プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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ああ、ついに予告なしで更新が一日遅れてしまった。
直接の原因はプロット崩壊に伴う難産です。申し訳ありませぬ。
今後こういうことがないように、と言いたいところなんですが、
次を無くすにはどうすればいいのか…

今回の語り部はのどかっち、というかグレース。
文字数は6000字弱。標準的。



緊急お手当て!同時多発ビョーゲンズ!‐その8

ラテのビョーゲンズ検知で追ってきたわたしたちは、

やっと追いついた畑の中で、首を持ち上げて吊るし上げられている鳴滝くんを見た。

吊るしているのは……

 

「ダルイゼン」

「やっぱり攻撃してきたラビ…!」

 

すぐ近くにスパークルも見えた。

何か、まき散らすみたいな攻撃を受けた後みたい。

広い範囲にまだらに汚染がある……

その真ん中にいるメガビョーゲンは、足にダメージがあって

立ち上がれないみたいだけど、それもなおりつつある。

汚染を広げてパワーアップしてるから、立ち直りも早いのかな?

鳴滝くんのそばには不自然な池。掘って水を貯めたんだね。

そこにあるボロボロに崩れた『何か』は…フー・ファイターズの塊かな。

たぶん、メガビョーゲンを攻撃するために作った武器だと思う。

近寄って攻撃なんかできないからには…ああ、あの大砲だね。

スカー・ティシューのときに作ったやつ。

状況はわかった…と思うけど。ダルイゼンもこっちに気づいてる。

身動きがとれないね。これじゃあ。

畑っていう戦場がスゴくマズいよ。見晴らしが良すぎるの。

フォンテーヌの方を見る。同じことを思ってるみたいで、むずかしい顔をしてる。

最初は迂回してもらって挟み撃ちするつもりだったんだけどね。

これじゃあほとんど意味がないから中止したの。

でも、ここなら水道があって、電線もある。まわりに家もない…

スパークルと鳴滝くんのふたりで戦うなら、正しい判断ではある。

 

「遅かったじゃん、グレース」

 

馴れ馴れしく声をかけてきたのはダルイゼンだよ。

スパークルよりも早く言ってくるあたり、わたしたちを最初から警戒してたね。

当然だよね。鳴滝くんをつかんでるのが何のためかを考えるなら。

 

「ダルイゼン、その人を放して!」

 

ダメだとわかっていても乗らざるをえないよ。

通じる素振りを見せないのなら、やるだけ無駄ってこと。

そうなれば鳴滝くんは次の瞬間に殺されかねない。

思っちゃうよ。わたしが承太郎さんなら。

世界(ザ・ワールド)が使えたのなら、って。

なまじ記憶を受け継いだばっかりに…かな?

 

「へぇ。でもさ、死んだんじゃなかったっけ。こいつ…

 おかしいじゃん?おかしいことをほっとくのも気持ち悪いし」

 

首をつかんでいないもう片方の手で、鳴滝くんの腕を逆側にひねり始めるダルイゼン。

人の体にありえない方向に無理やり曲げようとしてる。プリキュア並み…ううん、違う。

吸血鬼か、『柱の男』並みのパワーで。

それをあえて抑えながらやってるんだ。痛みを見せびらかすために…!

うなり声みたいなのを聞かされる。

悲鳴を上げない、って歯を食いしばってるんだ。

鳴滝くんがこんな時まで意地を張ってるのは何のためか?

 

「やめて!やめてッてんでしょォーーーッこのぉぉーーーッ!!」

 

スパークルを取り乱させないためだよね。わかるよ。

悲鳴を聞かされたら、助けずにはいられない子なんだもん。

すでに耐えられなくなったスパークルが地面を蹴って突っ込んでいくけど、

回復したメガビョーゲンが正面に回って、それを叩き落した。

 

「メッガァビョーーゲェェーーン!」

 

ギュン バゴァ!!

 

「うぐう!」

 

……速い!

この巨体で、わたしたち並みに動くっていうのなら!

実際のパワーには、何倍の差がついてるっていうの?

もう、正面からは戦えなくなりつつあるのかな?

まだ、頭の悪さに付け込めばなんとかならなくもない。

けど…早く倒さないと、どうしようもなくなる!

 

「ギョーギ悪いな、スパークル。

 ヒトの話、最後まで聞けよ。ヒトじゃないけど…

 メガビョーゲン、そいつ捕まえとけ」

「メッガ」

 

ズドゴォン

 

メガビョーゲンが地面に落ちたスパークルを踏みつけた。

片腕と顔だけ出てるような状態…捕まえるどころかダメージだよ。

このままだと、そのうち変身が解ける。

変身が解けたらどうなるの?

