プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
更新不能の可能性が高いので、あらかじめ連絡したく。
更新できたなら万歳ってトコで。
今回、さらにジョジョ側の登場人物が出ますが。
これで打ち止め。ジョジョ側は、これで役者がそろいました。
今回の語り部は、神の視点的なサムシング。
文字数は6500字強。けっこう筆が乗った方。
プリキュアたちのいないところで、おそるべき出会いが起きていた。
それも、案外すぐそばで。すこやか市は海沿いの、防波堤の前でそれは起こった。
今回は、それを追っていこう。
(半日と持たんな、この体は……まあいい)
すこやか市在住の、数年前に妻に先立たれて親戚付き合いもなく、
偏屈ものゆえにご近所ともうまくやれていない老人がいた。
そんな背景を語る意味も、もはやない。
なぜなら彼は、今さっき死んでしまったからだ。
杖をつきながら、現在進行形で歩き回ってはいるが!
彼はすでに、死んでいる!少なくとも、もはや人格はこの世にない!
動くはずもなくなった体を、それでも動かしているのは…
誰あろう、キングビョーゲン。
彼がすこやか市に来たのは、別にこれが初めてではない。
彼が彼自身のために必要とする作業があって、そのために割と頻繁に来ている。
このように他者の肉体を乗っ取って動くのは、ここ最近では初めてと言ってよかったが…
(次の体のアテもある。今日がダメならば明日でも明後日でもよい)
さて、そのような異例には理由が当然あるわけだが。
それは……
(人間に未知の能力を与えている『何者か』、その尻尾をつかんでやろう)
配下の三名に命令を出してからいくらかの時間が経ち、
すでにキングビョーゲンは二名の能力者を確保するに至っていた。
うち一人はダルイゼンが。もう一人はグアイワルが独断で。
そして、ダルイゼンの連れてきた一人が『大当たり』だった。
この能力さえあれば、もはやテアティーヌも脅威ではない。
だが、その性質上、ある意味では生殺与奪を能力者にゆだねてしまうことになる。
そのような状態を良しとするわけにはいかない。
現に『奴』は今なお『跳ねっ返り』だ。やはり、そこはデミビョーゲンであり、
すでに人間の体を捨てた後でも元の魂に引きずられている。
ダルイゼンが言うには、能力を使って他の人間をいたぶり殺していたそうだが。
それも納得だ。卑屈な追従を繰り返しながらも、お役に立ちます、と連呼してうるさい。
能力の有用性を抜きにしても、これを人間界に解き放つわけにはいかない。
ただ、人間どものいらない警戒を招くだけで…場合によっては致命的となる。
ビョーゲンズであるがゆえに、ビョーゲンズたる性質からは逃れられない。
目的に感づかれたなら、最悪、対策される。キングビョーゲンの目標は百年単位で遠ざかる。
…はっきり言うなら、『奴』個人には何ひとつ使い道を見いだせない。有害なだけだった。
いらないゴミは処分したいが、そのゴミには最高の宝物がくっついている。
どうやって引き剥がせばいいのか?それを知るためには能力の本質を暴かねばならない。
信用できないなりに『奴』から引き出せた情報もある。
能力は、どうやら何者かに与えられたものであるらしい。
グアイワルが、二人目から聞き出したという話から判断するに、そちらも同様だ。
何者かが、何らかの目的をもって、能力をバラ撒いている。
ならば、その能力者をビョーゲンズの好き勝手に動かしてやればいい。
それも、とてつもなく目立つ方法でだ。
ビョーゲンズ同様、陰に潜んで暗躍する者がそんな事態を知ればどうなるか?
(少なくとも、原因を探りには来るはずだな……?
我でもそうする。そうせざるをえまい)
そして、そこを捕らえる。キングビョーゲンはそう考えた。
これは本人か、でなくとも限りなく近い有力者がやって来ざるをえないはずだ。
さもなければ、ミイラ取りがミイラになるのを繰り返す結果になりかねないのだから。
グアイワルに命令を下した。
二人目がデミビョーゲンになる前にやっていたという爆音攻撃。
これを最大限に拡大して町全体を攻撃せよ、と。
また、ビョーゲンズとしての能力は教えず、能力だけで戦うように仕向けろ、と。
これで、おびき出されてきたプリキュアを倒せたならばそれでよし。
話に聞く限りの『電気』の能力ならば、十分に期待できる戦果だろう。
倒した上で、さらに能力を与える者を釣り出せるならば最高と言っていい。
よしんば敵わず敗北したとしても、二人目にはろくな情報を与えていない。
デミビョーゲンが浄化されて元に戻ったら、その記憶は消えず保たれたまま。
そんなことは
さらに言えば、能力だけで戦うのならば!
