プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
「まず言っておく。俺の身体がまだ治りきっていない……
手っ取り早い説明方法があるんだが、そいつが今は難しい。
今日は簡単な部分だけ。
詳しい話は明日、当事者全員の前でする……いいか?」
「いいぜ。全部わかるんなら問題ねーかんな」
帰り着いてからスマホを見ると、明日は休校との通知が入っていた。
何者かが爆発物を使い、校舎のガラスが広範囲に渡って破損したとのこと。
もしかしなくても俺だった。バレたらどうなることやら。
自殺しようとは思っていたが、死に損なえばこうなるわけか。
状況をつかんだところから、本題が始まる。
「その爆発からだな……あれ、お前の『能力』か?」
「違う。わけあって自作してた爆弾が日の目を見ただけだ。
やろうと思えば、花寺のどか…あいつにも簡単に作れる」
「……なんで、そんな物騒なモンを作ってた?」
「黙秘。ただし、他人を傷つけるつもりじゃあ絶対にない」
「おい。そんな答えで納得できると」
目つきを鋭くしたニャトランは、しかし途中で言葉を切って黙考した。
四秒程度だった。
「うんニャ、わかった…信じるぜ。今ン所はな」
「助かる。じゃあ俺も聞く。プリキュアとは何だ?」
「イキナリ核心来たなー!
スゲー簡単に言うぜ。ビョーゲンズと戦える戦士だ。
オレたちヒーリングアニマルが認めた人間が、
ヒーリング・ステッキを使って変身するんだぜ」
「ビョーゲンズって単語もわからない」
「これも簡単に言うぜ。オレたちのヒーリング・ガーデンを侵略して、
さらに地球も自分のものにしようとしてるヤツらだ」
「………………」
黙ってしまった俺。
事実だろうことはわかる。状況証拠には出会いすぎている。
マンガのような話なのは俺のスタンドDISCだって同様だ。
だが、それを差し引いても斜め上。こいつは、まるで。
「お前ら……戦隊かヨ!秘密戦隊!
まさかロボットとか出てくんのか?これからッ!
ヒーリングマシン・レスキューだとか!」
「何言ってんだお前。まあ秘密ではあるけどよ」
ナツかしいなぁぁ~~、部屋にあったDVDプレイヤーで見てたんだよ、戦隊モノ。
もうほとんど内容は覚えてないけど。
兄さんにブッ壊されちまったからなぁ~7歳くらいの時!
……どうでもいいだろ俺。ンなモン。絵空事は放っておけ。
「悪い。どうでもいい話をしちまったな…
俺は、お前らを『スタンド』だと思っていた」
「そう、それだぜ。なんだよ『スタンド』って」
「ええと…心持つものの精神エネルギーの具現化だそうだ」
F・Fの記憶をそのまんま読んでるだけで、まだ実感のある知識じゃあない。
説明がどうしてもたどたどしくなるのは仕方ないことだろう。
第一、俺のスタンドはこのDISC由来だからな……
いきなりそこから言われてもワケがわからないだろうよ。
「『傍に立つ者』。スタンド・バイ・ミー。
だから『スタンド』って呼ぶらしいな。
こいつを身に着けた人間は、たったひとつの超能力を使えるようになるんだ。
超能力は人によって違う」
「お前のは?
