プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
宇宙人?「たいていの地球人にとって、わたしたちは面白おかしいフィクションです。
こーいう偏見は仕方ないことですよ。納得はしませんけどね」
こいつがスタンド使いであることはわかった。
そして、そのスタンドはメガビョーゲンをのたうち回らせ、
周囲をサウナと化すほどの激烈なパワーを持つことも。
「だが……なんてこった!状況はむしろ悪化している!」
「いやさ、あの。サッパリわかんナイんだけど?」
「カンタンに言ってやる!
お前は超能力者だ!たった今気が付いたようだけどなぁぁー
そして、あいつらは俺たち超能力者を誘拐しに来た宇宙人だ!
つかまるなよ!つかまったら何されるかわからないんだからな!」
これ以上の簡単な説明は難しい。
そう、もはやこいつは無関係じゃあなくなった。
あのダルイゼンは明らかにスタンド使いを連れ去りに来ている。
目標は俺だけだった。さっきまではな!
向こうからしてみれば、ある意味『どっち』でも構わなくなっちまったんだ。
もうダメだ。今の俺の死はこいつの死と同じだ。
F・Fの記憶にすべてを教わった俺とは違う。
こいつはハイハイすらもままならない『赤んぼ』なんだぜ…
付きっ切りで教えて戦うしかない。なのにコイツと来たら。
「……ナニそれチョーカッケイイーーじゃん!
あたしヒーロー?ワルい宇宙人をヤッツけるスーパーヒーローってことー?
イャッハーー夢みたい!メルヘ~ン!ファンタジ~~ッ!」
「危機感!危機感持てェーーーッ
もうそれでいい!それでいいから戦うぞ。
俺たちはヤバイんだ。勝つしかないんだよ」
能力を自覚して最初に考えるコトがなんでソレなんだ…
でも、なんかわかってきた。こいつ目の前に集中したら、他が見えなくなるくさい。
四の五の次から次に詰め込み教育しても確実に全部忘れちまうな、こりゃ。
『ひとつずつ』だ。『ひとつずつ』伝えて勝つ!
正直ビンボークジ感がスゴイんだが、スタンドだけは一級だ。
勝てないカードじゃあないはずだ。
「まず、この場だけでいい。
俺を信用してくれ。できるだけ指示に従ってほしい」
「…ウーン。わかった。教わんなきゃダメそーだし」
「ありがとう。まず、お前の『太陽』は動かせるか?」
「ちょい待ち、やってみる……
ム~~~~ッ ンむ~~~~~~ッ!
動け~~動けェェ~~~ッ
アブラカタブラ~~ひらけゴマ~~~
…ネタ切れ~思いつかない~~~」
ムズカしい顔にムズカしい動きで両手でグルグル円を描いてるコイツ。
なんだこの怪しいダンス…ああ、動かす感覚か。そりゃわからんかもな。
別にふざけてるわけじゃあないんだ…たぶん。
「違う違う、あれはお前の『手足』だ。
『手足』を動かすとき、いちいち考えるか?
あれも、そういうフウに動かすんだ」
「あ、そう?ンム~~~~
…ダメっぽい。遠ざかったり近づけたりは出来るみたいだけど。
今の距離が近づけられる限界みたい」
まず『太陽』を直接くらわせる方法はダメ、と。
今の時点で汗だくの身体がカラカラに干からびていく温度なんだ。
どのみち、これ以上近づけようものなら、俺たち自身がまず死ぬだろう。
すでにここら一帯は真昼間の砂漠ド真ん中同然だ。
いや、火山のマグマ溜まり直上かな?どっちでもいい。
「遠ざけよう。この暑さ、俺たちが先にまいっちまう」
「そだね……自然破壊になりそーだし」
風がふく。多少は温度がマシになるのを体感した。
作戦会議じみたやりとりができるのもここまでだ。
メガビョーゲンが火を消し止めて復活してきたからな…
「ということは…お前は敵の攻撃を防御できない、ってことになるな!」
「ソコはビームでどうにかするし!」
「それしかないな。敵の攻撃に合わせろ!出足を潰すんだ」
「…ン?どゆこと?」
「どゆこと、って……カウンターだよ!カウンターぶち決めろ!」
「カウンター?りょーかーいッ!」
…ハァ。ため息が出た。
こいつに持って回った言い回しは通用しねえ。
もっと知的になれよ!
