歌姫に拾われた俺がアスタリスクで生活をするのはまちがっているだろうか。 作:リコルト
次回は西園寺さんが出したヴァルダ攻略の作戦に触れる予定!
「悪い、シルヴィ。待たせたな」
「八幡君……どうしてここに?」
「ペトラさんからの命令でな。あのヴァルダ・ヴァオスっていう不気味な純星煌式武装についても、その不気味な代物に身体を乗っ取られている人物についても理解している。できれば、シルヴィにはこういう展開に巻き込みたくなかったんだがな」
「ペトラさんが……」
「立てるか、シルヴィ?」
「うん……」
そう言って、目の前にいる敵との激しい戦いを物語るボロボロのシルヴィの手を取り、自身の側へと敵から守るように立たせる。だが、その光景を良しとしないものもいる。目の前にいるヴァルダだ。
「貴様……ベネトナーシュか?」
「まぁ、そんなところだな。生憎とシルヴィは殺させない。そして、お前を倒す」
そう言って、俺はヴァルハラの刃をヴァルダへと向ける。と、同時に耳につけた緊急連絡用のイヤホンからヴァルダには聞こえない秘匿通信が流れ込んできた。
『八幡。今、ベネトナーシュの部隊で人払いの結界を張ったわ。思い切り戦っても大丈夫よ』
声の主はクロエ。どうやら、俺達がいる通路周辺に、ベネトナーシュの部隊を率いて、周りから俺達を見えなくする人払いの結界を張ったらしい。なんでも、結界術に詳しい魔女がベネトナーシュに何人かいるとか。
『そっちの戦況はどうかしら?』
「さっき当てた一発で、ヴァルダに必要な星辰力は付着させた。いつでも能力は使える状態だ」
シルヴィの首を掴むのに、両手を使っていたから当てられたが、次は当てられるかは分からない。普段よりも星辰力を込めて正解だったな。
「何をごちゃごちゃと話している?貴様」
「お前を倒す算段の相談だ。それよりも、さっきの一発かなり痛がっていたが、大丈夫か?」
「黙れ。あれは久しぶりの痛覚というものを感じたからだ。全く……この人間という器は忌々しい。純星煌式武装では感じ得ないモノも理解せねばならないからな」
皮肉じみた様子の質問に、ヴァルダは攻撃を受けた手を抑えながら応える。だが、何気なく言ったであろう奴の発言は、俺に重要な情報を与えていた。
(西園寺さん達の読みが当たったな……奴は人間に取り憑いたことで、五感を得ている)
五感を得ているのであれば、話は早い。確かに俺は天敵と呼べる存在かもしれないな。
だが、その器というのがシルヴィの師匠。俺が手段を選ばず能力を行使すれば、素早く倒せるかもしれないが、器となっている彼女に大きな負担を与えるかもしれない。
だから、聞いておく。
「シルヴィ」
「なに、八幡君?」
「俺はペトラさんからは
「私は……」
シルヴィの答えは………
「お願い。私と一緒に
…そう言うと思っていた。俺は懐から西園寺さんから貰った紫色の短剣型の煌式武装をシルヴィに渡す。
「八幡君、これは?」
「それはウルスラとヴァルダを引き離す重要なアイテムだ。だが、まだ使えない。俺はヴァルダを妨害しながらシルヴィをサポートするから、シルヴィは前衛でヴァルダを頼む」
「うん、分かった」
シルヴィは片手に短剣を持ち、もう片手で彼女の銃型煌式武装を展開。先程まで士気も弱っていたが、今はもう大丈夫そうだ。
「所詮サポートが一人増えたところで、意味はない。二人まとめて消してやる」
「やってみろ。その身体を返してもらう」