プリキュアとの奇妙な冒険‐ようこそヒーリングっど♥へ!‐ 作:アンチマターマイン
血液検査で血を抜くだけで顔面蒼白になる作者にとって、
血管だの臓物だのの破損に関する調査をすること自体がマジに吐き気を伴った。
しかし『お手当て』の話をする以上、避けられない道だし、
そんな状況を作ったのはまさに自業自得なのだった…
明らかに間違ってたらツッコンデ!お願いシマス!
ニャトランが投げつけてきたDISCを即、頭に詰める。
そして血の中にスタンドを満たす。ここまでは、すぐだ。
だが、これだけじゃあ、たぶん足りないんだよな…
破壊された噴水の水が間近に迫ったのはちょうどいい。
左手をつけて『フー・ファイターズ』の増殖を念じる……ダメか。
そんな気はしていたんだ。今の俺は『ひとり歩きのフー・ファイターズ』じゃあない。
おそらくどこかにいただろうオリジナル(たぶん人間)から生まれた『フー・ファイターズ』だ。
右手…見る影もなく破壊された…を水につける。今度はいけた。やはり血か!
俺の血を起点として、必要なのは『水』と『養分』、そういうわけだな?
周りの土をも水浸しにしているから、増殖の条件としては充分!
これより、ここを『苗床』とする!
「おい!!自発呼吸してねえ!!
早くどうにかしろーーーーーッ!!」
「『フー・ファイターズ』ッ!」
『苗床』に形成したポンプからホースを伸ばし、喉の奥に突っ込む。
あふれる血の泡を媒介して体内に浸透し、およそ五秒で足の先端から脳まで達する。
図らずも肉体の記憶を見た…平光ひなた、か。名前だけわかりゃあそれでいい!
あいつだのこいつだの、イイ加減やりづらかったところだ。
プライバシーの侵害なんざやってるヒマじゃあないんだよ。
『フー・ファイターズ』が行きわたるにつれて、わかったのはやっぱり絶望だったんだからな。
肋骨の一部が粉砕され、破片が右肺を刺突。中には血が充満して気管支にまで及んでる。
左肺もそれに圧迫されて機能不全だ。失血性ショックなんだろうな。心臓が止まりかかってる。
大腸破裂…こっちも出血がひどい。変な血だまりが体内のあっちこっちにできちまってる。
で、当然ながら酸欠だ。脳細胞の死滅が始まりつつある…
「何から……何から手をつけりゃあいいんだよ、クソがッ」
「心臓と呼吸だ!これがなきゃあ絶対にオシマイだからよ!」
左肺をジャック、次いで心臓をジャック!
『フー・ファイターズ』を集めて人工筋肉を形成、無理やりにでも機能させる。
ああ、だが邪魔だ。喉の血が邪魔なんだよ、呼吸にならねえ!
心臓を鼓動させたから巡りがよくなってもっと血が出ていっちまう!
「魁よぉーーッ、自己血輸血、できねーかッ?
喉の血、どこかに清潔に貯めてよ、腕の静脈から再注入すんだよ」
「それしかねえ!吸い出せ、そして貯めるんだ『フー・ファイターズ』ッ」
同時に、だ液などの汚染を濾しとる。
胃液が混じっちまったのはどうしようもないから捨てるしかねえ。
あと数分以内の死はこれで回避した。だけど、ひとまずでしかない!
作った血袋を見りゃあわかる。ふくらむ一方…入るより出ていく量がまだ多いんだ。
両足両腕の静脈から注入しちゃあいるが、これでも足りない。
どのみちこれじゃあ、十数分後の死だ。
「……た、助けてくれよニャトラン。どうすればいい?」
「血を止めるしかねぇーだろ。間に合わせるしか…
それと、おめー右手直せ!失血でぶっ倒れちまうぞ!」
「え。あ、あぁ……」
情けねぇッ…なんて無力だ……
役立たずの足よりも役に立たないのは俺自身なのか?
泣き言タレてるヒマに死ぬ。走れ『フー・ファイターズ』!
無差別に肺とか大腸の穴をふさいでいく。
ああくそ、出口をなくした血管がふくらんでやがる!
つながなくては、直さなくては!
あああ……わからない。ちぎれちまった血管の配線がわからない!
血管の構造に興味なんか持ったことねえええええ
「助けてくれF・Fッ!教えてくれぇぇ~~~
……記憶、記憶だ。胸をブチ抜かれたアナスイの記憶を!」
記憶を追う…大静脈か?粉砕した肋骨を巻き込んでボロクズになってんのは…
アナスイがブチ抜かれたのもその辺だ。平光ひなたも、同じ…に、見えるが!
