ロクでなしに憑依した   作:山羊次郎

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 取りあえず少しづつ消化したい。


大型コラボ・四話:グレン・フィールルート2

ミアル「あら、覚えててくれたんだね。光栄だよ、フィールちゃん」

 

 ミアルと呼ばれたその女性はくすくすと笑った。

 

憑依グレン「……顔もいい、胸も大きい、おまけに清楚系ヤンデレっぽい雰囲気か。うーん、九十点!」

 

 異様な雰囲気を放つ二人に対し、グレンはどこまでも空気が読めていなかった。

 

フィール「何で貴女がここにいるのか、いやその前に一つ。()()()()()()()()()?」

 

 赤いペネトレイターを出し、ミアルに向ける。

 

憑依グレン「……どうやら、只の知り合いってわけじゃないみたいだな」

 

 漸く二人の只ならぬ雰囲気を感じ取ったのか、グレンがミアルに身構える。

 

ミアル「ふふっ…、誰の味方か…、誰の味方だったら面白いかな?」

 

 ミアルはそう言って、からからと笑った。

 

フィール「じゃあハッキリ言いましょう。貴方はこの海魔に関係する敵なのか。私達と同じ状況か。一体どっち?」

 

憑依グレン(こいつが首謀者なのか?……いや、少なくとも言動からは、そんな雰囲気はしない。どちらかと言うと、協力者に近い。だとしても……)

 

 グレンがミアルが担ぐ氷の鎌を見て、冷や汗を流す。

 

ミアル「普通その言い方だと、敵には嘘をつかれるよ?フィールちゃん。それはもちろん……前者だよ!」

 

フィール「……っ」

 

 フィールは一瞬躊躇ったものの魔銃ペネトレイターの因果逆転の魔弾を撃つ。しかし、ミアルはそれを躱し、フィールに接近する。

 

ミアル「相変わらず、あなたはやさしすぎる。これで()()()()()()()()()()なんて…驚きだよ」

 

 接近し反撃される前に、フィールの腹部に回し蹴り、ハイキックをくらわした。

 

フィール「かっ……は」

 

 思った以上の威力に壁に激突し、血を吐くフィール。予め【ボディ・アップ】を付与(エンチャント)していたのにこの威力だ。

 

憑依グレン「フィール!ちっ、《原初の力よ・我が爪牙に宿れ・強き光輝を灯せ》!」

 

 グレンは【ウェポン・エンチャント】を使い、拳を強化する。さらに身体能力強化の魔術を使い、凄まじいスピードで拳を振るった。

 

 ぱしっ!!!

 その瞬間、ミアルの傍に、青髪の男が立っていて、グレンの拳を片手で受け止めている。

 

ミアル「あれ?おそかったね、ロクサス」

 

ロクサス「ふっ、わりぃ。少し時間かかった」

 

 ロクサスと呼ばれた男は、まるで悪魔のように凶器的に笑った。

 

フィール「《雷槍よ―――踊れ》」

 

 ミアルの背後に移動したフィールが、登場したロクサスとミアルに向けて【七星剣】を放つ。

 グレンはフィールの攻撃に巻き込まれないように下がりつつ、先ほどの展開を思い出していた。

 

憑依グレン「……冗談だろ。今の拳を受け止めるって……あいつの皮膚はダイヤモンドかよ?」

 

 冷や汗を流しながら、グレンがロクサスと呼ばれた男を見る。

 

ロクサス「はっ、ダイヤってなぁ、ハンマーで割れるんだぜ!」

 

 ロクサスはいつの間にか手に持っていた大剣を振るい、グレンの呟きに答えながらフィールの攻撃を四散させる。

 

憑依グレン「……身体能力重視か。厄介だな」

 

 グレンが腰のペネトレイターを引き抜きつつ、隙を伺う。

 

フィール「なら、こっちだ!」

 

 魔剣エスパーダは防御不可の魔剣、大剣を持ったロクサスに斬りかかる。

 

ロクサス「ちっ!」

 