そのやり方は、ビョーゲンズの本質からは、必然かけ離れたものになる。
人間どもの警戒を呼んだとて、対策が見当違いなものになるのは確実。
『電気』から『病原』にたどりつく者など、いるはずがない。
困るのは、能力を与えている何者か、その者だけというわけだ。
(さて、始まるな……おっと、耳をふさいでおかねばな。
大音量など、好き好んで聞きたいものではない)
ほどなくして始まる。
どんなに大きな音だろうと、死んだ肉体にはないも同然。
現時点では実体のないキングビョーゲンといえども、
このひどい音は不快だし、唐突に聞かされれば驚きもするだろうが…それ以上ではない。
何食わぬ顔で音の方角を見て、様子を伺い。
空に出た『別の太陽』がレーザーを撃って、爆音を終わらせるのを見届けてから歩き出す。
運がよければいるだろう。もともと能力をバラ撒き歩いてる者で、
プリキュアも、この町で能力を授かった一人なのだから。居合わせる可能性はある。
…いや、遠回しなことを言う必要もないだろう。
キングビョーゲンの歩く先は、明確にただ一人の人間だったのだから。
そう、運がよかった。出来過ぎなほどにだ。
「うう……ウッウ…どおして?
どおして、いつもロクな目にあわないの、私ィ」
「…どうしましたかな、お嬢さん」
女々しくメソメソと泣いている『男』に、『老人』は声をかける。
女口調で話してこそいるが、どう見ても男だった。
化粧などすれば、歌舞伎で女形でも張れるだろう中性的な美貌はあり、
その黒髪も、女性らしく見えなくもない豊かなロングのストレートだったが。
若干、華奢といえども。その体格は、隠しようもなく男だ。
…歌舞伎など、キングビョーゲンには知るよしもないことは別として。
「どうも、こうも、ないですゥ~
私は仕事に来ただけなのに…
けっこうしょっちゅう来てるのに、一度だって温泉にもつかれてないのに。
そんな私に限って、羽目を外そうかなってタイミングでこんな目に……」
「それは…おいたわしいことで。
ですが、案外大丈夫そうではないですか?」
「……。
ほらァァ~~~~ッ!
そんなコト言うあなた、結局、他人事じゃあないですかァ~~ッ
そりゃあ大丈夫ですよ?大丈夫ですけど!
お休みを台無しにされたこの気持ち、どこに持ってきゃあいいのよォーーー」
「悪かった、悪かったですとも。
ですが、お嬢さん……ふさいでたじゃあないですか、耳。
「…………。
い、いゃアア〜〜〜何のことだか」
男の目つきが変わったことを、キングビョーゲンは見逃さなかった。
緊張が走る。表面上は笑顔でも、一触即発の雰囲気。
実際、ここでキングビョーゲンは仕掛ける気でいた。
老人と同じように、男の体を乗っ取る気でいた。
本人の口など必要ない。取り込んだ肉体が教えてくれよう。
だが、その空気をぶち壊す行動に、男は出た。
というよりも、癖か?病気か?
「とぅるるるるるるる!
とぅるるるるるるる!」
突如としてワケのわからない音を口走る男。
いや、知ってはいる。老人の知識にもある。
これは、人間が遠くの同族と話すのに使う道具が、
持つものへの連絡を通知するために鳴る音……だろう。
それを自分の口で再現する意味は不明だが。
「アッ、失礼…電話が」
わざとらしく、取り出した小さな板を耳に当てる男。
あまりに唐突なゴッコ遊び!キングビョーゲンは驚き戸惑った。
あの板はスマホとやら。それはどうやら本物のようだが…
思わず、その場を見守ってしまう。
「もしもし、ボス……ええ問題ありません。
チョット地元のオジイサンとお話中だっただけで…はい」
「…………」
「あ、いえ。不審ではありますが。
おそらく、こいつは何も知らないかと…ええ。はい。
では予定通り、『遺体』を探し……あ、いえいえ!
そりゃア私も興味ありますけど、温泉…私はボスあっての……はい」
呆気にとられていた『老人』も、ついに正気に返る。
何が、失礼…電話が、だ。つきあっていられるか。
きさまの方が、よほど不審者ではないか。
無駄に時間を空費させられて腹が立つのもまた、久々の経験だった。
(なんかわからんが…くらえ!)
