ロクでなしに憑依した   作:山羊次郎

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 書きたくなったので書いた。




プロローグ

 目が覚めた時、俺は怪しい研究施設のようなところにいた。

 

「……ファッ⁉」

 

 そして、壁際に括りつけられ身動きが取れない状態だった。

 

「……\(゜ロ\)ココハドコ?(/ロ゜)/アタシハダアレ?」

 

 実際、自分の名前を思い出せないでいた。

 しかも今自分がいる場所もわからない。っというか、怪しげな薬や拷問器具のようなものまであるし、何なのここ超怖いんだが。

 

「おーい!だーれかいーませーんかーーーーーー!」

 

 しかし、俺の声が木霊するだけで誰も助けには来ない。

 

「……やばい。なにがやばいって指一本動かせないことだ」

 

 拘束されているせいで呼吸しかできない。お腹が空いてきたしいずれは喉も乾くだろう。なんにせよ、早くここを出なければ。

 

「そこに、誰かいるのか?」

 

 おっとこれは予想外だな。まさか助けが来たのか?

 現れたのは、何故か血まみれのどこかで見た事ある服(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)を着た金髪美女だった。不思議と生気を感じないのは何故だろう。

 

「へい!そこの金髪美女!できればこの拘束を解いてくれない?割とマジでピンチみたいな?」

「……死にかけの私に随分失礼だな。っていうか何だその謎言語?」

「そんなことはどうでもいいからさ!ほらほら、へるぷみーだぜ」

「……帰るか」

「ストップ!!!分かった!俺が悪かった!やっぱこういうのって頼み方が大事だよな!」

 

 できれば土下座ぐらいしたいが、この状態じゃそれも叶わない。

 

「……はぁ、随分余裕そうじゃないか」

「これでも焦ってる方だぜい」

 

 金髪美女は俺の手足に巻き付く拘束を解いて……あれ?

 

「今どうやって拘束解いたの?」

「解錠の魔術だ。まぁ、お前には分からないか」

 

 ……魔術?何それ知らないんだけど。

 

「……それで、お前は何故ここに居る?」

「目が覚めたらここに居た。なぜか自分の名前も思い出せない」

「……だろうな」

 

 だろうな?

 

「お前には脳に負荷がかかる魔術を行使された後がある。それで記憶が飛んだんだろう」

 

 マジか!俺って意外にアホだったのか!

 

「そういうわけじゃ……、いや、お前はアホだな」

 

 おっふ。金髪美女にアホって言われたぜ。ご褒美だ。

 

「……まぁ、とりあえずここから出してやる……うっ」

 

 すると、金髪美女が突然お腹を押さえて苦しみだした。

 よく見ると、抑えた手が血で滲んでいる。彼女がやってきたほうを見ると血の川が出来ていた。

 

「ちょ、大丈夫かよアンタ⁉すごい出血量だぞ…」

「ハァ、ハァ……。気にするな。どうせ生きるのも疲れた。ロクでもない私でも、最後には善行積めたんだ。来世はいいことあるさ」

 

 ……そうは問屋が卸さない。

 

「来世なんてあるかもわかんないもんに期待するより、これからの人生に期待しろよ」

「ハハッ、慰めてるつもりか?生憎、期待できるほどいい人生は歩んでないんだ」

「ダイジョブダイジョブ、俺と出会ったんだぜ?何とかなるって!」

「それが半分罰ゲームみたいなもんだがな」

 

 ……え、酷くね?

 

「それに、お前は知らないかもしれないが、私は本当にロクでもない女なんだぞ」

「女なんてそんなもん。皆五十歩百歩だ」

 

 俺は忘れない。

 俺に言い寄ってきた振りをして俺をおちょくったあの女子高生ギャルを。

 

「なんか、女を知っているみたいな口ぶりだな」

「そんなことはどうでもいいからさ!とりあえずその怪我治せって!その……、魔術とかいうやつでさ!」

「……ハァ、分かったよ」

 

 彼女は指パッチンをする。すると、傷口が光りだして一分ほどで塞がった。

 

「すげぇ!魔術すげぇ!」

「そんなにすごい物でもないんだがな」

 

 いや十分凄いだろ。最先端医療かよ。指パッチンで傷が塞がると魔術すげぇ!

