プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
深夜三時の更新になっちゃうけど、それでもやるしかGO!!
今回の語り部はのどかっち。最後にちょっと神視点。
文字数は5500字弱。標準量よりちょっと少ない。
お父さんもお母さんも、まだ起きてる気配がして不安だったけど!
約束通りに来たよ、佐久間さんのアパート!
チリ・ペッパーで少し離れた場所に送ってもらってから訪ねる都合で、
今回はちゃんとヨソ行きのカッコに着替えてるよ。イツモの上着にスカートだケド…
わたしがわたしとして佐久間さんの前に姿を現した以上、
逆にプリキュアの姿をなるべく秘密にしておきたくなったからね。
最悪。ホントに最悪だけど、スタンドDISCをプリキュアの腕力で
無理やり回収するしかなくなる可能性だってあるから。
もちろん、避ける気だよ?そのためにわたしは来たの!
「んじゃ、しっかり頼むぜ!…オレも電線伝ってコッソリ守るからよ」
「うん。ニャトランもお願い」
「ラビリンも一緒ラビ。いざって時は変身するラビ!」
「アン!」
ラビリンもいて、ラテもいるけど。
ここから先は怖いよ。すぐ近くとはいえ!
深夜の時間帯に中学生がうろついてるんだもん。
おまわりさんが通りかかったら補導されちゃう。
しかもよその県の中学生が東京に。事件のニオイしちゃってるよ。
そのためのチリ・ペッパーではあるんだけどね……
幸い、誰ともすれ違わずに済んだし、ここから先もそれは同じ。
でも、ゼータク言っちゃうんだけど。
佐久間さんが困ってなかったら、なおのことよかったなあ。
佐久間さんの部屋は一階の角なんだけど、近くに寄るだけで声が聞こえた。
わたしよりも前に誰かいるの。物陰に寄って、思わず聞き耳。
「待って。待ってよママ。
あとちょっとでお医者さんになれる…つ、つかめるのよ、何か」
ママ?
お母さんが来てるってこと?
襲撃とかではなさそうかな……
でも、お母さんにスタンドDISCが入ってないとも限らないよね。
このまま聞く。関係なければ謝るだけだよ。
「その言葉も何度目よ。私はちゃんと謝ったでしょう?
あなたに無理を言いつけた私が悪かったって。
もう、しがみつき続ける必要はないのよ?」
「前にも言ったけど!
今の私は、なおさら離れたくないの!
やるべきことに出会えたの。やっと始まったのよ」
「わかるわ。あなたはいい子だものね。
まだ私たちの期待に応えようとしてくれている……
やめろと言われて、戸惑うこともあるわよね」
お母さんらしい人の声はやさしいなあ。
やさしい…んだけど。なんかヘンな感じがする。
お話がズレているっていうか、成立してないっていうか。
ううん、まずは聞こう。
すぐに何かされるってわけじゃあないんだもん。
「これでも後悔してるのよ?
あなたに向かないことを押し付け続けたんだもの。
私たちもやっとわかったの。
だから、つらいだけの場所にいないで帰っていらっしゃい?
おばあちゃんも待っているわ」
「……そうは言っても。
私がお医者さんになった方が、うれしいでしょ?
あれだけ必死だったんだから。違うわけないよね?…ママ」
「いいえ。あなたが苦しんでいる方がよほどつらいわ。
私の間違いがあなたを縛っているのなら…私が、自由にしてあげたいのよ。
昔から言っているでしょう?あの言葉に嘘はないわ」
やさしいなあ。言葉は。
でもやっぱりヘンだ。お話ちゃんと聞いてくれてるのかな?このお母さん。
そして佐久間さんは、あきらめたみたいにその後を続けた。
「…私の幸せは」
「そう。ママの幸せよ」
たぶん、ニッコリ笑ってるんだろうなあ、このお母さん。
ここからじゃあ顔も姿も見えるわけないけど、声の感じでそう思う。
だましてるみたいなイヤな雰囲気はなくって……逆にそれが怖いよ。
「なんか、イヤな感じラビ。
うまく言えないけど、微妙にムカつくラビ」
「うん…」
もうちょっと聞く。
どのみち、あの人が出ていかない限り、わたしも中に入れないもん。
「私たちの方は、いつでも用意ができているわ。
今年のお盆はみんなで過ごして……
それからのことは、私たちと考えればいいじゃない。
そのための時間はいくらでもあるわ。そうでしょう?」
「…ママ」
このお母さんの言葉を、佐久間さんが途中でさえぎった。
今までみたいに穏やかじゃあない、ちょっと怖い声で。
「私ね。……私ね?」
「…その声。その雰囲気。
やっぱり、よくない疲れを貯めてるわね。
このままじゃああなたのためにならないって、
あなた自身が一番よくわかっているはずね?
どうしたの、あやか?ママに言ってみて?