グチるヒマなんぞあるわけがない。ついに来た。
狙われているのは、あいつだ。
だが振り上げた腕、振り下ろす軌道!
やや斜め右から、またも薙ぎ払う動き…こっちの方が確実に早いぞ!
メガビョーゲン、やはり学習能力はあまりない!
太陽光なら光の速度。間に合わないものかよ!
「極上だ!やれーッ」
「オッケー、いけえええーーーッ!!」
あいつが何かしたのは感じ取れた。
空から降った何かが、瞬時に噴水を砕いたのを見た。
一撃が放たれたのは間違いない。
だが残念だ……どうも、はずれちまったらしいな?
「メガビョ~~ゲンッ!」
「あっ、あれ?あたし、やっちゃっ」
「伏せ…間に合わ!」
メガビョーゲンの腕の勢いは何ひとつさえぎられることのないまま到達。
ぶっ飛ばされたあいつは俺に向かって一直線に飛んできた。
抱きとめる?無茶言うんじゃあない。足がマトモじゃあないんだぞ俺は。
宇宙遊泳でもするように地面をもつれて一転、二転、三転。
トドメに、パグンッ!とかいう軽くて形容しがたい音。
全身にシビレた痛み。顔面のそれが最もキツい。
俺の鼻を強打してくれたのは…後頭部か、こりゃあ。
「早く立てよ…敵は待っちゃあくれない!」
「ち…チョット待って。アタマがグワングワンする……」
ちなみに…わかっているよ。指図するだけの外野がどれだけうっとおしいかなんて!
転げたあいつを脇に押しのけ、俺は全力で横に転がる。
考えてみれば当然だよな。的から遠ざかるほど射撃が難しくなるなんてな。
『太陽』が近ければ暑さで自分がやられる。遠ければビーム攻撃が当たらない。
帯に短くてタスキに長いスタンドだ。扱うには、必殺の条件が必要ってことだ。
つまり、その場は俺が整える。でなければ勝てない!
…しめた。壊された噴水の破片がわりと近くにたくさん…こいつは俺の武器だ。
水もバタバタ散りまくってるから、まもなく水びたしだけどな。
この服はたぶんもうダメだ。当分、休日まで制服の着た切りスズメだな…
スリ切れたトレーナーの穴に石を詰めまくって、転がる…そして、投げる!
松葉杖は抱えたままだぜ…投げるにしても立った方がいいんだからな。
メガビョーゲンの標的がこっちに移る。あいつがヨロヨロと立ち上がったのも見えた。
こっちに視線をくれるなり、メガビョーゲンの正面に大穴が穿たれた。
惜しい!だが警戒したメガビョーゲンが飛びすさり、様子をうかがう構えになる。
また暑くなってきている。『太陽』を近くに下ろしているのがヤツにも見えているらしい。
「あーもー!ヒドイことなってんじゃん。クラクラしてる間に……」
「おい、こっち来てるんじゃあない。俺はオトリやってんだぞ」
「そんなボロボロで何言ってんの?ホラ、立って!」
ドコォーン
手を出そうとしたメガビョーゲンの数歩先に、また大穴。
ビームで牽制しながら俺を助け起こすつもりか。
だが違う。俺なんか助け起こしたところでアレがいる限り何度でも転げるんだぞ?
匍匐前進の姿勢から石を投げようとしていた俺の上体が真後ろに引っ張り上げられる。
「んしょ、っと…やっぱ重い~」
「よせって!今俺を起こしてもほとんど意味がないぞ!」
こうなっちまえば転がった方が早いし、何より…やばいんだ。
俺の脇に手を回し助け起こす、その動作がやばい!
