歌姫に拾われた俺がアスタリスクで生活をするのはまちがっているだろうか。   作:リコルト

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これで特訓編は終わりです!
そろそろ新章に突入しようと思っていますが、どうなんですかね?章ごとの話数って10話ぐらいが妥当なのかな?



最後は魔術師としての特訓

 

 

「魔術師の能力の特訓?」

 

「そう。魔術師なら、その能力も制御できるようにならないと。八幡の能力は確か自身と相手の五感を変えられる能力だったわね。自分なら、まだしも相手の五感を変えられるって最悪相手の人生も狂わせかねない能力だから」

 

 クロエの言う通りである。もし、魔術師の能力が制御出来ずに勝手に近くの人の五感を変えてしまったら、シルヴィのマネージャーはおろか、引きこもり生活確定である。自身の五感変化もまだ完璧に意識的には出来ない所もあるし、それを克服できる特訓方法があるならご教授してもらいたい。

 

「そう言えば、八幡には言って無かったわね。理事長からも許可は出ているし、先に言っておくけどわたしも実は魔女なのよ」

 

「えっ?そうなのか?」

 

「ええ、といってもわたしが魔女だというのは他言無用でお願いするわ。理事長と生徒会長さんは知っているから別に話しても良いけど」

 

 話を聞くと、クロエが魔女だという事を知っているのはベネトナーシュでも数人だけで、学園でもシルヴィ達を含めて十人いかないぐらいとか。クロエが魔女だという事はかなりの機密情報らしいな。

 

「で、クロエの魔女の能力ってなんなんだ?」

 

「わたしの能力は星辰力を媒介にした精神感応による伝達能力。いわゆるテレパシーみたいなものね。後はそれを利用して相手の動きも多少は分かるわ」

 

 なるほど、テレパシーか。それはかなり応用力の高い能力だな。チーム戦とかでは無言で高度なチームプレーをする事も可能だし、考えようによっては使い方は無限大だ。何より、シルヴィみたいに魔女としての能力が簡単に露見しないのが一番の強みだろう。秘密にされているのもよく理解できる。

 

「じゃあ、八幡には魔術師の能力を制御する特訓法を簡単に教えるわね。今日からこれを毎日朝、昼、晩やるだけで大分変わるわ。八幡の能力とわたしの能力は似ているから特訓や魔術師の能力について困ったら、わたしが相談にのるわよ」

 

 そう言って、クロエは前もって俺のデバイスに彼女のプライベートアドレスを登録する。魔術師や魔女はただでさえ貴重な存在なのに、似た能力者に相談できるのは大きい。アドバイスも的確だし、魔術師の能力についてこれ以上はいない相談者だろう。

 

「ああ、分かった」

 

「じゃあ、いくわね。わたしや八幡みたいな精神感応タイプは能力を使う際は身体に星辰力を流すようなイメージよ。これをイメージしながらまずは自分の視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の順で変えてみて。まずは視覚から……」

 

 

…………………………………

 

 

 

………………………………………………

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

「はぁ……はぁ……疲れた」

 

 息切れをするような声と汗を発しながら、俺は数時間前の測定後のデジャブみたいな様子で、その場に倒れこんでしまう。

 

 まさか、五感の変化の制御のために身体にずっと星辰力を流し続けるのがここまで辛いとは。

 

「最初は星辰力切れで疲れるのも仕方無いわ。けど、これを続けていれば、身体に自然と星辰力が流れるようになるから咄嗟の判断で五感を変化させる事も可能になるわよ」

 

「成る程……だから、朝、昼、晩なのか」

 

「ええ、そうよ。明日からはこの練習もしながら、相手の五感を変える能力の練習にも入るわよ。相手はもちろん、わたしね。それがある程度良い具合になったら、能力を交えて貴方の煌式武装や純星煌式武装を用いた実践演習を行う予定よ」

 

 今はまだ初歩段階で苦戦しているが、クロエはもう今後のメニューも組み立て終わっているらしい。それはまさにプロの指導員の鏡である。

 

「後、八幡なら気付いていると思うけど、貴方の能力とその純星煌式武装の能力は非常に相性が良いわ。実践演習はまだ先だから実現できるかまだ分からないけど、大まかにその二つの能力を使った戦い方も考えておくと良いわよ」

 

「…………了解」

 

 やはり、クロエはそれに気付いていたか。俺の予想が合っていれば、俺の魔術師の能力と黄昏の夢幻剣の能力を併用すれば化け物じみた戦法が作れるのである。クロエが言うようにその戦法についてある程度考えてみるか。

 

「じゃあ、今日はこれでおしまいよ。また明日ここで待っているわ。おやすみなさい」

 

 特訓が終わり、気付けば夜の10時だった。俺は良いが、彼女には学校がある。俺のせいで寝坊とかされたら、非常に迷惑だろう。今日の残りはクロエを引き留めず、自室でクロエに言われたアドバイスについて反省しよう。

 

「ああ……おやすみ」

 

 そう言うと、クロエは練習場を後にしていった。これで今日の特訓は終わりである。といっても今日はまだガイダンスみたいなもので、明日から本格的になるわけなんだが。

 

「どうでしたか?彼女は?」

 

 クロエと入れ替わりで、今まで特訓を眺めていたペトラさんが俺に訊ねる。隣には同じく特訓を眺めていたシルヴィも一緒だ。

 

「分かりやすく説明もしてくれるし、アドバイスも的確で優れた生徒だと思いますね。彼女の練習なら、継続してやっていけそうです」

 

「そうですか。それは安心しました」

 

(普段から誰も寄せ付けないような堅い様子で心配な彼女でしたが、新宮君に対して教える時だけは心を開いた様子を少し見せていたので、お互いに良い結果を生んで良かったようですね)

 

「クロエちゃんったら八幡君と仲良くしててズルいな~。私も八幡君に色々教えたかったよ」

 

「シルヴィは星武祭が迫っているからそんな時間が無いでしょ。それに貴女はたまに説明が大雑把になるから指導にはあまり向かないと思いますよ」

 

「え~、ペトラさんそんなに言わなくても良いじゃん!なら、八幡君と模擬戦は駄目かな?クロエちゃんも剣術は実践演習とか言っていたし」

 

「全く…貴女は新宮君に構って貰いたいだけでしょ」

 

「ははは…………」

 

 

 ペトラさんとシルヴィとのやり取りを見て、思わず笑みが溢れてしまう。やっぱり、二人と共にアスタリスクに来たのは正解だったようだ。

 

 

 今日でアスタリスクに来て一週間近く。そろそろ千葉の奴等も動くころか。まぁ、今さら新しい居場所を手に入れた俺にとって奴等なんて興味すらも感じないけどな。例外はもちろんいるけど。

 

 

 ペトラさんも総武中学の様子を見て、総武中学からのクインヴェールの入学・編入は一切受け入れないらしい。これなら、千葉の奴等とも学園で会うことはない。というより、アスタリスクまで来る理由は無いと思うんだけどな。

 

 





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