プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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また、えらく遅くなってしまった…
申し訳ございませぬ。

今回の語り部はF・F。
文字数は5000字と少し。おい…



緊急お手当て!同時多発ビョーゲンズ!‐その5

「えッ?ン?…どったの?」

 

かつぎ上げられた魁が、ガックンガックン揺られながら

スパークルの背中をボンボン叩く。

畑だらけの中を全速力で突っ走ってたスパークルはちょっとして気づくと、

キキキィーーーッと足から煙を上げてアスファルト上に止まった。

コイツも慣れたな。ファイヤーマンズキャリー。

それでも、かつがれてる側はいったん止まってもらわないと

シャベることなんかできない。

一度でも経験してみるといい…とんでもなく揺れるのよ。舌を噛む!

年寄りだとムチ打ちになるかも。マジに課題なのよねコレ。

プリキュアみんなの。

 

「……よし。ここから出すぞ、チリ・ペッパーを」

「チリ・ペッパー?川とか溜め池とか、まだ向こうじゃん」

 

言わないでもわかると思うけど、あたしたちとスパークルは『水辺組』だ…

この組み合わせは、グレースが決めた。

まあ、そうなるだろうね。戦力的にも能力的にも、一番つり合う。

魁のヤツは、あたしことフー・ファイターズを考慮に入れても

プリキュアひとり分と比較するにはちょいとばかし非力すぎるが。

ニャトランのチリ・ペッパーは、電気さえ使えればそこを補える。

さらに、町中の電力を使い果たす勢いで使いまくれば、

プリキュア全員をも超えたパワーを出せる。

最後の手段で、やっちゃあならないことではあるが…

これで、総合的にはトントンだ。

そして、グレースは明らかにこうも考えている。

あたしたち全員で、チリ・ペッパーの有効な使い道を思いつくことをな。

 

「スパークル。一般人がメガビョーゲンを見たらよ、どうすると思う?」

「どうするって。逃げるよね、フツー」

「その一般人が車に乗ってたら?

 メガビョーゲンはデカイからな、遠くからも見える」

「車に乗ってんなら、車で逃げる…

 でもさ、渋滞とかしてたら車捨てて逃げる、かも」

「ン?……あッ、言いたいコトわかったぜ。オメーのよぉ~~ッ!

 チリ・ペッパー使って、この辺の不自然な渋滞探せっつってんだよな?」

「ああ。この時間で人里に出たんなら、これでまず見つかると思う。

 見つからないんなら、人里じゃあない…

 川を上流にさかのぼったどこかだろうよ」

 

で、あたしもだけど。魁は、かつがれてる間に考えることは考えてた。

チリ・ペッパーが使えるなら、考えることはほぼ同じだな…

あたしは、むしろ野次馬根性でメガビョーゲンに近づくバカを想定したけど。

結局、そーゆーヤツらも生命に危険が迫れば逃げ出すことに変わりない。

車で逃げたんなら、どこかで車が詰まり始める。

そこにメガビョーゲンが近づけば、車を捨てて逃げざるをえない…

同じことってわけ。

 

「んじゃよ、まずはどっか高いトコから見下ろさねーとな」

「それならアレだな。山に向かってる送電線用の鉄塔がある」

「オウ、行くゼ!」

「渋滞見つけたらさぁ~、どーすんの?」

「近くまで寄って人間がいるか確認だな。

 いたらそいつらの会話を盗み聞きして情報を集める…

 いいや。それより前に、渋滞の終点を確かめる方が先だな。

 メガビョーゲンが理由じゃあないなら、それでわかるだろ」

 

チリ・ペッパー万能説だよな…電気さえ通っていればほぼ瞬間移動できるし、

電気の近くで話をしているヤツがいれば、そこに留まって盗み聞きもできるしね。

だがな……今回ばっかりは、そいつがアダになったというしかねえぜ。

それから一分もしないうちに四つの渋滞を見つけて、

うち三つはなんの変哲もない渋滞だった。

もうひとつも、メガビョーゲンとは関係のない、

人間社会で普通に起こりえるヤツだったんだがな。

 

「……なんてこっただぜ」

「ニャトラン?何が原因だったの?」

「事故だぜ。デケえトラックがバスに後ろからぶつかったみてーだ!

