プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
そのぶん、文量は多いんですが…
ああでもない、こうでもないって書き直しまくってました。
あと、原作にそぐわない部分の修正が発生。
のどかっち達の担任。今まで丸山先生って書いてたけど、
オフィシャルコンプリートブック見ると『円山』先生だった。
今までのヤツ全部なおしてます。
今回の語り部は鳴滝くん。
文字数は8500字弱。かなり多い。
「どうして私を呼ばなかったの?」
『夢』の中。一通りの事情を説明したところ。
黙って聞いてた沢泉が、そう静かに聞いてきた。
どうしてこうなったか?
結論から言えば、フー・ファイターズの分体にメガビョーゲンを装わせたのがバカだった。
校外にも聞こえていた断続的な破壊音を不審に思った沢泉がこの声を聴いてしまい…
花寺に連絡するもラテに異常はなく、連絡を終えた頃には破壊音も止んでいたものの
放置するわけにもいかず。変身して突入を試みたところに俺がいた、というわけだ。
「この足で、お前を呼びに行ってる間にヤツが学校を去る可能性があった。
そうなっちまったら、もう行方なんかわからない…
最悪、花寺か平光が狙われる!そう踏んだんだよ」
あの場で説明せずに済んだのは、F・Fが
『今は説明させるな、時間が惜しい!夢まで待ってくれ』
『こいつの目が覚めた時!あんたと魁が一緒にいたら話がややこしくなる』
と、ややゴリ押し気味に黙らせ、帰らせてくれたからだ。
おかげで、こうやってある程度理論武装の上で説明に臨むことができている。
カバーストーリーは、こう。
クソ野郎は、オレと沢泉の間にあった出来事を知っていた。
それがDISCの命令と噛み合って、俺を殺すべく動き始めた。
襲撃されて、死んだふりで乗り切った俺とF・Fはヤツを奇襲し倒した……だ!
嘘じゃあない。すべてじゃあないってだけ。
用意していた答えをすぐさま返すと、沢泉はヤブニラミみたいに俺を見て。
おおよそ四秒後にフゥッと息をついた。
「……。私が、あなただったら……
もっといい方法をその場で用意できたかって言われると……たぶん、無理ね。
わかった、信じるわよ」
「おう」
「でもね。はっきり言うわよ…耐えがたいわ!
勝算はあったにせよ…負けたら死ぬ戦いをあなたがしていた近くで、
私はノンキにハイジャンプの練習をずっとしていたのよ」
「ノンキじゃあないだろ。重要だろ、お前にとっては」
だからこそ俺は意地を張ってた。
だが、俺の指摘を聞かされた沢泉の眼の色が変わった。
瞳孔が開くさまがハッキリと見てとれた。
「人が死んででもやってろって言うの!!??」
今まで聞いた中でも最悪の怒声だった。
腹の中を締め上げられるような感触に思わず目を閉じ歯を食いしばった。
「こんなッ…こんなひどい侮辱は初めてよ!」
「そ……そんなこと言ってないだろがッ」
「言ってるも同じでしょうッ!?
人が死にそうよりも、高く飛ぶ方が大事なの、私は!?」
「じゃ、じゃあ…どうすりゃあよかったってんだよ、俺は!?」
ああ、不覚だな。感情で反応しちまった。
落としどころも何もない場所に無防備で突っ込みつつある。
それを明確に感じ取ったのだろう。花寺が動いた。
平光もガタッと音を立てて立っていた。
「待って!そこまで!
いったん離れよう?落ち着こう?
…ニャトラン、鳴滝くんについてあげて!
他のみんなはこっち!」
「お…ガ、ガッテンだ!」
俺の方から離れる。冗談じゃあねえ。
どうにか元通りにならなきゃあと思う一方、
持っていく先のない不満だとか無念が渦巻いてる。
夢から醒めたら泣こう。ここだと花寺に丸わかりだからな。
それでなんとかケリつけよう……
杜王駅、開かずの踏切を越えたあたりで立ち止まると、
後ろからニャトランが追いついてきた。
近場のベンチに腰掛けると、となりにチョコンと降り立つ。
何も言ってこない。2分くらい経つ。
F・Fは……来ないな。アッチに行ったのか。説明のためかな?
