら?F・F?」

「…あー、要するに。『さらし者』?」

「ええ。そういう言い換えもアリよ。

 それで、ひなた…どういう『炎上』なの?」

 

わが意を得たり、といわんばかりのドヤ顔を一瞬してから、平光は続ける。

 

「んーと、アレ…犯罪予告。

 っつっても、何したいのかゼンゼンわかんない。

 『アタシを無視してきたヤツらに復讐するんだー』みたいなコト、

 ムズカシー言葉で言い続けてただけ」

「コメントはどうだったの?」

「ンー、まともに受け取ってもらえてなかった。

 言い方がウケるー、とか、頭ワルそー、とか、低学歴ー、とか」

 

…ないよりマシなのかもな、そんな注目のされ方でも。

本当につらいのは、いないものとして扱われることだ。

形はどうあれ『見られてる』なら、まだ張り切っていけるんだよ。経験上。

口には出さない。また脱線しそうだし、グチにしかならん。

沢泉は、やはりか…という感じの顔をしてるし、花寺はショボくれている。

 

「ヒマなヤツらラビ。

 ヒトをバカにするためだけに集まってるラビ?」

「そーいうの、イヤになるペェ」

「だよなぁー。

 人間て、いいヤツも多いんだけどよ。

 キッツイよなぁー。悪いヤツ見ちまうとよ…」

「クゥン……」

 

花寺のそれを代弁するように不快感をあらわにするラビリンに、

落ち込むペギタンを気遣いながら同意するニャトラン。

ラテが足首に身を摺り寄せてきたことに気づいた花寺は、

少し笑顔になってから、平光にさらに聞いた。

 

「ひなたちゃん。ちょっとでもいいよ。

 その人、『何をする』って言ってた?

 どういう犯罪?」

「…………『盗み』、だと思う。ドロボー。

 起きたら、動画のアドレス送るね。

 って、タッキー見らんないじゃん」

「俺は気にすんな。あとで二人から聞きゃあ十分だろ」

 

話を聞いてる限り、なんとも判別がつかん。

バカが何も考えずに出まかせをぬかしてるだけか、

それともバカなりに何か実行するつもりなのか?

だが、『炎上』という形でも注目されてるってんなら、

何か真に迫るものがあるってことだろう…ただのバカの可能性は低い。

ということは、突き抜けたバカか、ガチの犯罪計画か。

どちらであっても、俺たちには関わりがない。

そんなものを追いかけてる余裕なんぞ、俺たちには最初からないんだからな…

そいつが(・・・・)スタンド使いである場合を除けば(・・・・・・・・・・・・・・・)

願わくば、ちょっとの間くらいはゆっくりしたいもんだな。

F・Fが言うには、やっとまともに左手を修復し始めたところらしいし……

 




なんのスタンドかは、わかる人にはすぐにわかると思われます。

ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。
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