歌姫に拾われた俺がアスタリスクで生活をするのはまちがっているだろうか。   作:リコルト

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中国語、課題多いって………。


決着!舞神(ハトール)

 

「はあぁっ!」

 

 残りの星辰力をヴァルハラに注ぎ込み、俺はネイトネフェルに向かって突撃していく。

 

「ふむん、返り討ちにしてくれよう!」

 

 ネイトネフェルは一切その場から動かず、右拳に最大限の星辰力を溜めている。彼女の狙いは自身の間合いに入った者をその拳で素早く倒すカウンターパンチ戦法だろう。

 

((捉えた!!))

 

 二人はお互いの一撃が当たる範囲に入り、互いの胸についた校章を視界に捉え、捉えた場所に向かって二人の一撃が飛び交う。

 

 お互いの一撃と校章との距離も同じで一見引き分けで終わりそうな戦いではあったが……

 

 

(新宮八幡……ここまでわらわを追い詰めた事は褒めよう。だが、武術だけでここまで上り詰めたわらわに最後に近接戦を挑むのは…闘士としては粋な計らいだが、最後に油断したの)

 

 

「っ!?」

 

 ネイトネフェルの舞踊を取り入れた武術が生み出した独特な軌道の拳が加速度的に早くなり、俺の校章を捉える。このままだと、俺の攻撃よりも早く彼の校章が砕け散り、勝負が決してしまうだろう。

 

 

 だが……俺も無策で突撃したわけではない。近接戦闘専門の序列二位に対して俺は彼女の意表を突く最後の作戦とも呼べる能力を使用する。

 

 

大停電(ブラック・アウト)……」

 

 

「むっ!?これは!?」

 

 突如、ネイトネフェルは何が起こったのか分からないような表情を示し、体勢を崩す。

 

 それもそのはず。何をしたのかと訊ねられれば、今さっき俺が自身の能力を使ってネイトネフェルの視覚と聴覚に干渉し、彼女の二つの感覚を無きものにしたからである。今の彼女は視覚と聴覚を失い、まさしく停電に遭ったような状態だ。日常から使用していた五感が二つも突然消失したら、動揺しない人なんて殆どいないだろう。

 

「そこだっ!」

 

 体勢を崩した彼女の一瞬を突き、俺はヴァルハラで彼女の校章に一撃を喰らわそうと試み……

 

 

 そして………………

 

 

 

 

 

『パキィン』

 

 

 

 

 

 

 ガラスのような固さの物が割れた音が静かになった練習場に響き渡る。

 

 

「やった……のか?」

 

 

 この一撃に集中力を使い果たしたような達成感に襲われた俺はゆっくりと俺が斬ったものへと視線をずらしていく。

 

 彼女の胸に着けられていた校章は先程まで存在していた場所には無く、何処に行ったのかと探してみると、彼女の足元に二つに割れていた状態で発見する事ができた。

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、そこには………

 

 

 

 

 

 

「残念だったな……八幡よ。視覚と聴覚が消え失せたのには一瞬動揺したが、わらわには多くの者と戦い得た経験がある。星武祭出場者を甘く見すぎたな」

 

 

 そこには彼女の二つに割られたネイトネフェルの校章の他に彼女の拳によって爆発四散したであろう俺の校章も転がっていた。

 

 

「マジか…………」

 

 

 結果として、長かった序列二位との戦いは引き分けという形で幕を下ろしたのだった………

 

 

……………………………

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

………………………………………………………

 

 

「八幡君!大丈夫?怪我してない?」

 

「あ、ああ。大丈夫だ」

 

 決闘が終わり、控え室に戻って早速出迎えたのは心配そうに駆け寄ってきたシルヴィだった。彼女と同じように決闘を観ていたクロエが言うには決闘中ずっとハラハラしながら観ていたとか。よく見れば、シルヴィの目の辺りに心配で泣きそうになっていたという事がよく分かる跡がある。

 

