この世界に転生してからもう14年が過ぎた。
この世界での俺は、生前と同じ神矢勇魔という名前で黒髪黒目のイケメンだった。
今は大貝町にある大貝第一中学校の生徒として生活している。さてさてそんな俺は今いったいどこにいるでしょうか?
答えは……ここら辺ではかーなーりー有名な東京クローバータワーに来ていまーす!
ちなみにただいま好奇心旺盛ですぐに他人のことにでしゃばる我らがお姫様の相田マナが、他校と喧嘩している二階堂のところに向かっていった。それに対して六花が呆れた顔をしている。
「全く、どうしてマナはそうやってすぐにでしゃばるのかしら? 二階堂が勝手に喧嘩していたのだからほっといたらいいでしょ?」
「えへへ。どうしても体が動いちゃうんだ」
ついでに言っておくが、俺とマナ、六花は小さい頃からの幼馴染みであり、よく遊んでいた。だからマナの破天荒な行動にも慣れている。
「マナは考えるよりも動く、だからな」
俺が少し笑いながら言うと、マナが頬を膨らませる。
「確かにそうだけど、その言い方はなんかバカにされている感じがするから嫌だな」
「ククク、そうだな。バカにしているつもりはない。誉めているつもりだったんだよ」
隣で六花が「嘘ね」と言っているが無視。
もう一つついでに言っておこう!!
今回、東京クローバータワーに来ているメンバーは、俺、マナ、六花、ありす、真、亜久里、保護者役としてジョー岡田、そしてなぜか二階堂の8人だ。
なぜこの場所に来ているかと言えば、それはマナが「久しぶりに東京クローバータワーに行こう!!」と言い出したからである。
俺がついてきた意味があったのかな?
『おい。近くに怪人がいるぞ』
今の声は俺の体に住みついているウルトラマンベリアル。俺があの時女神様に願った力の一つであるパワードスーツにウルトラマンベリアルと同じ姿にしてもらったやつがあり、その“同じ姿”ではなく“ウルトラマンベリアル”本人が俺の体に住みついてしまったのだ。
今ではかーなーりー仲良くしているよ。
(了解、ベリアル。今すぐ向かうよ)
「ごめん、俺ちょっとトイレ行ってくるわ」
そう言って俺はみんなから離れた場所に向かった。
それ同時に爆発が起こった。
~視点無し~
爆発の音で驚いた七人は、爆発した場所を見る。するとそこには、「ゼェットオォォン!!」と鳴き声のような声を出す怪物が町を破壊していた。
「みんな、逃げるよ!」
ジョー岡田が二階堂を連れて走り出す。
二人がいなくなったのを確認した五人は頷き、プリキュアに変身する。
「みなぎる愛! キュアハート!」
「英知の光! キュアダイヤモンド!」
「ひだまりポカポカ! キュアロゼッタ!」
「勇気の刃! キュアソード!」
「愛の切り札! キュアエース!」
「「「「「響け! 愛の鼓動! ドキドキ!プリキュア」」」」」
五人が決めポーズを決めたあと、キュアハートが両手でハートを作る。
「愛を無くした悲しい怪人さん! このキュアハートがあなたのドキドキ、取り戻してあげ……うひゃあ!?」
キュアハートがいつもの名乗りをあげている途中で、宇宙怪獣ゼットンが光線を放った。
ゼットンはそのまま五人に向かって走り出す。そしてまた光線を打ち出す。
「ゼェットオォォン!!」
まるで破壊することだけを義務付けられているかのように、回りを巻き込みながらプリキュアを攻撃する。
「クッ……! 何て攻撃なの!」
「全くもって近づけませんわ」
キュアダイヤモンドとキュアロゼッタがゼットンの攻撃に軽く口をこぼす。
「はああああ!」
「せやあああ!」
キュアソードとキュアエースが二人同時に蹴りを繰り出す。だが、ゼットンは腕にその蹴りを防ぎ回し蹴りで反撃する。
「「きゃあああ!」」
二人は思いの他力の強いゼットンの蹴りで建物まで飛ばされ壁にぶつかる。
「かなり……強い、ですわ!」
「……どう、したら、いいの?」
ゼットンは今までで一番強い光線を放つ。五人はその光線を受けて倒れてしまう。
「……勝てない。強すぎるよ」
キュアハートが諦めの領地に入る。
絶望的な強さに、キュアハート以外の四人も諦めかけている。
「ゼェットオォォン!!」
ゼットンはキュアハートの首を掴み、そのまま持ち上げた。
「かは……! あっ……!」
強い力で首を絞められているため呼吸ができないキュアハートの視界がどんどん暗くなっていく。
(あぁ、私はここで終わるんだ。まだみんなと遊びきっていないのに……嫌だよぉ!)
もう片方の手にエネルギーを溜め込んだゼットンが、その腕をキュアハートに繰り出そうとする。
キュアハートはその恐怖に思わず目を閉じる。
「「「「キュアハート!!」」」」
四人の仲間の声が聞こえる。
「ゼ……ゼェットオォォン!!?」
突然首から手を離されたキュアハートは、今度は誰かに体を支えられる。
『よく頑張ったな。あとのことは俺様に任せておきな』
その声を最後に、キュアハートの意識は完全に途切れてしまった。