ロクでなしに憑依した   作:山羊次郎

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 これ、相当長くなるな。

 あと、今回の話はグレンチームとエルレイチームの二手に分かれます。

 こっちはグレンチーム。エルレイチームは、他の作者さんの小説を見たらわかりますよ(遠回しの宣伝)


大型コラボ・三話:グレン・フィールルート

エルレイ「ばか、それはダメ。グレン一人では、戦闘力が著しく空しい。固まって動くべき、未知の場所で、別行動は止めたほうがいい」

 

エルソー「…それに僕の固有魔術はグレンの【愚者の世界】の影響受けないから、グレンも一緒に行こう?」

 

憑依グレン「……それは、お前たちの知ってるグレン先生だろ?自分で言うのもあれだが、俺は結構強い方だぞ。心配すんなって。それに、ざっと覚えてる範囲じゃ、ここはアルザーノ帝国魔術学院と構造が同じだ。迷うことはねぇよ」 

 

 嘘である。この男、フィールかエルレイと行動するのが嫌なだけである。二人といると、何か面倒なことになる気がして仕方がないのだ。

 

ユウキ「……フィール、グレン先生が何を考えてるのかみんなに教えてあげて」 

 

 ユウキはグレンが思ってそうなことが何となく分かったので、心が少し読めると言っていたフィールに翻訳を頼む。

 

エルレイ「わかってる、でもその奢りは命取り、固まって動いたほうがいい。私がみんな守る」 

 

 嘘である。この女、どうせグレンが面倒ごとに巻き込んでくるのは目に見えてるから、できるだけ面倒ごとが起きないよう、このグレンという男を、見える範囲で見張りたいだけなのだ。

 

フィール「エルレイ先生と私と行動すると面倒だからですね。エルレイ先生、standby?」

 

 エルレイが大剣をグレンに構える。

 

フィール「それにこの場所は異界で魔術で最初から形成されてる以上【愚者の世界】も多分殆ど使えませんよ?でもエルレイ先生、この異界なんか凄く嫌な感じだし、分担して早めた方がいい気もします」

 

 肌がピリピリするような魔力、呪術的要素は見つからないが、ここは異界だ。法則に独自性があるなら早く脱出したほうがいい。

 

憑依グレン(くそっ、どうする?) 

 

 フィールとエルレイのド正論に、ドンドン追い詰められていくグレン。

 

フィール「エルレイ先生とエルソーくんとグレン先生。私とユウキくんで二手に分かれて探索。一応通信魔導具があるからエルレイ先生と私が持ってる。異論はありますか?」

 

 フィールが提案を締めくくる。

 

フィール「グレン先生、今は面倒だろうと関係ない。命に関わる可能性があるんだから、面倒で逃げるなら怒りますよ?」

 

憑依グレン「ちょっと待って。やばい」 

 

 グレンが突如、焦ったように言う。

 

ユウキ「俺はフィールの意見には賛成だけど、何かあるんですか?グレン先生」 

 

 突然焦ったグレンにユウキは尋ねる。

 

憑依グレン「……『愚者のアルカナ』失くしたんだけど」 

 

 問いかけてきたユウキに、グレンが答えた。

 

エルレイ「……は?」

 

フィール「はいっ?」

 

ユウキ「………はぁ?!」

 

エルソー「…え?」

 

 その場の全員の思考が一瞬停止した。

 

エルレイ「えっ、グレン…、ちょ、おま…、ふざけないで?」

 

憑依グレン「いや、さっき、お前が俺の事追いまわしてただろ?その時お前、剣振り回すだけじゃなくて、【フィジカル・ブースト】までして俺のこと切ろうとしたじゃん?その時、咄嗟に【愚者の世界】使ったんだけどその時に……」 

 

 いちいち懐に戻すのも面倒になったので、適当に放り棄てたという訳だ。

 

ユウキ「だったら、尚更エルレイさんとエルソーに付いて行った方が良いじゃないですか……さっきの追いかけっこで道を知ってるのは二人なんですから、そこを探索するついでに通れば良いんじゃないですか?」 

 

 このグレンの適当さにはユウキは呆れるが、このままいくとグレンが口八丁並べて逃げそうなので逃げ道をふさぐ。

 

エルレイ「まあ、そうだね」

 

 そう言いながら、エルレイはため息をついた。

 

エルレイ「フィーちゃん、マジで胃薬持ってない?死にそう」

 

フィール「私が欲しいですよ。とりあえず、グレン先生。コレ貸してあげます」

 

 フィールの懐から出されたのはグレンが持つそれと同じ【愚者のアルカナ】だった。

 

憑依グレン「えっ、なんでお前がそんなの持ってるの?ストーカー?」 

 

 グレンが若干怯えた目でフィールを見る。

 

フィール「……っ!!」

 

 フィールが思い切りグレンを殴ろうとしたが、その手を下ろした。これは大事なものだ。父親の形見であり、本来なら渡したく無い。けど、この人もグレン=レーダスなのだ。

 

