ロクでなしに憑依した   作:山羊次郎

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 ついに登場します。誰がとは言いませんが。
 あと、ここらへんで原作との明確な違いが出ます。




六話:昔の知り合いとの再会はシリアスじゃないほうが良い

《そして最終コーナーを抜け!》

 

 現在、飛行競争の競技。

 

《ロッド君が3番手でそのままゴール!飛行競争はあの二組が三位だ!なんという番狂わせ!》

 

 ハリーポッターで見た事あるような競技を終え、二組は三位だ。一見すれば大したことないように見えるが、二年次生は十クラスもある。

 その中で三位と言うのは普通にすごい。

 

「先生!何か秘策でもあったんですか⁉」

 

 白猫の質問に知るかと大声で答えたい。

 だが、気づいてしまった。なぜ勝てたのか。

 

「も…勿論だとも!だがそれは実に簡単な事だ。長丁場になる今回の飛行競争、スピードよりペースが重要になるのは火を見るより明らかだった。だから俺が、二人の消費魔力を軽~く計算してやっただけだ」

 

 完全に今きづいたことをさも最初からわかってましたよと言わんばかりにドヤ顔で説明する俺。

 やめて!そんな目で見ないで!恥ずかしい!しょうがないんです、こうでもしないと士気が下がっちゃう!

 

「たまたまいい成績が出たからって調子に乗りやがって」

「よせクライス。彼らもいい思い出になっただろう」

 

 先輩とくらいすとかいう奴がそんなこと言うが、全くもってその通りなので何も言い返せない。

 

「これはグレン先生の策なんだ!グレン先生がいる限り俺達は負けない!そうだよな!みんな!」

 

 やめろ、そんな目で見るな。これ以上ハードルをハードにすんな。

 すると、女王陛下の席の隣でセリカが爆笑してるのが見えた。

 

(あの野郎、こっちの気も知らねぇで面白がってんじゃねぇ!)

 

 もし負けたら……考えるだけで鬱になる。

 

 

 

 続いて魔術狙撃。これはセシルか。

 

《二組のセシル君、魔術狙撃四位以内確定だ~!》

 

 ふむ、俺のアドバイスの、的が狙ったところに来るのを待てをしっかり守ってるな。

 まぁ、アルベルトみたいなチート狙撃が出来るなら最高なんだが、流石に素人には難しい。

 むしろ、ここまで出来るのはセシルの狙撃能力の素質の高さにある。あいつは普段から本をよく読んでいて集中力が高いからな。狙撃に集中力は必須だ。

 

 

 

 

「騎士は勇気を旨とし真実のみを語る」

《正解!2組のウェンディ選手暗号解読圧勝だ~!》

 

 ……最高かよ。お前らマジで最高かよ。

 想像以上だよお前ら…これなら俺の生活も何とかなるかも!いや~特別賞与とハー何とか先生の三か月分の給料……ウハウハじゃねぇか!

 

「……にしても、お前ら本当に楽しそうだな」

 

 俺は誰にも聞かれない声でつぶやく。

 全く、人をその気にさせるのが上手い連中だ。

 

(お前ら本気で頑張ってるもんな。ったくこっちもその気になっちまうぜ。めんどくせ~)

 

 

 

《さぁ続いての競技は精神防御です》

 

 ま、ルミアなら余裕だろ。

 

「まさかとは思いますが先生。次の精神防御、彼女は捨て石ですか?」

 

 ギイブルが突如そんなことを言う。

 

「彼女は治癒系の白魔術は得意ですがそれ以外はそうでもない。ここで彼女を使うのは実に合理的ですねぇ」

「……嘘、ですよね?先生がそんな……」

「ぐー、ぐー」

 

 ………………。

 

「聞けやぁぁああああ!」

「そげぶ!」

「なんで寝てるんですか⁉」

「いや、だって起きてたら腹減るし」

「知りません!……それより、さっきの話です!」

「さっきの話?」

「ルミアを捨て石にするってほんとですか⁉」

 

 ……え、なにそれ?

