プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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原作にそぐわない部分の修正、今回はとくになし。
いや、あるんですけどね。
今話の更新分だけで、ちょっとパワーが枯渇。

今回の語り部は、のどかっち。
文字数は5500字強。
その6で〆ができるか、ちょっと怪しくなってきた。



スカー・ティシューはここにある‐その5

「なァ…に、が!ヒー、リン!グッ!ど、よ!?

 バガにィ、し、した、その…ツラ!

 チョン…チョオン斬ってェ、コロ、コッ、コ、転がしィ、て、やる!」

 

聞くに堪えないコト言われちゃってるよ。

少しだけど、わたしも動画、見てるんだ。フォンテーヌもね。

ちょっとキツそうで、悲愴な感じの顔してたりしたけど、

ゲームを遊んでる最中はホッコリした雰囲気もあったんだよ。

それを、あんな顔にしちゃうなんて……

 

「ビョーゲンズ…許せない!」

「助けてあげるラビ!」

「うん、行くよ!」

 

とは言ったものの、うかつに切り込めないんだよね。

今のわたしたちが、スピードでレッド・ホット・チリ・ペッパーに勝つのは無理。

『夢』の中で仗助さんロボと打ち合った感覚だと…

クレイジー・ダイヤモンドのパンチより二回りくらい遅いんだよ、わたしたち。

パワーは互角なんだけどね。

もっとも、ね。わたしたちプリキュアは本体そのものがカッチカチに強化されてるから、

防御力だったらずっと上だよ。だけどそれは、ビョーゲンズも同じなの…有利になれない。

つまり、勝ちを引っ張り出すにはスタンドの差を生かすしかないんだけど…

戦いでまともに使えるスタンドは、スパークルの太陽(サン)だけ。

プリキュアの力だけで、チリ・ペッパーをいなすしかないよね。

そして、ビョーゲンズを相手に長期戦は…『ない』。

汚染を広げられるのをただ待つことになっちゃう。負けに行くのと同じ!

 

「みんな、固まって戦おう!

 わたしが近づいて殴るから、フォンテーヌはわたしを守って!

 スパークルは、プニ・ショットか太陽(サン)でチリ・ペッパーを邪魔して」

「わかったわ」

「ジャマ、だね。りょーかい」

 

三人で駆ける。即座にチリ・ペッパーが来た。

スパークルが狙いをつけるヒマもなく、わたしにまっしぐら。

予想通りだよ!本体を狙われたら当然だよね?

 

「プニ・シールドッ!」

 

ギュン!

 

ズバ ドォォ…ン

 

フォンテーヌが開いたバリアに守られて、チリ・ペッパーがまたのけぞる。

スカー・ティシューも、のけぞって持ってたマイクを取り落とした。

プリキュアさえも超えるようなパワーで殴ってきたけど、

それだけに防がれた反動が本体に思いっきり跳ね返ってる。

 

「ンなッ……にィッ…!?」

「やっぱりね…あなた」

「戦い慣れて、ない!

 そりゃあ、そうだよね…戦いになる相手なんか、いたはずないもん」

 

もしかしたら、ビョーゲンズにされる前に抵抗したかもしれないけど…

そのくらいしか、思いつけないよ。

あなたにとって致命的なのは、その戦闘経験のなさ。

搦め手なんか、考えついて使うところにまで、いけるはずない!

逆に…そうなる前に決めないと、まずい!

仮に、本体がこのヒトじゃあなくって、元の音石明だったとしたら…

正直、勝てる要素がないよ!?育っちゃう前に倒すの!

 

「どんなにパワーとスピードがスゴくったって!」

「本体のあなたが、使いこなせなければッ!」

「ヤラせないかんねーッ!?」

 

スパークルが、今度こそプニ・ショットで狙い撃った。

三発。スパークルは練習を続けるうちに、必ず三発撃つようになった。

一発は狙った場所を、あとの二発はほんのわずかにずらす。

これなら、動いてる相手でも一発はかすめるようになった。

消耗も三倍だから、いつもやるのは気を付けなきゃ、だけど…

チリ・ペッパーは避ける必要を感じたみたいで、跳んだ。

跳んだなら、スカー・ティシューを守るものは、なにもない!

