アズールレーン ─メイドインアビス─   作:志生野柱

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 次回イベ鉄血!! 追加艦!! 

 追加艦みんな美人ですこだ・・・ダイヤが足りない。衣装課金は実質無課金だしまぁ無問題だな!

 あと大艦隊とかいう今まで触れてこなかったアレ。どうすっかね・・・


 で、ここからが本題なんですが。
 追加艦がどうやらストライクみたいなので、出したいです。が、プロット構成段階では存在すら知らなかった訳で・・・まぁ、その、再構成するので・・・今後、ちょっと話とか伏線が大幅にガバる話が出てくるかもしれないけど許してヒヤシンス。


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 「仇敵にしてライバル、小人にして悪党・・・つまり、わからずや! 中心にしてコア、幕引きにしてデウスエクスマキナ、旅の終わり! 恐れ戦け、あなた達の終焉はここに顕現する!」

 

 そんな高らかな口上が、北極海の冷えて澄み切った空気を切り裂いた。

 高く聳えていたいくつかの氷山が響きを上げて動き出し、同じ地点へと集合していく。その体積と質量は、移動するだけでそこにあるものを吸い込み、押し潰して排除することもできるだろう。

 海面は渦を巻き、大気は押しのけられて乱流を生み出す。凍てつく風がKAN-SENたちの髪や衣装を撫でて過ぎた。

 

 「王冠の戴冠、桜の満開に、魂の流転は海へ。終焉の序曲を今奏でよう!」

 

 氷山は海面に聳えるその高さから、海中には想像を絶する体積が沈んでいるのだろう。名前の通り、内部からどこか神秘的な紫の光を漏らすそれこそが、精鋭揃いの北連艦たちを苦しめてきた“氷山要塞”なのだと理解できた。

 空に浮かぶ無数の黒い機影は、全てセイレーンの艦載機か。

 

 否。

 

 ひときわ大きく、そして異質で、肌のひりつくような戦意と殺気を迸らせる者がいる。

 セイレーンの艦載機を背後に従え、高らかに名乗りを上げる──

 

 「終焉にして序曲、滅亡にして新生。我が名はオミッター──この海域を支配する存在なり!」

 

 両手を大きく広げ、彼女は芝居がかった様子で言葉を続ける。

 

 「我が名を魂に刻んで、海の底で永遠に悔やんで震えるがいい!」

 

 青い瞳を輝かせ、それよりも一層煌々と輝く光を鮫のような艤装の砲口に宿して、オミッターはそう締めくくった。

 

 オミッターは上位個体だが、その中では下位に位置する。セキュリティ・クリアランスはそう高くなく、戦闘能力も上層プログラムと比べると一段以上落ちる。

 

 しかし、それはセイレーン内部での話だ。

 その練度は90にも届き、セイレーン特有の練度に縛られない火力や特殊な光線兵器を装備している。北連艦にとっては油断できない相手であり、しかも艦載機や要塞を背後に控えさせている。威圧されるなというのは難しい。

 

 だが──

 

 「海域の主が自分から出てきて、名乗りまで上げてくれるとはな! ここまで楽な戦場はそうは無いぞ!」

 「あぁ、全くだ。生憎と、この手の脅しは我々には通じない」

 

 ガングートとソビエツカヤ・ロシアの二人が笑顔を見せる。それは獰猛な魅力を湛えた好戦的なものだったが、オミッターには嘲笑じみて見えた。

 

 「チッ、下層プログラムと見て馬鹿にしやがって・・・舐めてんじゃねェぞ、テメェら!」

 

 怒りは視野を狭くする。

 そんな当たり前のことを無視してもなお、強者として君臨していられるだけのポテンシャルがある。それがオミッターと北連艦の間にある絶対的な差だったが、ここにいるのは北連艦だけではない。

 

 「sinfonie Nr,9──合唱せよ!」

 

