プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐   作:アンチマターマイン

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けっこう書けた。
楽しんでもらえる出来になってるといいなあ。
願わくば、それが次回も続きますように。

今回の語り部はのどかっち。
文字数はほぼ8000字強。標準よりかなり多め。



枯れることなきブラッド・フラワー‐その7

佐久間さんがビョーゲンズにされるだなんて。

こんなことを避けるために話を急いできたのに……

なんて嘆いてるヒマ、わたしたちにはないんだよね。

佐久間さんを助けるのは100%の絶対!

そして、他に誰かが死んだり、取返しのつかないケガをさせないことも絶対!

今、その邪魔になるのは、脅威になるのは何?

 

「鳴滝くん」

「おう」

 

振り向いた先の鳴滝くん、顔がスゴイことになってる。

顔全体の毛穴からフー・ファイターズを噴き出させて、

乾いてもしばらく問題ない爪みたいな形質に変質させたらしいけど。

監視カメラを今回潰す時間がなかったから、顔を変える必要があったんだ。

戦いが終わるまで持つかな、なんて心配も後だよ。

今は生きるか死ぬかなんだから。わたしたちも含めて。

鳴滝くんにも、ラテをしっかり守ってもらうよ。

 

「倒れてる人がザ・キュアーに何をされたか。暴けるかな?」

「すでにやってる。が、ビョーゲンズの汚染に邪魔されて解析が進まねえ」

 

うん。聞こえてたもんね。それっぽい音。

たぶん、すでに二人にF・F弾を撃ち込んで、体内で増殖しようとしたんだと思う。

でもビョーゲンズの汚染にフー・ファイターズが勝てなくて、

すぐに死滅しちゃったんだね……

 

「だがよ、状況証拠から推測は少しできる!

 こいつら入院患者じゃあねえ。面会人だ……そもそもが病人じゃあないんだ。

 なのに、片方は全身ケイレン。片方は肌を真っ黄色にしてゲロを吐き続けてる」

症状が違うの(・・・・・・)?」

なにか病気をうつされた(・・・・・・・・・・・)!そう考えるのが自然だろうよ」

「ッ……、なんで、そんな」

 

ザ・キュアーはお手当ての能力なんだよ?

もう治る見込みのない人たちまでも、その能力で助けてきたのに……

これじゃあ、あべこべだよ。

デミビョーゲンにされたせいで、こんなことになっちゃったの?

ダーティ・ウォーターの時のフー・ファイターズが、

それ自体汚染物質に成り下がっちゃってたみたいに?

 

『ヘイッ、グレース!窓だ!』

 

F・Fのスタンド会話。言われるままに目を向けて、反射的に防ぐ。

 

バ グシャア!!

 

窓を突き破って衝撃が来る。ダルイゼン!

鋭い蹴り。防げはしたけど、腕が上がって上半身がのけぞったッ

立ち直る間も与えてもらえず、喉をつかまれる。

 

「遊ばせておくとでも思った?グレース」

「グ……なんで、こんなことを!」

「お前のせいだけど、グレース?」

 

グ ググ ゴゴ バキ! パキッ…

 

思いきり、首をしめてくるッ……

そのまま壁に押し込んで、壁に体がめり込んでく。

 

「お前にやられた首が痛かったからさ。

 治すのに便利な能力を使っただけ。

 全部お前のせいじゃん?」

 

やられっぱなしじゃ、ない。

意識が飛ぶ前に、プニ・シールドを至近距離……

 

ドボォ!! ガグシャア

 

「が……はッ!?」

 

読まれてた……膝蹴り、みぞおちにッ

壁から引き戻されて、わたしのみぞおちを、膝に……

めり込んでた壁が一緒に崩れ落ちたけど、首がつかまれたまま。

また、わたしを浮かせてきた。何度も膝を繰り返す気だ。

 

「あーあ、痛そう……

 でも、オレだって耐えたんだからさ。

 見習ってくんない?オレを」

 

グギギギ グキッ! グググ…

 

喉仏に指を食い込ませて、もう一度、落とそうとしてくる。

吐きそうだけど呼吸自体ができない。

ヒーリング・ステッキだけは放せない。放した時点で負け。反撃を…

 

「……チッ」

 

ダルイゼンが舌打ちしたと思ったら振り回された。

理由は次に来た衝撃でわかった。

 

ボ ドゴォ!