 バスが横倒しになって、トラックがめり込んでる…

 ヤベエのはよ。トラックがすでに燃えてるってコトだぜ」

「…ッ!?」

 

スパークルの顔面が凍り付いたみたいになった。

引き継ぐみたいに、魁が聞いていく。

 

「トラックの運転手は?」

「まだいたとしたらよ。助からねえ…燃えてんの運転席だぜ」

「バスの中に人はいるか?」

「見えねえ!でもよ、周りに助けようとしてるっぽいヤツらがいる」

「バスに燃え移るかどう…ヘイッ!トラックの積み荷は?」

「わかんねえ!なんか銀色のデケエ缶っぽいのがいくつか落っこちてるぜ!」

「ラベルはあるか?なんて書いてあるか見えない?」

「ええとよ……エタノールって書いてある」

「ンなッ……!?」

 

魁の口に割り込んでクチを出して正解だったんだか間違いだったんだか。

トラックの積み荷いっぱいがそいつだったらよ。大惨事確定じゃあねぇーかッ!

 

「エタノール?えっと…お兄もお姉も、パパもいつも使ってる。

 消毒液?だよね……確か」

「知ってるな?『火気厳禁』だ、スパークル」

「めっちゃ…燃える……ッ!?!?」

 

何がどうなるか理解したスパークルは走り出した。

おいコラ、ドコに行く気だよ?

 

「おォい!連れてけ!

 行くならチリ・ペッパー使え!」

 

魁が金切声みたいに叫ぶと、気が付いて戻ってきた。

アブねえ、置いてかれるとこだった…今、孤立するのはヤバイ。

 

「タッキーここにいてよ!爆発したらヤバイじゃん!」

「ボッチになってビョーゲンズにつかまる方がヤバイ。

 あと、なんか役に立つかも…考え事は俺に投げろ」

「…ン!ニャトラン、お願い!」

「行くゼ!」

 

こうして、チリ・ペッパーがスゴすぎるばっかりに、

ビョーゲンズとはなんにも関係ない事故の救助に行くことになっちまった。

 

『おかしなことになったわね。魁』

『助けられた俺に、見捨てろなんて言えねえよ。

 最短でケリをつけるしかないな』

 

ま、それよね。

脊髄反射で人を助けに行っちゃうスパークルじゃあ、

止めたってどうしようもない…

しかも、魁自身がその性格に助けられたとあっちゃあね。

目的を優先しろ、なんて言っても止められないし、ただ嫌われるだけ。

あたし個人の気持ちとしても、スパークルに賛成だけどね。

徐倫もエルメェスも、同じ立場なら助けに行ったと思うからな…

ここにウェザーがいればなぁぁ~~、集中豪雨で一発鎮火できるのに…無いモノねだりだけど。

 

「んじゃ、タッキー、ココね!」

「了解。最悪、ここに潜ってしのぐ」

 

現場近くの公園の池で、あたしたちは待機になった。

現場から50m以内にこんな場所があったのは幸運と言うしかないか。

もし爆発したらここにも影響あるだろうけど、潜ればたぶんなんとかなる。

 

『タッキー、ヤバイのはエタノールだよね?