今わかった。昨日のアレは、これが原因だ……
呼吸が意味をなさない不協和音になると同時に、
全身の筋と神経が、またピンピンに張り詰めたワイヤーに変わった。
そして、それよりも先に、またしても。俺は、助け起こしてくれた人を突き飛ばしたらしい。
顔面から落ちて感じるヌメッた何か。鼻水か、鼻血か。わからない。
そんなことがどうでもよくなるほど、俺のまわりから空気が逃げていくんだ…『薄い』!
「痛た…、ちょっ、何すんのよー!
…って、あんた。どっか悪いの?」
抗議の声がすぐに心配の声に変った。
まずい。この状況で、こんな姿をこいつが見たのなら!
目の前しか見えてないこいつの前に、ケイレンする人間が投げ出されたなら!
だが息がッ うごご
「ウソ、これ…シャレになってな……
どっか打ったの?どっか打ったからこうなっちゃったの?
救急車!救急車呼ばないと!あたしじゃどうにもなんないッ!」
スマホを取り出すなバカ野郎ぉぉぉーーーーーーッ
叫んだつもりでも、俺の口から飛び出すのは引きつった呼気だけだ。
ほどなくして、『木に斧が叩きつけられるような音がした』
聞いたことがあるわけじゃあない。ただ、この表現以外に見つからなかった。
あいつの身体が跳んだんだ。投げ捨てられた人形みたいに。
ヨソ見してる隙に、メガビョーゲンがサッカーボールみたいに蹴ったんだよ。
手から転げたスマホだけが無事で…少し先にあった木の幹があいつを受け止めた。
残念だよな…女の子を抱きとめるには硬すぎるんだよ、お前…
木の幹を背に尻から落ちたあいつはズルズルと仰向けにくずれ落ち、
目をカッ開いたまま泡を吹いた。泡が…『赤い』。
咳き込むように、それかゲロ吐くみたいに泡が次々に切れては沸いてる。
「……ちぇっ、やりすぎてる。やっぱりお前を連れてくしかないね」
遠くからする声はダルイゼンだ。
勝負あったから、これから俺を引きずって帰るだけなんだ。
おしまいだ。これで俺は何もできないまま、たぶん消える。言うまでもなく、この世から。
神さまに仏さまめ。ホントにいるってんならアンタらはクソッタレのムダメシ食らいだ…
なに、無関係なヤツ巻き込んでんだよ!俺だけでなんで満足しない?
何も考えずに助けに来たあいつがバカだったとでも言いたいのかよ!
納得いかない…おかしいぞ、こんなの。
『手を差し伸べてくれた人間から死ぬ』
……こんなものがありがたくてたまるか!!
くそっ…ぶちこわしにしてやるぞ、こんな現実。
絶望が底知れないドロドロのムカつきに変わった。
どうせ自分は『終わり』なんだっていう居直りを、
ムカつきが掻きむしってこそぎ落としていくのがわかる。
ここから先はふたつにひとつだ。あいつを助けるか、巻き添えにして死んじまうか。
理性は『無理だ』と言っている。なら理性なんか必要ない。
何を捨ててでも拾ってやるぞ。あいつの生命だけは最低限だ。
『スゥ…ハァー、…………スゥ…ハァー、だペェ』
…そうだ。過呼吸を収めるやり方は知っていた。
呼吸を整えろ。すべてはそこから始まる。
呼吸が巡れば力が満ちる。そうだろ、俺。
そして『過呼吸』というのなら、身体はむしろ酸素に満ち満ちているはずだな?
なら立ってやるし、戦ってやる!松葉杖は意地でも放しちゃあいねえー
あいつの容態は…わからない。医者じゃあないんだからな。
だが、血を吐いて、しかもそれが『泡』。
呼吸の動きも見えない…やられているのは、たぶん『肺』!
肋骨がへし折れてぶっ刺さっちまったか?だとしたら、血で溺れ死ぬまであと何分だ?
