プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
ひなたの家族関係。最終回に至るまで、
キングビョーゲンとの戦いでみんなの祈りが集まるシーンにまで
いないということは……もう、そういうことだとみなしました。
今回の語り部は、ひなた。
文字数は5500字弱。
『雷のエレメントさんが泣いてるラテ…!』
放課後、公園でたむろってたあたしたちだったけど。
あの人がスタンド使いでビョーゲンズだったら、
スグになんかしてくるかもってことで、固まって待つコトにしたんだけど。
来なきゃあいいなって内心思ってたんだけどさぁー。
「あー、来ちゃったよ……ビョーゲンズ」
「問題は、これがただのビョーゲンズかっていうことよ。
もし、最悪の予想通りだったとしたら」
「最初に何をしてくるのか…盗んだのはスピーカーだよ。
そして多摩の事件でやったこと……鳴滝くん」
あたしたちの座ってるベンチから離れて鉄棒に寄っかかってたタッキーが、
のどかっちの視線にこたえて指パッチン。すぐに耳が聞こえなくなる。
フー・ファイターズで耳に空気の層いくつも作って鼓膜をガードするんだって。
骨伝導……ホネを伝わる音は止められないから、気休めって言ってたっけ。
あたしたちだけじゃあないよ。ラビリンにもペギタンにもニャトランにも。
もちろんラテにだってやるんだってさ。
大音量の中にワンちゃんを放置するとか、ボーリョクだもんね。
トーゼン、回りの音がゼンゼン聞こえなくっちゃあ話ができないんだケド!
そこは、F・Fが解決済みってワケ!
『ここからは、あたしが中継する!
あんたらはフツーに話しゃあいい…あたしが拾って、直接鼓膜に届けるぜ。
魁を中心に50m以内が射程距離だ。それを忘れるな』
ホントはタッキー、ちゆちーにDISC渡しちゃってさ、
スタンド会話で済ませればいいじゃんって考えてたらしーけど。
そんなコトしたら自分で自分を守れないじゃないって、
即ちゆちーにダメ出しもらってこーなったの。
「じゃあ、聞くね。
ラテ、どっち?」
のどかっちが、ラテを抱え込みながら聞いてる。
弱り気味の前足で指してんのは…商店街…の、ハシッこ?
「足湯かな?おっきいヤツ」
「お祭りで運営委員のテントが出る場所よね。
ほとんどビール飲み場だけど…
機材を広げる場所も、電源も十分にあるわ」
「そのへんは、わたし、わかんないなぁ。
でも、合ってそうだね。行こう」
「オッケー、んじゃ、ニャトラン。へんし」
「オイひなた、ソイツはまだだぜッ!
今回はギリギリまで変身しねーで近づくんだろ?」
「……あッ、ごめん」
そーだった。
もし、最悪の予想の通り…
ビョーゲンズが、レッド・ホット・チリ・ペッパーを使ってるんなら。
チリ・ペッパーに足止めされて、本体が遠くに逃げちゃったらめっちゃヤバイ!
遠隔操作であたしたちとガッツリ渡り合いながら、
本人はビョーゲンズとして汚染を広げまくっちゃうから、そのうち勝てなくなる。
本体が見つかるまで、あたしたちは見つかっちゃあダメなんだ。
変身したら、光でバレるかもしんない!
「ンもー、しっかりするラビ!」
「予想が当たってたら、今までで最悪のピンチだペェ」
「ンで、最高のチャンスだろ?ビビんなよペギタン」
「急ぐぜ。機材の設営に、チリ・ペッパーなら…数分もかからねえはずだぞ。
ましてや、練習済みなんだからな」
急ぐって言っても、タッキーの足って松葉杖だかんね。
みんな合わせるしかなくってさ。
離れすぎたらビョーゲンズに誘拐されるかもしんないし。
あたしとちゆちーがタッキーの前に出て、のどかっちは後ろ。
近くの電線とか近づかないよーに警戒して進んでたら……始まった。
ドワォァァアアアアアーーーーーz____ッッッ
ドリュデ ドリュデ ドリュデ
ギュオオオォォオンワォォォォォォォォーーーーーーーーーッ
ォンォンォンォンォンオンオンオンオン
「ふわぁぁぁッ!?」
「ラッ…ビィィ……ッ!!?」
「ペッ……!?」
「ニ”ィィッ……!?!?」
シャレになんない、めっちゃ爆音!!