死んでしまえば謎もろとも消え果てよう。
そう見切って攻撃を仕掛けたキングビョーゲンだったが。
「…………は?」
気がつけば、あさっての方向を向いていた。
一瞬して気づく。向いているのは真後ろだ。
真後ろを向かされていた。そう、『首だけ』が!
人体の構造上ありえないところにまでねじれた首の、
その中心にある老いた頸椎はバラバラに破断した。
本人には気づきようもないが…ろくろ首じみて、頭と肩が離されていた。
「あ……何?」
こんな有様にされて生きていられる人間など存在しない。
とはいえ元々死んだ肉体だ。ただ取り憑いているだけの。
キングビョーゲンには大して意味のあるダメージではなかったが。
だが、続いて脇に現れた、『縞々な』『人型の何かが』『繰り出した手刀』が
頭に突き刺さったとき。キングビョーゲンの全てが途切れて、それっきり終わった。
もはや彼には知ることなどできないが、
老人の死体の頭から引きずり出されたのは…DISC。
彼が求めてやまなかった能力の正体にして、本質。
実体なき精神体として人間界に降り立っていたばっかりに、
彼はDISCにされてしまったのだ。
「……きさまが、何者であろうと。
このわたしのそばに近づくことはない。
とくに、正体に近づくことは、決して…」
男の声が変わっていた。否、それだけではない。
華奢な印象を与えていた体格が、威圧感を覚えさせるがっしりとしたものに変わり。
黒一色だった長髪までもが、ピンクがかった赤に変わった。
顔つきも、とうに日本人離れしていた…いや、違うのだ。人種すらも変わっている。
今の彼はコーカソイドだった。
「『キング・クリムゾン』
きさまは何が起こったのかもわからず」
「全テヲ刈リ取ラレテ終ワルノダ。
コノ、『ホワイトスネイク』ニヨッテ!」
キングビョーゲンの言うところの『能力者』であれば。
すなわち、スタンド使いであるならば、目を疑う光景がそこにある。
『ふたつのスタンド』!『一人の人間』に『ふたつのスタンド』!
デザインがまるで違い、能力もまた違うであろうふたつのスタンドを、彼は持っている!
スタンドというものの法則に真っ向から違反する存在だ。
たとえ、かの空条承太郎であろうとも驚愕をまぬがれないだろう!
「さて、このDISCだが。
わたしやきみの『前例』がある以上…ノンキに頭に差し込むわけにはいかないな。
『
取り出せたDISCは『ひとつ』。いささか奇妙といったところかな?
普通じゃあない…警戒は、必要と見たが?」
「ソコハ任セテモラオウ。チョウドイイノガ、アソコニイルカラナ」
今の堤防付近には、ほとんど人がいなかったのだが。
わずかながらいたのが、彼と、老人と。
「ひ…ヒッ、
たまたま通りがかった、不幸なサーファーだった。
爆音にやられてうずくまった挙句、いつの間にか逆方向にねじれた
老人の首とその死体を目撃することとなり…
そして、彼の運命もすでに決まっていたのだ。
ここにプリキュアはいない。ジョースターを受け継ぐものも、また。
「…なるほど?では、わたしは死体を海に放り捨てておく。きみにはあちらを頼もう」
「了解シタ」
「た、助けアバッ!?」
大声を上げて逃げようとしたサーファーは、しかしそのどちらも果たせなかった。
その頭に二枚のDISCが、同時に突き刺さったからだ。
DISCをフリスビーのごとく投げつけたのは、全身を横縞の模様で覆った、
どこか粘ついた印象のある人型のスタンドの方だった。
模様の中には塩基配列がビッシリと書き込まれている……
「『
「…………!?……ハ!?……ア、ハ?」
「わたしが鳴滝景継だが」
海に行っていた男が戻ってくる。
スタンド…赤い、ワッフル状の模様で全身を包んだ大男…
しかも、その額にはさらに小さな頭がもうひとつある…で、老人を海に投げ捨てた後だった。
近距離パワー型であれば、そんなに骨の折れる仕事ではない。
スタンドによる殺人…指紋など、出るはずもなかった。
「なに…そんな長く苦労はかけない。
少しばかり、きみに興味があるだけだ……
ご足労願おうか。そうだな…あそこの岩場なんかいいだろう。
散歩にはうってつけだと思わないか?」
サーファーの青年は、ついていく以外の『何もできなかった』。