「おい、ニャト」
「オウ、落ち着いたか?」
「……落ち着いてるよ。最初っからな」
「ホントかよ?ま、いいや」
目の前に直立して、俺に向き直るニャトラン。
二足歩行する子ネコも、ずいぶん見慣れたもんだ。
「言いたいコトあんだろ?
言ってみろよ、このオレに!
陰口でもイイんだぜ、黙っててやっからよ」
「言えるかよ、陰口なんて。
俺にはここしかないんだよ。
そんな、家に火をつけるみたいなマネ…嫌だよ」
「考えろよ。なんでのどかは、オレをオメーのそばに残らせた?」
言われるままに考える。他に何ができるわけでもないからな。
まず花寺は俺をどうしたかったのか。まあ考えるまでもないだろうよ。
俺がチームにいられなくなることを防ごうとしてる。
言い方は悪くなるが、俺はずっと『信』で縛られて、繋ぎとめられてきたんだ。
スタンドとプリキュアで結ばれた運命共同体だから?
そんな即物的な考え方をするヤツだったら、
俺はとっくにDISCを取られて放逐されてる。
あいつはただ、信念だとか理屈によるものじゃあない…
血のようにめぐってる『あたたかさ』で動いてるんだって、最近思うようになった。
これは何も花寺だけじゃあない。沢泉も、平光も同じなんだろう。
今、目の前にいるコイツもな。
「……。お前は、沢泉から『遠い』。
ラビリンとラテも同じ条件になるが、俺と『近い』のはお前だよな」
「だろ?ちゆに面と向かって言えねー文句も、オレになら言えるってワケよ!
のどかがそーやって気ィ回してんだからよ、遠慮すんじゃねぇーぜ」
「…だとしても、俺は…嫌だ。
そいつは…みんなが『信じてくれてること』にそむく。
そむいた俺に残るものはなんにもない」
「そーかよ」
ひとつうなずいたニャトランは、作ったみたいな笑顔を見せると、
俺の目の前にフワフワと浮かび上がった。
「オメーよ、根性あるよな。
ガマン強くて、つらくても歯ァ食いシバッて耐えられるヤツだぜ」
「…………」
「でもよ。今のオメーの顔が、オレにはゼンゼンウレシくねー。
オメーの友達だと思ってるオレにはよぉー」
「なら、どうすればウレシイんだ」
「
笑みを消した、真顔のニャトランが俺を見つめた。
「もしかしたら、オメーはそれでイイのかも知れねー!
でもよ、なにもできねえなにもしてやれねえ!
オレはダマッて見てりゃあイイのかよ?」
「ニャトラン…?」
「友達だよな、オレは!
だったらオレに、なんかさせろよな!」
「もう、十分すぎるほどさせてる。もったいないくらいにな」
「……じゃあ、考えてくれよ。
例えば…ひなたが、オメーに内緒で戦って大ケガしたら。
オメーどう思うの?」
言われた通り、マジメに考える。
ここまでマジになって怒ってる以上、そうするしかなかった。
でなければ、それこそ『信じてくれてること』にそむくんだ。
今の状況で、俺が、あるいは俺だけが知らないままどこかで戦い、
取返しがつかないようなケガをする平光。
…なんでそんな非合理的なことを?
