プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
さておき、祝!6部アニメ化決定!
徐倫がサマー!我が世の春が来た!
さておき。実は今話も、思ったように転ばなかった。
場合によっては書き直すかも……
と思うけど、そういう風に手をつけるのはエタの予兆。
少なくとも今はこうなるしかなかったと割り切っていく。
今回の語り部も、ひなた。次回もひなたのはず。
文字数は6500字弱。標準よりは多め。
多ければいいってもんでもないが。
まず、みんなでまた変身してソッコー立ち去るのが先だった。
戦いは、終わってみれば10分くらいだったんだけどさ。
でも、そんだけ時間が経つと、最初の爆音で動けなくなってた人たちも
復活し始めてて…すぐに逃げないとヤバい。って、フォンテーヌが。
「ちょっと!大丈夫なのッ!?
あなた、死なないでしょうねッ!?」
「大丈夫。元通りになるよ…明日一日寝てりゃあな。
それより、ここを去る方が先だろ。
このままここにいたら収拾つかねえことになるぞ」
「信じるわよ?じゃ、持つわね」
タッキーをかついだフォンテーヌと同じように、あたしもおねーさんを持ち上げた。
ラテを抱えたグレースも一緒になって、みんなで向かった先は採石場。
『夢』でやったことが現実で通用するか、念のための確認するのに
ココを使う予定だったらしーけど、今日はナイショ話のためってコトだね。
一番最初にやるのは、雷のエレメントさんの診察だよ!
みんな変身を解いて、連れてきたエレメントさんに聴診器を当てる。
代表はのどかっち。
「エレメントさん、お加減いかがですか?
…というか、お住まいは?」
「ええと…東京都練馬区…の、アパートです。
ビョーゲンズにされたその人に、取り込まれちゃって…」
その人って、おねーさんのコトだねドー考えても。
でも東京かあ。ちゆちーがシブイ顔してる。
「遠いわね。プリキュアで全力疾走しても片道二時間は固いわよ」
「いいんです。わたしは雷ですから。
電線に乗って、元の場所まで戻れます」
「なら、いいんだけれど」
そっか。チリ・ペッパーと同じだもんね。電気そのものなんだ。
エレメントさんは、頭をペコリと下げながら、
黄色だかオレンジだかのボトルを差し出してきた…ええっと、雷のボトル?
ボトルって、めっちゃ貴重品って言ってたよね?早くも二本目?
ま、チリ・ペッパーなんてラスボスみたいなヤツと戦わされたんだし、
レアドロップくらいはあってイイかも!
「ありがとうございます。わたしだけじゃあなくって、
他のエレメントさんみんなの危機でした。
これでも、お礼が足りないかもしれません。受け取ってください」
「足りないなんて、そんなことないよ。
こちらこそ、ありがとうございます。役立てますね」
「でもさ、コレ…どーやって使うの?
イマイチわっかんない」
「ちょっ、ひなた。失礼じゃないの!」
ちゆちーにソッコー怒られちゃったけど、
エレメントさんはニコニコ顔で使い方を教えてくれた。
ヒーリング・ステッキにセットしてあるボトルを取り換えることで、
そのボトルに込められた力をプリキュアが使えるんだって。
今回の場合は雷のボトルだから、雷を撃てる、って話みたい。
「雷を撃てる……ものすごい話ね、これは」
「ちゆちー?」
「雷はヤバイ。天気を操れるウェザーが一度だって使わなかった…
思うに、強力すぎて手に余るんだろうな。自分ごと殺しかねないパワーだぜ」
F・Fまでそー言ってくる…言われてみれば。
竜巻でカエル巻き上げて降らせたりとかしてるけど。
竜巻そのものをぶつけてチュドーン!なんてやってないんだよね、ウェザー。
なんで?……って、あたしもワカんじゃん。今となってはさ。
無差別でブッ壊すとか、
「ちょうどよく、ってわけじゃあないけど。
チリ・ペッパーのDISCも手に入ったわ……
雷の力に、電気を操るスタンド。適合した人間が持つべきでしょうね」
「あんただったらいいんだけどね。ちゆ。チリ・ペッパーは適合した?」
聞かれたちゆちー、またシブイ顔をした。
ペギタンから手渡されたDISCを自分で頭に差し込むと、
バネか何かみたいに、ちゆちーとDISCの両方が弾き飛ばされた。
試してたんだ、いつの間に。
「…見ての通り、ってところよ。
この流れならって思ったんだけど…そう都合よくもなかったわ」
「残念。わたしも思ったんだよ?みんなでスタンド会話できるって」
そのヘンは後で相談ってコトになって、
今回の事件、詳しい事情をエレメントさんに聞こう、ってなったトコで。
おねーさんが、目を覚ました。
「う……あ。あ、あ…た、し」
「目覚めてすぐで悪いんだが。
今回の事件の顛末、あんたの口から直接聞きたい…
どうしてあんなことをして、あんたは何をしたかった?
