プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
ネブソックからのダルイゼン、シンドイーネ、グアイワル、ケダリーの総攻撃。
コロナでなくってマジよかった。皆様もお気をつけを…
今回の語り部はちゆちー。
文字数は6000字弱。標準的。
戦いは終わった。でも、決して理想的といえる決着ではないわね。
ビョーゲンズの連中がいなくなったことを確認した私は、
へたり込んだグレースをいったん置いて、鳴滝くんを助け起こしに向かう。
顔を畑に押し付けられたまま動かないのだもの。優先するしかないわよ。
グレースも案外ぞんざいに扱うわよね…慣れてきたってことかしら?
道路まで運んでから、背を起こしてまずは呼吸を確認…してるわね。
ということは。
「あなたは気絶せずに済んだみたいね。F・F」
『まあね。慣れた』
F・Fが他の経路を作って呼吸させていた、しかありえないってこと。
グレースも、これを見越して顔を埋めていったのかしら。そうよね。
私たちプリキュアですら目や耳が一時的にダメになる光と大音響だもの。
スタンド以外一般人の彼の目と耳は何かで保護しないと一生ダメになりかねないわ。
半身不随の上に目と耳が不自由になっちゃあ、もう一人暮らしなんか不可能よ。
「鳴滝くんは大丈夫なの?」
『頸椎損傷、だ。
振り回されてるとき、首の骨を損傷して神経までやられてる』
「……ちょっ」
『あたしがいれば問題ない。
損傷したてなんだ。フー・ファイターズで元通り修繕できるぜ』
「…。ならいいけれど」
不幸中の幸いっていうのかしらね?
全身不随とか、どんな顔して伝えればいいのよ。
でも正直、ちょっと我慢の限界になってきたわ。
毎回毎回、戦いになるたびひどい怪我を負わされて…
何度でも言うけど、『痛い』わ。
「タッキー!」
そして…来たわね。
おそらく、私以上に『痛い』って思ってる子が。
戦いの経緯はわからないわよ?まだ聞いてないんだから。
でも、もうスパークルのことだってずいぶんわかってきているわ。
ノーテンキでお気楽に見えても、失敗とかしたら妙にネガティブでおびえる子なのよ。
私だって、そのおびえた視線を向けられたことは一回や二回じゃあない。
最初は、私がそんなに怖いのかしら、って悩んだこともあったけれど…
のどかはともかく、鳴滝くんにまで同じような視線を向けるのよ。
それが今回みたいな状況になったらね……
「大丈夫よ。命に別状はないし、キズも残らないわ。
どこか動かなくなったりもしない」
「…………」
ザッ!
パタ パタパタ
駆け寄ってきたスパークルは、私の言葉を確かめるみたいに
アチコチをチョコチョコ触ってから…シュンと肩を落とした。
「大丈夫だって言っ…」
「あたしのせいだ…」
「…。話を聞かせて。ただし、後でね。
メガビョーゲンをみんな倒したのなら、早く戻らないと」
「うん」
先送りにするしかないのよね。
騒ぎに乗じて授業スッポカしてるみたいなものよ、私たち。
復帰してきたグレースと一緒に、解放した水のエレメントさんのところに行くと、
元は川の上流にいたエレメントさんで、送り届けるのにまたちょっと時間がかかった。
上流までは最寄りの電線を使えると思ったけど、チリ・ペッパーの全力攻撃で停電中。
当然、電気の往来が止まってるからプリキュアの足で走るしかないわ。
鳴滝くんはグレースが持ってくれた。基本、持ち回りよ。次は私ってこと。
「プリキュアさん、ありがとうございます。
もうダメだって思いました」
「到着、遅れてごめんなさい。つらい思いをさせちゃって…」
「ワタシの他にも助けていたんなら仕方ないです。
こうやって助けてもらえたましたし…何かお礼ができたら」
「……。なら、ひとついいでしょうか?」
真剣な表情で少し考え込んだグレースが切り出したのは、
プリキュアに変身できるようなアイテムに心当たりはないかということ。
それがダメなら、『ただの人間』がビョーゲンズと戦えるような、
パワーアップの方法を知らないか、っていうこと。
やっぱり同じことを考えるわよね。
戦いは激化する一方で、私の我慢以前に物理的な限界が近づきつつあるわ。
このままじゃあ、鳴滝くんは死ぬ。
そばに置くしかないのに、戦いについていけないんじゃあね。
「プリキュアは……わかりません。
ヒーリングアニマルさんが一番詳しいはずですよ?」
「グレースもダメ元で聞いたラビ…ラビリンもわかんないラビ」
「でも、はるか昔にこの地を守ったプリキュアさんがいました。
お墓はまだ残っていたはずです。そこで何かわかるかも」
「…テアティーヌ様と一緒に戦ったプリキュアかよ?