私たちはずっと変わらず、あなたの味方よ」
さらに言葉をかぶせられちゃった佐久間さんは、
怖い声の調子を続けられずに黙っちゃって。
何秒くらいかな?わからないけど……
かなりたっぷり間を空けてから、結局、泣きそうな声で締め切った。
「……なんでも、ない」
「そう。まあ、ゆっくり整理をつけなさい。
そのためにも早く帰っていらっしゃいね。
一番大切なのは、あなたの心身。
よく勉強してきたあなただったら、なおのことわかるはずよ?」
バチッ
近くの電線が意味不明に帯電して音を立てた。
それ以上はとくに何もなく、物陰に潜んだわたしたちに
気づくこともないまま、佐久間さんのお母さんは去っていった。
眼鏡をかけたスリムで上品なおばさんだったけど……
すぐにその場を飛び出したら危ないから、さらに五分くらい待って、
ようやくドア前のチャイムを押しに行く。
行ったんだけど…聞いちゃった。
ドアの内側ですすり泣きしてる声を。
今すぐ追うべきかって、正直思ったよ?あのおばさん。
でも、わたしの中に育った冷静な部分に止められた。
追いかけたところでなんにもならない。
なんとかなるようなら、こんなことになってない。そう思ったの。
まずは予定通り、お話をすること。それが重要。
このまま突っ立ってるわけにもいかないし…
おそるおそる、チャイムのボタンを押し込んだ。
いつ誰が押しても変わらない音が、すすり泣きをとりあえず止めさせたみたい。
ほとんどすぐに出てくれた。
佐久間さんの方もわかってたよね。わたしが来る頃だって。
「いらっしゃい。
どうやら、聞いたみたいね?」
「…ご、ごめんなさい」
「いいのよ。私だって、今日いきなり押しかけられるとは思わなかったのよ。
昔っから、ヒトの都合はおかまいなしなヒトなのよ」
笑ってるけど、涙の後がそのまんまだ。
「むしろちょうどよかったのかも。
私の状況、わかってくれた?」
「病院を…やめさせられる。そんな風に聞こえました、けど」
「そう。時間がないわ。
遅くとも七月までに退職させるつもりでしょうね…
すでに色々根回ししてたって、驚かないわ」
確かに運がよかったよ。ある意味。
鳴滝くんがある程度記憶を読んでくれてはいたけど、
限られた時間だと詳しく読むにも限界があるし。
時間がない、っていう最重要な情報を見逃さずに済んだ。
お母さん周りをもっと詳しく追っていればわかったかもしれないけど…
そんな言い草、後出しジャンケンだよね。
佐久間さんは、心強い笑顔を作っていた。
「大丈夫。あなたの邪魔にはならないわよ。
向こうに根回しがあるなら、私には実績がある。これからのね。
急患の何人かは、私の適切な初期治療で快方に向かうわ。
運び込まれる間なら手を出せる」
「…………」
素人のわたしだって思うんだけど。
ただの看護師さんに、お医者さんとしての『実績』って言えるみたいな手出し…
させるわけないッ フツーの病院なら!
やたら危うくて非現実的な雰囲気を感じたのは、時間がないせいだったんだ!
振り返れば、最初からわかっていたことだったのかも。
いくら知らなかったからとはいえ、
スタンド使い最大の不用心をこの人はやっちゃってる。
治された人たちの経過を病院側が追って困惑してる以上、
遅かれ早かれ、そういう能力を持ってる誰かがいるって仮説は立っちゃうよ?
能力を見せびらかして歩いてるも同然だよ、すでに!
仮にそうならなかったとしても、知られなかったらそもそも『実績』にならない。
どこかで宣伝しなきゃあいけないけど…バラすの?スタンド能力を?
「実績で黙らせることができれば、道はできるわ。作ってみせる。
それだけの道筋があるのなら、私の母にも邪魔はさせない。
だって役目なんだもの。ザ・キュアーに選ばれた私の…よ」
……これだけは、はっきり言っておくよ?
佐久間さんは、絶対におバカさんなんかじゃあない。
わたしがきっかけで、誰かを助けたい気持ちを持ってくれたっていうのなら、
それはとってもウレシくて、光栄なんだよ?
一生懸命に向き合ってくれて。困りながら頑張ってくれて。
この人を悪く言われたら、わたしだって怒るんだよ?
気持ちは本物で、目指す意思だって本物なの。わたしがよく知ってる。
なんでも治すスタンド能力をいきなり手に入れたって言っても、
普段だったらもっとうまくやったはずなんだよ。
どうしようもない患者さんをこっそり治すくらいに留めながら、
しっかりとお医者さんへの階段を昇って行ったと思う。
でも、それだけの時間を取り上げる誰かが、たまたま近くに居ちゃった。
きっと、本物だからこそあきらめられない。
あきらめられないからこそ。
「私はお医者さんよ。その道が目の前にあるから、引き下がるわけがないの」
まともな判断を、捨てたんだ。
……花京院さんは、誰とも打ち解けられない学生時代を送ってた。
スタンド能力なんていう変なモノをたったひとり持っちゃったせいで、
相談なんか誰にもしようがなかったから。
佐久間さんは、それと同じ。お手当てできることも、黙ってるしかないの。
そういう意味で、能力の存在が
そして、孤立無援の人間がどれだけ狂ったことをするかだなんて、
鳴滝くんにさんざん思い知らされてるんだよ、わたしたち!
