プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
ガス欠により文字を書けなくなり、
先週は何も予告せず更新を怠ることになりました…申し訳ございませぬ。
人は恥のために死ぬ、ってプッチ神父が言ってますけど、
まったくその通りで、恥を覚えると人前に出られなくなる。
かつて筆を折った原因のほぼ全てがコレ。
いい意味の図太さがなければいけないのかも。
今回の語り部は第三者視点。
半分はのどか父、もう半分はのどか、になる。
文字数は6000字ちょい。標準強。
今日は日曜日。建築家である花寺たけしも休みを満喫できる日だ。
むろん、急を要する仕事、外せない仕事というものは社会人の常であり
そう逃げ切れるものでもないのだが…少なくとも、今日この日は例外だった。
それでも自堕落に昼まで寝ているわけにはいかない。
学校のある平日と同じように、早朝にランニングに出ていく娘のどかに申し訳ないからだ。
親は子の鏡。何を学び取っていくかはのどかの自由だが、
親としては良い背中を見せなくてはと、そう思うのだ。
ようやく病床から解放された娘にとって、すべてのものが輝いて見えているはず。
他ならぬ親である自分が、そこに水をさすわけにはいかないだろう。
そんな風に思っているのだが…最近、娘の様子が変なのだ。
ランニングから帰ってきたのどかと一緒に食卓についていると、
目が唐突に鋭くなったのだ。どうもBGM代わりに流しているラジオを聴いているらしい。
であるから、聞き耳を立てるまでもなく、内容は頭に入ってくるが……
富士山麓近辺の道路で事故が相次いでいる。
これだけなら、言い方は悪くなるが…ありふれているのかもしれない。
だが、うち三件のおそるべき特異さは……
滅茶苦茶に破壊された車体から、運転手その他の人間が一人残らず姿を消していること。
大けがで出血した痕跡があり、外に這い出した痕跡までも残りながら、だ。
行方不明者は合わせて七人。事件性を認めた警察が動き出している……
「物騒だなぁ。お父さんも気を付けるから、のどかも気をつけるんだぞ?
薄暗い道路なんかを通らないようにね?」
「…え。うん。怖いよね」
話しかければ戻るのだ。いつものほんわかした顔に。
だがそれが、どこか作ったものであることを花寺たけしは感じている…
別にこれが初めてでもない。
わが娘が…まるで、『歴戦の傭兵』か何かみたいなぎらつきを発するのは。
目や耳に入ってくる事件に、異様な警戒をあらわにすることがあるのだ。
何をそんなに恐れることがある?
心当たりは……ひとつしかない。あの、鳴滝少年の下水落下事件だ。
のどか達に発見されなければ、間違いなく彼は死んでいただろう。
そして、次いで明らかになったであろう、
半身不随の少年が家族に半ば見捨てられて一人暮らしを強いられる状況…
仮に彼が自分の子で、聞いた限りの非行を止められなかったとしたなら、
いったい、どれほどの苦痛を一家にもたらしただろうか?
それを差し引いても、今のネグレクトそのものの仕打ちは異常だと花寺たけしは思う。
というよりも、そんな仕打ちを平気でできる家だから、
そんな非行を起こす子に育ったのでは?親は子の鏡。彼が学んだものはそれだったのか?
まあ置いておこう。勝手な当て推量で憐れむようなマネは彼に対する侮辱だろうから。
それよりも問題はのどかだ。こんな情報の洪水を浴びせられたわが子はかつて、言っていた。
『お手当てするわたしになりたいの。
今までずっと、お手当てされるわたしだったから』
いつ、誰がこんな窮地に陥っているのか?
助けを求めていて、手が届く人間はいないのか?
そんなフウに思ったところで不思議はないのかもしれない…
ずっと、ずっと無力を噛みしめていただろう娘は、
だからこそ全身全霊で出来ることを探しているのではないか?
だが、ゆえに経験があまりにも不足している。
ずっと身体を動かせなかったがために、動けるようになると加減がわからない。
出来ることと出来ないことがわからず、身体が悲鳴を上げたときにやっとわかる。
ごく最近までそんな状態だったではないか…それと、同じなのでは?
