今日も夏は終わらない   作:だるまや

6 / 7
もはや、駄文の垂れ流しになっているorz


第5話

 一七〇〇。俺は時雨から主力部隊撃破の連絡を受けたあと、港でみんなの帰りを待っていた。別にそんな義務があるわけではないが、作戦が成功したとなれば労をねぎらうのが上官としての立場だと思う。話によるとほぼ無傷で勝利したらしいし、夕立は頭を撫でてやるだけで満足するけど、摩耶あたりはうるさくなりそうだな。何かご褒美でも考えとかないと。

 

 ふと、そんなことを考えていると、海の向こうからみんなが帰ってきた。空は見事に真っ赤な夕焼けに染まっていて、そこに笑顔を見せながら向かってくる三人の風景はほんとに絵になる。思わず顔もほころんでしまう。たったひとつ違和感を除けば。

 

 

 

「提督、ただいま。無事帰投できたよ」

 

 

 

 そう言いながら少し笑顔見せる時雨。今日も艦隊の指揮が成功したことがよっぽど嬉しいんだな。ここはひとつちゃんと褒めなければ。

 

 

 

「お帰り、時雨。今日の指揮ご苦労様だったな。無傷での帰還はえらいぞ」

 

 

 

「ちょ、撫でるのはいいけど、もう少し優しくしてくれないかな?」

 

 

 

 俺が時雨の頭をゴシゴシ荒っぽくなでると夕立が右側から横っ腹めがけてタックルをかましてきた。どこか微笑ましく思えればいいのだが、いかんせん大体艦娘が艤装を付けたまんま体当たりしてきたら普通に吐きそうになる。事故を思い出すじゃねーか!

 

 

 

「あー、提督さん時雨だけなでなでしてずるい!夕立も褒めて褒めて〜」

 

 

 

「わかった、わかった!暑いんだから抱きつくな!」

 

 

 

「やっと着いたクマ〜」

 

 

 

「よ、提督!!今回はダメージ0なんだから文句は言わせねえぜ?」

 

 

 

 今度は機嫌のいい摩耶が、左から肩を組んでくる。朝の件もあってかどうだとばかりに顔を近づけて今日の戦果を自慢してくる。なんか顔がうるさい。めっちゃどやってるよこいつ。

 

 

 

「今日なんて、俺様の主砲が初弾で命中してだな!こう、敵が一発でドカーンって!!すごいだろ!?」

 

 

 

「お腹減ったクマ〜」

 

 

 

「提督さん、もっと撫でて欲しいっぽい!」

 

 

 

「わかったって!!だから暑いって言ってんだろ!!摩耶もわかったから離れんかい!!」

 

 

 

 ギュウギュウ両サイドから絡まれて若干イライラしてきた。

 

 他の奴らなら女の子二人に挟まれて、傍から見れば羨ましいことこの上ないのかもしれないが、俺はべたべたされるのは苦痛だ。理由は暑いしだるいから。

 

 くそ、時雨まで面白がって笑ってやがる。秘書艦ならこういう時、真っ先に止めて欲しいものだ。

 

 でもこんな雰囲気もいいかもな。無事こうみんなで帰って来れて、わいわいするのもたまには。

 

 

 

「クマ?ここが基地クマ?随分と大きいクマ!!」

 

 

 

「そうだね。新しくできたから設備もよく揃ってるよ」

 

 

 

「それはナイスクマ!!楽しく過ごせそうクマ!!」

 

 

 

「おい、ちょっと待て。さっきからお前誰だ」

 

 

 

 そう。さっきからこの和やかな空間に見知らぬ奴がひとりいた。しかもいちいち語尾がおかしい奴が。

 

 茶髪のロングに丈の短いセーラー服、まあ見た感じ多分艦娘なんだろうがいったいどっから来たんだ?てか話しぶりだと誰かが連れてきたらしい。てかそれ拉致だろ?ヤバくね?