モノスゲー大昔のはずだぜ?」
「そのお墓が、残ってるっていうペェ?」
私にも心当たりがあったわ。
ヒーリングガーデンにある石像よね?
『夢』の中で何度か見ているわ。
なんかあったらいつもそっちに逃げていく鳴滝くんなんか、
私以上にたくさん見ているでしょうね…いえ、いいのよ?逃げても。
「たぶん、人間さんが守ってくれています。
人間の町で調べた方がわかると思いますよ」
「どれくらい前なの?いつ頃の時代なんですか?」
顔を突っ込むしかないわね。
調べるにも材料がないとどうしようもないわ。
「いつ頃…よくわかりません。
ワタシたちエレメントは、季節のめぐりなんて数えませんから」
「そういうものなのね。じゃあ、人間はどういう家で暮らしていましたか?」
「ウーン……穴を掘った上に、藁の家、だと思います」
「……。『竪穴式住居』ね。弥生時代…少なくとも、古墳時代以前。
1500年以上も前ということ?」
だとすると、おそろしく昔ね。
そこまでくると、残るとしても伝説の中よ。
「ワタシには…わかりません」
「そうよね。ごめんなさい。後は私たちでどうにかするわ」
「代わりには、ならないかもしれませんが…
そこの、気絶してる人間さんをこちらに」
「ン、魁かよ。どーすんだよ?」
「エレメントの力を分け与えてみます。
ビョーゲンズ相手に、少しは戦えるようになるかも」
「やめるペェ!」
かなりウレシイ提案だと思ったけど、
血相を変えたペギタンが止めに入った。
当然ではあるわね。
さっきまで、このエレメントさんはメガビョーゲンに囚われていたのよ?
しかも、あんなにも強大になるまで。
「今そんなコトしたら!
エレメントさんが消えちゃうペェ!」
「…そうなるなら。さすがに遠慮…かな?」
「はい。そうなったらワタシの住んでいるところの自然が
蘇らなくなってしまいますから。加減はするつもりでした…
でも、そうですね…なら、いませんか?
普段から付き合いのあるエレメントさんは」
みんなで顔を見合わせる。
確か、鳴滝くんからすでに聞いてるわ。
まず、栄養ブロックの原材料のヒントをくれた実りのエレメントさん。
あのエレメントさんからは、もう実りのボトルをもらっているわね。
これ以上何かくれとは、ちょっと言えないわ。
それと、例の『垢嘗』事件の舞台になってるドブ川にいる、水のエレメントさんね。
鳴滝くんは栄養ブロックを毎日継続的に作り続けているんだから、
もちろん、ずっと顔を突き合わせているわけね。
いつもではないにせよ、挨拶くらいはしているでしょう。
っていうかもう、都市伝説になってるわよ。『垢嘗』!すこやか市七不思議!
「いるわね。いつも彼が頼み事をしているエレメントさんが。
あなたと同じ、水のエレメントさんのはずです」
「そのエレメントさんに頼んでみてください。
プリキュアさんが一緒なら、イヤとは言わないはずですよ」
「ありがとうございます。頼んでみます!」
今とどれくらいの差が出るのかはわからないけど、
何もしないよりはマシよね。
これからは、出会うエレメントさんに彼の強化を頼んでいくことになるかしら?