あらかじめ言っとく。俺の能力の応用で、ウソはすぐわかる。
おまわりに突き出す気はないけどな。そのぶん正直に答えてくれよ」
黒コゲ制服のタッキーが、ヤケド治療中のせいで
フー・ファイターズがウジュルウジュルしてる顔でおねーさんに迫る。
「…ひッ!?」
「タッキー!オドカしてどーすんの!
…ま、ココはまかせなよ。あたしにさぁー」
のどかっちとちゆちーも加わって、おねーさんをなだめてたら。
ちょっとずつ、ちょっとずつ。ポツポツ話し始めてくれた。
…キツオンってヤツで、ホントに大変そうだったけど。
だいたい、こんな事情だったみたい。
おねーさんは、小さい頃からアイドルが夢だった。
歌うことも大好きだったけど、ソバカスが濃いせいで外見が悪くって、
ブスとか言われまくってイヤな思いばかりしてきた。
ママとパパは、そんなおねーさんを応援して歌のレッスンに通わせてくれたし、
アイドルのオーディションにも応募しまくって、やっと書類選考を通った。
でも、通った先で、歌を披露したら…聞いてもらうどころか、バカにされた。
何の間違いで通ったんだとか、こんな顔じゃあ歌なんて意味ないとか言われた。
くやしいとか悲しいとか通り越してボーゼンとして帰ったらしいよ。
あきらめるもんかって、また応募しまくって、そんなに時間経たずにもう一回通ったらしいけど。
審査員の前で、ゼンゼン歌えなかった。ノドが引きつって言葉が出なくなってたって。
んで、こっからが最悪。当時、高校生だったおねーさんだけど…
アイドルのオーディション受けてることが、クラスのヤツらにバレた。
元から浮いてたおねーさんは、男子からも女子からもバカにされて、
気がついたら吃音になってた。
引っ越してイジメからは逃れたけど、吃音のせいでただお話するのも大変になってて。
高校を卒業して短大も卒業する間近で、ママが亡くなって。
そして、パパがお見合いを押し付け始めた。アイドルはあきらめろって。
パパはパパなりに、おねーさんの幸せを考えてるんだろーけど。
おねーさんには、ずっとガンバッてきた夢を婚活のダシにされたとしか思えなくって。
ケンカして、同じ家にいるのにクチを聞かなくなった。
おねーさんは、そんな家から出ていくために就職して。
また一方で、最近流行りの配信で人気者になることで、
アイドルをまだ目指せるって証明しようとした。
ゲームの配信をやってたのは、中学までの数少ない友達との接点を生かしたらしい。
見てくれる人と一緒に遊びを盛り上げていって、
そんな中でいつか歌を取り戻したかったんだって。
でも、うまくいかなかった。張り切ってるツモリでも、再生数はゼンゼン伸びない。
どうしてうまくいかないの、って、ウツになってたある日……
突然、怒りが爆発した。
同じように突然現れて、その怒りのままに暴れまわったチリ・ペッパーは、
おねーさんのパパに大ケガを負わせた。
これが二週間前。ナゾの傷害事件ってコトで新聞にも載ったそーだけど、
そこまでタッキーは見つけられなかったね。
パパをキズつけちゃったおねーさんは、さすがにチョット我に返ったらしいけど。
かえって『冷静なまんま怒りが爆発してる』っていうヘンな状態になったせいで、
チリ・ペッパーの性質を探り始めて。
「そして、横須賀で機材を盗み出した…のね?」
「……は…い。あ…たし、は。『無敵』!…だっ、た。
多…摩、で。実、験!し…て。あた、し、は…どこ!に…も、動かァ、ない…で。
ヒト…キズ、つ…け!ら、れ!るッ……って、わ、かっ、ちゃ、た」
もうワカッちゃったよ。あたしも!
あの、チリ・ペッパーじゃあない方のDISC…『怒りを爆発させろ』とか書いてあんでしょ!
