プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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納期に品物が間に合うのはホッとする。
あとは、品質を伴わせるのみ!

今回の語り部は鳴滝くん。
文字数はほぼ6000字。標準量ちょい上。



枯れることなきブラッド・フラワー‐その4

あの後、佐久間さんとやらを元の場所に返してから

俺たちもすぐに自室に直で帰宅し、そのまま寝た。

何かのきっかけで不在がバレると死ぬほどメンドくさいことになるからな…

今は当然『夢』の中にいる。すぐにでも会議が必要だった。

 

「……っていうお話をしてたんだけど。

 鳴滝くん、どうだった(・・・・・)?」

 

花寺が本人と話している間、俺だって何もしなかったわけじゃあない。

フー・ファイターズを佐久間さんの体内で繁殖、脳まで到達させ。

肉体の記憶を読み取って、スタンド能力への態度を知ろうとした。

…言っておく!とっくにみんなと相談した後で、だ!

時間があるなら、あるいは距離が近いのなら、

こんな究極に近いプライバシー侵害なんかせず、

もっと丁寧な方法をとるべきなんだろうよ。

だが今回は無理だ。今回ばっかりは。

チンタラ時間をかけてる間にホワイトスネイクに何かされたら。

あるいはすでに何かされてて、『爆弾』の炸裂が秒読みだとしたら。

そこんとこすぐさま対応するには、俺たちと彼女との距離は遠すぎる。

花寺がいるから、精神的な距離はともかく…物理的にはどうにもならん。

チリ・ペッパーがあると言ってもよ。四六時中見てろと?

これ以上の労働を押し付けたらニャトランが干物になる。マジで。

となると、彼女に起こるだろう異変を俺たち側から察知することは限りなく不可能だ。

ここまでの前提に立つと、ひとつの間違いすらも致命傷になりかねないし、

なら俺たちが主導権を取れている間にすべてケリをつけなければならない。

もはや手段は選べない、ってわけだ。

 

『脳みそをほじくり返されて、あることないことみんな暴かれる。

 おぞましいわね。最悪よ!……でも、やらなければ、危ないのは彼女よ』

『そうするしかないなら、やるラビ。

 時間をかけたら取り返しがつかなくなるっていうのなら…

 それだって大切なお手当てラビ』

『パパもさ。お兄もさ。

 あたしが聞いても、患者のワンちゃんとかネコちゃんのこと、

 教えてくんないこと、あるよ?守秘義務、とかなんとかいうヤツ…

 みんなに知られたくないケガとか病気だってあるんだって……

 同じじゃん?あたしたちもさ、きっと…同じよーにやろーよ。

 ウン、秘密!あたしたちプリキュアの秘密!』

 

結果、全員賛成。

というより、俺が言わなければ、おそらく沢泉が言っていただろう。

あと、意外にもって言うとアレだが…ラビリンが積極的に賛成してくれた。

今ひとつ疎遠だし、過去の経緯を思うに厳しい態度を取られるのも当然なんだが。

今回、その対応を曲げてくれたみたいだ…謝ったからかな?花寺爆殺未遂。

まあ、それはいい。考える時間がいくらでもあることは後回しだ。

紅茶を飲みつつの回想を打ち切って、花寺の方を向く。

 

「結論から言うとだ。

 彼女が自分から能力を手放そうとする可能性は、今んとこゼロだ」

「それは、のどかに話してくれた事情からかしら?」

 

花寺より先に反応したのは、沢泉だった。

答えるのは一緒だな。誰に聞かれようが。

 

「言いたくないが、そいつは一面ってことになる」

「…。一面?二面とか三面あんの?」

 

平光…チョット考え込んじまったじゃあねーか。

アレか。ゲーム機で遊ぶゲームの『面』のこと言ってるくさい。

 

「…。二面性、っつー言葉あんだろ。それだよ」

「…ニメンセ……あ、わかった…気がする。ゴメン、続けて」

 

気が抜けたコーラみてーなコトぬかすなよな。

まーわかったんならいいや。

実は危なかった。ゲーム機にほぼまったく興味なく生きてきたからな俺。

オホン、と咳払いしたが、ちっとばかしワザとらしかったか。続ける。

 