エレメントさんに重ねてお礼を言ってから、私たちはガラス美術館に戻る。
もちろん、プリキュアの足でね。電気が使えないんだからチリ・ペッパーはダメよ。
戻る直前に、F・Fに頼んで鳴滝くんの傷を治して、全身のドロ汚れも分解してる。
ちょっと破れてる制服は、彼がメガビョーゲンに攻撃されて気絶した証に使うわ。
さてと、今度は私の番ね。ヨイショっと
「ど、どこに行ってたんだね。三人…や、四人か!」
ガラス美術館から少し離れたところで変身を解いて、鳴滝くんをフツーにおぶり直す。
ファイヤーマンズキャリーなんて、慣れてる方がおかしいからね。
急ぎ足で建物へ近づいていくと、血相を変えた円山先生が走ってきた。
すでに駐車場にみんな集合して、このまま帰る準備をしていたみたいね。
見たところ、私たちが最後かしら?
「先生、ごめんなさい。
彼が、怪物に蹴り飛ばされてしまって…
三人で持ち上げて、遠くに逃げ続けてたんです」
大丈夫、これで通るわ。F・Fに確認済みよ。
メガビョーゲンが出た直後、鳴滝くんが道中の監視カメラを潰して回ったことはね。
建物から出ていないのに出ている、なんて矛盾に気づかれる余地はない。
私たちも抜かりなしよ。松葉杖もしっかり持ってる。
「なんてことだ…すぐ病院に連れていかなくては」
「わたしたちも付き添います。目が覚めてもワケがわからないと思うし」
「ウム、そーだな。頼んでもいいかね」
そうなると、円山先生が鳴滝くんを私から引き取って、おんぶを交代した。
まあ、積極的におぶる理由はないわね。当然だけど重いわよ。
途中でタクシーを呼んで、席に押し込んでいる最中にやっと彼が目を覚ます。
「ウ……ウグ」
「あ、タッキー」
「あ…メ、メガ!」
目を覚ますなり、背をバッと起こして回りを見始める彼だったけど、
F・Fが止めたんでしょうね。すぐごまかしに入った。
「メガ…目がくらむ」
「何を言っとるんだね、キミは!
意識ははっきりしてるんだろうね?」
ブッ!
我慢できなくて吹いちゃったわ。
何よ、目がくらむって。
唐突にそんなダジャレをカマせるならダイジョーブね!
そこからはのどかがスタンド会話でおおよその説明を済ませてくれて、
病院で検査を終えた頃には夕方になっていた。
停電してたせいで必要な器具のいくつかが使えず、時間がかかってたみたい。
ダルイゼンにひねられた腕のダメージだけはF・Fが意図的に少し残していて、
病院の先生にもそこを指摘されただけで終わったらしいわね。
お手当てしてもらってから、またタクシーに乗って、
すこ中まで帰ってきたわ。そこで解散。
鳴滝くんだけ先に帰ってもらって、
私たちは改めて、ひなたから話を聞くことにする。
「で、何があったのかしら?ひなた」
「あえ?ナンの話?」
「もうッ、戦いが終わった後の話よ。
あたしのせいだ、って落ち込んでたじゃない」
「あッ……ウン」
ここで蒸し返さなきゃあよかった、とか思うのはひなた初心者よ?