どー見ても、その『ある日』のどっかでツッコまれてんじゃん。
みんなもわかってるみたい。のどかっちが、そのさらに先を聞く。
「ビョーゲンズにされたのは、いつ…ですか?」
「……多摩、…の。実ッ…験、のォ…後。
出、勤…中。に……やら。れ、た、の」
「グアイワル…あの、筋肉のビョーゲンズに?」
コクリ、とうなずいたおねーさん。
ちょっと返事すんのも大変みたい。
聞いてたちゆちーの表情が、ドンドン深刻になってく。
「……まずいわね。ビョーゲンズにスタンドが見えてることはわかっていたけど。
明らかに、興味を持って探し回っているわ」
「『終わりの日』に…、一歩、近づいちまった…と。考えるべきだろうよ」
「『終わりの日』、って……タッキーさぁ。レクんグッ!?」
シャベろーとしたトコにベロ固められた!?
フー・ファイターズだコレ!?
「具体的な単語出すとヤベーんだよ平光。
俺たちがスタンドを回収しようとしてんのは何のためか…わかってんだろ」
……あッ。
イッチバン知られちゃあいけないコトじゃん。レクイエム。
知ってる人間がひとりでも増えたらヤバイ。
タッキーはそれがわかってるから、ボカして言っただけなんだ。
そっか、そーだよ。ウッカリ。
「舌、放すぞ」
「……ゴメン。イキナリ中二病でビックリしちった」
「まじに中二病な世界を生きてるんだよ俺たちは。
変身ヒーローで、しかも秘密の超能力戦士だぜ?
大真面目だろ、俺も、お前も」
「ウン…ま、中二なんだし中二病でいーじゃん、あたしたち」
「はいはい、後でな。おねーさん困ってんぞ」
そーだった。
ツライのは承知でだけど、ビョーゲンズにされてる間のことをおねーさんに確認する。
ちゆちーがウマく聞き出してくれたコトによると、こんなコトがあったって。
グアイワルの口ぶりによると、まず、キングビョーゲンからダルイゼンに特別な命令が出てて。
グアイワルは、それが面白くなくって、独自に『不可解な超能力者』を探してたんだってさ。
んで、ダルイゼンよりも先に見つけて、しかも思った以上にスゴイ能力だったから、
プリキュアも倒してサイコーのお手柄を持ち帰るつもりになった…みたい。
「ヤバイ…ヤバすぎる。俺たちの手に余る事態になってきたぞ」
「うん。グアイワルは、少なくとも東京まで探しに行ってる。
それをなんとかするなんて…中学生のわたしたちには、無理だよ」
「こうなったら、スタンド使いは引かれあう、っていう法則が頼りだペェ」
「っつってもよぉー、もしかしたら、ココじゃあなくってヨソによ。
もっとゴッソリと集まってる可能性もあるかもだよなぁぁーーーッ」
「ニャトランの言う通りでも、どうしようもないラビ。
ラビリンにラテ様のお世話があるみたいに、のどかにも毎日の暮らしがあるラビ。
ここから離れるなんて、できないラビ」
「俺たちもそうだが、今マジにヤバイのはおねーさんだぞ」
タッキーの言葉に、みんなが目を向けて。
みんながすぐに気が付いた……あたし以外。
「鳴滝くんがそうだったみたいに、お姉さんも完全に覚えてる。
ビョーゲンズだった時の記憶!」
「ビョーゲンズからしてみたら、お姉さんは歩く情報漏洩よ。
……生かしておく理由が…ないわね」
「俺たちほどじゃあないけどよ。命を狙われる可能性は十分あり…だ!」
「もっと言うなら…スタンド使いになっていたってことは。
『あの人』が何かさせようとしてたった証拠でもあるよ。
スタンドがなくなった今、『あの人』がそれに気づいたら……」
のどかっちが言ってるところに、F・Fが割り込んだ。
鼓膜直接通話のナイショ話で。
『ミラションも、マックイイーンもラング・ラングラーも。
ホワイトスネイクには消されちゃあいない…敗北してもな。
殺す理由なく殺す可能性は低いと思う。
逆を言えば…理由ひとつあれば十分ってことだけど』
「どうあれ、この人はもう自分で自分を守れない。
ビョーゲンズもスタンド使いも、ただの人間の身には余るぜ」
おねーさんの方を見ながら、口でそう言ってるタッキーは、
口を閉じた後も、F・Fと同じナイショ話モードで後に続けてくる。
『俺たちは、俺たちだけで手いっぱいだと思う。
…俺は、な?でも、それを決めていいのは俺じゃあないだろ。
なあ…どうする?』
「守るよ。あたし、守る。当たり前じゃん」
「……立派よ。ひなた。
でもね…この人が襲われるたび、片道二時間で守りに行けるの?
