歌姫に拾われた俺がアスタリスクで生活をするのはまちがっているだろうか。 作:リコルト
それといつの間にかお気に入りが400!?僅かな話数ですが、ここまで多くの方がお気に入りをしてくれて驚きしかありません!
感想でも面白い等という意見を頂いて非常に励みになります。感想をくれた方々も本当にありがとうございます!
少しずつですが、また投稿していこうと思います!
それでは本編です!どうぞ!
「「捨てられた純星煌式武装?」」
俺が持っている剣型純星煌式武装ー
「そう。まぁ、二人が知らないのも無理はないよ。その純星煌式武装が市場に出されたのは十年前近くなんだから。私はそれを数年前にちょっとした資産家さんから譲って貰っただけさ」
そう言って西園寺さんは黄昏の夢幻剣を手に入れた経緯を説明しながら、話を続ける。
「その黄昏の夢幻剣はさっきそこの案内人さんが言っていたように元々は統合企業財体が管理していたものだったんだ。実際、星武祭や公式序列戦にも出た経験もあるよ。けれど、あまりにも戦闘に向かない能力で、試合での敗北数が多くなり、使用者も続々と手離していったんだ」
「でも、普通は統合企業財体が貴重なウルム・マナダイトで作った純星煌式武装を一般市場に流通させるなんてありえませんよね?」
「うん。案内人さんの言う通り普通は純星煌式武装を市場で販売したりはしないよ。けれど、この黄昏の夢幻剣を製作した統合企業財体はこの時に経営がすでに火の車だったんだ。そこで、何とか金を作ろうとこの黄昏の夢幻剣がオークション市場に出されたんだけど、オークション価格では展示物としての価値しか見出だせず、八幡君がさっき買ったヴァルハラの半分くらい。結果、その統合企業財体は破産して別の統合企業財体に買収されたよ」
成る程……この純星煌式武装にはそんな過去があったのか。というより、西園寺さんの統合企業財体から純星煌式武装を盗んだ疑いが晴れて良かった。怪しい場所に店を構えてるから俺もマジで疑いかけたのは秘密にしておこう。偏見、ダメ絶対。
「それにしてもそんなに使えない能力って……この純星煌式武装の能力って一体どんな?」
西園寺さんの疑いが晴れた所で、俺が持っている純星煌式武装の能力について訊ねてみた。
「黄昏の夢幻剣の能力は『幻を作る能力』だね。この純星煌式武装には代償らしき弊害は無いが、その分相性の良い適合者がなかなか見付からないのが欠点なんだ。さっき八幡君が魔術師なのにも関わらず、その子に触れる事ができたのは正直お姉さんも驚いちゃったよ」
そう言ってわざと驚いた表情を作る西園寺さんだったが、黄昏の夢幻剣の能力について聞いた俺はそんな彼女にさらに質問を投げかける。
「えっ……幻を作るってかなり凄い方じゃないんですか?戦闘とかでもかなり便利な気が?」
「まぁ、確かにね。幻を作るって能力は仙星術でもないと出来ない芸当だ。能力名を聞くだけなら魅力はまだあるけど、その能力の本質がね~」
「本質?」
「昔、ある使用者がその子を使って火や自分の分身を作り出した試合があったんだよ。こうすれば、相手を騙すことが出来ると思っていたんだけど、その能力は思った以上に酷かったんだ。その幻は姿を写しただけで熱いと思わせる感覚や人の感覚が無く、すぐにそれは幻だと気付かれてしまうんだよ。今の時代で言うなら、プロジェクションマッピングとかホログラムに近いかな?後にその使用者は試合でパフォーマンスでもしてるのか、ふざけてるのか?と観客に言われて大炎上さ。その後、その使用者は学園を中退して出ていったそうな」
西園寺さんの物語口調で喋る重苦しいエピソードに俺とシルヴィは黙って聞く事しか出来なかった。そのエピソードはまるで西園寺さんが………
「けど、その子は使用者によっては化ける気がするんだ。その子が捨てられた純星煌式武装と呼ばれるようになったのはこの子の前の使用者達が未熟で扱いきれなかったんだと思う。だからさ、八幡君にはその子も無料であげちゃう!」
「えぇっ!?俺が!?どうして………」
