歌姫に拾われた俺がアスタリスクで生活をするのはまちがっているだろうか。 作:リコルト
アスタリスクとのクロスオーバーで八幡がクインヴェールに行く作品ってあまり無いですよね。
まぁ、八幡は男子ですから笑。という勢いで作った作品です!
後、原作では文化祭や修学旅行は高校生での内容ですが、作品に合わせて発生した時間軸を中学にしてます。
アンチについては緩和する予定はありますが、苦手な方はブラウザバック推奨です!アンチコメントは受け付けておりません。
それではどうぞ!
プロローグ
『おい……あいつ比企谷じゃね?』
『うわ、マジかよ!?あいつに会ったら、今日の俺の運勢最悪じゃん!!』
『というより、まだ退学してなかったんだね~。あんな最低なヤツ学校にいない方がマシだよ。受験生の私達にとって邪魔でしかないし』
学校内を歩くだけで通りかかった生徒達にまるで汚物を見るような目で見られ、俺に聞こえるような声量で悪口を言われる。
それは中学2年の時に起こした文化祭と修学旅行で俺が所属している奉仕部の部員として請け負った依頼によって発生した嘘告白が起因している。
確かに俺が行った解決策は間違っていたかもしれない。人を罵倒することによる失踪した生徒の説得、嘘告白による矛盾した二つの依頼、過程は過激だったが、結果としては話は丸く収まった。
そもそも、あんな短い時間でこの二つを解決する方法があっただろうか。いや、ない。あそこまでやらなければ、文化祭の問題はさらに大きくなっていて、修学旅行の依頼は失敗していただろう。
それなのに、周りの奴等はもっと他に方法があった筈だよと具体的な意見を述べずに反論したり、挙げ句の果てには俺の悪い所だけを抜粋して噂として流し、悪者へと仕立てあげたりする。事実ってこうやって歪められてしまうんだなと身をもって経験することになってしまった。
一回流れた噂というものはそう簡単に消せるものではない。むしろ、違うと言っただけで逆効果だ。
戸塚や川崎や材木座は噂の真偽を確かめるために、一向に責めず俺のことを信用してくれた。正直に言って嬉しかった。けれど、学校の悪人となった俺に味方をすれば、彼らにも迷惑をかける。そこで、俺は真実を有耶無耶にして二度と構わないでくれと三人にお願いした。それでも、三人は最後まで俺の心配をして近付こうとするが、俺は敢えて三人を避けるスタンスをとり続けた。
『貴方のそのやり方、嫌いだわ。』
『人の気持ちをもっと考えてよ!』
問題はこの二人だ。
なぜ、依頼を引き受けた上に、何もせず俺にまかせた二人に罵倒されなければならない。修学旅行の件ではお前らは少なくとも当事者に近い側の人間だった筈だ。修学旅行後、学校での悪口よりもお前ら二人の対応の方がとても不愉快だった。
葉山グループも海老名さんと戸部は俺に申し訳なさそうな雰囲気で俺に何とか近付こうとするが、もう意味はない。
今年は受験生。しかも、すでに夏も始まっており、この忌々しい中学生活も残り半分だ。そうすれば、この学校の奴等とお別れができる。それを目標に俺は今日までやってこれたのだ。
「……はやく、中学校生活終わらねぇかな」
そう言って、俺は誰もいない屋上でマッ缶を飲みながら無意識にぼやいていた。
………………
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「……親父、どういうことだ?」
ある日、誰にも会わないため隣町の図書館まで受験勉強をしたおかげで夜遅く帰って来た俺は家に帰って唖然するしか無かった。
俺の部屋が無くなっていたのだ。俺のベッドはもちろん家でも勉強するための机や唯一の娯楽であるゲームやラノベも全て無い。まるで、生活していた痕跡を消すような俺の元部屋が視界に広がっていたのだ。こういうことをするのは俺の知る限り一人、いや一集団だけである。
「お前の物は全て売却させてもらった。本とかは価値がある内に売らないとな」
「そんな事は聞いてねぇ。あの惨状はどういうことだ?受験が終わったら、迷惑かけないように遠くで一人暮らしさせてくれる筈だったろ?」
自分でもあまり怒らない方だと思っている俺が久しぶりにぶちギレそうになり、リビングで呑気に寛いでいた主犯である父親に怒りを覚えていた。父親はそれを何食わない様子で対応し、思い出したように懐から一枚の紙を取り出すのだった。
「そうだ、八幡。俺達と絶縁しろ」
「…………………………………………はっ?」
父親が渡した物。それは今後俺と家族は他人のように接する旨、今後抵触する行動は禁ずる旨、が書かれた絶縁状だった。しかも、俺が書くべき以外の場所はすでに準備万端と言わんばかりに了承の印がつけられていた。