と、最初に思ったが、それを言ったら今回の俺だってまさにそれだ。
正体不明の行動を知らないところで取られ、
もはやどうにもならないようなケガを負ったことだけを知らされる、か。
とうてい愉快じゃあないな。なんとかならなかったのか、としか言えない。
そして、おそらくはほぼ正確に理解した。ニャトランが何を言いたかったのか。
「何もできないまま、ただ見過ごした俺だけが残る、ってか。
せめて関われていれば、何か変わったかもしれないのに」
「今、そー思ってくれたオメーの気持ち。
みんなからオメーにも向いてんだかんな。忘れんじゃあねぇーぞ。
っつーか、ちゆに説教されてたよな、前によ。
オレたちが他人だなんて言わせねえぜ」
それからニャトランは、改めて俺に不満を吐き出すようにうながしてきた。
俺はニャトランに従って…顔色をうかがうのをやめた。
ここまで説得されてなお、すべての秘密を吐くわけにはいかない。
少なくとも沢泉の大会が終わるまでは。そこは曲げられない意地だからな。
だから、言える範囲のことだけを言う。
こいつが俺に望んでるのは、屈服じゃあないんだから。
「まァ、その。なんだ。
沢泉のジャマをしたくないって判断が働いたのは確かでよ。
それだけに、あんな反応をされると…そりゃムカつくし、キズつく」
「ウン、トーゼンだよな」
ウンウンと首を縦に振りながら話を聞いてくれたニャトランが、
今度は向こう側から見た今回の顛末を話す。
まず、F・Fに退けられた沢泉は、いったん花寺、平光と合流したらしい。
ニャトランが言うには、ショックを受けていたそうだ。
飛べなくなったハイジャンプのことで頭がいっぱいになっていたすぐ近くで
戦闘が発生し…何もかも終わった後で駆けつける羽目になったことに。
私は何をやっているのよ、予兆くらいつかめなかったの?
自分のことしか考えてなくって、その結果がこれなの?…と。
今回の敵が隣のクラスの担任だったってことが、沢泉になおさらそう思わせたんだろうよ。
むろん、花寺と平光が即座に反論して止めた。
全部わかってあらかじめ防ぎに行けるんだったら、
承太郎さんだってホワイトスネイクに負けなかったよ、と。
めっちゃガンバッてるちゆちーはリッパで、ダメなわけないじゃん、と。
歩きながら話して、いつしか海岸にまで行きついていたみんなは、
それに対する沢泉のぼやきを聞いた。
『私は、あの空にたどりつきたくってハイジャンプを始めたわ。
子供のころ、海で見上げた…吸い込まれそうな青空に……
でも、他の誰かを。知らずに、踏みにじって行くっていうのなら…』
ここまで聞かされりゃ、イヤでもわかったよ。
俺があいつに対してした返事は、そんな夢にドロを塗り付けたんだ。
なにが『聖なるもの』を穢させない、だ。正面からやらかしてんじゃあねえか。
「ニャトラン。俺は…バカだったのかな」
「オイオイ、のどかもちゆに言ってんだろ。
全部ワカッて動けんなら苦労しねーんだよ。
テアティーヌ様にだってできるかわかんねぇーぜ」
「どうすりゃあよかったんだ?」
「…そりゃあ。オメーにあったことがわかんねーとナンともだけどよ。
全部話せんの、オレに?」
「できない…悪い」
「ン…イイってコトよ。話せるようになったら話せよな」
少しして、花寺からメッセージが来た。
前と同じように、脳内に直接、文が書き込まれるみたいにだ。
『ちゆちゃんが落ち着きました。
そっちも落ち着いたら、オーソンに来てください』
何がまずかったのかはわかったんだ。もう落ち着いてもいる。
許されるかどうかはわからないが、まずは謝ろう。話はそれからだ。
行きついてみると、沢泉だけがいた。他の誰の影もない。
「んじゃ、オレはここでな。行ってこいよ!」
「おい、ニャトラン」
「一対一で話したいんだってよ。
オメーだけじゃあなかったみてーだな。悪いと思ってんのはよ」
言い捨てるみたいにしてピューンとどこかに飛んで行ってしまったニャトラン。
沢泉は、とっくに俺に気づいてる。こうしてるわけにもいかない。
さすがに気後れするな。おずおず進んでいくと、あっちも歩み寄ってきた。
向かい合う。まず言うことはハッキリしてるんだが……
お互い、様子のうかがい合いになった。牽制合戦だ。
なんか言いそうだな、いや、自分から。いやしかし。
そんなのを互いに繰り返しあって、こんなことしてても仕方ないと
場を叩き壊すみたいに頭を下げた。のもまた同時!