聞いてる限り、ケガを治すのにそいつを使ってるっぽいけどなぁ~」
「正解。詳しいことは明日にしようぜ、お互い……
今日のところは帰ってくれ。メシ作んねーと」
「いーや、オレは監視だぜ。
爆弾作った理由を黙秘されちゃあなぁぁーーッ
……今日は泊めてくれよな、な?」
「…あっそ」
晩飯は、少し古くなったソーセージを焼いたやつと、
牛肉の大和煮(缶詰)になった。
肉と米しかない。唯一残ってた野菜の玉ねぎは使わなかった。
確か、ネコには猛毒だったからな……
「それで、どういう能力なの?」
「これもあらかじめ言っとくか。
スタンド使いは他人に能力をバラさないし見せない。
スタンドは一人一能力だからな。
能力を教えることは弱点を教えることとイコールなんだ」
翌日、臨時休校になった俺は、
先日メガビョーゲンに襲われた公園で花寺のどかと待ち合わせていた。
お互い、すでに昼飯は済ませた後だ。
いちいち戻るのも面倒だし、一緒に食う筋合いは互いに無い。
平日真昼間の公園に人はまばらだったが、さらにその奥の林に入っている。
互いの距離は3メートル。これ以上は近づかない。
もっと離れたいが、これ以上離れると会話が成立しない。
「質問に答えると、俺の能力は『微生物』、プランクトンだ。
名は『フー・ファイターズ』。
俺の血の中に能力で作ったプランクトンがびっしりいて、
そいつで色んなものを作れるし、自分の治療もできる」
「プランクトン…それで指をピストルにして……
ちょっと待って。それじゃあ弾もプランクトンで、プランクトンは血?
だから倒れたの? バンバン連発してたのが血だったから?」
「その節はマジに申し訳ない。
身に着けたばかりの力で限度がわかっていなかった」
こいつ頭の回転が速いな。あるいは、そればかりを気にしていたのか…
謝ったら、目つきがなんだか優しくなった。
一方で咎めるような雰囲気もある。
そして、自分で自分を抱きしめるかのように縮こまっていた。
「血を水鉄砲にするなんて!そんなヒドイこと二度としないで……
うう、想像するだけでツライよう」
「本来の持ち主の得意技だったんだよ。
俺もそのノリで使っちまったんだ」
「……本来の持ち主?」
当然、いるのは花寺のどかだけではない。
ヒーリングアニマルのラビリン、ペギタン、ニャトラン。
さらに、一見ただの犬としか見えないラテがいた。
このラテ、ヒーリングガーデンの代表者テアティーヌの実子らしい。
今、横から声を突っ込んできたのは、優等生肌のラビリン。ウサギだ。
「今の言い様だと、超能力の手渡しが出来るってことになるラビ。
一人一能力と矛盾するラビ」
「そう、そこが核心だ。こう考えろ。
『能力の手渡しができる能力』がいたとしたら?」
「いたとしたら?……いる、って言ってるラビ?」
「『心を盗む能力』だ…やつの名は『ホワイトスネイク』!
人の記憶とスタンドを、DISCにして取り出しちまえる能力だ。
こんな風にな」
俺は自分の頭から、おもむろにDISCを取り出した。
どう考えても人間の頭に入るサイズじゃあないんだ。
こんなものを突っ込んだら輪切りになっちまう。そういうサイズだ。
「ラビーーーーッ!」
「ぺェーーーーッ!」
「ニャーッ!マ、マジかーーッ」
ヒーリングアニマル御一行はそろって腰を抜かした。
いや、ラテは…わりとノンキしてる。
花寺のどかも、意外なことに大して驚かなかった。
「ビビらないな、花寺のどか」
「うん。ごめんね……昨日、危うく抜きかけたんだ。
鳴滝くんが気絶してる間に」
「抜いてたら、たぶん俺は死んでたな。
バキバキの骨がまだくっつききってなかったからな…」
「ひぇっ…」
「抜かなくてありがとうって言ってるんだ。
聞きたいことはそんなことじゃあないだろ」
「う、うん」
ヒーリングアニマル達は順次立ち直り、こっちを向いている。
特にラビリンは非常に不審な目を向けている。当然だろうな。
俺は『ホワイトスネイク』と関係あります、と言ってるも同じだからな。
質問はすでに確定している。
「鳴滝魁、あなたは『ホワイトスネイク』っていうのとどういう関係ラビ?」
「直接関係はない…はずだ。
俺には、このDISC以外にわかることは何もないんだ。
おととい、気づけばそばに落ちていた。それだけなんだよ」
「どういうことペェ?知らないのに知っている?わけがわからないペェ」
「このDISCには、『スタンド』も『記憶』も入っていた……
ニャトラン、頼む。見てくれ」
「オレかよぉぉーッ…まぁ、そうだよな。ホレッ、やんな」
「その前にだ」
その場にドカッと腰を下ろす、というより倒れこむ俺。
こういう何もない場所で座るというのは、今の俺には非常に困難だ。
「な、鳴滝くんッ?」
「何してるラビーッ!」
「ラビリン、ペギタン。俺の松葉杖を預かれ。一本ずつだ。
そして元の場所まで離れろ」
「何を言ってるペェ?」
「おそらく、DISCを差し込まれたニャトランは少しの間苦しむ。
俺がそうだった……このままDISCを差したらな、
俺が何か危害を加えたようにしか見えなくなるんだよ。
だから、生殺与奪を明け渡す。信用の担保として命を渡す」
「フザけんじゃねーーーッ!」
話が思い切り遮られた。ニャトランが正面から吠えた。
ネコだから毛を逆立ててフーーーッて感じだが。
「おめーは『頼む』っつっただろ?それで充分だってんだよ!