 

……プニ・ショットだ。たぶん、フォンテーヌ。

わたしが盾にされた。ダルイゼンはノーダメージ。

 

「グ、グレースッ」

「どうしたの、もっと撃ったら?次は当たるかも」

 

そんなことを言いながら、大股で進んだ。

さっきまでの位置関係を覚えてるわたしは、一瞬で遠くなりかけてた意識を戻した。

これだけ(・・・・)は!これだけ(・・・・)は止めなきゃ!

ヒーリング・ステッキを強く握ってラビリンに意思を伝える。伝わって!

 

「ラビ!」

 

ド グォォン

 

地面に向けたままのプニ・ショット!

意表をつかれたダルイゼンは姿勢を崩した……けど。

 

「……脅かすなよ。思うように蹴れなかった」

 

完全には止められなかったみたい。

重たい塊が、蹴とばされる音が確かに聞こえてた。

 

「なんてことするのッ……人をッ!

 立ち上がれもしない病人をッ、石ころみたいに!」

「勝手にキレてたら?」

 

やっぱりだ。ダルイゼンは『飛び道具』でフォンテーヌを封じたんだ。

たまたま近くに倒れてた、ケイレンの症状の人を蹴り飛ばした。

思うように蹴れていたら、たぶん……『砕け散って』た。

肉とか骨がバラバラになって、ビョーゲンズの汚染もろともフォンテーヌを襲ってた。

完全にはうまくいかなかったけど、フォンテーヌを足止めするには十分で!

足止めしてこの後、何をするかって言ったら!

 

「よいしょ…」

 

ドゴ ドブゥッ バシ!

 

「……ッグ」

 

また盾にされた。これはF・F弾。

鳴滝くんを潰しに行くに決まってる。

すごく育ったメガビョーゲンにダメージを与える攻撃力を、

鳴滝くんは前回の戦いで証明しちゃってる。

DISCの秘密がバレてなくても、警戒しないはずがないの!

一人だけプリキュアじゃあない生身の人間。

一発殴られるだけで下手したら即死しちゃう!

一緒にいるラテだって、ただじゃあ済まないよッ

 

ドブ バチィッ ドボォ

 

「ひどいことするね。プリキュアを撃つなんて」

 

絶え間なくF・F弾が飛んでくるけど、

全部、わたしを盾に防いで、ダルイゼンが走り出した。

今度こそ全力で蹴り飛ばす気だ。

足が動かない鳴滝くんに、それを逃れる方法はない。

ううん。F・Fで足との連絡を回復すれば歩けるし、

すでにそれも終わってるだろうけど!身体能力差で意味がない!

どうにかしないとッ……

 

……バチッ

 

「…………、!?」

 

飛びそうな意識をつなぎとめると、天井に違和感があった。

しっかりと目をこらしてみたら、光の弾が降ってきた。

 

バチ ボゴォォ!

 

「グゥゥゥッ!!?」

 

ズバババババババババ シュゴォォオーーーッ

 

ダルイゼンの悲鳴が聞こえたと思ったら、ギュンとどこかに引き込まれて。

目を開けたら、スパークルがすぐそばにいた。

思い出すように出てくる、こらえきれない咳!

 

「ゲ……ゲホッ、ケホッ!?…ゲェェッ……」

「だいじょぶ?グレース!」

 

背中をさすってくれてるスパークルだけど、

すぐにでも立たなきゃあいけない。ダルイゼンはどうなったの?

さっきまでわたしがいた場所(・・・・・・・・・・・・・)に目をやると、

うずくまったダルイゼンがヨロヨロと身を起こすところだった。

全身からブスブス煙が上がってる。

 

「グ……また、見えない攻撃、か。

 どうやら、スパークルの仕業らしいね」

「……。今からやられるあなたには関係ない」

『雷のボトルでよぉー、チリ・ペッパーのヤバイ電撃をブチ込んでやったぜ!

