プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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日朝九時更新をただの目標にしたとはいっても
居直るつもりはないのだけれど……せめて努力は続けよう。

今回の語り部も、鳴滝くん。
文字数は5500字弱。標準よりちと少ない。



絶対にバレるな!イップスの後ろ側で‐その5

『…ヘイ、ヘイッ!

 殺気だ!殺気だぜ、魁ッ!?』

 

呼び出されたのは、あの二人に助けを求めた放課後だ。

クラスメートが去った後、一人残るように言われてたんだが。

その時からきなくさい(・・・・・)雰囲気を感じ取っていたらしいF・Fが、

今、室内に入るなり、鼓膜へダイレクトに叫びを伝えてきた。

 

『敵意はわかるが、殺気、か?』

『殺しの一撃をブチ込む機会をうかがってる。

 そういう目と動きをしてるのよ…方法は知らないがな』

 

警戒を最大に引き上げた。

身体も自然とそれに従おうとするのを、これもまたF・Fが止める。

 

『おっと、身構えるなよ…悟られる。

 やつは、ここでは仕掛けない。戦えることに感づかれるな』

 

足を止めた。観察する。

教室内には、俺を座って待っている『ふたり』。

片方は当然、俺の担任だ…松永(まつなが)っつったっけか。男。確か31歳。

面長気味だが、スッと切れ味のある釣り目と真っすぐ通った鼻はイケメンといっていい。

そして、F・Fが言うには。今そこから放たれているのは、殺気だ。

俺から見ると、冷たい目だな。熱ではなく冷気を俺に注いでる。

これ自体には慣れっこだがな。度合いがちょっとばかりキツイ。

今まで見てきた中で、似たような視線を俺に向けてきたやつは…いたな。

俺が刺された後、それまで俺と大して関係なかった奴らだ。

そいつらは、俺が失脚してからやってきて、クラスメートや元の取り巻きに混じって

俺を叩きのめしに来た……そのほとんどは連れション感覚だった。

だが中には、ヘンな使命感を持ってるっぽいやつがいて。

そういうやつは、他よりもかなり熱心に俺を痛めつけたし、方法も独創的だったな。

今見ている担任教師の目は、俺が見てきたそいつらに似ている。

根拠はない。言われてみればでしかないんだよ。だが、そう見えるんだ。

もう一人は、みんな…花寺たちのクラスの担任、円山先生だな。

こっちは敵意を感じない。少なくとも、俺に配慮して隠している。

なるほどな。担任の意図がどうあれ。仮にスタンド使いだったとしても。

ここで俺に仕掛けるのは無理だ。自分の社会生命も道連れになっちまうからな。

仮にDISCを刺されていたとしても、自身が破滅する状況に進んでなろうとはしないはず。

…よほど、ピンポイントな命令が書き込まれてない限り。平光みたいに。

 

「何をしている。入って、座れ」

「…座りなさい。ここだよ」

 

刑務所の看守みたいに冷厳として告げてくる担任に、

円山先生の方はどこか戸惑っているような雰囲気がある。

わざわざ立って、向かいの椅子を引いて俺に軽く向けてきた。

グズグズしてても話は進まないな。従おう。

座るとほぼ同時に、こちらから切り出す。すでに想像ついてるけどな。なんの用なのか。

今までも敵意みたいな目で見られちゃあいたけどよ。今日いきなり『これ』なんだぜ?

 

「なんの、御用で?」

「沢泉さんに暴行を加えたそうだな」

 

!?

 

目を丸くして、劇的に反応する。

…俺じゃあないぞ。円山先生だ。

何も知らずにここにいるのか……俺と担任を、交互に見ている。

だがすぐに気を取り直すと、目つきを変えて担任の方を向いた。

 

「松永先生。今それを蒸し返して、どうするおつもりですか?」

「蒸し返してなどいません。新しい事件ですよ……

 こいつは、おたくのクラスの沢泉さんに、懲りずに狼藉を働いたのです。

 …いえ、厳密には嫌疑がかかっているだけですよ?

 ですから、事実関係を明らかにしなければね…そういうことです」

 

ガタン、と席を鳴らしかけた円山先生だったが、

嫌疑と聞いたあたりで動きを止め、ゆっくりと元の姿勢に戻る。

 

「な、なるほど……しかしですな、松永先生。

 仮に無実だとすれば、あなたはどのように彼に詫びるのです?」

「詫びる必要などない。この男は理解しているべきですよ。

 まっとうに扱われるべき信用など、とうの昔に無くしているのだとね…

 僕の使命は、生徒たちの学びと成長を守ることにある。それを脅かすものは放置できない」

「生徒ではないのかね。彼は」

「もちろん、生徒ですよ?

 ですが、我々の手に余るのならば彼にとっても不幸です。

 もっと、ふさわしい環境があるべきではありませんか?」

 

はぁ。なるほど。追い出したいと。もっともだ。

ふさわしい環境ね。少年院かな?刑務所?