「「ごめんなさい!」」
頭を上げたら、ええッ?ってフウにこっちを見てる沢泉がいた。
たぶん、俺も同じような顔をしてる。どうすんだこれ?
「そ、その。先手どうぞ」
「なによ先手って?…でも、ウン……そうね」
オホン、と咳払いをした沢泉は居住まいを正した。
俺もそうする。咳払いはしないけどな。
「私は……守ってもらったのよね。
私のハイジャンプを邪魔しないように戦ってくれてたのに、
さっきの言い草はいくらなんでもひどすぎたわ。
工夫して、戦って、やっと勝ったあなたの身にもならないで…ごめんなさい」
「お前の身にもならないで侮辱同然のことを言ったのは俺だろ。
あんな言い方したら、お前が人を平気で踏みにじるヤツだって言ったのも同じだよな。
…ごめんなさい」
お互いに謝ると、また少し黙ることになった。
言葉を探しているような感じだった。
俺もまたそうしていて…今言うべきことは、言おうと思った。
「さっき、俺、言ったよな。
重要だろ、お前にとっては…ってよ」
「…。ええ」
「訂正する。重要なのは、俺にとってだった」
「どういうこと?」
「単純だよ。走れなくなった未練を、勝手にお前に乗っけてただけ。
自業自得で走れなくなったくせに、しかもお前にあんなマネを働いたくせにな。
だから飛んでほしかった。
別になんの罪もないお前が、俺みたいになるとかワケわかんねえのは嫌だった。
……それだけだな」
「…………」
「お前には、俺の感傷に付き合う義理も義務もない。
どのみち、陸上競技者としてのお前の近くに、俺は二度と現れるつもりはないからな。
何も気にせず、ただやりたいようにやってくれよ。そいつが俺の望みでもある」
言うだけ言って話を打ち切るわけにはいかない。
反応を待つのは義務だよ。少なくとも今はな。
俺のキモくて勝手な心の中を話されて、こいつはどうすればいいんだろうな?
俺自身でもそう思う。だがそれでも言わなきゃあならなかった。
さもなければ、『お前にとっては』を取り消すことができないのだから。
俺は、俺の勝手で動いてるんだよ。最初から最後までな。
少し、きょとんとしたような顔をして、次に俺をじっと見た沢泉は、
やがて、静かに強い調子で言い切った。
「ならないわ!あなたのようには。
その証を、次の大会で立ててみせるわ」
「…なら、助かる」
「戻りましょう。鳴滝くん。
スタンドDISCと命令DISCも回収済みなら、
話すことはいくらでもあるわ。
戻りましょう。カフェ・ドゥ・マゴに」
問題解決とばかりに、速足で俺の前に出ていく沢泉。
おい、俺が松葉杖だってこと忘れてるんじゃあないだろうな。
そう言いそうになるくらいの勢いで進んでいったが、
7メートルくらい離れたところで立ち止まり、振り向きもせずに。
「あなたが、どんなつもりで言ったんだとしても。
あなたの言葉…私は、『応援』と受け取ったわ。
当然、これは…私の、勝手よ!」
それだけ言って、少し速度をゆるめて歩き出した。
話聞いてたのかお前?