「実は小町が急に総武中学に通いたいと言い出してな。お前の存在ははっきり言って小町の学校生活に悪影響だ。何しろ総武中学では悪名高いからな。そこで、お前は我々家族と他人になってもらいたい」
「それに総武中学は偏差値高めの私立だから家の小町は勉強しなきゃいけないのよ。だから、八幡が絶縁すると思って貴方の物は全て現金にさせて貰ったわ。貴方の口座のお金もすでに全額引き出して塾の授業費や小町の入学金に使わせて貰うわよ」
「ごみいちゃんったら、旅行とか一切行かないから預金が沢山あって良かった!そこは小町的にポイントが高いよ!」
………ふざけるなよ。
親父、お袋、そして妹の行動に先程とは比べものにならない激しい怒りと不愉快さを覚えていた。こいつらは本当に仮にも家族だったのだろうか。
小町が生まれてからは両親は俺の学校行事に来ることや留守番にして俺を旅行に連れて行くことは一切無くなった。旅行に一切行かないからお金が残っていた?お前らが旅行に行かせない環境を作っていたんだろうが。
「おい……なら、俺の受験はどうなるんだよ?」
怒りで激しい震えに駈られながら、俺は家族に向けて言葉を発した。
「受験?ああ、もう諦めろ。都立であれ、私立であれお金がかかるのは変わらない。そんな金があれば、将来性がある小町に使って頂くのが一番だな」
親父の言葉にお袋はうんうんと頷き、小町はやったーと嬉しがる。
ああ……ここにも俺の居場所は無かったんだな。
その後のことは親父の一言で自分を支えていた何かが崩落し、あまり覚えていない。覚えているのは感情に身をまかせて絶縁状に誓約した事、余った私物で家から飛び出すように出ていった事、そして出ていく最中後ろで聞こえる元家族の笑い声だけだった。
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「…………これからどうするか」
軽くなった荷物を持って、元実家から離れた俺は公園のベンチに座っていた。
財布には三万円近く。受験生活で浪費しがちだが、俺の場合は友達と息抜きする機会も無いからあまり浪費はしていない。生活面では一応助かったと言うべきか。俺の口座のお金があればさらにマシだが、あの他人共に二度と話すどころか会いたくもないところだ。
リュックの中身は自分の数着の服とコピーした絶縁状といった所だ。受験勉強のために使っていた問題集も売却するから没収とかどんだけお金にがめついんだよ。
「……まぁ、受験勉強以前に俺は卒業前に退学をするんだけどな」
そう言って自嘲しながら今後について考えていると、公園の掲示板に一枚のチラシが目に入った。
「シルヴィア・リューネハイム……そう言えば、今日はこの近くの広場で屋外ライブだったな」
確か世界的アイドルがこの辺でライブをするってクラスでも話題になっていた。今年は受験生だから見に行けないと嘆いていたけど。
チケットは持っていなくてもライブは外部から立ち見できる筈だ。今は何か気を紛らすようなものが欲しい。
それに、今は何も聞こえないように聴力が悪い。それに、目も少しずつ悪くなっている気が……昔からストレスの後は五感が悪くなったり、過敏になったりするんだ。親には黙っていたが、自分では病気ではないかと思っている。
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ライブ会場に辿り着くと、スポットライトがステージをこれでもかと照らし、スピーカーからは大音量の音楽が流れている。
そして、ステージの中心では紫色の髪をした女の子が歌い踊っていた。あれがシルヴィア・リューネハイムか。動画では見たことあったが、生で見ても誰も誘惑する可愛らしい女の子だ。
「……ぐっ!耳が!」
立ち見をしていると、急に聴力が過敏になった。スピーカーの大音量は騒音となり、周りの観客の声が鮮明な雑音として襲いかかる。くそっ、またこのストレス性の発作か。
『シルヴィア・リューネハイムってやっぱり最高だよな。』
『キャー!!シルヴィアちゃーん!!』
『こっち向いてー!!』
俺の周りの観客の小さな声や大きな声が俺の耳に入ってくる。ほとんどの観客はシルヴィア・リューネハイムに対して賞賛のような声を送っていたが、その中でただ一つ気になった声があった。
『くそっ!この世界で異端な魔女め!今日をお前の命日にしてやる!』
「なんだと………?」
