オリジムシと話せると自称する補助オペレーター 作:アンチマテリアル竹輪
(初手同調圧力)
ドクターは記憶喪失
それは本人にとっても強い衝撃だった。
自分はとある組織のリーダーで研究者でもあり、さらに戦闘指揮もこなしていたというのだ。
はっきり言ってそんな事知るかと投げだそうと考えたりもした。
結局のところ前に進む事しか出来なかったが。
今は足を止めずに進み続けることにするよ。"ドクター"
だが記憶を失った事で進めなくなる事態が発生した。
足が疲れた、もう何処を歩いているのかよくわからない。
いったいここは何処だ?
私ことドクターはロドスアイランドの中で迷子になっている。
ソファに座るドクターは少し理性が回復した頭で通って来た道を思い出していた。
いや私だって好きで迷っている訳ではない。
すり減った理性を回復しようとあちこち歩きまわっていたら、薄暗い通路にいつの間にかいただけでわざとではない。単なる事故の様な物だ。
救援を呼ぼうにも端末がない。
執務室に置いてきてしまったのか、それとも理性がなくなった自分がぶん投げてしまったのかわからないが、うかつだったのは間違いないだろう。
さて困った、ある程度時間が経てばアーミヤあたりが、背後から仕事を催促してきそうだがソファで寝るのはつらい。
ここは朧げな記憶を便りに、自室に戻り睡眠の質を高めるべきか、ここのソファで睡眠を取り睡眠時間を確保すべきか、ソファで寝転びながら考えている
すると足音が聞こえて来た、思ったより早い仕事の催促に驚くが、予想より私は時間を浪費していたのかもしれない。さよならあったはずの睡眠時間。
しかし半開きの視界から見えた人影は、アーミヤより少し高い。
足音も何となく楽しげなステップを踏んでいて、ますますアーミヤらしくない。
ワンチャンあのアーミヤが高めのヒールを履いて、楽しげにステップを踏んでいるという可能性ならあるが限り無く低い。
しかし、ないわけではない。
なのでドクターは寝た振りをした。
大人びたアーミヤがヒールを履き、やっとステップを踏めるぐらい上達して夜な夜なノリノリで薄暗い通路を歩いているかも知れないのだ。
お互い見たら気まずいかも知れない。
仮に他のオペレーターだとして、真夜中に深夜徘徊するドクターよりも、廊下のソファでたまたま寝てしまったドクターの方が印象はいい筈だ。いい筈だと思う。
服装とソファの色合いも似ているので、ソファと同化し気付かれないかも知れないし……
とりあえず寝た振りをして誤魔化す事にした。
軽快な足音はどんどん近づいてくる。
そしてソファと一体化した私の横を少し通り過ぎて
「えっ今誰かソファで寝てた? ウッソぉ」
「絶対ないって、無い無い、怖がらせようとしたって無駄だからね」
「何なに、明日の夕飯代を掛けてもいいって? 言ったな〜、一度言った言葉は口には戻らないんだぞ〜」
イマジナリーフレンドと会話し始めた。
いや何これ、1人分しか足音してないよね?
通話してた訳でも無さそうだし、どうゆう事かさっぱりわからない。
わかったのは声からしてアーミヤでは無いことぐらいか。
ここでドクターの思考は理性を少し消費して加速する。
とりあえずソファとの同化作戦は失敗したが、正体はバレていない。
音を立てずに高速で離脱するか、違う人アピールするか。
まず音を立てず移動が出来ないので、離脱案は却下。
次に違う人アピールは自身の服装が特徴的なので、これも却下。
残念ながらドクターには接触を回避する案は思いつかず。
「ドッ、ドクター!? どうしたのこんな所で?」
少しアーミヤより高い大きい少女がこちらを見て驚いていた。
だが真っ先に目に入ったのは、ガラス製の虫かごの中でほのかに輝くオリジムシがうねうねしていたことだった。
[入職会話]
ハロー、ドクター
私はスネイル、オリジムシ研究者のスネイルだよ!
オリジムシで困った事があればなんでも聞いてね!
《基礎情報》
【コードネーム】スネイル
【性別】女
【戦闘経験】なし
【出身地】不明
【誕生日】5月16日
【種族】不明
【身長】152cm
【鉱石病感染状況】
体表に源石結晶は見られないが、体内に陰影あり、
メディカルチェックの結果、感染者と認定