フィール「いい加減に道化を演じるのは止めろグレン=レーダス。じゃなきゃ、真っ先に消えるのは貴方なんですよ」

 

 感情を抑えても苦しい思いがフィールに突き刺さる。知らないとは悲しい事だ。知ってる筈なのに忘れられるのは辛い事だ。

 この人が別のグレン=レーダスであってもフィールにとっていい気はしなかった。

 いや、グレンであってグレンでないこの人がフィールは嫌いなのかもしれない。

 

エルレイ「落ち着いて、フィーちゃん」

 

 エルレイはフィールに近づき、そっとフィールを抱きしめた。

 

エルレイ「あなたの気持ちもわかる、でも落ち着いて…大丈夫…大丈夫…」

 

憑依グレン「……ふ~ん、それがお前の素か。……やっぱダメだわ」 

 

 突如、今までのどこかふざけた態度が一変して 

 

憑依グレン「よーし、もう一度メンバー決めするぞー。エルレイ、エルソー、ユウキ、お前らで組んでくれ。俺はフィールと組む」 

 

 勝手にメンバーを再編成した。

 

フィール「何勝手に……!」

 

 フィールはグレンの意見に反対しようとする。

 

エルレイ「フィールちゃん。まってくれ」

 

 エルレイは、口調が変わり少し落ち着いた表情で聞き返す。

 

エルレイ「なんでそのチームか。聞いてもいいかい?」

 

憑依グレン「【愚者の世界】がない俺じゃ、誰と組んだって一緒だ。それに、こいつには個別指導が必要らしいしな」 

 

 そう言って、グレンはエルレイに答える。

 

ユウキ「ド変態デリカシーなさ男のグレン先生の個別指導とか嫌な予感しかしないんですけど……?」 

 

 ユウキがグレンの今までの言動などから考えて、今の言葉に少し引いていた。

 

フィール「嫌ですよ。私から断ります。魔術戦で相性最悪なのに、近接重視のエルレイ先生の方に行ってくださいよ」

 

憑依グレン「俺だってどちらかという近接型だぞ?魔術戦に関しても三流の俺じゃ、あいつらに混じったって足手纏いだぞ?」 

 

 どれだけ嫌がられても、フィールと一緒に行くと言ってきかないグレン。

 だが、その目は至って真剣だった。

 

エルレイ「…………はぁ。フィールちゃん。僕は観念してそのチームにしたほうがいいと思うよ」

 

 基本的にエルレイは。フィールの味方だ。だがここで、フィールと出会って初めて反論の言葉を口にした。

 

フィール「……わかりました」

 

 フィールは渋々ながら受け入れた。

 

ユウキ「…フィール、この人に何かされたらちゃんと言えよ?俺たちがすぐに駆け付けるから!」 

 

 ユウキはグレンを指さしてフィールにそう言った。

 

エルソー「…ところでグレン、二人じゃないとだめなの?」 

 

 単純な疑問というようにそう聞くエルソー。

 

憑依グレン「……まっ、そういうこった。心配すんな」 

 

 ポンッと。エルソーの頭に手を置いて、微笑みながら答えるグレン。

 

エルソー「…そう」 

 

 エルソーはなおもグレンとフィールを心配そうに見るが、それ以上の追及はしなかった。

 

エルレイ「その子の事、頼んだよ。セリカの愛弟子さん」

 

 エルレイは、やさしく微笑みを浮かべた。すると。

 

エルレイ「───っ!!ひめ。おしゃべりがすぎる」

 

 エルレイは先ほどと同じ口調にもどる。

 

エルレイ「フィーちゃん。納得できない気持ちもわかるけど。こうなったら、グレンが曲げないのは…貴女だってわかってるよね」

 

フィール「……はい、嫌ってほど。まあ性犯罪者になるつもりなら、女の子にするけど」

 

 腰に帯刀した魔剣に触れると、グレンは自分の息子を抑えてフィールから離れた。

 

エルレイ「ん、頑張ってタルト」

 

 そう言って、エルレイはまたどこからか、イチゴタルトを取り出し、フィールに渡した。

 

エルレイ「お食べ?胃薬搭載型大栄養摂取食 I☆THI☆GO☆TA☆RU☆TO」

 

憑依グレン「そ、そそそ、それれじゃじゃじゃあ、たた探索かか開始ー!」 

 

 グレンが震える声で号令をかけ、全員がそれに従い、教室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

憑依グレン「さてさてさーて、俺のアルカナどっこかな~?」 

 

 まず、グレンとフィールは、先ほど走り回っていた場所の近くである、学院長室へと向かっていた。

 

フィール「………」

 

 フィールはただ沈黙したままグレンの後ろを着いていきながら周囲に警戒している。

 

憑依グレン「……はぁ、そんなに警戒すんなよ。別にとって食ったりしねぇって」 

 

 グレンが呆れたようにフィールを諭そうとする。

 

フィール「別にそう言う訳じゃないです。周囲の警戒は当たり前です」

 

憑依グレン「おぉ、怖っ。一体誰に似たのかね~」 

 