 

「行くよ、フォンテーヌ!」

「ええ!」

「あたしはチリ・ペッパー!」

 

あとはせいぜい10m程度の距離。

プリキュアにとっては、踏み込みひとつの間合いだね。

スパークルが、もっと撃つ。チリ・ペッパーの着地地点に。

体勢が崩れてて、今度は避けることもできない。

黄色の光弾が直撃。本体のスカー・ティシューも、吹っ飛ばされて転げる。

これで、逃げることもできなくなった。

 

「一気に決めるラビ!」

「うん。エレメント・チャージ!」

「くッ…来ン、な!来、るんじゃ!…う、うぅぅ~~ッ!?」

 

かわいそうだけど、倒すしかないよ。

…ううん。かわいそうなのは、ビョーゲンズに利用されてるヒトだけ。

ヒトの心を踏みにじって蝕むビョーゲンズは、どう考えても許せない。

そうでなくても、蝕んだ先をただ苦しめて、いずれは死なせるだけなのに。

 

『てめーさえよければいいという……

 もはやこの地球上に生きてていい生物じゃあないな、こいつは……』

 

承太郎さんが、『ラット』に向けて言ってた言葉が頭の中に聞こえてくる。

わたしも同じ思い…だから倒す。それ以上でも以下でもないよ!

プリキュア・ヒーリング・フラワーで終わらせる。

 

「プリキュアッ!ヒーリング…」

「おおっと、待ったァァ~~ッ!

 待たないと後悔するぞ?プリキュアァ~ッ」

「…えッ!?」

 

割り込んできた声を、わたしは覚えていた。

振り向いて、さらにはっきりわかった。ビョーゲンズの、グアイワル。

そして、嫌でも理解した。何をしたいのか。

 

「ぐ、グレー…う、グッ」

 

つかまってる。…鳴滝くん、だね。

片足首を掴まれて、宙づりにされてる。

一瞬わからなかったのは、顔が腫れ上がってたから。

血も出てる…どう見ても、殴られた後だよ。連続で。

 

「なッ、なんてこと…」

「立場はわかったようだな?

 話を聞く気になったようで、何より」

 

シュバ! ドッゴォォ

 

「ぐおわあああああああッ!?」

 

でも、グアイワルが何か言い終わる前に、

スパークルがプニ・ショットを放った。

もろともに吹っ飛ばされる鳴滝くん…

 

「ス、スパークル!?何してるのよッ!?」

「カッキョン式お助け法!

 こーやってポルポル助けたんでしょッ!?」

 

そのまま一気に駆け寄って、鳴滝くんを背負い上げて戻ってきた。

カッキョン、って…花京院さんのこと?

皇帝(エンペラー)の攻撃からポルナレフさんを逃がすために、

エメラルドスプラッシュで、あえてポルナレフさんの方を撃った話をしてるみたい。

承太郎さんは当事者じゃあなくって、ふたりから聞いただけだったけど。

 

「これでもーダイジョーブ…」

「……バカが!話を最後まで聞かんとは!

 そいつは死んだぞ。おまえのせいでな、プリキュア!」

 

大してダメージにはなってなかったみたい。

グアイワルは背中をさすりながら身を起こすと、いまいましげに言ってきた。

 

「…え、何それ?何言って」

 

すでに、何かされていた?

疑問符を頭上に出してるスパークルの、その背にいる鳴滝くんを見る。

…また、嫌でもわかっちゃったよ。

 

「スパークル、お尻よ!…血がッ」

「えっ、あたし?…ンなッ!?」

「違うペェ!魁のだペェ!

 血が止まらないペェ、手がもう血まみれだペェ!」

「……え、なんか、ナマあッ…」

 

スパークルが、片手だけ外して、自分の目で確認する。

黒みがかったような、紅いぬらついた液体がしたたってるのを、見てしまった。

 

「…えっ、……えっ?」

「そいつのケツには!こいつが刺さっていたんだがなァァ~?」

 

グアイワルの手にあったのは、引きちぎられた鉄パイプみたいなもの。

たぶん、机の脚。鋭くなってる先端からは、やっぱり紅い液体がしたたってる。

 

「あの時のお返しに、深く深く差し込んでやったぞ。根本までな?