陸上競技者としてのお前の近くに、二度と表れないって言ったばかりだろうがよ。
そんな文句を言いたくもなったが、速くてついていくのが精いっぱい。
アップアップしながら松葉杖をつき、結局カフェ・ドゥ・マゴまでその調子だった。
事件としては、ここで終わりだ。
沢泉のイップス(?)も、大会で見事にハイジャンプを決めて払拭された。
…残念ながら、大会本番では失敗しちまったらしいがな。
直後に襲ってきたビョーゲンズのせいで大会そのものが強制解散になり。
プリキュアとして無事ビョーゲンズをヒーリングッバイさせた後で、
誰もいなくなった競技場で花寺、平光が見守る中、同じハイジャンプに再挑戦し。
そこで、飛び方をまた思い出したそうだ。
なんで伝聞調なのかって?ずっと寝てたんだよ俺は!
沢泉への不名誉きわまる例のウワサと、俺の胴体をブチぬいた大量の弾丸については
どうにか隠しぬきはしたが……デカすぎるダメージはごまかしようもなく。
金曜日を病欠した俺は大会当日である土曜日も布団でひっくり返っていた。
「今は寝てな。あれだけの不利を跳ね返してその程度のダメージなら上等よ」
そう言って、冷蔵庫の中の食べ物を点滴化して俺に投与してるF・Fを横目に、
スマホへ飛んでくる平光のショートメッセージで大会の実況中継を見ていたわけだな。
そして、一緒にニャトランがいた。正確にはレッド・ホット・チリ・ペッパー。
ご近所を停電にするほどのパワーを引き出せば、
プリキュアに匹敵する近接戦闘力のスタンドだからな。
俺の護衛にはうってつけってことで、本体は平光のそばのまま、スタンドだけ派遣された。
「ニャトラン、なんでもいい。スポーツドリンクよろしく」
「オウよ!…………ホイッ!」
ガトン!
「さすがチリ・ペッパーだよなぁぁーーーッ、パシリに最適」
「ビミョーすぎるコト言うのやめてくんね?」
F・Fとこうして話していたヤツもまた、俺の大ダメージを知っている。
護衛としてウチにくるにあたってもう隠せないと判断したし、
秘密をバラすこともないだろう…俺本人がそう思ったこともあり、
秘密は秘密のまま、ガッツリ面倒を見てもらった。
そうして休み明け。
一番心配だったのが、例のウワサの行方だったが…
最小限の被害で解決したと言ってよかった。
これについては、ウワサの収拾を頼んだふたりの功績が本気で巨大だ。
俺から頼まれた直後、あのクソ野郎…松永の動きを
たまたま知っただろう彼女らは、その時点でウワサの消去は不可能と判断。
代わりに、カウンターとなるウワサ、というか警告を、
平光人脈を通じて周囲に急ぎ拡散しまくったようだ。いわく…
スランプ中にある沢泉ちゆに対して、こんな下品なウワサを流して
陥れようとしているバカがいる。誰が元かは大体わかっているので、
相手にしないように。教師がすでに動いてる。
そんなヤツの同罪にされてもつまらないだろう……だ。
なお、下品なウワサのもう一人の対象である俺の名は伏せられているのが、
この警告文のさらに巧みなところだった。
そこに対して俺を当てはめるような発想は、
下劣に下劣を重ねてなお余りあるってことだ。
金曜日朝の時点ですでに行き渡りきった警告は、
ウワサそのものを上書きし、逆説的に広まりようがなくなった。
もっとも、こうなってしまうと沢泉の耳に入ってもおかしくなかったが…
このレベルの話にまで落ちれば、不愉快な…でオシマイだろう。
しかも現実に、沢泉の耳に入ることはついになかったのだ……
この事実を、益子道男を通じて知った俺は、廊下で見かけたふたりに軽く頭を下げた。
向こうも軽くうなずいて、それでこの件はおしまいだ。俺が頼んだなんて事実はない。
そして益子道男は、この状況を通じてウワサの犯人を突き止めていた。
聞けば驚くほどのこともなかった。動機も十分。
弁当に潜ませて侵入させたフー・ファイターズで肉体の記憶を読んだによると。
先週、退院してきたこいつは再び学校に来て…沢泉に恐怖した。
当然だな。夢の中でやってきた、ヘタすると俺以上にゲスな所業を知られてるんだから。