間違えたら、たぶん死ぬ。メチャクチャにつながれたパイプはアチコチで破断するだろうよ…
時間をかけても、やっぱり死ぬ。一番致命的な出血をしてるのはここだ。
「あ、ああ、ああ。
う、うぅぅ~~~」
絞りだせるのは意味のないうなり声だけだ。
目の前で消えるロウソク!手の中を流れ落ちていく砂!
命が消えていく感覚が俺をもまた支配する…止めろ、止めるんだよ。
誰か、止めてくれよ。頼むよ…
『大切なのは!日常の記憶の方だぜ…よく探せ!
あたしは何をして過ごしてた?そいつを見るんだ』
……勉強している記憶を見つけた。
F・Fは人体を勉強していた。
医書をチョロまかしてきたり、『エートロ』の身体で実験したり…
『何してんだぁぁぁーーーてめぇぇぇーーーッ!』
『あ、エルメェス。ちょうどよかった…水とって、水』
『F・F、あんた……なに全身から血ぃシブいてんの?
趣味ってんなら止めないけど、あんまし巻き込まれるのも、その…さぁ』
『血管をつなぎ変えてみた。イケるかと思ってたところの四か所くらいダメだったけど。
徐倫でもいいのよ。水ちょうだい、水』
『わけわからねぇダメージを負うな!新手のスタンド使いだと思うだろーがッ
てめー乾いて反省しやがれ!』
『悪かったって~~、水持ってかないで』
血管のつなぎ変え!そのものズバリの記憶じゃあないか!
…大静脈だ!大静脈で正しい…そして、付近の血管も『手本』との比較でよくわかる。
F・Fは、ただのプランクトンで…やがて、プランクトンで傷口を埋めることを思いついた。
ただ埋めるだけで済まないケースもかなりある。
今の俺と同じ目に、F・Fは何度も遭っていた……血管を再接続、開通。
大静脈も元通りにツギハギした。さらに表面を被膜する…問題なし。
『よし……肺だ。砕け散った肋骨を少しずつ除去して戻す。
急ぐなよ?急ぐとそこがまた穴になる…取り除いて、確実にふさげ』
「了解だ……」
「誰と、話してんだ?……お前。大丈夫かよ」
「正確に、確実に。食い込んだ肋骨片を除去する」
肋骨片除去……完了。体内に流れちまった破片も今、捕捉して戻した。
粉砕した骨を元通り直すのは、昨日、俺自身の身体で経験した通りのはずだ。
これは無数の『フー・ファイターズ』それぞれに任せてしまえる。
『今の要領で大腸もできる。こっちは骨の破損もないようだ…
腸捻転に気をつけろ!必要以上に動かすな』
止血成功した右肺の血を少しずつ排出、ろ過、輸血しながら、破れた腸を修復していく。
こっちはF・Fも未経験だ。だが勉強の記憶にカンペがあって、その状況から外れていない。
形成した糸状の塊で一直線に縫い留め、そこを軸として元通りに直していく。
問題ない…ここに関しては!
『おっと、気づいているか?
こいつの血……白血球がメチャクチャ活発になってるのをよぉーー』
「気づけるのか?そんなことに…」
『気づけなきゃあ、みすみす殺すことになる!
腸からウンコが漏れ出しちまってるんだよ、血中にタンマリと…
行きつく先は敗血性ショック!…死ぬぜ』
「んなッ…『フー・ファイターズ』ッ!全部食っちまえ!
そして、もっと増えるんだ、その養分で!」
『そうだ、それでいい!ますます強固に傷はふさがる!
…さすがのあたしもウンコは食わねぇーぞ念のため。ゲロは飲んだけど』
致命的な部分はこれで解決した。あとは、死にはしないが厄介な傷を順にやる。
左足に突き刺さった木の枝に、脱臼して微妙にヒビが入った右腕。タンコブ。
それぞれ『記憶』を見ながら適切に対処する中で俺は気づく。
体内に展開する糸状の『フー・ファイターズ』…これは、空条徐倫のマネだ!
『ストーン・フリー』の糸になる能力のマネ!
猿マネと言っちまったらその通りなんだが……
この技で、ただのキズの詰め物どころか体内の手術すらも可能としている。
どれだけ積み重ねたんだ?どれだけ『想った』んだ?記憶が、全部を語ってる!