 さすがにコイツも無傷で済んじゃあいねェーよ!』

 

ニャトランがスタンド会話で説明してくれた。

たぶん、ボトルのショットを二発撃ったんだと思う。

一発目は普通に撃って、衝撃でわたしを手放させ、スパークルがつかむ。

それからチリ・ペッパーの集めた電力を込めた二発目でダルイゼンを体内から焦がす。

一発目からやったら、わたしも黒コゲになっちゃうからね。

でも、にも関わらずダルイゼンは。

わたしの方を見て、余裕そうな顔をしていたんだ。

 

「ま……ここまでやればいいか。

 フォンテーヌはすでに倒した」

「……え?」

「ハァァー?ナニ言っちゃってんの?

 やられそーになってんのはアンタで」

 

ドザッ

 

スパークルの言葉をさえぎるみたいに、わりと近くで誰かが倒れる音がした。

みんな、そっちを見る。くやしいけど、言う通りだった。

フォンテーヌが……ううん、変身が解けたちゆちゃんが倒れてる。

倒れて、よだれを吐きながらぐったりしてる。顔色がどんどん青くなっていく。

 

「なっ……何?何が、どうなって」

「せいぜい頑張れば?

 そいつを助けるために、無駄な努力をね……」

 

窓から飛び出してダルイゼンが消える。

けれど追っかけることなんかできないッ

ちゆちゃんは一体どうなったの?

そのすぐ先に、答えがあった。というより、これ以外にない。

わたしたち全員、ダルイゼンにかかりっきりになれば、どうなる?

一番近くにいたフォンテーヌが、背後をつかれちゃったんだ。

 

グゥルルルルルルルルルルル!

 

勝利の雄たけびみたいに、首を上げてうなる巨大なウサギ。

ザ・キュアーが正体のわからない力で、ちゆちゃんを病気にした!

 

「……クソがッ、わかったぞ!ヤツのやってることが!

 フォンテーヌの体内のフー・ファイターズで、今F・Fが見てる!」

「鳴滝くん?」

「フォンテーヌは『心不全』だ!

 『心筋梗塞』で心筋が壊死しちまったせいで、まともに血がめぐらねえ!」

「どーゆーことッ!?」

「佐久…あいつが治してんだよ、ザ・キュアーでッ!『心不全』をッ!

 フォンテーヌはその『逆』をやられた!『移された』!」

「……ッ!?」

「『ケガや病気の移植』それがヤツの能力だ!そうとしか考えられないッ」

 

ということは。

佐久間さんは、ずっとザ・キュアーで死ぬような病気を治療してきてるんだから。

ザ・キュアーに攻撃されたら、わたしたちは『死病』を移される。

能力での攻撃だからプリキュアの防御力なんか関係ない!問答無用でやられる!

そして、すでにちゆちゃんはそれでやられた。

 

「『心不全』?

 死ぬまであとどれくらいなの?治せるのッ!?」

「フー・ファイターズで心筋を代行する。

 筋組織の再生はすでに俺自身の左腕修復でやってる。

 F・Fもいる。長期的にもなんとかなるはずだ…

 とりあえずの復活にはおそらく3分あればいい。

 今倒れたばかりだからよ……それまで頼む」

「…ありがとう。まかせて」

 

よかった。どうしようもない絶望だけは避けられたし、

フォンテーヌも3分で復帰してくる。鳴滝くんとF・Fなら大丈夫。

ダルイゼンがもういないなら、ここはもう互角以上になってる。

まず、ニャトランがさっきみたいに天井の蛍光灯配線を伝っていって、

ちゆちゃんを鳴滝くんのところに置いた。

そこから間を置かずにわたしとスパークルでプニ・ショットを撃ち込む。

接触すること自体がマズイなら、こうするまでだよ!