 踏んづけて、限界まで突っ込んでやった……

 そいつは、すでに…血袋ということだな!

 フタが外れれば流血死という寸法よ。それを説明してやろうとしたのに…

 引っこ抜けてしまってはしょうがない!この、バカが!」

「う………ウソ」

「…チ、チキショオーーーッ!!

 スパークル、気ィしっかり持て!!

 最短で片づけて、お手当て間に合わせるぜッ」

 

ニャトランが必死で呼びかけてるけど、

スパークルは手を見下ろしたまま、動かなくなっちゃった。

 

「何度でも言ってやろう。おまえのせいだぞ、バカが!

 このオレの、キングビョーゲンへの手土産を台無しにしおって…

 後はまかせるぞ。やってしまえ、スカー・ティシュー!

 プリキュアどもを片づけたあかつきには、

 オレがキングビョーゲンに取りなしてやろう!」

 

言うだけ言って、勝手に消えたグアイワル。

…これだけ時間を与えちゃって、立ち直ってないわけがない。

スカー・ティシューは、離れた位置から改めてチリ・ペッパーを構えていた。

 

「…ウル、セ、エ!

 どー、せ!ク、チだけ!ヤロー、よ……あ、あァああんた!

 手、柄、は!てめー、で!持って、くゥ、ツモ…リィの、く…せェ、に!

 ゼン、ブ…消、えろ!消えェ、ちィ、まえ!」

 

こっちも構える。ニャトランの言う通り、全速力で片づけるしかないもん。

…あれ?でも…なんでかな?

そんな、死が迫っているような気は…あまり、しないよ?わたし…

スパークルは、立ち直れてないけど。

フォンテーヌを見ると…わたしと、同じ?

そう思ってると、頭の中…鼓膜に、直接、声がきた。

 

「あー、こちらF・F。魁はダメージを負っちゃあいるが。

 見た目ほどヒドくはない…ぶっちゃけ死んだフリ!

 流れてる血も、七割方はあたしがこさえた偽モノだ。

 ケツに刺されたときも、致命的な臓器はみんな脇に寄せて避けた。問題なし!

 折を見て逃げるから、気にせず戦え。あと、ラテは無事。以上!オーバー!」

「すまん。もう少し死んだフリを続けるんで、その辺の物陰におろしてくれ」

 

鳴滝くんも話しかけてきてる。F・Fと同じやり方で。

当然、スパークルにも聞こえてて。

ちょっとの間、立ち尽くしたスパークルは、鳴滝くんを脇に抱えると…

 

「オイ、あのよぉー。…スパークル?」

「よ、よかった…ケド、ムッッッカツくゥゥゥ~~~ッ…

 ザケンナー!!」

 

遠くまで投げ転がした。ボーリングみたいに!

……ああ、悶絶しちゃってるよ鳴滝くん。

でも、たぶん、これ…ひなたちゃんに戻ってから落ち込むよね?

考えとこう、フォロー。

腹いせだけど、遠くに逃がす意味だと間違ってない対処だし…

やさしく持ち運ぶのなんて、スカー・ティシューが待ってくれない。

チリ・ペッパーが動いた。

 

「プニ・シールドッ!何度やっても同じだわ」

「ペェ!」

 

さっきと同じように、弾かれてのけぞるチリ・ペッパー。

本体がのけぞるのも、さっきと同じ……学習してない?

 

「サッサとケリつけよーよ、ニャトラン!

 ショットショットショット!」

「おーよ、チリ・ペッパーさえ動かなけりゃあよぉー

 オレたちの勝ちってコトだぜぇー」

 

プニ・ショットで撃たれて、ジグザグに下がっていくチリ・ペッパー。

避けるだけで反撃せずに下がっていくのは、追い込んでいるように見えるけど。

『学習しない動き』で、わたしたちと戦ってるの?

あんなムズかしそうな、頭を使うゲームを好んでやってたのに?