「まず、患者を助けたいと思ってるのに嘘はねえ。

 問題は、そいつが手段か目的かっていう事だがよ」

「手段?…お医者さんになるための手段、っていうこと?」

 

聞き捨てならないとばかりに花寺の目つきが鋭くなった。

そりゃあ、な。世話になった知り合いにケチをつけられりゃ、花寺なら怒る。

 

「彼女はそこまで腐っちゃあいないよ、のどか。

 だが純粋にそれだけの気持ちっていうわけでもない……

 個人的な事情がどうしても絡んでる」

「F・F。いいよ、俺が話す」

「そお?…ま、うまくね」

 

俺は、肉体の記憶から引きずり出した『芋づる』を順にたどって話していく。

なぜ、彼女はスタンドで怪我や病気の人々を治しているのか。

そこに、痛みだとか苦しみに寄り添う意識がないわけじゃあない。

いや、むしろ相当大きいと言うべきで、それはそのまま立派な使命感となっている。

 

「その使命感の根っこになってんのはお前だよ、花寺」

「わたし?」

 

彼女は最初っからそうだったわけではなく、

看護師になった当初は、目の前の業務を果たすことと

自分のやる気のなさ…?を周囲の目から隠しごまかすことしか頭になかったようだ。

記憶を見るに、そんな自分を認識してる自分自身をごまかそうとしているとも取れる。

蜂須賀先生?から何度か怒られているな。『他人事の対応をするな』とか。

 

「それが変わったのが、花寺の面倒を見始めてしばらく経った頃のこと、な」

 

…間接的に花寺の記憶も覗いちまってんだよなコレ。

その辺は後で謝って怒ってもらうとして。

当時の、唐突にキレたり泣き散らかしたりする花寺の担当にされたのが彼女だ。

身体的には快方に向かいつつあって危険度が低く、優先順位は低いのだが

それでいて情緒不安定のため、長時間誰かが拘束されざるをえない…

ために、戦力として大して当てにされていない佐久間さんが当てられた。

無害で、ほとんど怒らないことだけは取柄だったから。

少なくとも当時の彼女はそう受け取っている。

当初はそんな具合で、言われたことだけやってるスタンスで過ごしていたが、

機嫌を損ねた花寺のワガママは対応不可能かつ無茶苦茶で、

ひたすらなだめすかす以外の方法がなかった。

具体的内容をいちいちみんなに説明する気はない。花寺の恥でしかないしな。

やっぱり後でなんか罰をお願いしよう。着替え覗くのと大して変わんねえぞこんなモン。

 

「アハハ…

 そのワガママって、学校行きたいー、とか、遊園地行きたいー、とか…だよね?

 今すぐに連れてってよ、ていうの……

 ナースコール押して、テレビ指さして、海行きたいとか山行きたいとか」

「花寺、お前ぇ…」

「そういう無理ばっかり言って、聞いてもらえないと、

 わたしのことなんかどうでもいいんだ~、って泣いちゃったりして。

 ホント、迷惑ばっかりかけたなぁー」

 

てめーで言うのかヨ花寺。

 

「まあ…わかるわね。

 のどかの気持ちもわかるけど、佐久間さんの気持ちもね。

 入院患者を観光地に連れていくとか、出来るわけないわ」

「ワガママのどかっちィ、カワイくない?

 あたし、チョット見てみたいかも!」

 

ま、いいや。本題じゃあねえ。続ける。

さしもの佐久間さんも、度重なるワガママに消耗して

やがてイライラを抑えきれなくなってきた。

だが、本質的な人の良さがそこにあるんだろうな。

彼女が怒りの矛先を向けたのは、花寺じゃあなく蜂須賀先生だった。

花寺を担当するに当たり、治療の経緯を教えてくれたのは彼だ。

そして治療していたのも彼。

つまり、蜂須賀先生の無能にムカつきの原因を求めたわけだ。

だがその怒りも落ち着いてくると、結局のところそれがそのまま自分に来た。

 

「ここで花寺の聞いた話につながる」

「わたしの、聞いたお話?