ただの人間が、家ほどもある怪物に踏みつけられて耐えられるの?

でも止まるしかない。止まらなきゃ鳴滝くんが死ぬ。

そこでスタンド会話が届いた。ペギタンからだ。

 

『フォンテーヌから伝言だペェ。戦うしかないペェ、グレース』

『戦うって、鳴滝くんはどうするの?』

『あいつ絶対に、ボクたちに死ねっていうのと同じことを言うペェ。

 今立ち止まったら、もう取り返せなくなるペェ。逆に今が最後のチャンスだペェ』

『…納得ラビ。脅迫されてもどーしよーもないラビ』

 

なら、もう止まらない。止まらずにふたりとも助ける。

そう心に決めたけど、またそこにスタンド会話が割って入った。

ニャトランだね。

 

『待てよ。まだ切れるカードがあんぜ』

『もしかして、チリ・ペッパーだペェ?』

『こうなっちまったら仕方ねぇーよ。

 まず魁を電線に引きずり込んでからよ。

 町内の電力ゼンブまとめてメガビョーゲンに叩きつけてやんぜ。

 ソコをみんながかりで浄化すりゃあよぉー』

『…毒を食らわば皿まで、だペェ。それしかないと思うペェ』

 

わたしだって、鳴滝くんを見殺しにする確率なんかゼロにしたいよ。

チリ・ペッパーはバレるけど…他にどうしようもないのなら、そうするべきだね。

でも問題は、ダルイゼンが電線のすぐそばにいないこと。

 

『もうちょっと電線に近づかせないと、すぐ気づかれちゃうよ?』

『そ、ソコなんだがよ…ど、どーにかしてくれ~!』

『フォンテーヌからだペェ。話に応じるフリをしておびき寄せるペェ』

 

「…何?目配せし合って。なんか企んでんの?

 そういう態度なら、こーするしかないけど?」

 

気づかれた。ダルイゼンが、また鳴滝くんの腕に手をかけた。

ネジみたいにグリグリ回す。

パキポキパキポキポキ。ヘンな音が不規則に聞こえてくる。

…骨が!鳴滝くんは耐えてる、唇を嚙みながら。

耐えちゃってるだけによけい痛々しいよ!どういう痛みなのッ?

すくんだわたしたちを見ながら、

ダルイゼンは勝ち誇ったみたいにアゴをしゃくった。

 

「わかった?わかったらしいね…

 じゃあ最初に、ヒーリングステッキを投げ捨…」

「アンタ何やってんのよダルイゼン、ヒトのメガビョーゲン指図して」

 

そこに、さらにシンドイーネまでやってきた。

戦力差的には、もうほとんど絶望だけど…

巻き返す一瞬は、絶対に見逃さないよ。

並行して、スパークルとニャトラン、ペギタンにスタンド会話で『作戦』を伝える。

一方的に言い立てるみたいになっちゃったけどね。

警戒がかき乱された今こそがむしろチャンスで、

怪しまれる動きを見せるわけにはいかない。

 

「お前が仕事やらないからでしょ?

 後から来て何言ってんの、シンドイーネ」

「キィィーーッ…でも、メガビョーゲンはあたしのよ!

 あたしの勝手に持ってったんなら、せめてソイツをよこしなさい!」

「よこす?コイツを?…どうすんの?」

「処分すんのよ、そのゴミを!

 そいつのせいでアタシはキングビョーゲンさまの前でハジかかされてんの!」

「ハァ、バカらし。聞けないね。お前状況わかってる?」

 

ブン!

 

突っ込んでいったシンドイーネが、無言で鳴滝くんを分捕ろうとしたみたい。

ダルイゼンは飛びのいてあっさりかわしたけど。

振り回された鳴滝くんは首に指を食い込まされたみたいで、

ヨダレだかゲロだかが口からあふれちゃってる。

 

「よけんな!」

「避けるに決まってんじゃん。バカなの?」

 

ブン! ブン ブワッ!!

 

鳴滝くんをガックンガックン振りながら、

シンドイーネの手刀から身をかわすダルイゼン。

もうほとんど遊びだね。それもそうかって思うよ?

