ロクでなしに憑依した   作:山羊次郎

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 魔術競技祭編開幕!

 

 追記:三話を少し改変しました。 
 具体的にはルミアとグレンの出会いの説明のとこです。
 憑依グレンにシリアスな展開は似合わないので改変です。


魔術競技祭編
四話:祭りに本気になる奴いるよね


「と言うわけで、給料の前借もしくは小遣いプリーズ!」

「《死ね》!」

「ぎゃぁあああああ!」

 

 学院長室で土下座して頼み込む俺をセリカが魔術で吹き飛ばす。

 

「ブハッ!テメェセリカ!今のはマジで死ぬとこだった!この前のテロ事件より命の危機を感じた!」

「知るか!ゴキブリ並みの生命力しやがって!いい加減に死ね!」

「軽々しく死ねとか言うな!大体、俺のほうがゴキブリよりしぶといわ!世の中の辞書にグレン先生が一人いたら三十人はいると思えって言葉があるくらいだぞ!」

「ねぇよそんな言葉!あったとしてもその辞書ごと私が燃やして存在を消してやる!」

 

 クソッ!口の減らねぇ奴だ!←お前が言うなby作者

 

「ま、まぁまぁ。落ち着きたまえセリカ君。グレン君、もう一度一から説明してくれるかな?」

「流石学院長!どっかの誰かと違って懐の広いお方です!ついでに財布の紐を緩めてくれれば――」

「やめろ馬鹿!」

「……それで?」

「俺は俺自身の未来を切り開くために、多額の投資をしたんです。しかし、俺の投資には代償があり――」

「つまりギャンブルですべてスッたんだな。もうほんと死んでくれマジで。いつまで生き恥を晒すつもりだ?」

「いつもならこんなことは言わないんっスよ!でもセリカの奴が、最近になって自分の飯代ぐらい自分で払えとかケチなこと言いだして!」

「お前が稼いだ金をギャンブルに使うのは目に見えていたからな。策を講じるのも当然だ」

「聞きましたか学院長⁉セリカの奴こんなケチなこと言っちゃって!」

 

 すると、セリカが俺の頭を片手で鷲掴みにして

 

「だ れ が ケ チ だ と ⁉」

「頭潰れるトマトが湧き出るカルシウムが飛び出る助けてママぁぁぁぁぁああ!通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のママぁぁぁああああああ!」

「意味が分からんわ!」

「ふ、二人とも落ち着きたまえ……ゴホン。つまり、グレン君はお金に困っているということかね?」

「そうですそうですその通りです!流石学院長、どっかの誰かと違って話が分かってらっしゃる!」

「この野郎……!」

 

 セリカがなんか怒ってる気がするが、どうでもいい。

 

「すまないのぅグレン君。学院の取り決めで給料の前借はできんのだよ」

「な、なんですとーーー!」

「ハハハハハ!ざまぁないなグレン!どうだ最後の希望が絶たれた気持ちは⁉」

 

 こ、この野郎!

 

「しかしなぁ、グレン君を飢え死にさせる訳にも……そうじゃ!特別賞与なら出せるかもしれんぞ」

「特別賞与⁉なんですかそれ⁉」

「なんでお前が知らないんだよ?」

「来週開催される魔術競技祭で優勝したクラスの担当講師には、恒例として特別賞与が出ることになっておるのじゃ」

「それだぁああああああ!なんだそんな美味しい話があるならどうしてもっと早く言ってくれないんですか⁉こうしちゃいられねぇ!」

「あ、待ちたまえ他にも重要な……行ってしまったの。……にしても、大丈夫かのぅ?」

「何がだ?」

「グレン君が勝てる見込みじゃよ。いくら彼のクラスには優秀なシスティーナ君がいると言っても、彼女を全クラス使い回したとしても勝利は難しいと思うぞ」

 

 リックの考えに、セリカは押し黙る。

 

「彼、このままでは本当に餓死してしまうぞ?」

「……気にすんな。あいつの生き汚さは筋金入りだ。最悪シロッテの木の枝でも食って生き延びるだろうさ。そう言う術も教えてある。それに、あいつならまた何か、面白いことをしてくれそうだしな」

「……ほう」

 

 セリカの物言いに、リックも興味を引かれたように口の端を吊り上げる。

 

「アイツもようやく『その気』になったようだしな。ここ最近の競技祭に蔓延する風潮にはうんざりしてたんだ……、あいつがどうするのか、見ものだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「特別賞与♪特別賞与♪」

 

 聞く限りじゃ、俺の給料三か月分ちょいくらい出るらしいじゃん。サイコーかよ魔術競技祭。

 

「本気で言ってるの?」

 

 すると、教室の中から揉めるような声が聞こえてくる。

 ……あいつらまさか、まだメンバー決めてないのか?

 

(だとしたら好都合、いまだに決まってないのを理由に俺が最大戦力を投入する。大人げないと思われようと、俺には命が掛かってんだ、贅沢は言ってられない)

 

 俺は思いっきり扉を開き、これでもかと言うほどイカした決めポーズで登場する。

 

「ここはこの俺に任せろ!このグレン=レーダス大先生様にな!」

(((((ややこしいのが来た……))))))

 

 ……ん?なんか呆れの視線を向けられた気が……気のせいか?