 冷えて澄んだ空気に、熱と硝煙の匂いが入り混じる。

 氷と雲が作り出す灰色の空間を、砲弾に跡引くオレンジ色の曳光が切り裂いた。

 

 爆炎を上げ、次々にセイレーンの艦載機が撃墜されていく。主砲で艦載機を撃ち抜く、ハンマーで棘を抜くような妙技。練度には自信のある北連艦たちすら称賛と羨望の眼差しを向ける相手は一人。

 

 「やっぱり出張ってきやがったな、架空艦!」

 「その呼び方はあまり好きじゃないのだけれど・・・」

 

 オミッターの気勢を困ったような微笑で受け止めて、グローセは手にしたタクトを掲げた。

 

 「奏者たちはお待ちかねよ。さぁ──今宵の演幕を開きましょう!」

 

 深い水に潜ったような圧迫感と閉塞感。世界が丸ごと裏返ったような不快感が全員を襲う。

 今や白い雲と青い空よりも、碧い海よりも慣れ親しんだ鏡面海域が展開された。

 

 まるでグローセの合図でKAN-SEN側が展開したようなタイミングだったが、これはセイレーン側のものだ。

 彼女は観察と推論からそのタイミングを見つけたに過ぎない。

 

 「開戦だ! 『破城槌』と『投石台』を稼働させろ!」

 

 ロシアの号令に従い、セイレーン側が補充発艦させた艦載機群を駆逐するように、大鳳とツェッペリン、翔鶴の戦闘機が放たれる。

 氷山要塞に向けて伸びる閃光は、グローセやガングートたち『破城槌』の攻撃だ。

 

 もはや凍てつくような冷気などそこには残っておらず、爆炎と硝煙が上げる熱と鼻を突く匂いが立ち込めていた。

 

 

 ◇

 

 

 何かおかしい。

 高らかに名乗りを上げ、要塞と艦載機のバックアップを背に、レッドアクシズ・北連連合艦隊を相手取っていたオミッターは内心で首を傾げた。

 

 彼女は下層プログラムとはいえ、テスターとは違い戦闘に特化した個体だ。その主砲は『火葬砲』の原典になるほど強力な光線兵器だ。通常武装だって、オブザーバーやテスターとは比較にならないほど高火力のものを装備している。

 氷山要塞は砲撃こそしないものの、鏡面海域にはKAN-SENの行動を阻害する力もあるし、直掩の艦載機だって優秀な機体を揃えている。

 

 そのはずだ。

 ()()()()()()()()()()()

 

 何故、攻め切ってこない?

 何故、戦線が維持できている?

 

 あんな程度の艦載機群、大鳳一人で駆逐できるはずだ。

 散発的に要塞から出現する量産型無人艦など、ソビエツカヤ・ロシアとガングートの二人で対応できるだろう。

 

 オブザーバー・零をして警戒させる正体不明の非存在、あのフリードリヒ・デア・グローセであれば、そんなことは()()()分かるだろう。

 彼女と共に、あの黎明卿に従って海域を攻略していたビスマルクやグラーフ・ツェッペリンであれば、経験から理解できるだろう。

 

 何故──いや、そういえば。

 

 あいつらは何処だ?

 かつて黎明卿の下にいながら、その庇護から抜け出し、北方連合を作り上げた“空色の巡洋艦”は。北連の全権代理、駆逐艦タシュケントの姿がない。

 その異常性に触れながらボンドルドを信奉し、オミッターを含むセイレーンの身体を共に腑分けした鉄血の総旗艦は。ビスマルクはどこにいる?

 そして、今日ここでこうして戦端を開く、その原因となった男は。“黎明卿”ボンドルドは何処だ?

 

 まだ北連の基地にいる? まさか。そんなはずはない。あの男がこんな大事な局面で引き篭もっているなど考えられない。

 奴は合理主義の狂人だが、同時に好奇心と冒険願望の怪物でもある。釣り出すために、わざわざ氷山要塞などという大層な代物まで用意したのだ。罠だと思われたか? いや。もし罠だとしても、その罠は踏み壊さねば北連を道連れにするものだ。無視はできないはず。事実、こうしてレッドアクシズ艦を送り込み、自らも随伴してきた。

 

 何故、ここまで来て姿を見せない?