スタンドのダメージは本体のダメージ。遠距離から叩きのめして

本体が気絶すれば、あとはDISCを回収するだけなんだから。

光弾を一発受けるごとに転げ飛ばされるウサギの姿。

絶対に止めないよ。これ以上罪を重ねさせないために。

あの先に佐久間さんがいるはずだけど、一本道だからか姿が見えない。

大きなウサギに覆われちゃってるからね……

 

「うッ……た、叩かないでよ……ハッ!?」

「よし、意識が戻った。起きられるか?

 …グレース、スパークル、そこからさらに一気に押し込め!

 案内を見たが、その先は東館ロビーだ。

 広場に入れば、のろまのデカウサギを相手にする必要はない!

 俺も後から追うよ」

「ウン、りょーかい!」

 

スパークルがスゴくご機嫌に返事して、プニ・ショットの勢いを強めた。

2分くらいでちゆちゃんが回復したんだもんね。

しかも、ここから先が広場だっていうなら、そのまま本体を狙えばいいよ。

ザ・キュアーのパワーとスピードそのものは、戦いには全然向かないレベルなんだし。

それに、ロビーっていうことは普段から人がたくさんいるはずの場所だよ。

その意味でも放置できない。わたしも負けずにプニ・ショットで押し込んでいく。

……でも、気のせいかな?

なんだか、どんどんザ・キュアーが大きくなっていくような。

それがかなり不気味だけど、だからこそここで押し切るしかないって判断した。

本体が落ちれば終わりなのは、ほぼ全てのスタンドに言えることなんだから。

ロビーの入り口に隙間が空いたのを見計らって、

わたしとスパークルはショットを中止。ふたり同時にあえて突っ込む。

 

「プニ・シールドッ!」

 

ギョオン …メシャア!

 

プニ・シールドを張りながらだったら、直接触られずに押し込める。

そう読んだ通りで、これはすぐ後ろにいただろう佐久間さん……違うね。

デミビョーゲンにされているのなら、さっきダルイゼンが言っていた名前がある。

確か、ブラッド・フラワー。彼女に対しても奇襲になったはず。

この名前も、まもなく用無しだよ。

 

「……あら。お友達を諦めたみたいね」

「フォンテーヌなら助かったよ。わたしの友達はすごいの。

 佐久間さんにだって、きっと負けないよ」

「へえ。まあ、なんでもいいけれど。

 さあ、なんの病気がいいかしら?

 悪性リンパ腫?胃ガン?なんでもそろっているわ」

「佐久間さんは、そんなことのためになんか頑張っていない。

 助けたい思いに嘘なんかないのに……

 それを台無しにするあなたを、わたし、許さない」

「あっ、そう。

 だったら、もらったものから返しましょうね」

 

何かされる。予感したんで跳ぼうとしたけど、遅かった。

ザ・キュアーの目が妖しく光ったと思ったら……

数十発の桃と黄の光弾が一気にわたしたちに向かって飛んできた!

 

「プニ・シ」

「ラビッ…」

 

防御も間に合わず、わたしたちは元来た道へもみくちゃに吹っ飛ばされた。

地面に何度もバウンドしながら変身が解けて、すぐに何かに受け止められた。

 

「大丈夫?グレース」

「……う、う…なんとか。ありがとうフォンテーヌ」

 

すでに再変身を終えていたフォンテーヌがいたから助かったけど……

えっと、スパークルは?たぶん変身解けてるよね?

後ろを見てみると、いた。

 

「イ、イ、イッ……タ、タッキー、だいじょぶ?……い、痛いぃー」

 

立ち上がりながら頭を押さえてるひなたちゃんもすごく痛そうだけど、

何もしゃべらずウンウンうなずいてる鳴滝くんの方がどちらかというとマズそう。

膝足立ちで、膝がカクカクふるえてるもん。

F・Fがスタンド会話でダルそうに言ってきた。

 

『受け止めんの失敗してアゴに頭突きもらっただけ……

 問題ないからさっさと変身しな。

 ほら、ひなたもコブにならないようにしてやるよ。急げ』

 