 ネイトネフェルから受けた攻撃による痛みを星脈世代の素晴らしい自己治癒能力でさっきよりはマシになっている。ただし、お腹は未だに骨がズレたような違和感も感じるが、これも時間の問題だろう。

 

「勝ったと思ったのになぁ………」

 

 控え室の席にドサッと座り、俺は先程の結果について独り言のように呟く。

 

「何言ってるの。あのネイトネフェルを引き分けまで追い込んだのよ。それだけでも普通の星脈世代では無理な話なのに」

 

「そうだよ!八幡君は十分に頑張ったよ!」

 

 確かにクロエとシルヴィが言うようにかなり凄い事だとは自分でも思うけど、あの最後の場面は勝負を分ける本当に惜しい場面だったなぁ。視覚と聴覚を失っても戦闘経験というか気配だけで対処するネイトネフェルの技量の高さには俺も予想外だった。

 

「邪魔するぞ、三人共」

 

 さっきの決闘について二人と話していると、先程まで対戦相手として戦っていた話題の人物ネイトネフェルが控え室に顔を出してきた。

 

「私のマネージャーの八幡君はどうだったかな、ネイトネフェル?強かった?」

 

「ふっ……あんな試合を経験して弱いと言う方が難しいだろうに。シルヴィアよ……悪かったな。わらわの人を見る目が間違っていたようだ」

 

「分かってくれたなら、謝罪なんていらないよ。私とネイトネフェルの仲だし。お互い同じ学園に所属する表現者なんだから」

 

「……そうだな。シルヴィア」

 

 シルヴィアの言葉にネイトネフェルは納得したような深い表情を見せる。一見、二人は好敵手のような関係に見えても、似たような境遇の持ち主同士友達のように認め合っている部分もあるんだな。

 

「それにしても……はぁ」

 

 溜め息をついた様子でネイトネフェルがこちらを見てくる。決闘についてまだ俺に言うことがあるのだろうか?五感についてはすでに能力解除してるから干渉される心配も無いと思うのだが。

 

「はぁ……八幡よ」

 

「は、はい。何でしょう?」

 

「わらわの専属マネージャーになる気はないか?」

 

 

 

「「はぁ!?」」

 

 ネイトネフェルの予想外の提案に俺はもちろんシルヴィも大声で驚いた声を出してしまう。提案を受けた本人によりシルヴィの声の方が大きくてマジギレみたいに聞こえるのは何故だろう。歌姫だから?

 

「ちょっとネイトネフェル!八幡君は私のマネージャーなんですけど!」

 

「なに、わらわも彼が気に入ったまでよ。今までマネージャーはわらわの行動が縛られるから付ける気は無かったが、八幡なら文句は無い」

 

「八幡君!絶対に駄目だよ!」

 

「えっ……ちょっ!?」

 

 そう言ってシルヴィはぬいぐるみのように俺を離さないように抱き付くが、ネイトネフェルはそれに対抗するように華奢な足で絡みつくようにして俺を離さないようにする。

 

「お主は星脈世代としての実力もあるし、その辺の男よりも馬鹿ではない。それに先程、わらわの舞に見とれておったろ?わらわのマネージャーになれば、あの舞をいつでも見ることが出来るし、他にも沢山良い事があるぞ…よ」

 

 俺の耳元でネイトネフェルが息を吹き掛けるように呟く。本当にこの人は学生なのだろうか?まだ子供っぽさが残るシルヴィと比べたせいか大人の色気がプンプンである。それに俺に押し付けている華奢な足や露出が多い上半身も非常に目の毒だ。

 

 女性の理想を兼ね備えた人物に従者として認められるのは男性である運命として返事をしたい所だが「八幡君、絶対に断ってよ」はい……分かってます。心の中にまで警告しないで。

 

「と・に・か・く!八幡君は私の専属マネージャーなの!ネイトネフェルのスケジュールは特殊だから、マネージャーの仕事に慣れたばかりの八幡君が可哀想でしょ!」

 