 

「……よし、傷も塞がったし外へ出るか」

「動いて大丈夫なのか?」

「大丈夫だ、問題ない」

「それ死亡フラグ」

 

 そんな馬鹿のことを言い合いながら、施設らしきところの外に出る。

 

「……そういえばさ」

「なんだ?」

「アンタ名前は?」

「私か?……私は、セリカ=アルフォネアだ」

 

 ふ~ん。セリカね……セリカ⁉

 

(セリカ=アルフォネアって言えば、『ロクでなし魔術講師と禁忌経典(アカシックレコード)』の重要人物の一人だろ?)

 

 ってことはまさかこの世界は……ロクアカ?魔術もあったし、ほぼ確実にそうだろう。

 

「なるほどな」

「何か思い出したのか?」

「いや、何でもない」

 

 道理で見た事ある服なわけだ。

 これ、帝国宮廷魔導士団の特務分室の軍服じゃねえか。

 それを着てるってことは、今のこの世界はセリカが宮廷魔導士時代。つまり原作開始前ってことになる。

 

(原作のハードっぷりを考えると、これはむしろ幸いか)

 

 原作キャラの一人でもあるセリカに出会え、しかも命を救ってもらうなど幸運と言うほかない。

 

「ほら、ついたぞ。何か思い出したか?」

「……強いて言うなら、俺はもっとハイテクな町に住んでたぞってことだけだな」

 

 目の前に広がるのは荒れ果て、焼け焦げた荒野だった。所々に家らしきものがあることから、村だったのだろう。

 

「……お前の言うことはよく分からんが、ここを見ても何も思い出せないんだな?」

「そうとも言う。……にしても、これからどうするかねぇ。まったく当てがないし」

 

 ここが俺の手がかりと言うならもう詰んでる。なにしろ、建物どころか人すらいないのだ。こんな場所では生きていけない。俺は野生の動物ではないんだ。

 

「……ならさ、私と来ないか?」

「え……?」

 

 まさかのセリカからのお誘いだ。

 ……しかし、いいのか?俺の存在が原作を狂わせるかもしれないし。

 数秒悩んだ末、取りあえず死ぬのはごめんだという結論に至った。

 

「じゃあそうさせてもらおうか。俺はニートになるからしっかり養ってくれよ?」

「ハハハ、やっぱ置いて行こうか」

「冗談じゃないすか~!いつかはちゃんと働くからお願いします!」

「……まったく」

 

 そして、俺のセリカ家行きが決定した。

 

「そういえば、お前名前がなかったんだな?」

「もう名無しの権兵衛でいいよ」

「よくねえよ。……そうだな」

 

 一瞬何かを考えた後、俺にその名を告げた。

 

「『グレン=レーダス(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)』ってのはどうだ?」

「……え?」

 

 ……………は?

 

「……不服か?」

「え、嫌、そういうわけじゃなくて……」

「ならいい。お前はこれからグレン=レーダスだ」

 

 ……もしかして、俺。主人公?

 

(……なんでさ)

 

 原作に関わらないようにしようとしたら原作主人公になってるとか意味分かんない。

 

「……どうかしたのか?」

「……なんでもねぇよ。それよりさ、腹減ったんだが」

「注文の多い奴だな」

「はは、悪いな」

 

 そういや、今思い出したがこの時期のグレンの事は小説の番外編、追想日誌(メモリーレコード)の話だったな。

 さて、原作主人公になったからには、やっぱ【愚者の世界】とか、黒魔改【イクスティンクション・レイ】がやりてえな。【愚者の一刺し(ペネトレイター)】?そんなの知らない(すっとぼけ)。

 あ、でもそれ作ったら帝国宮廷魔導士団に引き抜かれるんだっけ?嫌だなぁ。でも宮廷魔導士にならないと色々話が進まないしな。セラは……多分俺が関わんなきゃ死なないだろ。ジャティスは知らん。

 やるしかないか。とりあえず、宮廷魔導士の時にいろいろ鍛えればいいか。それまではセリカに軽く魔術と拳闘を教わりながら修行だな。

『正義の魔法使い』?あれはごめんだ。流石に俺のメンタルじゃ無理だ。

 

「何か考え事か?」

「いや、セリカのおっぱいはどうしたらそんなにデカくなるのかと真剣に考えていた。まさか、急成長の魔術を――」

「死ね」

「ぎゃぁあああああ!」

 

 俺はセリカに首を絞められながら思った。

 おっぱい柔らかいな、と。

 

 

 




 後悔はないけど続かない。 

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