のどかっちが悲鳴を上げた。ヒーリングアニマルのみんなも!
あたしだって似たよーなモンだよ。
F・Fが耳センしてんのに、お腹の中身がひっかき回されるみたい!
「こんな、ひどい音なんて…どういう神経なのッ?」
「みんな、ラテが!」
のどかっちの声にみんなが振り向いて、駆け寄る。
ラテが、ぐったりしてノビてる…のどかっちの腕の中で、動かない。
みんな、手を伸ばしてラテをなでる。あたしも。
「……なんてことしやがんだ、ド畜生」
「止めるわよ、一刻も早くよ」
周りを見てみる…見なきゃあよかった、かも。
道行くオジサンとか、おバアチャンとか、みんな倒れて耳をふさいでる。
耳をふさいでもどうしようもない音に襲われて、震えてるしかないんだ。
あッ、知ってるコがいる。ビッキーだよ。ウェルシュ・コーギー。
ウチの常連さん。あたしと同い年のオジイチャン犬が……
泡を吹いて、ひっくり返っちゃってるじゃん。生きては、いるみたいだけど…
ちょっと歩くだけで、そんなのが次々に見えてくる。
ロシアンブルーのタマキちゃんが、倒れて空中をパタパタひっかいてる。
あそこにいるのは、ポメラニアンのチャコくん…柱に噛みついたままグルグル暴れまわってる。
チワワのシーザーちゃん、セントバーナードのジョン、三毛猫のウタちゃん……
みんな、みんな苦しんでる。
「ヒドイ、ヒドイよッ…こんなのアリ?」
「ないよ。こんなの…止めよう?」
「……ウン」
あんまりにも音がヒドすぎて、ドコから響いてんのかもハッキリわかんないけど。
あたしたちは、最初にラテに聞いたもんね。そっちに向かって、ずっと歩く。
……アタマ痛くなってきた。耐えらんない!
でも、あたしたちは耳センをしてコレなんだ。
そうじゃあない他のみんなは、もっとヒドイ…死にそうな思いしてるよね?
行かなくちゃ。あたしたちが止めなくっちゃ。
「だけどさ、この曲…」
「ひなたちゃん?」
「はっきし言って『古い』よ?
めっちゃ前のアイドルの歌、だと思う」
「平光…悪い。今は付き合ってられない。
ラテがヤバすぎる」
「……ごめん」
タッキーだけじゃあなくって、ちゆちーにも同じような顔をされた。
当たり前じゃん。ラテがヤバイ、より大切なことなんて、今あるワケないよ。
どーして、あたしってこーなのかなぁ。
集中できなくて、ヘンなトコに目移りしちゃってさぁ。
「ひなたよぉー」
「ニャトラン?」
「後でいっしょに悩もーぜ。今はビョーゲンズをブチのめす!」
「…うんッ」
強いよね、ニャトラン。
そーだよ、ヘコんでたってダメだかんね。気合い入れて行こー!
でも、さっきの疑問。フシギと頭を離れなかったんだよね。
なんで、こんな曲を流してるんだろう?
よく聞いてみたら、歌ってる。そこはフザケてないみたい。
このひとがしたいことは、なんなんだろ?
『見えたぜ……前方120m!
ここらで変身して、一気にスピーカーを叩くべきだ。
こいつを放っておくと、プリキュアでもマズイと思う』
考えてる間に、F・Fが教えてくれた。
行く先で、黒い箱みたいなの…スピーカーが山みたいに積まれてるのを。
ここまできてやっとわかった感じ。ゼッタイ、あそこから音がしてる。
そして、その後ろの人影……ツノ生えてるじゃん!ビョーゲンズ!