……もっともなんだよ。俺に腹を立てる資格はないし、その気もない。

だが、しかし、だ。

殺気を持ってこれを言ってるとなると…転校先は『あの世』だろうよ。

到底、ハイとは言えないな。まがりなりにも戦力なんでな、俺も。

 

「で、あれば。まずは私たちにこそ、ふさわしい努力がいるのでは?

 それを言うのは、すべての手段を尽くした後でしょう」

「……道理ですね。ええ。

 そのためにも、受けてもらおう。事情聴取を!」

「事情はわかりました。逃げも隠れもしませんよ」

 

ウソはつくかもしれねーけどヨ。

お前の都合なんざ知らん。

 

「さしあたり、まずは嫌疑の具体的な内容から……」

 

こいつは特に新しいことを言わなかった。

俺が知っているあのウワサ以上のことは、な。

だが、こいつも目撃証言だとかの証拠集めをガンバりやがったらしいな。

俺が沢泉と、ゆめポートで一緒だったことをつかんでやがる。

そりゃあ、あのふたりが追跡してきてたってことなら。

他の平光関係の誰か複数人に知れ渡っていてもおかしくはない。

現に益子道男は、ゆめポートにいた俺を知ることができたんだぜ。

そんなことはいい、なんてことをしてくれた。

 

「待ちなさい。松永先生……あなたは、聞いて回ったのかね?

 彼が、どこかで沢泉さんと一緒にいたか知らないか、とでも」

「そうですが、何か?」

「なんということを。噂をバラまいてるも一緒じゃあないかッ!」

 

円山先生がたった今代弁してくれたが。

この野郎のやったことは、例のウワサの信ぴょう性を高める方向にしか機能しない。

例のウワサと、この野郎の行動とを組み合わせてみろよ。

すこ中のホープが俺に『なにかされた』せいでダメージを負い、

ハイジャンプできなくなったのを、教師陣が本腰入れて証拠集めしてるって話になっちまう。

この時点で、根も葉もないウワサじゃあ済まなくなった。

漏れたガソリンの上で、火打石を鳴らしながら踊ってんのと同じだよ。

その結果、炎上するのは俺だけじゃあなく沢泉もなんだが?

ほぼ同じ内容を、円山先生がガナリ立てた。

 

「あなたほど正義感にあふれた人が、なぜそんなことにも気づかないのですか!」

「それはこちらのセリフです。なぜ将来有望な生徒を守ろうとしない?

 被害に遭ったところで、正直に訴えられるはずがない。どれほど傷ついたことか…

 これを償うのは、僕らの責務です。すなわち、犯人の一刻も早い確保ですよ」

「彼が無実だったら、どう収拾するんだね」

「簡単ですね。諸悪の根源は噂の元ということ……全校生徒の前で詫びてもらいましょう!」

 

お前が大火事にしたんじゃあねえかクソ野郎。

もう祈るしかなくなっちまったぞ。沢泉まで燃え広がらないことを、だ。

苦り切った表情になった円山先生は、話丸ごと打ち切りにかかった。

 

「こうなっては……この話をするより前に、火消しするしかありませんな。

 松永先生。今すぐ、聞いて回っていた人たちに謝ってきなさい。

 そこの鳴滝くんに、事実無根の疑いをかけた、とね。今日中です」

「……何を?それでは隠ぺいではないですかッ」

「黙らっしゃい。きみの言う嫌疑がホントだろうがウソだろうが、

 誰が一番傷つくと思っているんだね?

 全員に謝り終わったなら、頭を冷やしなさい。今日のきみは、おかしいぞ…

 いつもなら気づいていることに、なぜそこまでして気づかないんです?

 さあ行きなさい。謝ってきなさい。話はそれからです」

 

クソ野郎は非常に不服な顔をしていたが、

円山先生が一歩も引かない様子を見ると、しぶしぶながら席を立って、

教室の外に出て行った。離れていく様子がわかる。

危機は去ったってことか?だとしても一時しのぎだろうがな。

あれがただのアブナイ野郎か、スタンド使いかもわからんままだしな。

 

「スマナイね。結局、先生たちでケンカして終わってしまった」

「…いえ。ありがとうございます」

「で、結局のところどうなんだね。きみの嫌疑はそのままなんだが」

「無実です。たぶん知ってると思いますが、俺を助けてくれているのは三人です…

 そんな手出しをした翌日にでも、俺はブタ箱に転校できますよ。

 だいいち、どうするってんですか。半身不随で…」

「ふむ。筋は通っているね。

 あとは、三人の…本人以外にそれを確認したいな」

「隠し事ができそうな方に聞いてください」

「隠し事ができる方、だね!」

 

ハッハッハッハッハッ

 

思いっきり笑われた。

イヤな気分じゃあないんだが、こんなことしてる場合じゃあない。

 

『魁。そのまましばらく先公と一緒にい続けろ。

 アレがスタンド使いなのはほぼ確定として!