 肩をすくめてそんなことを言うグレン。

 

フィール「居ませんよ。そんな人」

 

憑依グレン「……ふ~ん、そうか。……おっ、あったあった」 

 

 グレンが学院長室の扉付近で、自身のアルカナを見つけた。

 

フィール「とりあえず、ここを調べますよ」

 

 学院長室に軽い手を掛ける。

 魔術的要素も呪術的要素もない。鍵もかかっては居ない。そっと中を除いて閉めた。

 

フィール「……成る程、異界化してるって予想はしてたけど」

 

 目の前に広がるのは海魔のようなものだった。触手なようなものが地を這いずり回っている。

 何だこの世界が終わったみたいな光景は。

 

フィール「………気持ち悪い」

 

憑依グレン「……なるほどな。どうやら、首謀者は大変すばらしい趣味をお持ちのようだ。……片付けるぞ」 

 

 グレンはふざけた態度から一変、魔導士の目となり、腰に差していた拳銃を取り出し、怪生物へと銃口を向ける。

 

フィール「そこ動かないでください。《金色の雷獣よ・地を疾く駆けよ・天に舞って踊れ》》」

 

 B級軍用攻性魔術(アサルトスペル)の【プラズマ・フィールド】で一掃しようとする。しかし、電撃により動きが鈍くなったものの、怪生物はまだ動く。

 

憑依グレン「相当強力な【トライ・レジスト】が付与されてるのか、もしくは魔術攻撃に耐性があるのか」 

 

 いろいろ検討しつつも、グレンは次々珍生物を打ち抜いていく。死ぬ個体も居れば、再生する個体とばらけている。

 どうやら、何らかの核を破壊しなければならないようだ。

 

憑依グレン「フィール、【ライトニング・ピアス】だ。出来れば二重詠唱(ダブルキャスト)で頼みたい。B級の軍用魔術を三節で唱える腕があるなら、それくらいできると思うが……」

 

 すると、グレンはフィールの指先から同時に出る、七つの紫電に、絶句していた。

 

フィール「【雷槍よ―――打ち砕け】」

 

 並列起動による七星剣。

【ライトニング・ピアス】が当たる瞬間のみ7つの雷槍が一点に集中する離れ技。これが出来るのはアルベルトくらいしかグレンは見たことないようだが。

 

憑依グレン「……才能ウーマンかよ。頼もしいこって。《猛き雷帝よ・極光の閃槍以て・刺し穿て》!」

 

 グレンが左手で【ライトニング・ピアス】、右手で銃撃を行い、珍生物を打ち抜いていく。

 

フィール「核を剥がすんで、最後はお願いします《嵐の王よ・駆けて舞え・彼方にて消え去れ》」

 

 黒魔改【ライアブル・ハリケーン】が迫りくる触手をなます斬りにして、核をグレンが撃ち抜いた。

 そして、二人による蹂躙で、部屋中の珍生物は死に、その死体は瘴気となって消えていった。 

 

憑依グレン「……結局、こいつらは何だったんだ?まともな生物じゃないだろうし……合成魔獣(キメラ)か?」

 

 グレンが先ほどの謎の生物について探ろうとするが

 

フィール「グレン先生、足退けてください。何か踏んでます」

 

 グレンが踏んでいたのは、何か人形のようだった。

 その人形は金髪のロングテールで…二人ともなじみのある見た目をしていた。

 

憑依グレン「ん?……うわっ!キモ……くはないな。危うく踏みつぶすところだったぜ」

 

 ギリギリと言った感じで、額の汗をぬぐう仕草をするグレン。

 

フィール「……待って待って、何…これ?」

 

 フィールが人形を拾い上げる。

 人形自体に奇妙な力はない。だがこれはあまりにも似ている。

 

フィール「セリカ伯母…さん?」

 

憑依グレン「あん?……言われてみれば、似てなくもないが……出来ればもう少し胸は大きい方が……」

 

フィール「しね」

 

 パチパチパチパチパチ

 

 突然、何処からか、誰かが拍手している音が聞こえる。

 

憑依グレン「えっ、何事?なんで拍手?そんなに点数高かった?カラオケグランプリ出れる?」

 

 いつからここはカラオケボックスになったおい。

 

フィール「なんですかそれ?」

 

 フィールの時代にはそこまでハイテクな機械はなかったようで知らないようだ。

 

???「さすが…グレン先生とフィールちゃん…、いい腕です」

 

 拍手していたのは、どうやら女性のようだ。

 金髪のロングヘアーのその女性は、おしとやかそうだが、手には氷でできた鎌を担いでいる。

 

フィール「貴女は……まさか……」

 

 過去に助けられ、過去に戦い、過去に別れを告げた人物がいた。空の天使であるルミアと瓜二つ、いや。成長したらたどり着くかもしれない可能性。

 

フィール「……ミアル?」

 

ミアル「あら、覚えててくれたんだね。光栄だよ、フィールちゃん」

 

 ミアルと呼ばれたその女性はくすくすと笑った。

 

 

 

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