敵を追い詰める道は開いてる。だから、そこを通っていくけど。

 

「今よ、グレース。本体までガラ空きよ!」

「…おかしいよ。なんで、こんなに楽なの?」

「……グレース?」

 

違和感がふくらんで止まらなくなってる。

このまま進んで、敵を倒せるわたしの姿が…見えてこないの。

途中で、絶対、何かある!

わたしよりも先に、その違和感の形をハッキリととらえたのは、ニャトランだった。

 

「…ひ、ひな…スパークル。

 だけじゃあねぇ!みんなだ!!

 ヤベェよ、下がれッ!!」

「ニャトラン?ど…どして?」

ジグザグ(・・・・)だッ!ジグザグ(・・・・)に逃げてるトコを

 追っちまってんぞ、オレたちッ!?」

「……ゲームの!?」

 

言われたスパークルも何かに気づいた、そのときにはもう遅かった。

遠くから打ちすえる何かに、みんな一斉に襲われたんだから。

 

ズバ! パァァァァァァン

バリ バリッ バチッバチッ バチッ!

 

「きゃあああああああああッ!?」

 

間に合った。プニ・シールドが!

でも、間に合ったのは、わたしとスパークルだけ。

わたしとスパークルは、打たれて防ぎきれず吹っ飛ばされるだけですんだ。

近所の家に突っ込んで菜園とスプリンクラーを壊しちゃったけど、それだけ。

間に合わなかったフォンテーヌの悲鳴は…途切れない!

 

「ああああッ、ぎィあああああああッ…」

「ペェーーーッ!?ペ…ぺ、ペ、ペ」

 

バリッ バチッ バチ バチ ジュッ…

 

わかったよ。何をされたのか。

チリ・ペッパーは電線を持ってたんだ。

引きちぎった電線を十何本も束ねたやつを、ムチみたいにして叩きつけてきた。

格闘にもならないような間合いから、網みたいに!

そこから一緒に、大量の電気も放出してきていた……

直接、電線に打たれちゃったフォンテーヌは、そのまま絡めとられてる!

絡めとられたまま、高圧電流を流され続けてるの!

こんなの、プリキュアでもいつまで耐えられるの?

 

「蒸し、焼、き…に!しィ、て!や…る!

 その、キ、キ、キレイ、な…カオ!と、ノド…

 タダレ、ろ!…焼け!タダレ、ろ!」

「ッ…太陽(サン)!!」

 

シュバ シュババッ

 

ドコォ ズド ドォ…

 

スパークルの太陽(サン)が、電線に通じてる電柱にレーザーを降らせて破壊した。

電力供給が止まった電線は、ただの頑丈なヒモに成り果てるんだけど。

フォンテーヌが、荒い呼吸のままで動かない。ダメージが大きすぎるみたい。

でも、うかつに助けにもいけない。

わたしたち全員があの攻撃に囚われたら…おしまいだよ!

 

『グレース、あたし…電柱、みんな倒すよ。

 それなら、チリ・ペッパーは防げるじゃん』

 

スタンド会話で、スパークルが相談に来た。

話したいことが一瞬で伝わるのは、いいね。

こんなときに、口に出して作戦会議なんて無理だもん。

 

『……ダメ。それはダメ。

 それを狙ったら、本当の最悪になっちゃう』

『ホントの、最悪?』

『スカー・ティシューに逃げられることだよ。

 逃げることを決意されちゃったら、わたしたちの負け。

 全力で逃げに回られたら、たぶん、止められない。

 手に負えないほど強くなってから、戻ってこられちゃうだけ。

 スカー・ティシューは、チリ・ペッパーな上にビョーゲンズなんだよ?』

『じゃあ、どーすんのさ?』

『スカー・ティシューに…チリ・ペッパーに、勝たせる』

『…エェッ?どゆコト?』

 

チリ・ペッパーは逃がせない。

ビョーゲンズは、もっと逃がせない。

どっちも逃がさないことでしか、わたしたちは勝てない。

……ツライね。でも、やるの!

 

 




レッド・ホット・チリ・ペッパーは、素の戦闘力にまかせて
正面からプリキュアを殺し得る数少ないスタンドと想定しています。
経験を積まれると超ヤバイ。

ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。
パワーをいただきたいんです……
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