 今やりあったら、よくて一対一だぜ。

 誰か呼べ。といっても、この状況…呼べるのはのどかだけだな』

『盾にするってか…』

『むざむざ死にに行くようなマネをしたい?』

『…………なっさけねえ』

 

これが今の俺の限界らしいな。

誰かを助ける以前に、自分の命もままならないし、

そのためにプリキュアを呼びつけるしかないという。

しかも無力な一般人を盾に戦闘回避ときたもんだ。死ねよと言いたい。

よし。もう、やると決めた。無駄な消耗はなしだ。

円山先生をここに引き留めている間に、敵スタンドに当たりをつけてやる。

まず、自然死を装って俺を殺せるような能力じゃあない。

できるんだったら…いささか不自然なことにはなるが…とっくに俺は死んでる。

…うーむ。わからん。材料がいくらなんでも少なすぎるか。この程度だ。

なら、アレに刺さってる命令DISCの内容について……

 

ピン ポンパン ポォーン…

 

校内放送だった。

普段だったら気にも留めない環境音で、

俺も半分聞き流していたんだが。

 

『円山先生、円山先生。お電話が入っています。

 すぐに職員室まで来てください』

「ン…?なんだろう?

 まあ、行くしかないんだがね。

 じゃあ、気を付けて帰りなさい」

 

いやはや、これにはまいった。

俺とF・Fの戦法が瞬時に根本から崩壊しやがった。

 

「な…………」

『なんだってェェェェェェ

 魁、ついてけッ、可能な限りだ!』

 

障碍者への配慮ってとこか、立ち上がろうとしたら手伝ってはくれたが。

そっから先、円山先生が立ち止まる理由はどこにもない。

いや、F・Fが作った。俺の右手の手のひらが突然ズバッと切れた。

 

「うッ!?ど、ドコで切れたんだぁー、コレェ~~!?」

 

だがこれも一歩遅かった。

手のひらを見て心底ビビッた演技をしたその時には、

小走りで去っていく円山先生が教室から消える所だったんだ。

 

「うッ、うおおおああああ」

 

うめき声だかわめき声だかわからん声をあげながら、

松葉杖をガツガツ突いて俺は室外へと転び出る。

よし、やった。放課後しばらく経ったとはいえ、

まったくの無人ってことはない!

ちらほらいるぜ。生徒に教員が。

だが、こいつも当然だな。

そいつらはみんな、そいつらなりの目的があるわけで、

俺の方に注意を向ける理由はないし…

注目させてやろーかと一瞬でも思ったが、そいつはかえって危ない。

あのクソ野郎に無防備を悟られるきっかけになりかねん。

 

『こうなったらやむをえない。

 陸上部が練習やってんだろ。

 近づけ、可能な限りだ……そこで、みんなを待つ!

 うまくいけば、全員と合流できるぜ』

『おい、F・Fッ、それは』

 

聞きたくない提案だぞ。

俺は今、なんのために動いているんだ?

今の俺が陸上部に近づいたら、どうなるんだよ。

 

『もう気にしてる場合じゃあなくなった!

 今は人目を味方につけるしかないのよ』

「…………」

 

結論から言うと、俺はF・Fの忠告を無視した。

俺が敵の立場なら、下駄箱で待ち受けて、

下校中の孤立するタイミングを狙うだろう。

なら、そこを通るべきじゃあない。

俺は上履きのまま、体育館への通路から外に出た。

 

『やれやれだわ、ってやつね。

 なら……裏の雑木林を突っ切れ。

 人目がないなら、あたしを使って歩ける。

 その先の路上にのどかを呼ぶ』

「F・F。悪いな…陸上部は、無理だ」

『さっさと行け。ムダ話をしてる余裕ない』

 

やり取りしながらも、俺もF・Fも周囲に注意を払っていた。

クソ野郎の恰好…Yシャツにネクタイ、ズボン…は覚えていたんで、

それっぽいヤツの視線からは最優先で逃れてここまで来ている。

体育館の裏に来た今、俺から視線が通る範囲には誰もいない。

かといって安心なんかしちゃあいないぞ。

俺は、アクトン・ベイビーのDISCを警戒していた。

あの透明になるスタンド能力なら、今の俺を殺すにはうってつけだからな。

ジョースター家の一員になって、SPW財団の保護下にあった彼女が

プッチ神父にやられてDISCを取られてる可能性は低いんだけどな。

それでもゼロとは言い切れない…不自然な音を警戒して、歩く。

それがいけなかったんだな。近くばかりを気にしたのがいけなかった。

 

上から降り注いだ何かが、いくつも俺の体を貫通していった。

あれは銃声だ。それを理解するまでが限界だった。

俺の意識は、真っ暗闇の中にストンと落ちていった。

 




鳴滝くんが死んだ!この人でなし!

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