向こうからしてみれば、わたしたちはもう詰んでるんだもん。

六歩、五歩、四歩…あともう少し電線に近づけばいい。

でも、そこからが遠い。電線にわざわざ近づく理由もないもんね…

 

「くたびれるからやめない?」

「ソイツをよこせばやめるわよ!」

「見てわかんない?今、人質にしてるんだよ。

 コイツが生きてるからプリキュアが動けないの」

「…チッ、わかったわよ。処分は待ってやるわ。

 ただし…ちょっとくらいウップン晴らしてもいいでしょ?」

「わかってるなら、好きにすれば?」

 

もう限界。シンドイーネに引き渡されたら、どうされるかわかんない。

渡す瞬間を狙って飛びかかる?最悪そうなる。そうするしかない。

 

「おっと。動かないでよグレース。

 動くんなら、一歩ごとに指一本返してやる…引きちぎって、だけど」

「……人でなし」

「ヒトじゃあないし」

 

勝っている間ならそれでいいんだろうけどね。

いつか後悔するよ。…後悔させる。

そして見ているのはわたしとフォンテーヌだけ。

わたしたちを動かさなければ勝ちだって思ってる。

動けないスパークル(・・・・・・・・・)なんか、どうでもいいって思ってる。

顔が出て、目で見えていれば十分だっていうのにね。

シンドイーネが近寄って、ダルイゼンから受け取ろうとする瞬間が隙だった。

スパークルは、そのど真ん中を狙った。

 

シュババッ ボゴォ!!

 

唐突にもうひとつ増えた太陽から降り注ぐレーザー。

ダルイゼンもシンドイーネも、驚きはしたけれど難なく飛びのいてかわす。

やっぱり、太陽(サン)を出してから撃つまでのタイムラグが痛いよね。

相手をまいらせる高熱も、気づかれやすいっていう欠点にしかならない。

よく狙おうと太陽を下ろせばますますそうなるし、

そのための時間までかかっちゃう。

 

「あ、危なッ…よくもやったわねッ」

「そういや、そんなのもあったっけ。

 大ハズレだったけど……で、動きは動きだね。

 指一本ひきちぎる…三発撃ってきたから、三本!」

「ヘッ、やってみろってんだよボケナス。

 できるもんなら、だけどよォ~~~ッ」

「そう言うなら、サービスでもう一本つけ…ン?」

 

ニャトランの煽りを余裕の表情で受け流したダルイゼンだけど、

一秒も経たないうちに違和感を自覚したみたい。

そうだよ。スパークルは最初っから直撃なんか狙ってない。

むしろ飛びのかせることそのものが目的だった。

さっきフォンテーヌがやったことと、本質はまったく同じ。

だって飛びのいたその先には、頭上に電線があるんだからね。

そこから伸びてきたチリ・ペッパーが鳴滝くんを回収して、

わたしのすぐそばに放り出してもらい…すぐに拾った。

電気と同化する能力なら、一瞬あれば十分なんだよ。

あの仗助さんすら、何をされたか理解できなかった速さの能力だもん。

鳴滝くんを遠くに置いてくることもできたけど、あえて近くに出す。

それがこの作戦の要!

オヒメサマダッコだけど…チョットカッコ悪いケド我慢してネ

 

「な、なによ…なにが起こったってゆーのよッ?」

「…何をした。グレース」

「さあね。当ててみたら?

 あなたには見えもしないし、聞こえもしないと思うよ」

「何をしたと聞いてるんだよ、グレースッ」

 

聞きたいことが山ほどあるだろうけど、こんなやりとりを続ける気なんかない。

すでに頭上に飛び上がってるフォンテーヌが、プニ・ショットを左手から、

皇帝(エンペラー)を右手から連射してダルイゼンとシンドイーネを叩く。

すんでのところで気づかれて後ろに飛ばれちゃったけど、

皇帝はこれで終わりじゃあない。

ダルイゼンは知ってるけど、今のシンドイーネが知ってるはずもないよね。

かわした弾丸のうち一発が地面すれすれを滑って方向転換、

また狙ってきているなんて。

ダルイゼン。あなたは、ホントに自分のことしか考えてないんだね。

 

ギュウン… バスッ!

 

「げうぅッ!!?」

「…何当たってんの。あ、そうか。知らないんだっけ」

 

だからこうやって不利になるし、きっとそれを深く考えることもない。

わたしはそれを利用する。あなたがみんなを苦しめて、友達を傷つけようとする限り!

この間に、鳴滝くんをその場に置いてチリ・ペッパーに回収してもらったわたしは、

ダルイゼンの背後に今、配置されている。気づかれたけどもう遅い。

 

「な、なんッ…!?」

 

ブォ ズガァァーz_ン

 

顔面に跳び膝蹴り。今までで一番キレイに入った。

水面を切って飛ぶ石みたいに50mくらい飛んで行ったダルイゼンを後目に、

突然の変化にうろたえてるメガビョーゲンに向き直る。

…まだ、浮かれちゃあダメだよ。ここからが大詰め。勝った気分になるのは早い。

 

「スパークル、今だよ!」

「グ……う、ウン!