そう思うと、危うい。
娘が、勝ち目のない何かに全力で突っ込んでいったとき、自分はどうする?
わざわざ確認するまでもない。父親なのだから。
…今のところ、娘の行動に、直接的に不審な点はない。
外に行くときには、主に沢泉ちゆ、平光ひなたの二人と行動を共にしている。
問題の渦中にある鳴滝少年と会っているような様子は、ほぼない。
学校でいくらか話しているようだが、背景の危険性から表立った接触を避けているのは
他ならぬのどか自身の口から確認できているし、そこを疑う気はない。
メールではちょこちょこやり取りしているようなのだが…
にしては、気になる素振りがあったのだ。
かなり前だが、鳴滝家から生活費の振り込みがあったことについて直接お礼を言いに来たとき。
ちょうど夕食前の頃合いだったので、のどかもその場に立ち会っていたが。
『不自然な目配せ』があった。互いの目をチラチラと見ていた…
そしてそれは、むしろのどかの方からだったのだ。
せいぜい二秒程度の間で、その後は、至って普通のやり取りをしていたのだが…
この程度、別に根拠にも何にもなりはしない。テレパシーをしているわけでもあるまいし。
だが、花寺たけしとしては、何か妙なつながりを感じずにはいられない。
彼の家を幾度となく訪ねているのは、
彼のその後を心配してというのもあるが…それを確認するためだ。
別に邪険にされることもなく通されて、
沸かしたお湯をガラスコップに入れて出してもらっている。
最近、お茶になった。スーパーで売っているティーパックのほうじ茶だ。
ちょっと申し訳ないのでお金を出した。
そうやって何度か会話するうちに確信している。自分の直観は正しい、と。
娘と彼との間には、何かわからないが秘密の連絡手段があって、
そこでかなり頻繁に話をしている。
そして同時に、娘はそこに後ろめたさはこれといって感じていないことも。
彼の方は…そこについてどうかは今ひとつわからないが、娘に引け目を感じているようだ。
ここで、もうこれ以上探るのはやめた。
親として介入せざるをえない事態は、少なくとも娘と彼の間にはない。
このことについて、すでに妻とも話をしており…
必要ならば、それとなく軌道修正するように仕向けていこう。そういうことになっている。
こんな話し合いがおそらく、平光家でも持たれているのだろう。
沢泉家は…どうだろうか?今時点では接点がない。
娘が世話になっているのだし、挨拶に行くべきか?
でも、必要もないのに娘の人間関係にしゃしゃり出るのは過干渉っていうやつかもなぁ……
などと思う花寺たけし。平光ひなたも、沢泉ちゆも、共に疑う余地もなくいい子なのである。
まともな家庭というのは、それだけで得難い財産なのだろう。
のどかが席を立った…食器運びを手伝うつもりらしい。
自分もやるか……そう思って後に続くと。
ズデン
のどかが突然尻もちをついた。
幸い食器の類はまだ持っていなかった。
「ど、どうしたんだい?」
「ぁ……ご、ゴメン。
チョット、腰からチカラが抜けちゃって。
走りすぎちゃったかなぁ~~、休んでるね?」
(い、今頃気づいちゃったけど……
あとちょっとで死んでた、わたし!)
這う這うの体で自室に引っ込んだのどかは、恐怖と混乱で頭がいっぱいになっていた。
今になって気づいたのは良かったのか悪かったのか?
始業式のあの日、鳴滝魁が持ち込んだ爆弾は、そもそも何に使うものだったのか。
ふとした拍子でそこを突き詰めて考えていった結果、顔から血の気が失せる結論に至った。
「ど、どうしたラビ?
なんか怖いモノ見たラビ?」
心配したラビリンが近づいてきた。
周りの人目が途切れるタイミングを、彼女はいつも計ってくれている。
その声を聞いたのどかの心音は、急速に落ち着きを取り戻していく。
小さく息をついたのどかは、笑顔を作って応えた。
「ラビリン…うん、ちょっと怖かった。
順番に話していくね?」
話せば楽になる。
これは病床にいたころからの経験則でわかっている。
苦痛や恐怖、不安そのものが消えるわけではなくても、
それを誰かに聞いてもらえるだけで和らいでいくのだ。
さて、順を追おう。
まず、鳴滝魁は学校に爆弾を持ち込んでおり、
それを使ってメガビョーゲンに攻撃を試みたが無駄に終わっている。
それはいい。それはいいのだが、あんな爆弾を持っていたのは何故だ。
ニャトランが確認したところによると、他人を傷つける目的はなかったらしいが。
でも、それをメガビョーゲンに使った以上、それ自体は目的に沿っているということ。
では、彼はメガビョーゲンが校内に出ることを事前にわかって爆弾を持ち込んだのか?