 ……お医者さんになるってこと?」

「ピンと来てよ、のどか。

 それ以前に、医者になるのが彼女の夢だったろ」

「…そういうことね」

「どゆコト?」

「正解は…な。

 そもそも医者になれなかった自分の無能をこそ思い出すことになった…だ!」

 

ここで話がややこしくなる。

彼女は医者になるのが夢とは言ったが、本人に積極的な意思はなかった。

実のところ、小さい頃から『お医者さんになる』と言い続けていたのは彼女の母で、

期待に応えるためにそれを夢に据え置いたにすぎない。

これが私の夢なんだ、と思って勉強してきたものの、医大の受験に失敗。

長きにわたる浪人生活は父親が成人病で体を壊し、会社を早期退職したことで終わり。

夢だったらしいものについに指がかかることのないまま、彼女は就職することになる。

学んできたことを少しでも活かせるだろう、看護師にだ。

 

「え……エッ?

 夢、なんだよね?つか、それママの夢じゃん!」

「わからないわ…どういうことなの?」

「さあね。それが『夢』じゃなきゃあいけないって思ったのかもね。

 親も勉強させてたし、本人もマジメにやってる…少なくとも本人はそのつもり」

 

F・Fの解説に花寺がつばを呑んだ。

 

「で……蜂須賀先生のやってきた処置とかを改めて知っていくにつけ!

 自分の人生はドブに捨ててきたも同じだと、そう思った…らしい」

 

真偽はどうあれ、自分の努力は見せかけの偽物だったと理解した彼女は打ちひしがれた。

虚脱状態になって一日、無断欠勤をかましたものの…怒られたことで心境を整理できた。

蜂須賀先生が全力を尽くした患者である花寺にガムシャラに付き合ってみたのなら、

何か気づきを得られるんじゃあないか?自分は変われるんじゃあないか?

そうやって、今の花寺が知っている彼女になったのだ。

 

「へー、感動じゃん!」

 

目がキラッキラしてる平光。

おい、今の話が前座…というか前提なの、忘れてんじゃあないだろうな?

現在進行形だぞコラ。

 

「そこまでだったら素敵なお話よね。

 でも…それが、彼女がスタンドを手放せない理由につながっているのかしら?」

 

ありがたい。沢泉のおかげで場が締まる。

花寺のお世話を続けて、その情緒が安定したに至って、

彼女は心底ウレシいと思ったようだ。

花寺と別れた後も、これと同じ気持ちを感じたい、と

仕事で出会う患者に向き合っていったのだが……

頑張れば頑張るほど、どうにもならない思いに囚われることになった。

ゆるやかに死んでいく患者を、あるいは唐突に死んだ患者を抱える都度、

自分が医者ではないことの無力が魂に沁みていくようだった。

改めて医者を目指すことを決意したが、それはいったいいつになるのか?

そんな時だ。

ザ・キュアーの存在に気が付いたのは。

戸惑ったのは最初のうちだけだ。

彼女が狂喜乱舞するのに、時間はかからなかった。

 

「ここで一問、クイズだけどよ。

 そんな彼女に、スタンド周りの事情を説明したとして!

 素直に俺たちに渡してくれると思うか?」

「……思えないわね」

「だが回収する。

 これがビョーゲンズの手に渡った日には最悪だぞ」

 

助からないと言われた人間ですら完全に治癒させるスタンドだ。

はっきり言う。手放せるはずがない。

彼女が抱いた無力を真っ向から無力化できる能力だぞ?

そしてある意味、もっと厄介なのが!

この能力そのものが、医者って職業の端的な機能であることだ。

怪我や病気を治すヒト、イコール医者だって定義するんならな!

この能力ある限り、彼女は医者だと言えなくもないかもしれん。

東方仗助を指さして医者だって言う並みの暴論だけどよ。

 

「なんにせよ、長続きは…しないでしょうね。

 知識も、技量も伴わない、スタンドありきのお医者さんなんて。

 不自然な治り方をどうやってごまかすのか…私にはわからないわ」

「…わたしにも、わかんない」

 

目を伏せていた花寺が、声と共に顔を上げた。

 

「ありがとう、みんな。おかげでちゃんと、心が決まった気がする…

 ザ・キュアーは回収するよ。あの人が、不幸になるから」

 

悩んだだろうよ。

ある意味、恩人の手足をへし折るんだから。

花寺はそれを改めて決断してくれた。

 

「そうするにしても、方法が問題ね。

 毎晩、いろんな人の治療をしてる以上、

 こっそり取り上げたら大惨事になりかねないもの」

 

沢泉の懸念は俺と同じものだろう。

たとえば、気管を破壊されている人間を治療するために

治した後で邪魔になるからと呼吸器を停止させ…

そこで、ザ・キュアーが使えないことに気が付いたら、どうなる?