 

 どうせ夕立あたりが連れてきたんだろ。俺は夕立を体からひっぺがすと優しく注意した。夕立も悪気があったわけじゃないしな。

 

 

 

「夕立だめだろ?基地はペット禁止なんだから。しかもわけわかんないの拾うなっていつも言ってるじゃないか」

 

 

 

「夕立は拾ってないっぽい!」

 

 

 

「え?ちがうのか?」

 

 

 

「そんなことしないっぽい!」

 

 

 

 なんだ、てっきり夕立が原因かと思ったが違うのか。時雨はないとするとほかには…。

 

 

 

「じゃあ誰だこんなの連れてきたのは?まさか摩耶お前か?」

 

 

 

「なんでだよ!!俺なわけねーだろ!!」

 

 

 

「いや、お前のことだからどうせいらんお姉さん気取りで強引につれてきたんじゃねーかと…」

 

 

 

「そんな非常識じゃねーよ!!俺のことなんだと思ってんだ!」

 

 

 

「おせっかいババア」

 

 

 

「てめぇ、ぶっ殺す」

 

 

 

 摩耶の目が殺意100%になったのであわてて距離を取る。あと五秒遅かったら海に沈められるところだった危ない危ない。

 

 

 

「じゃあこの訳分かんねえの連れてきたの誰だよ!!これ完璧拉致じゃねーか!!」

 

 

 

「クマはわけわかんない奴じゃないクマ!!!」

 

 

 

「うっせーな!!クマクマやかましい!!俺の知ってるなかでそんな喋り方する奴はいないんだよ!!ってか誰だよこいつ連れてきたの!?」

 

 

 

 やんややんやと言い合いをしているなかふと見ると、時雨が気まずそうに手を挙げてた。

 

 

 

「まさか、時雨…?」

 

 

 

「ぼ、僕も連絡しようか迷ったんだ。でも万が一断られるのが怖くて…」

 

 

 

「どういうことだよ?」

 

 

 

 そう聞くと時雨はあらかた何が起こったのかを俺に伝えてきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「球磨は僕と同じ佐世保生まれなんだ。海に一人ぼっちはかわいそうだと思って…」

 

 

 

 あらかた説明を終えたところで、時雨はごめんなさいといった表情でうつむいていた。泉もここまでシュンとされると非常に申し訳なくなってきた。

 

 ともあれ、どこの誰なのかがわからないとどうしようもない。泉はまず時雨にフォローを入れつつ、騒動の張本人に詳細を聞いた。

 

 

 

「まあ事情は大体わかったからそんなに落ち込むなよ。で、お前はどこから来たんだ?どこか違う基地のやつとはぐれたのか?」

 

 

 

「そんなことないクマ。球磨も気づいたら海にいたクマー」

 

 

 

「はあ?どう言う意味だ?」

 

 

 

「そのままの意味クマー。目が覚めたと思ったらひとり海にいたクマ。そしたら遠くに時雨が見えたから追いかけたクマ!」

 

 

 

 泉が怪訝そうに聞き返すと、目の前にいる球磨がさも当然だと言わんばかりの顔をして言い放った。実のところ球磨にも自分がなぜ海にいたのかは全く覚えていなかったのだ。ぼんやり意識があった時には海にいて、途方に暮れながらさまよっていると、大戦時にも同郷で顔の知っている時雨が見えたので、思わずついていってしまったのが事の真相である。

 

 しかしどうも球磨の言う言葉が理解しきれなかったようで、泉は時雨に説明を求めた。困ったときの時雨である。

 

 

 

「時雨、俺にはいまいちよくわからんが、実際はどうなんだ?」

 

 

 

 時雨は内心提督が怒っているかと思い不安だったが、どうやら大丈夫のようだ。その時あるひとつの話を思い出した。

 

 

 

「もしかしたらあれかな?」

 

 

 

「あれってなんだよ?」

 

 

 

「僕も全部わかっているわけではないけど、俗に言う"ドロップ"ってやつじゃないかな?」

 

 

 

「あ!それなら俺も聞いたことあるぜ!!」

 

 

 

 自分にもわかる会話だと思ったのか摩耶も入り込んできた。ちなみに夕立はひとり港にいた鳥と遊んでいる。

 

 

 

「なんかさ、敵を倒すとその近くの水域に艦娘が見つかるって事例がたまにあるみたいだぜ?この摩耶様も原因はわからないけどな」

 

 

 

「なんだよ、その謎の現象は?」

 

 

 

 泉としても全く聞いたことのない話なのでピンとこなかった。

 

 

 

「だから解明はされてないんだって。一説だと深海棲艦が艦娘の別の姿だって言われてるらしいけど、どうだかな」

 