そんなことが出来るのだったら、今頃ラテは出ずっぱりにならずに済んでいる。
ならば、つまりあの爆弾は、他の目的に使用するために持ち込まれたのだ。
メガビョーゲン以外の、たぶん有害な何かを粉みじんに吹き飛ばすために。
彼から見て、それは何だ。
彼が、あれだけの破壊力を必要と判断して学校に持ち込んだ理由は?
そこでさらにその前日にさかのぼる。
そこで彼はすでに見ているのだ、メガビョーゲンを。
あれはダルイゼンによって作られたものだったが、当時の彼にそんなこと知るよしもない。
あそこで彼から見た事実は、化け物に吹っ飛ばされて気絶した後、花寺のどかを見たことのみ。
のどかはそこでどうした?化け物について聞かれて、はぐらかしたのではなかったか。
そして思い出せ。あの当時の彼の行動原理を。何を願って動いていたのかを。
―意味のある『死』がほしい!
―死ぬことに、俺が信じられる価値がほしい
要は、世の中の役に立つことをして死んでいこうとしていたのである。
ここから判断するに、彼の目的は自爆しての道連れだ。…誰を?
爆弾がなければ倒せないような化け物。その前後にいたのは誰だ。
ひとりしかいない。
始業式の日に、ひなたが言うにはのどかの周りを探りまわっていたという。
その理由は…ここまで来たなら、わかりきった話だ。
わたしが、メガビョーゲンを操っていると思われていた!
「あ…アイツ、のどかを爆弾でドカーンしようとしてたラビ?」
「うん。ほとんど間違いないよ」
「と……トンデモないヤツラビーーーーーッッッ!?」
激怒して足で床をダンダン鳴らすラビリンの顔は、また同時に青ざめてもいた。
ラビリンもまたあの爆発を見ている。生身の人間では、良くて真っ黒焦げだろう。
自爆テロという単語の恐ろしさを、のどかともども実感する羽目になっている。
「許さんラビ、ブチのめしてやるラビ!」
「ラビリン、ラビリン。ブッソーなコト言わないで?
もう済んだ話だよ?今の鳴滝くんに、そんなことする理由はもうないんだよ?」
「でも、許せないラビーーーッ!」
「…………ウ、ウン」
正直なところ、ラビリンの言う通りなのである。
もう、やる理由はないというのが明らかだとしても、
だからといってキレイサッパリ許せるかといったら…
水に流すには大きすぎて、わだかまりになるのは確実だと思った。
そんなわだかまりを現在進行形で抱えている、ちゆのことを考えると。
「このまま放っておくのは、できないね」
のどかはスマホを取り出した。
連絡先はひなた。チリ・ペッパーを送ってもらう符丁を入れ込む…
「その通りだ。間違いない」
採石場に呼び出された魁は、のどかの推測を全面的に認めた。
今ここにいるのは、のどかとラビリン。それと魁(つまりF・Fもいる)だ。
全員をこの場に集めることも一度は考えたが、
全員の前で恥をかかせることにつながりかねない。
それをおもんぱかったのどかは人数を最低限に絞った。
そして確認したのだ。自分の推測が事実かを。
「……そっか」
「ついに言われたって感じだな。
言うべきかどうか、俺自身悩みも…
……いや、認める。掘り返すのが怖かった。
あのとき、一緒に謝るべきだったんだ」
「あのとき、一緒に気づいてるべきだったね。わたしも…
だから、こんなふうに引きずることになっちゃった」
苦笑しながら、のどかは続ける。
事実であるならば、ここには決着をつけに来たのだ。
これ以上の荷物に好んでかかずらっている余裕はないのだから。
「鳴滝くん。わたしね…大切だよ。
わたしの命が。生きてるってことが。
わたしの命を奪うなんて、許せない。
わたしの人生をメチャクチャにするなんて、許せない」
「……ああ。
俺は、それをしようとした。
てめえの勝手な都合でだ」
魁は、別に居直っているわけではない。
のどかの目には、振り下ろされる刀の前に
黙って首を差し出しているように見えた。