 

 爆音を上げ、要塞壁を形作る分厚い氷が崩落する。流石は練度120艦と言いたいところだが、完全に破壊されるのは困る。

 共有意識を通じて要塞の中枢へアクセスし、ナノマシンを使った自動修復機構を作動させた。

 

 ズバチィ! と、破裂音が轟く。

 絶縁破壊を伴う強烈な放電はオミッターのすぐそばを、微かに彼女の身体を押しのけて通過した。

 

 ダメージはない。

 セイレーンの身体は強靭だ。たとえ落雷が直撃しようと、数秒意識がもうろうとする程度だろう。だが──その紫電には見覚えがあった。

 

 かつてペンシルバニア沿岸で行われた、あくまで都市伝説に過ぎないという実験。

 その産物──レインボー・プランの名を関したスキルを持つKAN-SENを知っている。

 

 「馬鹿な、エルドリッジがなんで!?」

 

 ユニオン陣営の駆逐艦、エルドリッジ。彼女に固有のそのスキルは見間違えようがない。

 

 崩落を逆再生するように閉じて行く要塞の外壁。淡く紫に発光する氷の白に、その黒衣はいやに映えていた。

 複数のKAN-SENを従え、ゆっくりとこちらを振り向く。紫雲に曇った薄暗がりに、仮面のI字光がぼんやりと浮かんでいる。

 

 「やぁ、またお会いしましたね。オミッター」

 

 ゆっくりと慇懃に一礼したその姿は、修復を完了した外壁によって完全に覆い隠された。

 

 ぎちり、と、軋む音がする。

 オミッター自身が気付かぬうちに噛み締めていた奥歯が擦過し、不快に鳴る。

 

 「やってくれたな・・・テメェら!」

 

 知っていたはずだ。

 ボンドルドはスキル・カートリッジによってKAN-SENのスキルを獲得している。エルドリッジの瞬間移動能力を外付けした奴を輸送機代わりに、KAN-SENを分隊単位で内部へと送り込む。

 きちんと外壁に穴を空けたあたり、きっと一度試みて失敗している。あれは単なる氷ではなく、放射線を含む電磁波を遮断する多層構造の防壁だ。だから城壁を壊す役と、時間が必要だった。

 

 その時間稼ぎにまんまと一杯食わされた、というわけだ。

 

 「けど、まぁ──それはそれで好都合か」

 

 掌で踊らされたのは屈辱的だが、この展開は期待通りだ。

 

 「どれもこれも、レイちゃんの計算通りなんだからなァ!」

 

 挑発の意を込めて、そうグローセへと笑いかける。

 全知だか全能だか知らないが、悪魔の瞳が驚愕に歪めば一興──

 

 「えぇ、予定調和ね」

 

 ち、と、舌打ちを漏らす。

 

 「クソが・・・やっぱ気付いてやがんのか?」

 

 オミッターの頬に冷や汗が伝う。二人の会話を不思議そうに──砲声と爆発音、艦載機の駆動音が入り乱れる戦場だ。聞こえてはいないだろう──見る北連艦を一瞥して、グローセは黒い手袋に包まれた指を口元に添えた。

 静かに、というジェスチャーは子供に向けるもののようで、オミッターが青筋を浮かべるのも無理もない。

 

 「ま、どっちでもやることは変わんないしなァ!」

 

 オミッターの主砲にエネルギーが収束する。

 開戦以降、一度も使わなかった兵装だ。北連艦の挙動に警戒が浮かぶが、それは死線へと近づく以外の意味を持たなかった。

 

 台本の内容を反芻し、最適な台詞を選ぶ。

 

 「さぁ、淘汰の時だ。生と生を、死と死を競い合おう!」

 

 

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