 ロクサスはフィールの攻撃をモロにくらい、彼女を危険視して一旦フィールから距離をとった。

 

憑依グレン「……効いてる?あの剣の力か……?」

 

 グレンは一瞬戸惑うも、攻撃手段があることに、僅かに安堵する。

 

フィール「……よし」

 

 浅かった。

 決まったと思ったフィールの魔剣は、浅くとも、あの鋼のような身体に通じる。防御不可能の魔剣は流石に効果があったようだ。

 

憑依グレン「……となると、ロクサスの相手を出来るのはフィール。なら、俺の相手は……」

 

 グレンがミアルへと視線を向ける。

 

 ここで、フィールはあることに気がつく。

 

ロクサス「はっ!痛てぇじゃねえか!」

 

 傷が遅れてできているように感じた。

 何故かはわからない。何処か目の前の傷が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……。

 

憑依グレン「……さて、向こうもフィーバーしてるみたいだし、こっちもとっとと始めたいんだが……」

 

 グレンがミアルに対し拳を構えながら 

 

憑依グレン「……なぁ、ぶっちゃけ引いてくれたりしない?俺としては、態々戦うのも面倒なんだが」

 

 ミアルに問いかける。

 

ミアル「おや?おかしいですね?攻撃してきたのはそちらだった気がしますが?」

 

 ミアルは、どこか悪魔のような笑みを向ける。

 

ミアル「そして、そんな言葉を敵に向けるのは…ナンセンスです」

 

憑依グレン「……ほざけ。フィール蹴り飛ばしたのはそっちだろーが」

 

 引く気はないと分かったグレンは、僅かに腰の拳銃に手を伸ばしながら、ミアルの動きを警戒する。

 

憑依グレン「アホか。これでも数多の外道魔術師を葬ったグレンさんだぞ?そんな安い挑発には乗らねぇよ」

 

 拳銃に伸ばしていた手を引っ込め、グーの形に握り、ミアルへと向ける。 

 

憑依グレン「テメェみてーな悪い子ちゃんは、先生がお仕置きしてやるよ!」

 

 そう言ったグレンは、ミアルに向かって駆けだした。

 

憑依グレン「おらっ!食らえ、魔法の鉄拳、マジカルパーンチ!」

 

 そんなふざけたセリフとともに、グレンが拳を振りぬく

 

ミアル「そーですかっ!」

 

 ミアルは、グレンのマジカルパンチ(笑)を、ミアルの普通の人パンチ(?)で止めた。

 

フィール「………」

ロクサス「………」

 

  2人とも自分たちの戦いを止め、グレンを見ていた。マジカルパンチが呆気なく止まって白けてしまったような空気が流れる。

 

ロクサス「あいつら何やってんだ?馬鹿なのか?」

 

憑依グレン「……いや待って。これは違うんだあの……そう、マジカルパンチとは本来はキックで発動するものであり、普通に殴りかかるだけではただのパンチと変わりないわけで、当然簡単に止められるのは必然的であり、これは決して俺が悪いわけではなくてだな……」

 

 グレンが長々と釈明する。

 

フィール「……先生」

 

 フィールが若干痛い人を見る眼でグレンを見つめる。

 

ミアル「そんなところが何となくミラクル…なんですよ……ねー?先生」

 

憑依グレン「な……何故そのことを……。と、驚いたふりをしつつ、不意打ちキックッ!」

 

 グレンが隙を見せたミアルの横っ腹に蹴りを叩き込む。

 

フィール「……ただの騙し討ちじゃん」

 

 それでいいのかと白い目で見ていたフィール。

 グレンは何処までいってもグレンなのだ。要するに卑怯。

 

ミアル「くらうかっ!!ミラクルパンチ!!」

 

 先程のグレンの攻撃と同じく、キ ッ ク で あ る 。

 

ロクサス「くそ。やる気なくなってきた」

 

憑依グレン「ギャアアアアアア!!バカな、ミラクルパンチカウンター、だと!?」

 

 説明しよう。

 ミラクルパンチカウンターとは、ミラクルパンチを放たれた後、同じことをやり返す、要は仕返しである。だが、その威力は天と地の差!