間に合いっこないわよ……
プリキュアでもどうしようもない、物理的な無理があるのよ」
「ウグッ……」
即答したけど、即ちゆちーにツッコまれた。
ううッ、考えがアサいあたし!
その横で、少し目を閉じて考えてたのどかっちが聞く。
アンマリな話題でアッケにとられてるおねーさんに。
「お姉さん。すこやか市に引っ越してくる気……ありますか?」
「あ…た、し…が?」
「今、聞いてもらってた通り。このままだと、お姉さんの命が危ないんです。
でも、この町にいるのなら守れます。わたしたちが。
学校とかもあるし、いつでも、ってわけにはいかないかもしれないけど…
それでも、東京にいるよりは、間に合う希望がよっぽどあるんです」
元気づけるみたいに、ハキハキと、でもやさしく誘うのどかっちだけど。
おねーさんは…逆に、目を伏せちゃった。
「…………あ…り、がと。
で…も。も…ォ、い……か、な?
と……さん、と。た、く…さん、ヒト!…を、キズつ…け、て。
あた、し…の…………あれ、が。あ…た、し」
「あなたのせいじゃあないわッ。違うのよ!
……違うんです。悪いのは、あなたをそんな風に操った『敵』なのよ。
そんなものよりも…信じるべきは、あなた自身だわ。私はそう思います」
ちゆちーがスグに押す。トーゼン、あたしも押すよ!
のどかっちも、ウンとうなずいて押すの。
「おねーさん、それでいいの?
あたしは……あたしだったら、ヤダよ?
ずっと追っかけてきた、おねーさんの『特別』…
ワケわかんないヤツらのジャマであきらめるなんて、
あたしだったら、ヤダよ!?」
「あきらめるなら…わたしなら、納得したいです。
ここまで来られたんだって、納得してあきらめたい。
…お姉さんは、ここで……納得できるの?」
みんなにグイグイ押されて、目を丸くしちゃったおねーさん。
でも、ちょっとして、姿勢を正して、聞き返してきた。
「ひと…つ、だけ。聞か、せ…て?
…………あ……あ、たし。の…う……う、歌。
……き。……聞き、た…い?」
答えはモチロン決まってんじゃん。
みんなそろってうなずいたよ。
…なんだ。タッキーも、そーしたかったんじゃん。
それを見たおねーさんは、やっと。
フワッとした、チョッピリの笑顔を浮かべた。
「……わ、かった。
その…日、まで……守って?」
一時はどーなるかって思ったけど。
めっちゃ苦戦して、一歩間違ったらオシマイだったけど。
ガンバッたから、みんな一緒にハッピーエンドじゃん!
…でも実はさ、こっからが長かったんだよね。
主に、ドロボーしてきたスピーカーの問題。
コレはマジどーしよーもない。爆音事件がマジで起こったのは
今更変えらんないから、ただ放置する以外の手なんかないってコトに。
それと…ビョーゲンズに取りつかれてたせいだって言っても、
おねーさんの無断欠勤は三日に渡ってて。
持ってたスマホも着信まみれ。コレどーすんの?
「生きるって決めたなら、片付けるしかないッスね」
タッキーが、そうブッキラボーに言い放って、
やっぱりちゆちーに怒られた。
あ、そうそう。土日でだいたい見てきたんだけどさ。
ウチの常連さんもみんな無事だったよ。
ケガしちゃった子がちょっといたけど…
あたしが一番怖かったコトは、知る限りなかった。
ちなみにあたしも無事。お腹を内出血してたけど、F・Fが治してくれてた。
メデタシ、メデタシ。ホントよかったよ~。
>『殺す理由なく殺す可能性は低いと思う』
ハーーーレルヤッ ハーーーーレルヤッ ハレルヤ ハレルヤ…
…や、アレは元からアナスイに露骨な肋骨にされてスデに死んでたよーなモンですけど
おねーさんはすこやか市に越してきますが、
スポットが当たることはもうないでしょう。
一話使い切りのキャラとなります。
次回は、同時並行で起こってた事件。
ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。
皆様、どうかお導きを。マジで。