(……ウ~~~ン
これはこれで困るなぁ~ッ
カンタンに自分を差し出さないでほしい…)
などと思うものの、彼ならこうするだろうな、という予感はあらかじめあった。
なので、別に滞ることもなく、のどかは話を進めていく。
これからすることは、花寺のどかとしてやらねばならないことだ。
だからわざわざこんなところにまで呼んだのだ。夢ではなく、現実であるために。
「だからね。
されただけのことを、っていうわけにはいかないけど。
気が済むようなお返し、するよ」
「…やってくれ」
「うん」
のどかの頭にあったのは『ツケの領収書』。
あのとき、ちゆがやったように、多少は甘めだとしても
ふさわしい報復になるような折檻を行い、
罪の意識を引きずらせず決着させること。
そう思って拳を固めはしたものの、顔面を打ち抜く軌道が定まらない。
ためらっている自分の姿ばかりが浮き彫りになっていく。
「のどか、ふるえてるラビ?」
「……。そうみたい」
目の前の魁は変わらず、目を見開いたまま
これから来る一撃を待っている。無駄な口を利くこともない。
その忠犬ぶりが、今は疎ましい。
拳を握ったり開いたりを繰り返したのどかは、
やがて打撃の態勢を完全に解いた。
殴り方はさんざんやって覚えたのだ。
今や、プリキュアでなくとも出来るくらいには。
それを、魁の目の前で、やめた。
「……花寺?」
「ごめん。できないみたい。
遅すぎたね。やるのが……」
思うに、ちゆが『ツケの領収書』を発行したタイミングが
まさに最後のチャンスだったのだろう。
「俺が言うことじゃあないけどよ。
できれば…ここで、しまいにしてくれる方がうれしい。んだけど」
「鳴滝くんは、ひなたちゃんを殴れる?」
「…………ッ」
「ちゆちゃんを殴れる?
ニャトランを殴れる?ペギタンを…
……わたしには、ムリだなぁ。
何かひどいことをされて、そのお返しだとしてもね?」
思っているままを、はっきりと言葉にできた。
それで決着がつくわけではないが、
出来ないことは出来ないというのが、今ののどかの答えだったらしい。
「殴ったら、きっとわたしも痛いの。
その痛みを越えられるだけの恨みを、今のわたしは持ってない。
だから、殴れないのなら…それでいいんだと思う」
「わかった…じゃあ、俺は、まず俺がすべきだったことをする。
ごめんなさい。俺は不当に、お前の命を奪おうとした。
謝って済むことじゃあない……でも謝るしかない。ごめんなさい」
「うん、聞いたよ。
許すって即答はできないけど。
あなたが謝ってくれたの、わたしはちゃんと聞いたよ。忘れない」
気が進まないことの肩の荷が共に降りた互いだったが、
のどかの恐怖と困惑がそれで消えるわけもなかった。
聞いてもらえれば楽になる。
その原則に従って、のどかは今朝がた家族に向かってさらした醜態についてまで
苦情を言い立てて、その前後の精神状態までキッチリと伝え尽くした。
魁がゲンナリ憔悴したのは言うまでもない。
その後にやってきた、ちゆとひなたの前でも説明の中でそのケが再燃。
同じことがまた繰り返された。今度はちゆとひなたの相槌までもが加わった。
結局のところ、恥をガッツリかかされた魁である。
気が付けば、のどかの気は済んでしまい…無事、復讐は完遂したようだった。
「ハイ、おしまい!仲直りの握手!」
スッキリ
のどか「みんなを守るためのプリキュアだもん。
お父さんもお母さんも巻き込めないからヒミツだけど、
後ろめたいことなんかないよ!」
魁「おたくの娘さんを危険にさらしてます…
戦いになれば、俺はほとんど何もできません」
ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ここすき等、ぜひよろしくお願いします。
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