「スタート!」
「プリキュア、オペレーションッ!」
全員、変身だよ!
こっからが本番だね…
「スパークル、今こそ
ここからなら届くでしょう?スピーカー、みんなやっちゃって」
「エエッ?誰か巻き込んだりしない?」
「あのビョーゲンズのすぐそばには、誰もいないわ…
踊ってるのかしら?…とにかく、動きでわかるわよ。
ド真ん中を狙って、吹き飛ばしちゃうだけでも意味があるわ」
「ン、そんなら…りょーかい!」
あたしだってたくさん練習してんだよ?
動かない相手を撃つんだったら問題ないない!
「俺はラテを預かった。
後から追うよ…スピーカー、頼むぜ」
グレースからラテを渡されたタッキーにも頼まれる。
さー、イッキにヤッちゃうぞ!
右腕をまっすぐ伸ばして、人差し指が照準…狙って狙ってー、いけッ!
「
あたしの頭上に出て巨大になっていった太陽からレーザー三本。
一本はド真ん中。あとの二本はビミョーに左右ずらす。
練習なら、これで大体当たった…よっしゃ、大当たり!
爆発して、スピーカーがみんな倒れた!
「やったよ!みんな」
「突っ込むわ!」
「立ち直るヒマなんか、あげない!」
みんなでダッシュ。プリキュアだったら100m、1秒くらいでイケちゃう。
そろって踏み込み、せーので飛んで…みんな、撃つ!
「プニ・ショット!!」
さすがのあたしにもわかるよ!
みんな、これでヤッツケて!一気に浄化するツモリだったって!
ここまでやってわざわざプニ・ショットにしたのは、
デミビョーゲンだったら人間の身体だから。
プリキュアのパワーで殴ったり蹴ったりしたら壊れちゃうから!
…でも、あたしは。あたしだけじゃあなくって、みんなだけど。
どっか甘く見てたのかなあ?
それか、これで『倒せてくれ』って願望が出ちゃったかなあ?
気が付いたら、みんなバラバラな方向にブッ飛ばされてた。
「そ、そんな…」
「わたし、たち」
「なにを…されたのよ?」
倒れこんだあたしたちの前に、ビョーゲンズが立った。
やっと、まともに姿が見えた感じ。
やっぱり女の人。顔は、ソバカス…あのヒトだよ、ゼッタイに。
曲がったツノに、サソリみたいな尻尾は、ビョーゲンズだからだよね?
アイドルみたいなカワイイステージ衣装なんだけど、ドクドクしい色で台無し。
片手に、マイクまで握ってる……
「あん、たらに、は…見えない。聞こえェ、ない!わから、ない!
プリ!キュゥ、ア…あんたら、スロー!止まってェ、見え、る!」
「あなたはッ……?」
「『スカー・ティシュー』…あ、新し、い…あ、あ、あたしィ、の…名!」
体を起こしたのどかっちへの答え。
同じだ、タッキーと…新しい名前って言った。
すぐ聞く。聞かずにいらんない。
「おねーさんの、人間の名前は?」
ドボォ
「うぐええ…ッ!」
グワシャアァン
いきなり出てきた何かに、ミゾオチに指突っ込まれた。
そのまんま振り抜かれて、後ろの建物のガラス戸をブチ破っちゃった。
痛い…だけじゃあない。シビレる…
首だけ起こしたら、見えた。バチバチ電気を放ってる
最初からわかってた、最悪の予想。レッド・ホット・チリ・ペッパー!!
のどかっちとちゆちーもわかったみたい。
あたしたち、プニ・ショットを撃つ前に体の向きを変えられたんだ。
あたしたち同士を撃つように変えられた!メッチャクチャな速さで!
「ニンゲン、名前、ェ!
もォ、いら、ない!必、要!ない!
あん、た…だ。あ、たしィのォォ…歌!止めェ、た、の!」
「なんで…こんなコトすんのッ!?