晴れて彼女は殺人犯だ。再起不能!

つまり、使えなくなったことだけは絶対に伝えなければならない。

 

「それもそうなんだけど、鳴滝くん。

 もう一個だけ聞きたいよ」

「ああ。驚くべきことなんだろうな……

 『彼女に、命令DISCは刺さっていなかった』

 同じなんだよ、俺と」

 

花寺の質問への答えに、全員の息が止まった。

命令DISCがないとなると、ホワイトスネイクの意図がわからない。

そしてそれは、そのまま今の俺の境遇と同じことなのだ。

だが今回に限っては、推理できうる材料がある。

 

「それとだ。

 ザ・キュアーはウサギ型のスタンド。

 患部をなめることで人間のダメージを治療する…

 ここまでは、いいよな?」

 

F・F以外の全員がうなずいたのを確認して、続ける。

 

「そのウサギ型の(ビジョン)だけどな。

 最初に出てきたときは、手の平サイズだったんだぜ」

「…えッ、何ソレ?手ノリ?ラビリン?

 めっちゃカワイイ」

 

…無視だ、無視!

この先を続ければ、マジメになるしかないだろうしよ。

 

「だが今は、ハスキー犬くらいのサイズになっちまってる。

 このサイズの変わり方。どういう意味か…誰か、わかるか?」

「ン?ン~~、『成長』じゃん?

 ハスキーの赤ちゃんとか、めっちゃカワイイよ!

 デッカくなってもカワイイけど!」

「……『成長』だとするぜ?

 成長するスタンドには、何があった?」

 

ムゲにはしない。

マジメに答えてるからな…コイツなりに。

 

「すぐ思いつくのは女帝(エンプレス)かしら。

 あの場合は、宿主を殺すための成長だけど……あなたのその言い方。

 成長した先がろくでもないものだって、そう言っているの?」

「可能性だよ。エコーズみたいに能力が変わる場合だってある…

 そうなった先が有害なものなら、結果的に悪事を働かされることになるぜ」

「露伴さんがヒドイ目にあったっていう、チープ・トリックみたいな?」

 

うなずき返す。沢泉にも、花寺にもだ。

イイ例を挙げてくれたな。

チープ・トリックが病院みたいな人だらけの施設で解き放たれたら、

おそらく数百人単位がわけもわからず死ぬことになるんだからな。

待合室なんか大惨事になるぜ。

 

「でもさ、そんなのワカンナイじゃん!

 そんなコト言ったら何もできないよ?」

「だがよ、だとしたらだ!

 ホワイトスネイクが命令DISCを入れていかなかったことに

 一応の説明がついちまうんだよ」

「十分に…ありえる話ね」

 

沢泉がそうつぶやいたことで、全会一致でやることが決まった。

病院内でラテの嫌な予感の元を確認次第、

佐久間さんからはスタンドを回収しなければならない。

俺たちがする会話では彼女の地雷を避けつつも、

スタンド回収後、それが二度と使えないことだけはしっかりと認識させる必要がある。

これはおそるべき難題で、この『夢』では結論が出ないままだった。

まずは、病院内探索の打ち合わせをするべく、

すでにメモを送り付けて伝えた時刻に、佐久間さんの自宅を訪ねなければならない。

指定の時刻は明日23時。花寺が行くことはなんとか可能だ。

 

だがそこで、事態をさらにややこしくしかねない要素に乱入されるとはよ。

間が悪かったとしか言いようがない。

 




佐久間某の話ばかりに付き合わせることになってしまってます。
うまくいけば、次回あたりにバトル開始なんですが……

ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ここすき等、ぜひよろしくお願いします。

現時点で、この作品に何を求めて読んでいますか?

  • 心優しいプリキュアたちらしい熱血バトル
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