 

 

「つまり、深海棲艦を倒すことで、奴らは姿を変えて艦娘に生まれ変わるってことかよ?」

 

 

 

「そういうことみたいだね。最もそれが正解なのかはわからないけど…」

 

 

 

「随分と曖昧なんだな。まあいいや。で、球磨はどうしたいんだ?」

 

 

 

 とりあえず拉致の線が消せたのは何よりだったが、問題自体が解決したわけではない。球磨をどうしたらいいのかがまだ残っている。そもそもこういった事態に対する規則を泉は知らないので、どうしたらいいかわからなかったのである。

 

 とりあえず目の前にいる球磨に希望を尋ねてみると、若干迷った顔をしつつもはっきりと言った。

 

 

 

「球磨はとりあえずこの基地で生活したいクマ。流石に敵がうじゃうじゃいる海に漂流するのだけはごめんクマ」

 

 

 

 球磨も時雨やほかの仲間と一緒に居たい気持ちは同じらしい。

 

 

 

「提督、よかったら球磨も僕たちの仲間に入れたらダメかな?僕たちも戦力は少ないわけだし、球磨は十分強いよ。僕が保証する」

 

 

 

 球磨の希望を聴き終えてほっとしたのか、時雨が頼み込むようにそう提案した。

 

 

 

「いいのか?勝手に保護みたいな感じになるけど」

 

 

 

「大丈夫だと思うよ。報告さえすれば特に問題はないし、なにより僕はこのまま放っておきたくないよ」

 

 

 

 時雨にしてはかなり珍しくぐいぐい距離を縮めながら押してくるので、相当一緒に居たいらしい。まあ泉としても損な話ではない。

 

 

 

「まあ、確かにそれはそうだがな。じゃあそうするか」

 

 

 

「うん!球磨、君も今日から僕たちの仲間だよ。一緒に頑張ろう!」

 

 

 

「一人の時はどうなるかと思ったクマ。これからよろしくお願いするクマ!」

 

 

 

「じゃあ改めて自己紹介だな。俺は泉だ。よろしく頼む」

 

 

 

「クマー。よろしくだクマ」

 

 

 

 軽く挨拶をかわしつつ、無駄話をしていると遊びに飽きた夕立がご飯ご飯うるさかったので、みんなで食堂に向かうことになった。こうしてようやく騒動は一件落着したかにみえた…。

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあああ!!!こっち来ないでええええ!!!」

 

 

 

「おい、マジでやべえって!!提督どうすんだよ!!!」

 

 

 

「知らねえよ!!摩耶お前ならなんでも余裕なんだろ!?早く行ってこいや!!」

 

 

 

「馬鹿言ってんじゃねーよ!!あんなのどうしろってんだ!?」

 

 

 

「こ、こうなったら僕の12.7cmで直接狙うしか…」

 

 

 

「そんなんしたら俺たちまるごと吹っ飛ぶわ!!球磨なんとかしろ、新入りだろ!!」

 

 

 

「んな無茶言うなクマ!!球磨にも苦手なものぐらいあるクマ!!横暴クマ!!」

 

 

 

「そういう提督が行ってこいや!!!男だろ?!ビビってんじゃねーよ!!」

 

 

 

「ざけんな!!俺はあいつだけは無理なんだよ!ってうわあああ、こっち来た!!」

 

 

 

「「「「きゃああああ!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず読んでる方には何が起きてるか一切わからないと思うが、端折って説明したいと思う。あのあと泉たち五人は食堂でゆっくりご飯を食べていた。そう、和気あいあいと球磨の歓迎会も含めて楽しくパーティーを行っていたのである。たまたまあったトランプでひと盛り上がりし、その後宴もたけなわになってきた時、テンションの上がった摩耶が料理を作ると言いだしたのだ。みんなも面白がって無理難題な料理を摩耶に伝え、安請け合いした摩耶が厨房で食材を見ていたとき、ついにそれは起きた。いや、現れたのだ。

 

 

 

「きゃああああああああああああああああああ!?」

 

 

 

 残りのみんなで楽しくばばぬきをしていたそのとき、厨房から摩耶の悲鳴が聞こえてきた。とても尋常な驚き方ではない。

 

 

 

「な、なんだ今の声は!?」

 

 

 

「て、提督!!!早く行こう!!」

 