歌だったら、フツーに聞いてもらえばいーじゃん!
配信すれば、誰か聞いてくれんじゃん!
なんで、みんなを苦しめてんの?」
「聞く、ゥ!ニンゲン、なん、か…いら、ない!
ニンゲン、聞かれ、るゥ…と、ツマ、る!ドモる!
歌い、たいィ、のに…歌ァ、え、ない!
ニン、ゲン、邪魔!消え、ちまえ!」
…なに、言ってんの?
あたし、ゼンゼンわかんない。
ヒトカラしたいダケ?
ニャトランが、ヒーリングステッキから怒り出した。
「バカヤローーーーーッ!!」
「…ネ、コ?生、首?
ヒィィー、リン。アニマ、ル?」
「人間だけじゃあねぇーだろッ
見えねーのかよ、犬とか猫がヒックリ返って泡吹いてんのがよぉぉーーーーッ」
「……そ、れが?どォ、した!
カミつ、くかッ、くかッ…ションベン、タレ!る、しか!
能の、ねー!害獣…が!くた、ばれ…くった、ばれ!」
…………もっと、ワケわかんないこと、言われた。
なんなの。その言いぐさ。ラテをあんなに痛めつけといて。
みんなを、死にそうな目にあわせといて。
「…アンタ。ラテの…みんなの、何を知ってんの?
なんで、みんなが害獣だっての?
なんで、こんな目にあわされなくっちゃあいけないの?アンタに!!!」
涙が出てきた。ウチの常連のみんなが…そうじゃあないみんなも。
さっきのアレでどんな苦しい思いをしたのかって考えたら。
苦しんでたみんなの姿を思い出しちったらさぁー。
ツラくって、胸が痛いの、トーゼンじゃない?
そんなこともわかんないの、アンタ!!
「アンタにいったい何したの?みんなが!!」
「あた、しを笑ッッ、ッた!!
あた、しを!笑ッて、る!どい、つも!こいつ、も!」
「ンなワケないじゃん!
知ってもいないアンタを、なんでみんなが笑えんの?」
「あァ、ンた、も!あた、しを!笑ッて、る!!
消えち、まえ!消え、ちィまえ!」
「…なんで?どーしてそーなんの?」
いつ、あたしがそんなコトしたの?
違うよ、めっちゃ怒ってんだよ、あたし!
言い返そうとしたら、グレースとフォンテーヌがあたしのそばに立った。
「スパークル!こいつは『スカー・ティシュー』。
ビョーゲンズよ、忘れないで!」
「フォンテーヌ?…どゆこと?」
「取りついたビョーゲンズが、このヒトの悪い心だけを…
病んだ心だけを大きくしてるんだよ。鳴滝くんのときと同じ!
わたしたちが、お手当てするの!」
「グレース……うんッ」
そーだった。
『ダーティ・ウォーター』だったタッキーだって、
みんなに心配かけたくないって思ったり、あたし心配してくれたりしてんじゃん。
だったら、おねーさんも…これが全部なワケ、ない。
なら、あたしは…何をしてあげられるかな?
「病ん、だ…?あ、たしィ、が?
ウツ、呼ばァワリ、すん…な!
都合ォ、イイとき、だけェ!?
行け、チリッ、ペ!!パァッ!!」
ギュバ!!
ギャン バシィィッ
来たッ、チリ・ペッパーが!
速い…けど、それよりも早く。
グレースとフォンテーヌが、プニ・シールドで防いで、弾き飛ばした!
練習の成果じゃん。来るのがわかってれば、やれる!
みんなそろえば、怖くないよ!
「地球をお手当て、ヒーリングっどプリキュア!」
今話にて、ひなたがプリキュアなら100m1秒でイケるとか言ってますが。
根拠ありません。仮にそうなら時速360km。新幹線追い越しますね。
ジョジョ側では、ワムウあたりならなんとかやれそうな気はしますが。
ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。
たった一言でも心の栄養になるんです。