勝手に見損なってんじゃあねぇぇーーーーッ」
「う…わ、わかったよ。いいんだな?やるぞ」
「おうッ、やんな」
倒れたままの俺に寄ってきたニャトランの頭にDISCを当てると、
ギュンと形容しがたい音を立てて、
人間より二回り以上小さい頭に吸い込まれていった。
プランクトンにも入るんだ。ネコごとき何てこともないわけだ。
ほどなく、ニャトランが目を見開いてうなり始めた。
「おっ、おおおおおおッ、こ、こいつは…」
「ニャトラン、大丈夫ラビ?」
「やべぇ、やべぇよコレ…F・Fの、一生、か……。
一生を全部見ちまった」
情報が流れ込むのは割とすぐなのだ。それをすぐ消化できるかは別問題!
DISCを取り出すのも忘れているニャトランの頭から
それを引っこ抜くと、ようやく我に返った。
「ニャトラン、何を見たぺェ?誰の一生だぺェ?」
「……キュンと来たぜ」
「ぺェ?」
「『空条徐倫』キュンと来ちまったぜ!
タフで、泥水すすっても諦めねぇ!
痛ぇだろーによ、泣きたかっただろーによぉー
プリキュアになって、オレと一緒に戦ってくれ……ればなぁ~」
「8年前だよニャトラン。見ての通りだ。今、生きているかも正直わからない」
「勝ったに決まってんだろ。負けるかよ、根性曲がりのプッチによぉ~」
「…安全、らしいことは確認できたラビ。洗脳されたみたいにも見えるケド」
その後、DISCを順々に回していった。
ペギタンとラビリンが見ている間に、花寺のどかが俺を助け起こした。
前に立ってから俺の両腕を各所で引っ張り、立ち上がる動作そのものを助けた。
今回は、何も起こらなかった。何か違いがあるはずだが…
お礼くらいは言える。そっちが先だ。
「ありがとう」
「どういたしまして」
微笑んだ彼女は、スッと元の距離に戻った。3mだ。
それから全員が見終わるのに、5分もかからなかった。
刺激が強いため、ラテに見せることはラビリンが強く反対したが、
スタンドの脅威を知らないヤバさの方が勝るため、最終的には折れていた。
「エルメェスさん、キュンと来たペェ」
「え、あの怖ぇー姐ちゃん?意外だなー」
「怖いのは仲間を想ってるからだペェ。
一緒に戦えたら、ボクも強くなれると思うペェ」
「そうかもな。かなりスパルタだろーけどよぉー」
「でもフロリダは遠すぎるペェ。ほとんど地球の裏側だペェ」
「……もう、ほとんど説明いらなくなったよな?これで」
「うん」
花寺のどかは頷いた。
それと、驚くべきことに。
スタンド『フー・ファイターズ』はこの場の全員に適合した。
個性に合わないスタンドDISCは頭から弾かれるはずだが、全員それがない。
「それなんだけど、変だよね、このDISC」
「変だな。改めて記憶を見てもそう思う」
「最後のよぉー、プッチのクソ野郎にやられた時!