ザ・キュアーがスタンドとしては弱くって、ホントによかった。

こっちに追ってきて、さっきみたいに一本道に追いやられる前に

わたしたちの方が先にロビーに入れたんだからね。

ブラッド・フラワーもその辺の判断は早くって、

わたしたちに二分される前にザ・キュアーを自分の近くに戻してる。

……ホントによかった。ダルイゼンを先に追い払えてて。

いたままだったら、変身が解けた瞬間に割り込まれてやられてた。

慢心は危ない。それをまた実体験で学ばされたって感じ。

 

「アレッ?ザ・キュアーさ、小さくなってない?」

 

スパークルに言われて見てみると、さっきの通路に詰まりそうな大きさから、

ここで初めに見たときくらいのサイズに戻ってる。

 

「なんとなく読めたわね」

 

さっきまでの戦いを後ろで見てたフォンテーヌも気づいた。

そう言われて、わたしもピンときた。

 

「受けたダメージをそのまま返してる。

 攻撃で受けたダメージなら、攻撃の形でダメージを返すのよ」

 

ザ・キュアーが飛ばしてきたさっきの攻撃は、どう見てもプニ・ショットだった。

それも、わたしとスパークルが撃ちまくった数と同じくらいだけの。

あと、あまり見えなかったけど、バリアみたいなのも出てた。

あれはわたしたちに届かなかっただけのプニ・シールドじゃあないかな?

同じように考えたらしいスパークルの顔が引きつった。

 

「えッ、んじゃあさぁ~~

 どんだけ攻撃しても、みんなあたしたちに戻ってきちゃうワケ?

 そんなんどーやって倒すの?」

「心配ないわよ。

 見ていた限り、攻撃をキレイキッチリ反射しているわけではないようだったわ。

 受けた分を、まとめて適当に撃ちだしただけじゃあないかしら」

「そうだペェ。あんなにたくさんのプニ・ショットにまとめてみんな当たっちゃったら、

 変身が解けた後にまでダメージが来たと思うペェ」

「なら……」

「今までの戦法で十分に勝機あり、よ!」

 

要するに、ザ・キュアーは単なる動く障害物で、相手にするだけ無駄。

プニ・ショットでどかしてやって、反射攻撃をしかけてくるより前に

本体であるブラッド・フラワーからスタンドDISCを奪ってしまえばいい。

やることは何も変わらないってことだよ。

 

「相談は終わりかしら?甘く見られたものね……

 この距離なら、さすがにカバーも間に合うわよ?

 あなたたちの未来は変わらない。無残な病死、それだけだわ」

「ううん、変わるよ。あなたが変わる。

 こんな力に縛られなくていいように、変われるの」

「寝言は病床で言いなさい、プリキュアァァ」

 

最終ラウンド。

みんなで取り囲むように跳んだ。

だけどそこに、場違いな人が現れた。

 

「う……え?化け物!

 化け物、なのに……えっ?」

 

すでに避難済みで、誰もいないと思っていたロビーに。

端っこのソファーの影から、『上品なおばさん』が現れたの。

今までずっと気絶でもしていたの?そこで……

でも、そんなことよりもずっと重要なのは。

 

「危ないわッ、すぐに避難…」

「あやか?……あやか、なの?

 いえ、そんなはず……」

 

そのひとは、佐久間あやかの母親そのひとだったってこと。

ブラッド・フラワーの動きがピタリと止まって、そっちに向き直る。

わたしたちとの戦い以上に、そっちが優先だっていうの?

なら、チャンスかもしれない。

鳴滝くんは、ひなたちゃんの涙で一瞬だけ正気に返ったんだから。

思いやる気持ちが伝わるのなら、ビョーゲンズの呪縛だって超えられる。

たった一回だけど、それは証明されてるんだから。

 

「やはり、いたのね……

 どうせ、根回しで動き回っていたんでしょう?