 か、雷のボトル!」

「行っくぜェェェェーーーーッ!!」

 

ズゴワァアァア

 

シバッ シババッ… バチッ バチ!

 

スパークルの全身に電気のパワーがみなぎっていく。

まぶしくて見ていられないくらいの勢いで、電撃がほとばしってる。

もう言わなくてもわかるかな。

町中の電力をチリ・ペッパーで集めてきて、雷のボトルに集めてるの。

もともとそういう性質のものを集めるボトルなんだから何もおかしくない。

見てる側のシンドイーネも、こういう反応になる。

 

「ボ、ボトルが……こんなパワーなんてッ

 ズルイわよ、こんなのズルじゃないのよォォーーーッ」

 

チリ・ペッパーを、雷のボトルのパワーみたいにしてごまかす。これがわたしの作戦。

ここまで町の電気を集めてる時点で、数時間の停電は避けられないと思うから

今この場だけのごまかしにしかならないけど…それでも、しばらくはだませる(・・・・)

 

「プリキュアッ、ヒーリング…えッと…サンダァァー!!」

 

ゾバ ガオンッ!!

 

… ゴォォオォォォオオオオオォォン!!!

 

微妙に投げやりなスパークルの叫びと一緒に、

雷のボトルからえげつないほどの地面をえぐる閃光が走って…

一瞬遅れて、轟音がわたしたちの耳をつぶした。

鳴滝くんの顔、畑に埋めといてよかったよ。

単純に考えて、雷が目の前に落ちるみたいなものだって思ったから……

それよりも今は、きっちりとエレメントさんを助けないと。

 

「メ゛……メ゛」

 

さすがプリキュアで、音はすぐ聞こえるようになった。

メガビョーゲンは、まだ動いてはいるけど、真っ黒コゲ…満身創痍。

このレベルまで育ったメガビョーゲン相手じゃないと、

エレメントさんごと吹き飛ばしちゃうね。

これから、二度とやっちゃあいけない方法だって思うべきだよね。やっぱり。

 

「エレメント・チャージ!」

「ヒーリングゲージ、上昇ラビ!」

「プリキュアッ、ヒーリング・フラワーッ!!」

 

完全に死に体のメガビョーゲンに、桜色の光を突き通した。

すでにニャトランからエレメントさんの場所は聞いてたの。作戦伝えたときね。

弱り切った水のエレメントさんが無事に解放されると、

かつてなく巨大で強大だったメガビョーゲンは、

他のやつと同じように、蒸発するみたいに消えていった。

 

「ヒ~リン、グッバァ~~イ……」

「…お大事に」

 

見送ると同時に、わたしはその場にへたり込んだ。

一度にビョーゲンズ三体。おそろしい密度の戦いだった。

スカー・ティシューのときもピンチだって思ったけど、

今回はそれ以上だった。

そしてこの戦い、勝ちか負けかで言ったら……

 

「戦いには勝った、けど…知られちゃった」

「きっとゴマカせたラビ。今はそー思っとくラビ」

「……うん」

 

わたしたちの致命傷になりかねない手を使わざるをえなかった。

 




今回の、プロットからの脱落ポイント…
フォンテーヌが、鳴滝くん人質に取られてる状況で止まる想定だったのに、
逆に進むしかないって徐倫みたいな決断した。
原作だと止まれって言う側なのに。(実例:水族館でシンドイーネの人質にされたペギタン)
結果、ニャトランの献策が発動。それをさらにグレースがブラッシュアップして
鳴滝くんがいたぶられまくる前に救出成功。
当初の予定よりはるかにダメージが小さく終わりました。

当初の予定では、どうしようもなくなった皆の中でニャトランがチリ・ペッパーを発動。
メガビョーゲンをフルパワーでブッ飛ばし、スタンド付け替えがモロにバレる…
という筋書きでした。
ヤバイと思ったんで、フォンテーヌに当初の予定通りの行動を強要しようとしたら
そこから筆がピクリとも進まなくなったという。

ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ここすき等、ぜひよろしくお願いします。

現時点で、この作品に何を求めて読んでいますか?

  • 心優しいプリキュアたちらしい熱血バトル
  • ジョジョらしいどんでん返しの知略バトル
  • プリキュア世界で動くジョジョキャラ
  • ストーリー上の謎がどう展開するか見たい
  • 主人公たちがどう成長していくのか見たい
  • 人間関係がどう変わっていくか見たい
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