F・FからDISCを外されちまってるんだよな……
『記憶』が『スタンドDISC』に入っているおかしさに目をつむっても、
じゃあ、その後に入ってる『さよなら』の記憶は何なんだ?」
「謎だらけだペェ。まず、このDISCを魁に投げていったのは誰だペェ」
「普通に考える……なら、『ホワイトスネイク』ラビ」
「邪魔をした裏切り者の記憶を詰めてかよ?何が目的なんだ?」
「今わかることは何もないラビ。
確かなのは、スタンドDISCが確かにここにあることだけラビ。
と、いうことは」
「ビョーゲンズだけじゃあなく、
スタンド使いが敵になる可能性がある、ってことかよ」
「待って、味方かもしれないよ?
少なくとも今、鳴滝くんは味方でいてくれてるよ」
かなり本格的で深刻な会議になっている。
が、花寺のどか。名は体を表しているのか?
沢泉ちゆに会っておきながら、よく味方だなんて思えるもんだ。
……だから、この距離なのか?
俺の3mにピッタリと合わせてきている……
なんだか、モヤッとした気分が襲ってきた。
が、そんなことより、この会議の方が重要だ。
「あのー、それだけじゃ、すまないと、思うペェ」
「なんだよペギタン、歯切れわりィーな」
「確証はないペェ。けど、このDISC、ボクたちにも使えているペェ」
「何が言いたいラビ、ペギタ……まさか」
「ビョーゲンズがDISCを手に入れて使ってきたら!
プリキュアでも勝てるか怪しくなるペェ」
全員の絶句だけが返った。
俺もこの発想は無かった。
あのメガビョーゲンがスタンド使いだったら、
どんな恐ろしいパワーで辺りを破壊して回るというんだ?
そうでなくても、あの顔色の悪い少年がスタンドを使うなら。
どんな悪質な方法でメガビョーゲンをけしかけてくるんだ?
たとえば、花寺のどかがスタンド『グー・グー・ドールズ』の術中に落ちたら?
そんな状態でどうやってメガビョーゲンに勝つ?
これは、とてつもなくやばい。
「ど、どーすんだよ、やべぇじゃあねぇーかよ!」
「……大切なのは、知られないことラビ。
鳴滝魁、あなたはもうダルイゼンに能力を見せてしまったラビ。
スタンドはビョーゲンズにとっても謎のはず…
そのためだけに襲われかねないラビ」
「DISCの秘密だけは守らなきゃならないペェ。
とくに魁のDISCはまんま説明書だペェ。バレたら最後だペェ」
この数分間で俺の責任は数千倍に重くなった。
安易に挑んだ戦いで、俺の能力の片鱗がバレた。
いや、そんなことよりも。
スタンド使いの存在を知らせてしまった方が重罪だ。
俺は完全に覚えられていて、俺からDISCが抜き取られたら…
ノウハウは全て敵行き。フー・ファイターズも敵のもの。
だが、それを解決する『策』は、ある……
キュアスパークル(?)
「なに……何?このカッコ……あたしイイ年なんだけど?
やめてよね、アハハ、冗談……と、飛びてぇぇ~~~~~ッ!!
見るなぁーッ見るんじゃあねぇぇーーうわあああああああああ」
キュアフォンテーヌ(?)
「ヘイッ!お前、おまえだよこのクソペンギン!
おめーさぁ~~~あたしに何求めてんの?
どうすんのよコレ…とてつもなくイタタマレねぇーんだけどよォォォ~
戻せッ3秒以内だ!いいから今すぐ戻しやがれぇぇぇぇぇーーーーッ」
ちなみにキュアスパークルさんはスプラッシュスターの皆さんと同い年。
キュアフォンテーヌさんは初代の皆さんと同い年…のはず