「普通の煌式武装ってのは使用者が決めるものだけど、純星煌式武装は彼ら自身で使用者を決めるものなんだ。君は黄昏の夢幻剣に自身の最高たる使用者として認められたんだよ。そんな人物に純星煌式武装を渡さないわけにはいかない」
西園寺さんの言葉に反応して自身の手にある黄昏の夢幻剣が一瞬光った気がする。その光は使用者に害を為さない綺麗な優しい光だった。
そうか……それなら……
「分かりました。この黄昏の夢幻剣は俺が使わせてもらいます。俺がこの純星煌式武装の汚名を拭えるような使用者になってみせます」
「うん、良い返事だ!その子が八幡君を助けてくれる最高のパートナーになると断言するよ。じゃあ、また何か困ったら西園寺雑貨店をよろしくね!」
ここへ来た要件が済み、ベルトの右腰にヴァルハラ、左腰に黄昏の夢幻剣を差した俺はシルヴィを先に店の外へ出し、最後に西園寺にある事を訊ねる。
「あの、西園寺さん?」
「ん?どうしたんだい?」
「……貴方はどうしてそこまで黄昏の夢幻剣に詳しいんですか?それにさっきの使用者の話もまるで西園寺さんが「八幡君、お姉さんにも秘密はあるんだ。残念だけど、これ以上はお金を取っちゃうよ。私は情報も扱う雑貨店だからね~」
のらりくらりとした感じで西園寺さんは言っているが、その眼差しは真剣である。恐らく、この人は……これ以上は聞かないでおこう。
「……分かりました。じゃあ、今度来るときは黄昏の夢幻剣の整備も兼ねて持ってきますよ」
「うん!いつでも来て頂戴!」
そう言って、俺は西園寺さんが経営する雑貨店を後にした。ここまで良い買い物……というよりは譲り物をしてくれるとは予想外だった。この二つの煌式武装らは壊れないように大事に扱わないとな。
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「八幡君か~。最後まで律儀な子だったなぁ」
久しぶりのお客様達が去り、再び静寂になった店内のレジ台で私は上半身を横にする。今まではマフィアとかその辺の怪しい連中がたまに来るだけだったから、律儀な彼なら三日後とかに来てもおかしくない。
次までは店をもう少し綺麗にしておこうか。八幡君にはこんな姿も見せられない。私は優秀な雑貨店の親しみやすいお姉さんを演じたいからね!
「
私は学生時代の
「さようなら。私の
八幡君なら、あの子を使いこなせる筈だよ。人の好き嫌いが激しいシャイみたいな性格のあの子が認めたんだから。私は彼らの活躍を傍らで眺めることにしよう。無用の長物と言った奴等を見返してやれ!八幡君!
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ー八幡が煌式武装を手にして数日後ー
『貴方に新たな任務を出します』
『……分かりました。ちなみに内容は?』
『我が学園に所属するある人物を星脈世代として明日から指導して頂きたいのです。貴女は剣術、武術、そして射撃にも精通しているので、その人物に全般的に戦い方を教えて欲しいのですよ』
『……指導ですか。別に私の他にも戦いに秀でたベネトナーシュの工作員はいると思うのですが……それに理事長が言っているその人物の素性は?』
『ベネトナーシュの貴女と同じように学園内で秘匿性の高い人物のためここでは言えません。明日その場で貴女に素性を明らかにしようと思います。もちろん、この会話の内容も他人には決して話してはいけませんよ』
『はい……分かっています』
『それと指導員として貴女を選んだ理由は貴女の魔女としての能力がその人物に最も近しいからです。精神感応タイプの能力者として能力の使い方なども教えてあげてください。貴女と同じように頭を使うタイプの子だから貴女の話もしっかり理解できると思いますよ』
『は、はい……分かりました』
『頼みましたよ
クロエ』
『はい、了解しました』
そう言って、自室で理事長であるペトラとデバイスのチャット越しで連絡を取り合っていた常磐色の長髪を靡かせた物静かな女子生徒はデバイスの電源をオフにした。
(わたしと同じ……?一体、誰なのかしら?)
クインヴェールの生徒の中で八幡を知る二人目の人物ですね。彼女は真っ先に八幡に会わせようと思っていました笑。