 

「ケンカはよさないか、俺たちは同じ『優勝』という目的に向かって進む仲間じゃないか!(キラッ)」

((((((ただただキモイ))))))

 

 何とも悲しい統率力。しかし、その心がグレンに伝わることはない。

 

「全く、お前らときたら、競技祭はもうすぐだぞ。なのに未だに出場メンバーを決めてねぇとか、やる気あんのかよ?」

「いや、先生が出場メンバーは私たちで決めろって言ったんじゃないですか?」

「……え?」

 

 …………え?

 

「そんなこと言ったっけ?」

「あ~やっぱり話を聞き流してたんですね何となくわかってましたよ!」

「と、とにかくだ!俺が超カリスマ魔術講師的英断力を駆使して決めてやろう。お前らを優勝させてやる。遊びは無しだ。勝ちに行くぞ!白猫、リストをよこせ。ルミア、名前を黒板に記入だ」

「人を猫扱いしないでっていつも言ってるのに……」

「分かりました」

 

 なんやかんや言いながら、リストを渡してくる。

 

「ふむふむ、白猫、この競技は毎回同じだったりするのか?」

「いいえ。『決闘戦』とか、いくつかの例外を除けば同じということはないわ。まったく知らない競技が出ていたり、同じ競技でもルールが変わってたり」

「なーるほどな。生徒の応用力を試してるってとこか」

 

 なら、つまり……。

 

(なんていうか、間が悪いなぁ)

 

 そんな中、システィーナはそんなことを考えていた。

 グレンは言った、全力で勝ちに行くと。それはこの学院では成績上位者だけで全種目を固めるという意味でもある。

 折角全員で種目に出られそうだったと言うのに、どうしてこんなタイミングでやる気を出してしまうのか。……いや、やる気を出すのが悪いわけではないが。

 

「よーし決めた!まずは『決闘戦』からだ」

 

 最終種目の『決闘戦』、一番得点が高い種目である。当然選ばれるのは、このクラスで成績トップスリーのシスティーナ。

 

「まずは白猫!」

 

 やはり、なら次はギィブル。

 

「そしてギィブル」

 

 最後にウェンディ――

 

「最後にカッシュ(・ ・ ・ ・)だ!」

 

 ……え?

 

「……ん?どうした?質問はあとにしてくれよ、先に決めちまいたいからな。次の『暗号早解き』……これはウェンディ一択だな。『飛行競争』……ロッドとカイが適任か。……『精神防御』?これはルミア以外ないわ。『探知&開錠競争』は―――。『グランツィア』は―――」

 

 この時誰もが気づいた、使いまわされている生徒が一人もいないということに。

 

「最後に、『変身』はリンに頼むか。じゃあ質問のあるやつ!」

 

 すると、ほぼ全員の生徒が手を上げた。

 ……うっそ~ん。これ全部答えるの?

 

「じゃあウェンディ」

「納得いたしませんわ!どうして私が決闘戦の選抜から漏れてるんですの⁉」

「だってお前、呪文噛むじゃん。大事な時に限って。それに突発的な事故に弱ぇし」

「うっ」

「だから、魔力量や呪文の数では劣っていても、状況判断と運動能力の高いカッシュが適任だと判断した。気を悪くしたんなら謝るが、お前【リード・ランゲージ】は滅茶苦茶得意だろ?ぶっちゃけクラス一じゃん?だからぜひとも点数稼いでくれって」

「……そういうことでしたら。……言い方が癪に障りますが」

 

 た、助かった。あんまり突っつかれると困るんだよな。

 俺が全員の質問に答えていくこと数分。

 

「……もういないか?いないな。よし、これで決定!」

(勝った!これで何とかなる!)

 

 流石に同じ生徒を使いまわすのは反則だろう。だが、これなら十分何とか出来るはずだ。

 

「先生。いい加減にしてくれませんか?」

 

 ギィブルがそんなことを言う。

 

「これ以上に勝率が上がる編成があるのか?」

 

 あるならそっちを使う。

 もはやこれはプライドの問題ではない。俺の命が掛かっているのだ。

 

「それ本気で言ってるんですか?そんなの、成績上位者だけで全種目を固めるんですよ!それが毎年の恒例でどのクラスもやっていることでしょう!」

「……え?」

 

 ……………え、同じ生徒を使いまわしてもいいの?

 

(……あ、そっかいいんだそうかそうか。それが毎年の恒例なんだそうかそうか)

 

 どうやら自分は酷い誤解をしていたようだ。

 それが許されるなら、当然そうしよう。

 

「……そうだな、それじゃあ―――」

「ちょっとギィブル!先生の編成にケチ付ける気⁉」

(え、何やってんのお前?)

「先生はこのクラスを優勝に導くと言ったわ。そしてそれは、全員でやるからこそ意味があるのよ!みんなよく見て、先生の選出は、皆の得意不得意を考えてのものよ!」

 

 ところどころで、「確かに」とか「そういえば」とかそんな声が聞こえる。

 頼むから余計なことを言わんでくれ!それはあくまで勝つための最善だと思ってやっただけだから!

 こうなったら最後の希望はギィブルだけだ。あいつにすべてを託すしか――

 

「……やれやれ、分かったよ」

 

 ――ふっざけんなあの眼鏡もっと押せよ!

 

「ですよね、先生!」

 

 ……え、なんでそんなキラキラした目を向けてくるの?

 

「……お、おう!」

 

 そんな顔をされて今更違うとか言えない。

 

「……なんか、噛み合ってないような」

 

 そうだな。全くもってその通りだぞルミア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 通常攻撃が二回攻撃で全体攻撃のママと言う作者もよく知らないのにネタとして使う愚行。

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