聞き間違えではないかと、声が聞こえた方を見るとそこには彼女を憎々しく見ながら、ブツブツと言っている青年が立っていた。しかも、手には鋭利な金属のようなものが見える。こういう時に限って視力が過敏になって良くなるんだよな。
「死ねぇ!!星脈世代!!」
「クソッ!危ねぇ!!」
確認した直後、青年はステージの彼女に向かって周りの観客を手に持ったナイフで退かしながら、突撃していく。ステージの彼女はもちろん、警備員もこれは予想外のアクシデントだった。
「グアッ!!くっ……!」
青年の動きに前もって気付けたのは俺だけ。俺は青年の前に何とかして立ち塞がり、突撃を止めようと試みた。
しかし、それを止めるためにナイフは腹部に刺さるという代償を負ってしまった。くそっ、武術が出来ていれば無傷だったのかもしれないなぁ。
ただ、行くあても無い俺が最後に人を守って死ぬのも悪くはない。腹から流れ出す温かい液体を身体で感じながら、俺の視界は真っ暗になっていった。
…………………
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「うん……ここは?」
死んだと思っていた自分は困惑するように辺りを見渡す。どうやら自分はベッドで寝かされていたようだ。俺が寝ているベッドの他にもいくつか真っ白な別のベッドや薬品棚があり、部屋の内観は学校の保健室に似ていた。
「あ、起きたんだね!良かった~!ナイフが腹部に刺さってて死んじゃうかと思ったよ」
「シルヴィア……リューネハイム?」
寝ていた俺をお見舞いのような形でやって来たのは先程までステージで歌い、俺が庇った女の子シルヴィア・リューネハイムだった。
「あの……ここは一体?」
「ここはライブステージ脇にある仮設の救護室だよ。君はライブのステージ中に襲ってきた反星脈世代のテロリストに腹部をナイフで刺されたんだ。出血はすごかったけど、内臓までには達していなかったから、勝手ながらこっちで処置させて貰ったよ」
リューネハイムさんにそう言われ、腹部を見ると縫合した跡があった。こうして、この傷を見ると改めて生きているという事を感じさせる。本当は死ぬ気でしたって彼女には絶対に言えないけど。
彼女の話をさらに聞くと、テロリストはあの後すぐに捕まったらしい。凶器となるナイフが俺のナイフに刺さったままで、あの青年は何も抵抗できなかったとか。
「身体を張ってまで守ってくれてありがとうね。私も歌に夢中で君みたいに対応出来なかったから」
リューネハイムはそう言って、柔らかい両手で俺の左手を包みながらお礼を言う。その優しい温もりとお礼を言われる感触は自分にとって久しぶりの出来事だった。
「い、いえ、そんなことは……そうだ、傷も塞いでるようなので、俺は帰らせて頂きます。これ以上お世話になったら、マズイので」
「あっ!駄目だよ!傷はまだ塞いだだけで、いきなり動いたら傷がまた開いちゃうよ!それにライブが終わってから数時間が経ってるから心配している君の親にも連絡を「シルヴィ、彼は目覚めたようね」あ、ペトラさん!」
ベッドから抜け出そうとする俺とベッドに引き戻そうとするリューネハイムさんが一歩も引かずに格闘を繰り広げていると、ペトラさんと呼ばれたバイザー型のサングラスを着けたマネージャーっぽい女性が部屋へと入って来た。
「意識はしっかりとしているようですね。シルヴィア・リューネハイムのプロデューサー兼クインヴェール女学園の理事長をしていますペトラ・キヴィレフトです。以後、お見知りおきを」
「あ、どうも……」
ペトラさんから名刺を受け取り、名刺の内容を確認する。確かリューネハイムさんもクインヴェールの所属だったな。仕事的にも学業的にも彼女の上司にあたるという人物というわけか。
「ペトラさん、彼の両親に連絡は?」
「……残念ですが、彼には両親はおろか家族も存在しません。これを」
ペトラさんがリューネハイムさんに渡したのは俺のリュックに入ってた絶縁状のコピーだった。
「嘘……なに、これ?」
絶縁状の理不尽な内容を見てリューネハイムさんも唖然している様子で、ペトラさんもこれを見て苦虫を噛み潰したような表情だった。元家族はこれを見て子供のように喜んでいたのに。二人の心配する様子を見るだけで何故か嬉しく感じてしまう。
「……どうやら、貴方は訳ありのようですね。よろしければ、貴方の話を聞かせて貰えませんか?私やシルヴィが力になるかもしれません」
こうして、俺は二人に絶縁までの経緯と中学での出来事を全て二人にぶつけるように話した。
あの忌々しい家族や部活と違って二人なら話せると思ったのだ。
八幡の設定は次回載せる予定です!