 

フィール「先生馬鹿なんですか……てか左に避けて」

 

 右手の射線に気付いたロクサスはフィールを止めようとするが、フィールの魔術の方が速い。

 

フィール「《雷槍よ》!」

 

憑依グレン「避けるも何も吹っ飛ばされたよ畜生!まさか、奴がミラクルパンチ道を極めていたとは……!」

 

 グレンが額に冷や汗をかく。そんなことで驚愕しないで欲しい。

 

ミアル「いたっ!!!」

 

 ミアルが攻撃をモロにくらい、その場に倒れる。

 

ミアル「いたっ……あれ……?」

 

 そんなミアルは、フィールの方を見て驚愕した、

 

ミアル「フィールちゃん!?どうして、口から血が…大丈夫!?」

 

 すごい勢いでフィールに駆け寄った。

 

ロクサス「おい!モンスターにそこまで近づいたら危ないだろっ!」

 

憑依グレン「フィール!」

 

 流石のグレンも、焦りながらフィールに駆け寄った。

 

フィール「……っ…ゴホッ、ゴホッ!」

 

 フィールの口から少なくない量の血が吐き出される。

 

フィール「(発作……!?こんな早い時期に……)」

 

 フィールの身体は時渡りに成功した際に回路がズタズタになり、強すぎる魔術には反動がある。それとは別に、寿命を削ってまであの世界を生き続けているのだ。

 だが、それと同時にある事に気がついた。体内の魔力が揺らいだおかげで、今見えている光景が変わり出した。

 

フィール「(幻術……?じゃあ初めから、互いが敵に見えて……)」

 

 それを感じ取った瞬間、フィールは幻術の魔術の逆算を始める。ここは異界でも作用している症状からある程度の魔術は分かる。

 そして割り出したフィールはそれに最も有効な魔術で精神的レジストを全員にかけた。

 

ミアル「……さっきまでの化け物は、フィールちゃんだったってこと?」

 

憑依グレン「あん?化け物?何のことだ?っていうか、お前らこいつの事をちゃんと認識して……あぁ、そいつも幻術か。面倒くせぇ」

 

 グレンが思わずため息をつく。そして、自身にも精神防御の術式を掛けた。

 

フィール「……私達にはミアルが邪悪な笑みを浮かべた敵に見えた。ミアル達は私達が怪物に変貌した姿でも見えたの?」

 

 フィールとは認識出来ていた。それが間違いだ。互いに幻術にかかり、会話も外見も、全てがまやかしになっていたのだろう。

 

ロクサス「…なるほど、道理でなんか可笑しかったわけだ」

 

 そう言いながら、ロクサスはため息をついた。

 

ミアル「うん…、なんか変な気持ち悪い化け物に…」

 

ロクサス「怪物の声でミラグルバァァンヂィとか言ってた変な化け物だった」

 

憑依グレン「えっ、なにそれキモイ」

 

 お前のことだよ。

 

フィール「……キモいのは先生貴方だ。それより、ミアル達はどうしてここに?」

 

ミアル「あぁえっと、セリカさんにこの世界に閉じ込められてね。『これ集めたら返してやる』って」

 

 ミアルはセリカ人形を取り出した。

 

ミアル「まさか、他に人が居るとは思わなかったけど」

 

憑依グレン「……は?セリカ?」

 

 ミアルの口から出た人物に、グレンがあんぐりと口を開けて驚く。

 

ロクサス「……は?聞いてねぇの?」

 

フィール「……セリカ伯……アルフォネア教授がなんで?」

 

 犯人がセリカ伯母さん?

 だとしたら説明がつかなくもないがやる意味がないだろう。

 

ミアル「わかんない、『今度こそ孫に会うんじゃぁ!』とか何とか言ってた」

 

憑依グレン「孫?なんで急に孫の話が出てくるんだよ」

 

 グレンはセリカが言ったという言葉に更に困惑した。

 

 

 

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