今は忘れてても、どうせどこかで突然ぶり返すのがこの子よ。
気にしてないように見えたとしても、都度処理しないと後が大変なの。
ちなみにこれ、最初に気づいたのはのどかね。ホント、良く見てるわよ…
さておき、ニャトランも交えてことの経緯をじっくり聞かせてもらったわ。
なんでも……
まず、メガビョーゲンを探してる最中で、無関係の事故を見つけて助けに行った。
考え事は全部投げろと鳴滝くんに言われてそうしたけど、
鼓膜直通通信をつなげっ放しだったばっかりに、
トラック爆発の轟音をもろに聞かせて気絶させてしまった。
…なに、二度も気絶してるの?あいつ。でも無理もないわね。
爆竹を耳元で鳴らされたら、私だって気絶しちゃうでしょうし……次。
メガビョーゲンの位置に当たりをつけて、有利な場所…あの畑まで
ひなたが引っ張っていく役目を請け負って、それ自体はうまくいったし、
フー・ファイターズの水圧砲もメガビョーゲンの足をえぐった。
でも、メガビョーゲンの奥の手になんとなく感づいてはいたのに
鳴滝くんの目の前でそれを撃たせてしまい、立て直しがきかない間に
ダルイゼンが来て鳴滝くんを人質にとってしまった……と。
ひなたの話し方もあって、どうしても話があっちこっちに飛び散っちゃうけど、
総合すると言いたいことはわかってくる。
考え事は言われた通り丸投げして、完璧にやってもらえたのに
ひなたは果たすべき役目を果たせなかった。
プリキュアの力を持っているのなら、
抵抗できない人間にダメージを通してはいけなかった。
…ウ~~~~ンじれったいわねぇ~~~ッ
「ひなた、それはおかしいわッ」
「えッ、なんで?」
「トラックの爆発も、メガビョーゲンの切り札も。
カンニングでもしてないと完璧な対処なんか無理だよ、ひなたちゃん」
仮に私なら、予見して完璧に対応できたかしら。
はっきり言うわ。そんな自信ないわよ。
トラックの爆発は、もしかしたら気づけたかもしれないけれどね。
そんな仮定をしたところで、私とペギタンにチリ・ペッパーはないわ。
私かのどかじゃあ、ますますどうしようもなかったわよ。
「でもさ…」
「でも、何よ?」
「承太郎さんだったら、どっちも気づいて防いだって。そう思ったらさ」
「オイひなた、ムリだぜそれ」
もう、ドコまでも落ちてくわねこの子。一度ヘコんだら!
でももう一押しよ。今回のは理屈で越えられる壁だわ。
私よりも先に、のどかが進み出て笑いかけた。
「じゃあ、ひなたちゃん。承太郎さん風に言うね」
「のどかっち?」
「今回、ひなたちゃんがぶつかったのは、わたしたちみんなの問題なんだよ?
今までだって、守りきれなくて傷つけられること、あったでしょ?
わたしたちみんなが、どうにかしなきゃあいけないところまで来てるの。
ひなたちゃんは、たまたまそこに居合わせちゃっただけ」
承太郎さん風に、か。
たぶん、億泰さんが
フォローを元に考えてるわね、のどか。
明確な悪人が相手でもなければ、誰が悪い、なんて言わないのよね。
「ごめんね、ひなたちゃん。ツライところ押し付けちゃって」
「あ、謝んないでよ、のどかっち」
「わたしもひなたちゃんに落ち込んでほしくないなぁ。
ちゆちゃんも、ニャトランも。もちろんラビリンもペギタンも、ね?」
「そうラビ!だいいち、クヨクヨしたってしょーがないラビ」
「元気出すペェ。一緒に考えるペェ」
「…………。うん」
ちゃんと納得してくれたみたいね、ひなた。これなら大丈夫ね。
『夢』で顔を合わせる頃には、いつものひなたに戻ってると思うわ。
でも、今回の戦い…チリ・ペッパーの片鱗を見せてしまったことが致命的よね。
ああするしかなかったし、のどか立案のごまかしも見事なものだけれど、
遠からずバレると見るべきだわ。
そこに、人体実験でもなんでもやるビョーゲンズの三人。
今後はますますやっかいになっていくと考えるべきね。
その思いは、家に帰りついてからニュースを見て、ますます強くなったわ。
すこやか市大規模停電。変電設備多数故障。
これは明らかにプリキュアの仕業じゃあない。
ビョーゲンズはこれに気付かないほどバカなのかしら?
そして、チリ・ペッパーの全力の一撃は、すこやか市にとっても大ダメージということ…
私のウチ、旅館沢泉からして、冷蔵庫が止まって自家発電機を回す羽目になっているんだもの。
今回の戦い、とても勝ちとは言えないわ。
正直、みんなに話をさせていても鳴滝くんって単語がたくさん出るのは
自分でもハナにつく。それもこれもヤツが弱いせいなんや!
できる範囲で彼も頑張ってるんだけど、
ヒーローの現場に出しゃばらざるをえないサイドキックなんだよなあ現状。
結果、どうにかならんのかとヒーローのみんなが悩むしかないという。
ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ここすき等、ぜひよろしくお願いします。
現時点で、この作品に何を求めて読んでいますか?
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