あいつを助ける方法はただひとつ。『フー・ファイターズ』のDISCのみ。
持っているのはプリキュア!ここにいるのはメガビョーゲン!
どう転んでも確実に戻ってくるはず!つまりDISCも絶対に戻る!
それまで耐える。それが最初の一手。
役立たずのヒザが笑えば腕も笑う。なんなら俺も笑ってやろうか?
「なにそれ?…そんなんで何が出来んの?」
「父さんが言っていた…『幸と不幸はプラマイゼロ』
お前…不幸になってもらう、ぞ!
そこから俺は『幸』を拾うんだ…拾ってやる!」
「ハァ…勝手にすれば?」
「いいのか?それ以上近づいて…
すでにお前は俺の射程内 ぶご!」
「うるさいよ」
俺もまた木に叩きつけられた。
瞬間移動に等しい踏み込みから、くらったのは掌底か?
胃袋にスタンプを押されたみたいだ。焼き印な。
どうやら『フー・ファイターズ』があったところで到底戦えない相手だってことは理解した。
ましてや、ハッタリじゃあな…
「ゲヘッ!だがラッキーだ…、一秒も経たずにこ、ここまで来られた、ぞ」
一秒でも早く治療が必要なこいつに、ちょうど手が届く位置に飛ばされた。
ヤツ…ダルイゼンがどんなつもりだろうとも、これは『幸』だ。
なら、これと等量の『不幸』が今、ヤツに向かうはず!
歩み寄ってきた…隙を、ちょっとでも作ってやる。
「あっそ。じゃあこれで『運の尽き』だね、お前」
「それ以上寄るんじゃあねぇーッ…寄ると…自殺するぞ。
生きてなきゃあ意味がないんだろ」
「そっちこそいい加減にしたら?
ぶっ壊すよ、そこの死体」
「ぐッ……ううう」
メガビョーゲンが音を立てて寄ってくる。
何をする気かはすぐにわかった。こいつを…握りしめる気だろうよ。
そうなったら、もう、俺はただの『無』だ。戦いは終わる。
顔に手を当てる。止まらない鼻血を握りしめ。
「くらえ『血の目つぶし』…」
「バカじゃあないの?」
ボキョ! パキキキ
「ふぐうぅああああぁぁあぁぁぁ」
右手首を取られた。手の平を握りの逆に畳まれて、断面の骨が露出した。
ションベンが漏れる激痛が、一瞬遅れて襲ってきた。
手を放されて転がったら、ジョボジョボとやっちまってた。
…ああ、俺はヒーローにはなれないな。
こんな痛みに耐えられないんだもんな…
でも無関係だ。させない。『無』だけは嫌なんだ。
「おおお!」
余裕ぶって見下ろしてるんじゃあないぞッ!
振りかぶるのは右手だ。この右手が役に立つんだ。
血が出てきたぞ、タップリとなあぁーー
今度こそくらえ『真・血の目つぶし』……
「ご」
メシャ
振りかぶった先から、ヤツの方がいなくなった。
なのに、スローモーションみたいに不思議とよく見えたんだ。
ヤツの頬にめり込んでいたのは、靴の底だ。
音を立てて転がっていく、ヤツ。
反対側で軽やかに着地したのは……
「ま……間に合った……
DISCをくれぇぇぇーーップリキュアーーーッ!!」
「ニャトラン、お願い!」
「どう見てもやべぇーぜ…さっさと頭に差しなーッ!」
「一気にやるラビ、グレース!とにかくアイツを叩き返すラビ!」
「私は怪物の方をやるわ!このままじゃ、救急車も呼べない!」
「メガビョーゲンだペェ、フォンテーヌ!時間との勝負だペェ!」
ヒーリングっどプリキュアを視聴されている方々には言うまでもないことですが、
『太陽』でメガビョーゲンを倒しちゃったらアウトです。
※過呼吸になったら安静にすること!オリ主のマネは絶対にしないで!