 

「何馬鹿なこと言ってんの?」

「……え?」

「この競技にあいつ以上に適任な奴はうちのクラスにはいねぇよ。もちろん、俺を含めてな」

《さぁ只今より精神防御の競技を開始します!学院の魔術教授、精神作用魔術の権威、第六階梯・ツェスト男爵です!》

 

 ……お、あの爺さん、まだクビになってなかったのか。権力者はこれだから厄介だな。

 

「小手調べに【スリープ・サウンド】から始めてみよう」

 

 そして、男爵が呪文を唱える。選手たちが精神強化の呪文を唱える中

 

《寝た~!いきなりの脱落は一組!》

 

 先輩やる気なさ過ぎだろ。……まぁ、これは想定内と言うかむしろ好都合。ここで一位になれば打倒一組に一歩近づく。

 

 

《おそらく主力温存作戦でしょう。昨年の覇者・ジャイル君がいますからね~。僕としては紅一点、二組のルミアちゃんに注目してるんですが…どうです男爵?》

 

 ジャイル……昨年の覇者か。いったいどれほどの実力者のか……。

 

「そうだね。可憐な少女がどこまで耐えられるか、いたいけな心をどう汚染し尽くすか…」

 

 そういって犯罪者の目をしながら、自分の持つ杖を舐める男爵。

 

『へ、変態だー!』

 

 へ、変態だー!

 ……俺があいつとこの学院の学生の頃、一緒になってはしゃいでたって知られたらどうなるんだろ?……ぶるっ!

 男爵が全校生徒に引かれ、醜態晒す様子を死んだ目で見る学院長。そろそろクビか。

 

《続いて【コンフュージョン・マインド】!八組失格!》

 

 精神操作で暑いと思い込まされ服を脱ぐ生徒。

 

「男子はいらぬ。脱ぐならルミア君……」

《少しは欲望隠せよ工口男爵!》

 

 余りのきもさにルミアですら引いてる。

 

《気を取り直して…【チャーム・マインド】!エロ男爵のパワーで操られているーっ!》

「男はいらぬと言っている!」

 

 それは分かる。

 

《いや~!そのまま男爵お得意高速詠唱!キモさ全開!》

 

 あれ久し振りに見たな。

 

《だがこれで失格者続出!残ったのは昨年の覇者・ジャイル君とルミアちゃんの一騎打ちだーっ!》

 

 ……昨年の覇者の名は、伊達じゃないってことか。

 

「ここまで強かったのか彼女は……」

 

 ギイブルが心底驚いたように言う。

 

「この競技で使用する【マインド・アップ】は、素の精神力、つまり肝が据わってるやるほど高い力を発揮する。あいつは常人とは心の構え方が違うってことだ」

 

 まぁ、テロリスト相手に一歩も引かないやつとかどう考えても普通じゃない。

 いつでも死ねる覚悟がある……やはり、出生の事を気にしてるのか。

 

「にしても、ルミアに任せりゃ楽勝かと思ったんだがジャイルってやつも大概だな」

「ではそろそろ【マインド・ブレイク】にいってみようか」

 

 ……来たか。

 

《とうとう来ました!対象の思考を破壊し放心状態にしてしまう、最も高度で危険な呪文の一つです!》

 

 流石の男爵も、そこまで強力に唱えはしない。精々三日寝込むくらいだろう。

 本人もそう言っている。

 

「もし寝込んでしまったら、ルミア君の看病は任せたまえ!」

《ジャイル君の看病は?》

「………………………それではいってみよう!」

 

 …………確かに、あの人は変態だ。変態という名の紳士だ。

 けど、ホントに生徒が危険になることはしない。その一線だけは越えない。だから今までクビにならなかったのだろう。

 

《なんと両者耐えた~!!》

 

 軽く放たれた【マインド・ブレイク】を二人とも何とか耐える。

 そして、続く二発目が放たれたとき

 

《お~っと!ここでルミアちゃんが膝をついた!》

 

 ……ここまでだな。これ以上はマジで危険だ。あの男爵でさえ、ギブアップするか聞くぐらいだからな。

 

「棄権だ!」

「……え?」

 

 ルミアが呆けたようにこちらを見てくる。

 

「二組は今のをクリアした時点で棄権する!」

「……おや、君はもしや……」

《二組棄権です!よって勝者は四組ジャイル君!》

 

 観客が最後までやらせてやれとかこっちの気も知らないでべらべら言ってくる。

 ったく、舐めんなよ。

 

「よくやったよ。だが相手が悪かった。あんなのがいたとは予想外だった。マジですまん」

「……いえ、大丈夫です。それに……、楽しかったです。私もみんなのために戦えてるんだって気持ちになれて…」

「……そうか」

「久し振りだねグレン君」

 

 すると、男爵が突如介入してくる。

 おい、今アンタが入ってくるとややこしいんだが

 

「え、男爵はグレン先生と知り合いなんですか?」

「まぁね。感動の再会と行きたいが、今はこの混乱を収めねばならんのでな」

「あ、はい」

 

 ……え、誰この常識人?