ボチャアアァァアン
「なかなか…愉快な話だったな。
キングビョーゲンに、テアティーヌ…
ビョーゲンズに、プリキュア……か」
「マサシク、愉快ナ話ダ。
奴ノ話ガ本当デアレバ、『遺体』ノ実在ヲ裏付ケルモノニナルゾ」
「きみを相手に嘘をつける者などいるものか。ホワイトスネイク。
すこやかの守護聖霊…お父上様の世迷言かと半ば思っていたよ。
だが、それがどうやら本当のことだとなれば」
「『代用品』トシテモ当テニナル。
約束ハ忘レテイナイ。『力』ハ君ガ手ニスルノダ」
「……帝王は、このオレ、ただ一人。
俄然、やる気が出てきたじゃあないか」
「マズハ、『遺体』ヲ見ツケ出サナケレバナ。
ソチラニ振リ向ケタ方ガイイカモ知レナイ…」
「そうだな…さて、そろそろ
すっかり日が暮れてしまった…温泉に入る時間など、ないかもしれないな」
彼が立ち去った後の岩場で、
サーファーの青年の背中だけが海にぷかりと浮かび。
日が完全に沈みゆくと共に、沖へ、沖へと流されていった……
後日、発見された彼は、事故死として処理されることになる。
死因は、頭蓋損傷に伴う脳挫傷。
すこやか市海水浴場付近の岩場で転び、そのまま帰らぬ人になったものと推定される……
(ヌウウ……死んだぞ。
感じるぞ…我が死んだのを!)
地平線の彼方まで、汚わいな液体が煮えくり返るビョーゲンキングダムの海原。
それらを見下ろしながら、キングビョーゲンの精神体は不快をあらわにした。
人間界にて最期を迎えたそれよりも、はるかに、はるかに巨大で強大なものだ。
当然といえば当然だが、本人の本体が直接出向くほど、彼のフットワークは軽くない。
あまつさえ、ヒーリングガーデンでのテアティーヌとの交戦により、
浅からぬ傷を負わされている彼なのだ。
自ら何かをする際は、自分を切り分けた分体に行かせ、
用件を終えて帰ってきた分体と一体化して記憶、経験を統合するというのを繰り返している。
分裂、合体は彼の生態であり、日常であり、何ひとつためらう必要のないものだった。
だが、その分体が殺されたとなれば、さすがに平気な顔をしていない。
おそるべき何かが起こったのだ。
(派手に戦って敗れた…わけではない。
そもそも、そこまでの力を分体に与えてはおらぬ……
プリキュアに感づかれて始末されたか?
それもない。そのための力が弱い分体であるし、仮にも我だ。
そのような醜態をさらしたとて、何かの連絡をよこすはず。
だいいち、プリキュアと接触しても何も得をせぬ。避けるのは最優先だろう)
そして、今回、分体を送り込んだ目的に考えを至らせ。
ほぼ間違いあるまいという結論を出した。
(死んだことにすら気づかない『何か』でやられた?
そのような『能力』を、『能力をバラ撒くもの』が持っていた?
だとすれば…想定以上の脅威になってきたな)
キングビョーゲンは黙考する。
別に、強い何者かが何か計画を進めていようが、そいつらの勝手なのだ。
放置してもいいし、認めてもいい。キングビョーゲンの邪魔にさえならなければ。
だが、まず目的が読めないし、何をやろうとしているのかも不明。
そこをわからなければ、衝突を避けることからして困難だった。
「……接触すべきか。最悪、同盟を結んでもいい」
人間界での栄達を望むような者ならば、どのみち敵対は避けられんがな。
そう思いつつ、接触の手段を考え始めた。
目的への障害は、少ない方が良いに決まっているのだ。
だが、さすがの彼も、ここまで予想はできなかった。
『能力をバラ撒くもの』はすでに、一方的にビョーゲンズ側の事情を暴いているということを。
Q:キングビョーゲンが他人の肉体を乗っ取って動けるなんて描写、原作にあった?
A:ありません。でも、出来て何もおかしくないと思う。強いて言うならグアイワルが前例。
Q:キングビョーゲンが分体作りまくって人間界に出てるなんて描写、原作にあった?
A:ありません。でも、そうでないと最終回付近で
明かされた仕込みを実行するキングビョーゲンがかなり滑稽。
分体を作れるのは原作通り。
ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。
読者…さん 感想…ください…伝わって………ください