 佐久間あやかを退職させるために、勝手なことを言い回って」

「な、何を?どうして、そんなこと」

「どうせあんたを殺すことには変わりない。

 だから今だけ言ってやるわ。佐久間あやかとしての最後の言葉を…

 あんたにケリをつけて、きっちり人間をやめるためにねぇ」

「最後?…あなた、一体」

 

あまりのことに圧倒されている佐久間さんのお母さん。

動けなくなっているところに、ブラッド・フラワーは

ほとんど一方的に吐き捨てていく。

 

「あんたは、私の花は枯れないって言ったけど。

 私の花は最初から死んでいたわ」

「なんで、あなたがそん…」

「何が花よ、才能よ。

 あんたの勝手で押し付けられる花なんかいらないわ。

 私の好きな色だって、あんたは一度も聞いてない」

 

恨みだった。底冷えするみたいな。

鳴滝くんと同じ……ううん、それ以上かもしれない。

ずっとずっと溜め続けてきたものを、ぶちまけているのかもしれない。

 

「あんたは、私の未来が楽しみだって言ったけど。

 私の時間は最初から止まったままだったわ」

「そんなの、あやかしか知ら」

「ねえ、あんたにわかるの?

 他人事の人生を歩む気持ちが……

 人にそれを指さされて、私がどれだけみじめになったか」

 

お母さんの顔が青ざめていく。

佐久間さん本人しか知りようのないことを言われてるんだよね。

でも、これはまずいような気がする。

邪魔をした方がいいっていう予感が止められない。

でも、その逆も止められないの。

このお母さんには期待できないって思う一方で、

避けられない道なんだ、っていう風にも思うの。

 

「あんたは、お天道様は私を見捨てないって言ったけど。

 私に太陽なんか、最初からなかったわ」

「…やめなさい」

「ハァーッ!そぉーよねぇぇーーッ!

 あんたは自分に都合いいことしか言ってないんだから!

 私のことなんかどぉーでもよかったんでしょ?

 見栄さえ張れればそれでよかったのよねぇーーーーッ!?」

 

ブラッド・フラワーが……ううん。

佐久間さんが、化け物みたいな顔になっていく。

お母さんが目を背ければ、背けるほど。

目や口が、人間のそれとは思えない。

 

「あんたは、夢はずっと続いていくって言ったけど、

 私の夢は……最初からまやかしでしたァァァーーーッ」

「やめろって言ってるでしょオッ!!」

 

狂ってしまいそうな顔で、お母さんがついに怒鳴った。

受け入れられないものだらけで、耐えられなくなったんだと思う。

 

「あんた一体何様よッ!

 人様の秘密を暴く、この…化け物がッ」

「佐久間あやかですゥゥーーーー」

「あんたなんかが何をぬかすのよ!!」

 

そして、このお母さんは。

 

「あやかはいい子なの!

 私たちの言うことをよく聞いてくれるいい子なのよォォーーッ!

 私たちのためになんだってしてくれるいい子ッ!!

 私たちをわかってくれる子ッ!!

 それを、あんたみたいな!あんたなんかみたいなッ……」

 

ついに、言ってはいけないことを言ってしまった。

 

「あんたなんか、私の娘じゃあないッ!!!」

 

ウサギが、爆発したみたいに膨れ上がった。

 




というわけで、ザ・キュアーの本来の能力でした。
知っている方からは突っ込みが来るかもなのであらかじめ断ってしまうと、
このザ・キュアーはちゃんと暴走してます。
操っているようにも見えますが、
この場合むしろ本体がスタンドに従っているためそう見えるだけです。

Q:なんでダルイゼンはエネルギー弾を使わないで回りくどい攻撃ばっかりしてるの?
A:グレースシールドで両手がふさがってるからです。

ご意見、ご感想、誤字脱字報告、ここすき等、ぜひよろしくお願いします。

現時点で、この作品に何を求めて読んでいますか?

  • 心優しいプリキュアたちらしい熱血バトル
  • ジョジョらしいどんでん返しの知略バトル
  • プリキュア世界で動くジョジョキャラ
  • ストーリー上の謎がどう展開するか見たい
  • 主人公たちがどう成長していくのか見たい
  • 人間関係がどう変わっていくか見たい
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