佐久間さんをひとりぼっちにしちゃあいけない。
でも、ザ・キュアーのDISCを取り上げるのは他ならないわたしたち。
取り上げたなら、わたしたちはどう考えても敵にしかならないし、
何より、この必死な
出来ないようにしちゃったら……その後、この人はどうなるの?
「この子がラテちゃんね。
この子を病院に入れれば、ビョーゲンズとかいうのの場所がわかるのね?」
「アゥン……」
「まかせて。思うに…遊歩道を歩くだけで事足りるわ。
犬の散歩で十分言い訳できると思うわよ。
明日は土曜日で、昼は非番だからね。一緒にお散歩してくれない?」
ラテの前にしゃがみこむけど、無理に撫でたり触ったりしない佐久間さんは、
頼りになるお姉さんをやってくれていたけど。
安心はできなかったみたい。ラテも、ラビリンも。
唐突だが、花寺のどかの視点を離れる。
語るべきは翌日の朝。追い詰められた佐久間あやかの受難にある。
結論から言おう。彼女はすでに目をつけられていた。
何者にか?…我々は知っている!
癒しの戦士プリキュアの宿敵たる、
彼女が今日、花寺のどかと共に探そうとしている『敵』は、
実のところ意外なほどにすぐ近くをうろついていたのだ!
「同じ力の持ち主……
いると思うだけで、こんなに心強いなんて、ね?」
そうとも知らず、佐久間あやかは鏡の前で舞い上がっている。
DISCというものの存在を知らされなかった彼女にとって、
スタンド能力は、いわゆるヒーローが授かるパワーという認識だった。
彼女の視点からすれば、ある日突然、何の脈絡もなく備わったものだ。
異常な存在になってしまった自分を、そうやって鼓舞することで
当初は平静を保ったのかもしれないが…たまたま彼女の抱えていた事情と、
能力の方向性が合致してしまったことで、それは半ば事実となった。彼女の中で。
そして、そこへさらにやってきた、かつて自分の転機となった知り合い。
花寺のどかもまた特殊なパワーを持っていて、しかも助けを求めてきたのだ。
佐久間あやかは奮い立っている。おのれのヒーローたる宿命に。
そうやって燃えている間は、失う恐怖を忘れることができたから。
「のどかちゃんの力になれば、病院は安全になる。
そこからは私の役目で、みんなを治す。
実績があるんなら……お母さんだって、認めざるをえないわよ!
私は、正しいことをやるの。誰も止められないんだから」
独り言が増えてきたことに、彼女自身もとうに気づいてはいるが。
止める気はなかった。火に薪をくべ続けるようにだ。
身支度を整えて、彼女はドアを開ける。
のどかに出会い、ラテを受け取って散歩に連れ出すためにだ。
だが、その目的が果たされることはない。
ドアの向こうに現れたそいつが、そうはさせなかった。
「あ、出てきた……ちょうどいいじゃん」
「だ…誰?」
少年だった。背丈は低い方だが…不自然ではない。
だが不自然きわまるのは、その肌の色だった。
毒々しい紫だか青だかの色合いは、まるでゾンビを彷彿とさせた。
その頭にはツノがあり、腰から下には尻尾が伸びている…サソリのような。
「お前の能力、使えそうなんだよね。
見ての通り…ちょっとばかり痛くてさ」
言いながらドアから入ってくる少年の首は、なるほどギプスで覆われていた。
首筋を蹴飛ばされでもしたのか?
確かなのは、そんなことを考えている場合ではないということ!
「な、なんなのッ?
出ていきなさい、帰んなさいッ!
ケーサツ呼ぶわよッ!!!」
「ま、そーゆーことで…」
少年の手からほとばしる、禍々しい何かを感じ取る。
本能的な危機を感じ取った彼女は逃げようとするが、この先は室内だ。
どこにも逃げ場がないまま、玄関口でつまづいて
尻もちをついた彼女の体内に小さな黒い塊が飛び込み……
「進化しろ。ナノビョーゲン」
怖気をふるう寒さに、意識が塗りつぶされていった。
果たして彼女は、探そうとしていた『敵』の刺客に成り下がる。
ビョーゲンズの幹部格、ダルイゼンの手によって。
間違いなく、次回からバトルです。
ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ここすき等、ぜひよろしくお願いします。
現時点で、この作品に何を求めて読んでいますか?
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