 

 

 時雨がそう言いみんな驚きつつ急いで厨房へ向かうと、そこには取り乱しまくってお玉を振り回すエプロン姿の摩耶がいた。どうやら冷蔵庫のあたりに向かっていろんなものを投げているようだが、傍から見たら気が狂ったようにしか思えない。

 

 

 

「頼む!!!た、助けてくれえええ!!!!?」

 

 

 

「うお!どうした摩耶!?何があった?」

 

 

 

「こ、怖いよ…。あ、あいつが出るなんて…」

 

 

 

「あいつって誰だよ…。ダメだ聞いてねえ」

 

 

 

 こちらを見て半ば半狂乱になりながら摩耶が俺の腕に抱きついて助けを求めて来たことに、おもわずびっくりしてしまった。いつもは男勝りで、悲鳴をあげたことなんて聞いた事がない、そんな奴がここまで泣きそうになるとはいよいよ何が起きたのかわからなくなってきた。

 

 とりあえずこれ以上錯乱しないように慰めていると、摩耶はふるふる震えながらギュッと袖を掴んできている。いやはや、いつもこれぐらい乙女なところがあれば摩耶も十分可愛いんだが。そんなことを考えつつ、原因をみんなで探していると、ついにそいつが俺たちの前に現れた。そう、黒くてテカテカしてカサカサ動くあいつが。

 

 

 

「きゃああああ!提督、ゴキブリだ!そっちへ行ったよ!」

 

 

 

「ま、マジかよ!?やべやべやべ!!」

 

 

 

「ぎゃあああ!!何とかしてくれえ!!」

 

 

 

 再び摩耶が暴れまくる中、足元を異常な速さで縦横無尽に動き回り回るゴキブリ。もはやこの場は地獄とかしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「で…どうするよ?」

 

 

 

 地獄から命からがら脱出したあと、泉はみんなと執務室で打開策を練っていた。本来ならこのまま逃げたいところだが、毎日食事の際に神経をすり減らしながら生活するのは健康に悪いし、なによりこのままじゃ摩耶が餓死してしまう。

 

 

 

「うーん、もうどこに潜んでるかわからないからね…」

 

 

 

「ゆ、夕立もう逃げたいっぽい?」

 

 

 

「おっと、そうはいかねえぜ。この摩耶様だけ置いてくなんてさせるもんか…ははは」

 

 

 

 よっぽど摩耶は精神的にダメージを負ったのか目は半分死んでいるし、逃げようとする夕立を半ばゾンビのようにしがみついて離れようとしない。

 

 

 

「クマ…。こうなったら誰か生贄にするしかないクマ」

 

 

 

「んなことできねえだろ。あの摩耶見てみろよ、とてもじゃないが正気失ってるぞ?」

 

 

 

「ま、まあ確かに僕もあんなふうに変わるとは思わなかったよ」

 

 

 

「提督さん!ソロモンの悪夢、見せてあげる!!」

 

 

 

「おい。そんなことしたら基地だって無事じゃねーよ」

 

 

 

 お互い打開策がないまま悩んでいると、ひとつ時雨が思いついた。

 

 

 

「妖精さんなら…何とかしてくれるかな?」

 

 

 

「あ、その手があったな」

 

 

 

 確かに妖精さんのサイズなら隠れていても発見できるだろうし、総動員すれば巣ごと壊滅出来るかもしれない。

 

 

 

「そ、それだ!!!提督、早く行こーぜ!!!!」

 

 

 

 希望の光が見えたのか、俄然摩耶もやる気になってきたようだ。

 

 

 

「お前急に元気になったな。でもやってくれっかな?」

 

 

 

「もうこうなったらそれしかないよ。頼みに行こう」

 

 

 

 そう言うと、みんなで大量の角砂糖を持って妖精さんのところにお願いしに行くことになったのだった。

 

 

 

 その後の展開はあっという間だった。若干困りつつある妖精さんたちも摩耶の必死すぎる顔を見て断れないことを悟り、夜も遅い中100人近くが集合し厨房を捜索したあと、無事ゴキブリを退治して一件落着となったのである。

 

 

 

 

 

 このあと摩耶の強いで週一回の害虫予防作戦が実施されるようになったのは言うまでもない。

 

 

 

 




感想お待ちしてます!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。