 トラックの積み荷をみんな捨てちゃえば大丈夫だよね?』

「それでいい。人に当たらないように遠くに投げろ。

 以前、俺をボーリング玉にした時みたいにな……

 全部終わったらトラックをバスから引きはがすんだ」

『オレも手伝うぜスパークル!チリ・ペッパーがあんならよぉー』

「…あッ。だったら、スパークルはチリ・ペッパーに積み荷を渡した方がいい。

 チリ・ペッパーはそいつを、どっか適当な場所に放り出していけばいいんだ。

 トラックのそばにあるよな?電線」

『バケツリレーかよ。そんなら早ぇーな!』

『オッケー、どんどんやるよ!』

『じゃあよ、さっきまでいた畑の道路に捨ててくぜ。火の気配ねぇーし』

「俺ができることはどうやら無い。黙って待ってる」

『うん』

 

鼓膜直通通信は、フー・ファイターズを使ってやってるからな。

当然、あたしにもよく聞こえてる。

何か燃えてるらしい物音も一緒にな……

魁は、ポケットからラップに包まれた栄養ブロックを取り出し、確認してる。

新たに作っては家に貯め続けてるが、手持ちは5個までにしている。

全部持ち歩いて、なんかの拍子で全滅したら

目も当てられないコトになるしね…水にすぐ溶けるし。

どうやら考えてるな?この栄養ブロックを使って、

トラックに池の水をかけられないか?ってな。

だがそれは悪手だぜ。

これから、いくらか育ってしまったメガビョーゲンと戦うことになるからね。

水場があったところで、フー・ファイターズを急成長させられる場がないんじゃあ不利すぎる。

言われなくともそんなことわかってるから、コイツは不機嫌な顔でダマッてる。

…いや待て。それも今ならよぉー、チリ・ペッパーに持ってこさせれば…

とか考えてたら、あっちから連絡が来た。

作業開始から二分経つか経たないかくらいだった。

 

『タッキー、今、最後の積み荷を捨てたよ!』

「全部か?中にあったヤツ全部だな?」

『ウン、全部!何がダイジョーブな荷物かなんてワカンナイもん!』

「正しい!じゃあ、トラックをバスから離せ!」

『りょーかい!よかっ』

 

ドッグォォォ z____ ン

 

冗談じゃあない爆発音が一緒に来るとは思ってなかった。

いや、警戒はしとくべきだったな。

ガソリンタンクに火が回ったって、別におかしかあない。

鼓膜直通通信で今まさに会話してた魁は瞬時に悶絶!泡を吹きながらブッ倒れた。

あたしがすぐさま魁から意識を切り離せたのは、今までの経験から…

イヤな慣れもあったもんだぜ。

 

『こちらF・F。無事か、スパークル?』

『F・F。ば、バスが!』

『ニャトランだぜ。なんとか無事!そっちは?』

『今の爆音で魁が気絶した。命に別状はない!

 耳とか三半規管がやられちまったかもしれねーが、

 それはあたしがなんとかする…

 それより、バスがどうした?』

『トラックが爆発してよ、バスに完ッペキ燃え移った!

 火に巻かれて手がつけられねえ!』

『た、助けないと。壊して、逃がさ』

『ヤメろ!どこに誰が何人いるのか、わかってるのか?

 ヘタすると壊したところにヒトがいて、ツブすハメになるぜ』

『じゃあどうすんのよッッッ!!!』

 

やばいな。スパークルがキレかかってる。

というより、恐怖に押しつぶされそうになってるのか、これは?

…ああ、そういえば。車の中で火あぶりになったばかりだったね。アンタ。

こーゆー時に活躍するはずだったヤツは今さっき気絶した。

なんとかできるとしたら、あたしってこと。

ま、やってやるか。徐倫たちの仲間だったあたしに賭けて、ね。

 

『雷のボトルだ。あったよな?』

『…あるぜ。それで、どうすりゃいい?』

 

ボトルを使った攻撃も、採石場で一回試してる。

雷のボトルをヒーリングステッキにセットすると、

プニ・ショットよりだいぶ強い光弾が撃てるんだ。

そして、雷のボトルのそれは当然、雷だった。

 

『それで雷が撃てる。ニャトランのスタンドはチリ・ペッパー。

 あとはわかるな?』

『…ムチャだぜ』

 

ニャトランも大したヤツで、あたしの言いたいことが一発でわかった。

 

『どーゆーこと?』

『スパークル、みんな助けたいかよ?』

『あ、当たり前じゃん!』

『イチかバチかだけどよ、あるぜ、方法!