しかも、無敵のはずのパワーに対し平然とブン殴り飛ばしてきた正体不明の存在だ。
ヤツは、沢泉を取り除かなければ未来がないと思い込んだ。
だがどうやって?自分で直接襲い掛かっても返り討ちは目に見えている。
そうやって考えた末に思いついたのが醜聞だったってわけだな。
名声を地に落とし、学校にいられないようにしてしまおうと。そういう話だ。
思いついたきっかけが俺の存在だっていうのが最悪に腹立たしい。
全国級スプリンターがいじめの反撃で半身不随になり、
誰もが目をそむける存在に落ちぶれた…そんな実例さえなければな。
その辺も含めて……くらわせてやるぜ。然るべき報いを。
放課後。帰宅部のヤツは早々にカバンを持って表に出る。
肉体の記憶を読まないでも…よくわかるな。精神状態がよ。
無い知恵絞ってひねり出した必勝の策が、
どこからともしれぬカウンターで叩き潰され無力化された。
ウワサの出発地点にいたのは、当然ながらコイツ自身で。
すでに周囲から白い目を向けられつつあり、
だのに、一時期スランプで弱っていた沢泉は今や元気を取り戻している。
『今度は、オレの方が何かされる』。根拠のない恐怖におびえて帰路を急いでいるが…
まあ、間違いじゃあないな。俺が半径50m以内に
人通りの少ない雑木林沿いを狙って、俺は制裁を発動した。
『オイ。ズイブント愚カナ真似ヲシタヨウダナ』
「うひィッ!?…な、な、なに?誰だよッ」
『ワタシガ誰カナド、ドウデモイイ。
オマエニモ、ワカリヨウガナイ事ダッタナ。
オマエハ、ワガ同志ニ無用ナ危害ヲ加エヨウトシタ。
セッカク、タコ殴リダケデ済マセテヤロウトシタノニ!』
「どッ、どこから?…どこから!?
同志って、まさか、さわ……さわワァァァァーーーーーーッッッ!!??」
バリ バリバリバリ ブシャッ
『ヨッテ、モウ一度ダケ警告シテヤロウ。
美容手術ダ、ヨロコベ!親知ラズ4本、無料デ抜イテヤルノサ!
モットモ!麻酔ハさーびすニ含マナイガネ!』
「や、やめ、アガ、アァァァァーーーーーーッッッ!?
ホガァァァァァァァァァァァァァァァ」
ギ ギギ ギシ!ギシ!
ギギュギュ… バ バキ!!
……コロン カラッカラ…
『コノコトヲ周リニ吹聴シテミロ。次ハ顎ヲ抜イテヤルゾ。
悪サヲシテモ同ジコトダ。同志ハ数多クイル……
ソノ、誰ニ対スル攻撃デアロウト……
次ニアレバ、命ガナイト思ッテモラオウ』
「……ア、アギ。アギ…」
『サラバダ、フフフ……ドコカラデモ見テイルゾ』
……これだけ脅してもなんかやってくるってんなら。
もう命をとるしかねえぞ。懲りてくれよ。頼むから。
俺とあんまり大差ない、ちょっとだけ不幸だったお前さんよ。
ちなみに、化膿とかはしねえぞ。ちゃんと処置したから。
手術費用だけ見たら、マジに得しかしてねーんじゃねえかな、こいつ。
松永先生だけほっぽっとかれてますが、
次回にでもチラリと触れて終わりかと思います。
使い捨ての敵キャラじゃて。
ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ぜひよろしくお願いします。
現時点で、この作品に何を求めて読んでいますか?
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心優しいプリキュアたちらしい熱血バトル
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ジョジョらしいどんでん返しの知略バトル
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プリキュア世界で動くジョジョキャラ
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ストーリー上の謎がどう展開するか見たい
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主人公たちがどう成長していくのか見たい
-
人間関係がどう変わっていくか見たい