F・Fはそうやって、最終的には目玉の水晶体だって復元できるようになったんだ。
ただのプランクトンが増えるだけの能力で……ただのプランクトンを超えたんだ。
後ろを見た。卵のカラみたいにギザギザに切りそろえた、ショートカットの女がそこにはいた。
『そう、それが知性!それが思い出よ。
思い出が勇気をくれる……あんたには、くれてやれない』
「お前のだからな、F・F。俺は、そこには行けない」
『あたしも、あんたのところには行けない。
今のあたしは、記憶が作った鏡。誰かに伝えたかった何か。
…そのDISCはあんたのもの。あんたの勇気も、あんたのものよ。
この向こう見ず女は助かった!……最後の仕上げに移る』
最後の仕上げ。心拍再開と、自発呼吸だ。
今は『フー・ファイターズ』が無理やりに動かしているだけ。自発的じゃあない。
これが戻らなければ、今までのすべてが無駄ということ!
『ここまで来たあんたなら気づくはず!
心臓が止まっちまったのは誰だ?』
「……アナスイだ!お前は最後まで動かそうとしていた。
そして最後の最後にギリギリで成功……これは!」
『気づいたな?空条承太郎の記憶だよ。完璧な心臓マッサージのやり方が載ってたぜ』
プッチ神父は死にかけのアナスイに空条承太郎のDISCを投げ入れていた。
アナスイの死に、承太郎のDISCを引きずらせるために…それを囮に、徐倫を引き離すために。
その直後、最期の力でアナスイの肉体を修復しようとしたF・Fは、当然アクセスできたわけだ!
『自分で止めちまった自分の心臓を、自分のスタンドでマッサージして再動させる方法』に!
『フー・ファイターズ』の人工筋肉は、もともと心臓を包むように展開している。
直接、そして最適のマッサージがこれで出来る。
『記憶』に従い心臓を鷲掴み、放し、鷲掴み、放し。
二十秒ほど。拍子抜けするほど簡単に鼓動が戻った。
三十秒様子見……鼓動継続、問題なし!
そして、人工呼吸の用意は必要なかった。待っていたかのように自発呼吸が再開した。
『やったな…あたしはこれで終わり。もう会うことはたぶんない』
「ま…待ってくれ、F・F!まだ俺は教わりきっちゃあ」
『あんたの勇気はあんたのもの。さっき言っただろ!
……空条承太郎の記憶は全部見ておけ。役には立たないかもしれないし、そっちの方がいい!
だが、DISCがここにあるってことは…最悪、ヤツがいる。ホワイトスネイクがな』
「一体、何と戦うんだ…俺は?」
『それもあんたが決めること。戦ってもいいし、逃げたっていい…
じゃあな。いい思い出を作れるように……あたしはここで、応援してやるぜ』
………………バシィッ!!
「うぐぅっ?」
「やった!やっと反応したニャ…どうしたんだよ、魁!
呼吸は戻ったぞ、血も止まった……こいつは助かったんだよな?なぁーッ?」
ニャトランだ。猫パンチをされたらしい。
気が付けば、俺はただぼんやりと空を眺めていたようだ。
言われるままに下を見下ろせば、横たわった平光ひなたが寝息を立てていた。
というよりも、気絶したままなんだな…あれだけの大怪我だ。
治されたところで消耗は激しいに決まっている。血だって足りていないはず。
「……ああ、大丈夫だ。こいつは完璧に治っている。
とはいっても、あらかたの傷を『フー・ファイターズ』で修繕しただけだけどな」
「ハァァ~~ッ、一時はどうなるかと思ったぜ。
メソメソ泣き出したと思ったら、あさっての方を見てブツブツ言いだすんだもんなぁ~」
「F・Fが助けてくれた。って言ったら、信じるか?お前…」
すっとんきょうな顔をするニャトラン。
いきなりオカルトな話を始める俺はアブナいヤツだ…そうだよな。
だけど、ヒーリングアニマルだのプリキュアだのも、オカルトどころかマンガだもんな。
割とすぐに納得したみたく頷いたニャトランの後ろに、プリキュアが立った……ふたり?
青いのがいる…誰だ?見覚えはある気がする……見る目が厳しい。その目に覚えがある…
「じゃあ、そこもしっかり聞かせてもらうかんな。
戻ってきたときのあの状況。おめーの『策』とやらがウソだったとしか思えねぇーからよ」
余計なことを気にしている余裕はもらえなかった。
キュアグレースが進み出て、目の前で変身をほどいた。
「全部話して。納得いくように」
花寺のどかの両目が俺を凝視した。
……ごまかせない。ただ、俺はそう思った。
ここから先は、質問じゃあない。『尋問』だ。
次回は同時間帯で動いてたのどかっちの視点になると思います。
でも……さびしいよォォォォ………ボス
いつものように感想ください
待ってます
感 想
(序盤すぎて感想もクソもない感はぶっちゃけ自分でもありますが、
何を期待して見てくださってるかはやっぱり知りたい。
そこに合わせられるかは別として)