 オレに賭けてくんねーか?』

『あるんなら、賭ける!』

『よし、ハラぁくくったぜ。オレもよ!

 スパークル、雷のボトルだ!バスに向かって撃ってくれよ!』

『……うん!』

 

あたしが考えて、ニャトランに伝わった方法はひとつ。

雷のボトルで雷を撃ち出すと同時にチリ・ペッパーで同化。

直撃したバス全体のフレームを走っていく電撃と一緒になって、

中にいる人間に接触し、そいつらも全て同化!

最後に、全員もろともバスの外側に出てきて元の姿に実体化する。

一歩間違ったら、拡散しきった電気エネルギーに溶けて消えちまうな。

そうなったら、元の通りに実体化したところで、自分の死体が残るだけ。

モノスゴく精密なスタンド制御が要求される、超絶テクのぶっつけ本番。

あたしの言った手前だ。こいつばっかしは見届けないとな…

最悪、あたしが責任をとるために。

魁の体を完全に借りて、燃え盛るトラックの方向に向かう。

松葉杖なんか使わないぜ。ここにいるはずのない人間なんだからな。

使わないことがむしろ偽装になる。遠慮なく走らせてもらう。

そうやって向かった先にたどり着くまで10秒足らず。

見えた先では…もう、ケリがついていた。

 

「や……やった、助けられた」

「運転手入れて四人。少なくて助かったゼ…マジで」

 

燃えていくバスから少し離れた位置に、うずくまった人影が固まってる。

遅れて通勤したオッサンとか、病院に行った帰りの母子とかかな…

その中に、スパークルが尻もちをついて、へたり込んでいた。

無事が確認できりゃあそれでいい。あたしはすぐ元の場所に戻って、また通信。

 

『悪いが。今やってたのは寄り道だ……

 探しに戻るぞ!メガビョーゲンを!』

『わ…ワカッてるぜ……

 でも、人里にアヤしい渋滞がなかったんならよぉ~』

『川の、上の方?だっけ』

『立ちな。すでに5分近くロスしている。

 ゆっくりしているヒマはないぜ』

 

寝ているあたしの本体様も叩き起こさなきゃあな。

やっかいな戦いになりそうだな、こいつは……

 




みんな経験して、少しずつ強く上手に戦うようになっていくつもりなんですが、
チリ・ペッパーの場合は元が強すぎるのがけっこう問題。
かといって、コイツの力がないと、おそらく今後詰む。

さて、先週からのアンケート結果ですが。


水辺組、もう一人は誰がいいですか?

キュアグレース 2 / 20%
キュアフォンテーヌ 3 / 30%
キュアスパークル 2 / 20%
全員がかりで、まず水辺を片付けるんじゃ! 0 / 0%
ひとりでやれ… 3 / 30%


自分で項目に含めておいてアレですが、
ひとりでやれって、死ねと同義ですぜ。御無体!
まあ、もっとオリ主を過酷に扱うべきだ、と受け取ることにしました。
最近、周囲の空気がぬるくなりつつあるのは確かなので、
私自身そう考えなくもないのです。
もちろん、保護しているプリキュアたちの面目を潰さないやり方で。
御都合悪い主義も避けたい。

同率一位はフォンテーヌ。
オリ主がバカをやればガチ説教で止めてくれる安定感からか。
思考回路が比較的似通ってるんで、その辺の相性はいいです。

グレースも、実際にオリ主の手綱を握ってるようなものですし。
一緒に行動すれば、能力を引き出してくれるはず。

で、スパークルと一緒に動くことになりましたが、
互いの短所を補う組み合わせにはなっています。
今回、ある意味裏目に出てますが。


ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ここすき等、ぜひよろしくお願いします。

現時点で、この作品に何を求めて読んでいますか?

  • 心優しいプリキュアたちらしい熱血バトル
  • ジョジョらしいどんでん返しの知略バトル
  • プリキュア世界で動くジョジョキャラ
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