 

《では見事精神防御の勝負を制したジャイル君。何か一言…》

 

 すると、何かに気づいた男爵が声を上げる。

 

「ジャイル君は……立ったまま気絶しているっ!」

 

 ……は?いやいや、そんな弁慶じゃないんだから。

 

「……うぉっ!マジだ!」

 

 ビビったぁ!白目向いて立ったまま気絶とか怖すぎんだろ。夜だったら逃げ出してるわ!

 

《ということは…?》

「ルミア君の勝ちだろう。棄権したとはいえ直前の【マインド・ブレイク】はクリアしたからね」

 

 ………マジか。

 

《まさかまさかの逆転勝利!優勝は二組のルミアちゃんです!》

 

 瞬間、歓声が巻き起こる。白猫とルミアも一緒になって喜んでいる。

 

「見事だよグレン君」

「男爵……」

 

 四年ぶりの再会に俺は――

 

「アンタよくクビになりませんでしたね?」

 

 ――とりあえず暴言を吐くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《またもここで二組が逆転!今年の魔術競技祭、誰がこの展開を予想できたでしょうか!まさに今年のダークホース!グレン先生率いる2組の快進撃が止まらないーっ!》

 

 等のグレン先生はシロッテの木の枝を咥え今にも死にそうな表情をしている。

 そして、そんな彼らを見つめる三人(・ ・)の人影。

 

「グレン、だな」

「ん、グレン」

「グレン君で間違いないね」

「何も言わずに去っていったと思ったら、まさかこんなことろにいたとはな」

 

 一人は鷹のような瞳でグレンを見ている長髪の男だ。

 もう一人は感情を感じさせない人形のような青髪の少女だ。

 最後の一人は銀髪で(・ ・ ・)どこか犬のような(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)雰囲気のある女性(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)だ。

 すると、青髪の少女が歩き出す。それを髪を引っ張り無理やり引き留める長髪の男。

 

「なにするの、アルベルト」

「それはこちらのセリフだ、リィエル。なにをするつもりだ?」

「決まっている、グレンと決着をつける」

「「…………」」

 

 いきなりのトンデモ発言に二人が黙る。

 

「あのねリィエルちゃん、私たちには任務があるんだよ?」

「……セラ(・ ・)とアルベルトはグレンに会いたくないの?」

「それは……」

 

 リィエルの質問に、セラと呼ばれた女性は押し黙る。

 彼女とて、グレンには会いたい。あって一言言いたいことがある。

 しかし――

 

「無論、俺もあの男には言いたいことが山ほどある」

「だったら……」

「だが、俺たちは関わるべきではないのかもしれない」

「……どうして?」

「あいつには、俺たちの世界は似合わない。きっと、あの日の当たる場所が、あいつのいるべき世界なんだ」

 

 三人はグレンたち二組のほうを見る。

 

「……枝をくわえて今にも死にそうな表情でいるのが、グレンの居場所なの?」

「「…………」」

 

 リィエルの質問に、二人が押し黙る。

 

「……とにかく、俺たちは任務を優先する」

「任務?」

「私が最初に言ったよね?忘れちゃったのリィエルちゃん?」

「……俺達の任務は女王陛下の護衛を務める王室親衛隊の監視だ」

「なぜ?彼らは私達の仲間のはず」

「でもね、私たちは一枚岩じゃないの。もしかしたら状況によっては敵になるかもしれない人たちもいっぱいいるの」

「王室親衛隊に最近不穏な動きがあると情報が入った。陛下に対し何らかの行動を起こす可能性がある。上はそう警戒している」

「もしかしたら、あの中に裏切り者がいるかもしれないから、気を付けてねってこと」

 

 二人の話を聞き、何かを考えこむ仕草をした後、リィエルが言った。

 

「つまり、私はグレンと決着を付けなければいけない……そういうこと?」

「「…………」」

 

 リィエルの回答に、二人が押し黙る。

 しばらくの間、三人に妙な無言状態が続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 




 はい、と言うわけでこの世界ではセラ生存ルートです。
 前にグレン君の思考の中にセラやイヴが出たのはそういうことです。
 この世界ではグレンは別に、セラが好きと言うわけではありませんが、イヴが嫌いなわけでもありません。
 言わば、セラの好感度をイヴに移植した感じです。

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