「だが、八幡は学習能力は高い。そんなのただの言い訳に過ぎぬわ。それに、独占欲の強い女性は嫌われるぞよ。わらわのように大人の余裕を持ち、何事にも寛容を持つ女性にならぬと。お主もそろそろ子供から卒業せい」

 

「なぁっ!?そこまで言うなら私と決闘しようか?八幡君の所在を賭けて!」

 

「よかろう、その賭けに乗ってやる。王竜星武祭の前に痛い目を見て()()()泣くなよ」

 

 俺の前でシルヴィとネイトネフェルが睨み合うように火花を散らす。あの……二人共離れてくれません?それにさっき二人共仲良しだねで終わる感じだったじゃん。何でまた喧嘩するの?

 

「クロエ……ヘルプ!」

 

 俺はこの場の中で最後の良心であるクロエに助けを求めるが、彼女はすでに練習場を後にしようとこの場から退出する気満々だった。

 

「…………終わったら、声をかけて頂戴。わたし、他にも仕事が残ってるから」

 

 待って!行かないで!クロエがいないと収拾がつかないから!クロエぇぇ!!

 

 

 

………………………

 

 

……………………………………

 

 

………………………………………………………

 

 

「まさか、あのネイトネフェルと引き分けるとは……予想外の結果でしたね」

 

「じゃな。妾も久しぶりに良いものが見れたわい。じゃが、あの勝負……八幡の勝ちだったかもしれぬ」

 

「……どういうことでしょうか、万有天羅?」

 

 試合の結果に対して八幡が勝ったかもしれないという星露の見解にペトラは疑問を抱く。

 

「なに、あれは八幡の相手に対する優しさや尊敬を踏まえた上で手を抜いた実力という意味よ。仮に彼奴が機械のように意思を持たぬ奴ならば、五感を掌握した時点でネイトネフェルを圧倒し、殺すことも出来ていたわ」

 

「確かに………」

 

 最後の場面、八幡は視野と聴覚だけを消失させたが、他の感覚も消失させていたら八幡がネイトネフェルに勝つ可能性は大いにあった。他にも彼は分身や炎を実体のある幻として作り出していたが、考えようによっては相手を死んだと思わせる幻を簡単に作り出す事も出来ていた。それをしなかったのは八幡が相手を思いやる良心の持ち主だったからだ。

 

「もし敵になれば……恐ろしいですね」

 

「うむ。あの能力の持ち主が善き心の持ち主で良かったわい。ちなみに、八幡の稽古について妾がまだ面倒を見ても良いかのう?彼奴には体術の他にも能力についても伝授したい事が多い。道を踏み外さぬ為にな」

 

「……分かりました。ですが、せいぜいバレないようにお願いしますね」

 

「分かっておるわい。では、此度はこれで妾は帰ることにしよう。お主もこれからが大変じゃのう。特に来年の星武祭じゃな」

 

 星露の去り際に放った言葉にペトラは思わず目を見開いたような驚いた顔をしていた。

 

「……気付いていたのですか」

 

「当然じゃ。此度の決闘の結果は恐らくW&Wの耳にも入るじゃろう。そうすれば、勝算がある八幡を強引に星武祭の場に引きずり出すのは必至。しかし、通常の星武祭に生徒でも無い奴をいきなり出場させるのは雰囲気としても不可能じゃ。そこで来年の鳳凰星武祭の後に行われるもう一つの特殊な星武祭に出場させる。あの星武祭は選手に関しては一切規制が無いからのう」

 

「バトル・セレモニア……ですね」

 

「然り。大方、上はそこで八幡が良い意味で存在を示したら、彼奴をクインヴェールの生徒として容認させ、今後行われる通常の星武祭にも参加させる気じゃろうな」

 

 

 

 




バトル・セレモニア……一応、アスタリスクのゲームもやってたんです笑。
ゲーム原作のバトル・セレモニアの定義やルールが今後の構成的に変わるかもしれませんが、許してください!!
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