私好みの回が始まるのでね……。
美食殿始動です!
「たっだいまー!」
「帰ったぞぉ……」
「キャルちゃん!オルガ君!3割増しで元気になったんですね!本当に良かったー!」
「……寝るっ!」
「寝るぞぉ…!」
「「「お、おやすみ……」」」
キャルとオルガはそのまま寝室へ入ってしまった。
「……なにこれ」
色々と察しつつもミカはこう言うしかなかったのであった。
――――――――――
翌日
皆で朝食を取っていると、ペコリーヌは初のクエストを取ったと報告してきた。
当然ながら色々とあったキャルとオルガは乗り気ではなかったが――
「うるうるうるうる…び、美食殿の初めてのクエストは…みんなでやりたい…なって」
「……」
ペコリーヌが泣き出しかけており、ユウキとコッコロは寂しそうな表情。
「……勘弁してくれよ…」
「ねえ………」
「!?」
そんな様子のオルガをやけに眼力強く見る三日月である。
(ミカお前……!)
「あのね……あーもう!わかったわよ!行くわよ、行けばいいんでしょー!?」
「ああわかったよ!いくよ!いきゃ良いんだろ!」
勢いで押し込まれ観念したキャルとオルガ。
なんとかこの二人を引っ張ることに成功した4人であった。
――――――――――
その後、タルグム村へ出発し、順調に旅をする美食殿御一行。
その途中地点で当然ながら野宿を取ることとなる。
そんな時、キャルは池で釣りをしていた。
「釣れないわね……いやいや…あたしが魚を釣らないと何を食材にされるかわかんないわ!頑張んなくちゃ!」
「……」
そんな様子を火星ヤシをかじりつつ見ている三日月である。
「大丈夫?」
「大丈夫よ!このあたしに……きたきたー!」
何か掴んだようで引っ張り上げるが、その先には貝の抜け殻のようなものしかなかった。
その後ろでコッコロは草陰の中で虫を見つけたようで皆に知らせようとする。
「あぁ、こんなところに美味しそうな虫が…」
「ま、待ってくれ!」
「ちょっとコロ助!あたしがもっと美味しそうな魚釣ってあげるからそんな虫ほっときなさい!」
「そうだぞぉ…」
虫に未だに抵抗があるキャルとオルガが全力でコッコロを止めるのであった。
―――――――――
だが結局そのあとに釣れたのは食用にもならないおたまじゃくししか釣れず。
キャルは焚き火のところに木の即席竿を捨てるのであった。
「…あの池駄目だわ。魚居ないわ……」
「大丈夫、火星ヤシならあるから」
「ミカ……そんなデーツだけじゃ足りないわよ……はぁ…」
ミカの安心させる策(?)も不発に終わってしまった。
キャルが色々と落ち込んでいたそんな時、森からペコリーヌが帰還する。
「ただいまー!美味しそうな鳥、捕まえちゃいましたよー!」
「おかえりー」
「でかした!今日のあんたは最高にイカしてるわ!」
なんとかゲテモノ料理を回避したキャル(とオルガであった)
―――――――――
「さぁさぁ!お待たせしました!たーんと召し上がれ!」
夜、ペコリーヌの言葉とともに料理を食べ始める面々。
「おいしー!」
「うめえじゃねえか……」
「うん、いける」
こだわりが特に無い男性陣も舌鼓を打つ。
「鳥肉ってここまでジューシーになるの!?こんなの初めて!」
「一緒に蒸した野菜も、甘みが増しておいしいですね」
「でしょでしょー?旅先で習った調理法なんですよ」
当然ながら面々の箸が進んでいく。
「やっぱりおいしい料理にはマトモな食材。虫とかカエル使おうなんてしちゃダメよ。聞いてんの?コロ助」
キャルがそう声をかけるとコロ助は木の実のことを見つめていた。
どうやら知らない種類らしい。
「…何?それ」
「あぁ!鳥と一緒に採ってきた果物ですね!キャルちゃんもユウキ君も、オルガ君と三日月君もどうぞどうぞ!」
「こんな実があるんだな……どれどれ」
オルガはその実の皮を剥いて食べてみた。
「おっ、結構あまいじゃねえか…!」
「とっても熟してますね~!」
「あまーい!」
「もっとちょうだい!」
「まだまだありますよ!どんどん食べちゃってください!」
ユウキ、キャル、オルガ、ペコリーヌの4人は特に気にせずに木の実を食していく。
だがコッコロと三日月は食べようとしたときに――
「プクー…プクー」
「初めて見る果物でしたけど、採ってきて正解でしたねぇ!」
木の実を食べていたカエルがプクプクと寝てしまっていたのを目撃した。
「………」
「ヤバいな……」
薄々その実のことに気づき始めたその瞬間、コッコロに絡むようにキャルが入ってきた。
「コロ助ぇ~…!ちょっとあんた子供のくせにしっかりしすぎ~!」
「ど…どうされたのですか、キャル様」
「ううっ……あたし…あたしだって、本当はもっとしっかりして、あのお方のために…わぁぁぁ!!」
まるで泣き上戸のように絡んできていた。
どうやらこの実にはお酒を飲んだときのように酔っ払う作用があるらしい。
なお他の面々も似たような形になってるため、どうやら確定のようだ。
だが三日月はキャルのある漏れた言葉を見逃さなかったようで。
(なんとなくわかってたけど、誰かがキャルの上にいる…か。ペコリーヌと俺達を監視でもしてるのかな)
「おらおら、なにやってんだ。今日はとことんまで」
「うるさいなぁ…」
オルガはまあ酒に弱いので、言うまでもなくうざ絡みをしてきたのであった。
そのせいで三日月の考えはあまりまとまらなかった。
―――――――――
「おはよう」
「おう、おはよう」
ユウキとオルガはちょうど同じくらいに起きたようで、池の畔に来ていた。
どうやら二人共顔を洗いに来たらしい。
「大丈夫か?お前は初めての旅なんだろ?」
「うん、平気。オルガは旅したことあるの?」
「……まあな、将棋とかデカいカエルとか色々とあったが……」
「しょうぎ?」
「あ、いや、こっちの話だ。そういやあいつらはまだ……」
そんな時、突如としてユウキの後ろに狼のようなモンスターが現れた
「…おい!ユウキ!」
「?」
ユウキは気づいていないのか特に表情が変わっていない。
そしてその狼がユウキを食べようとしたその時…
「くっ!」
(仲間を守るのは俺の仕事だ!)
その狼にオルガが飛び込んだ。
そしてそのまま狼に食べられた。
「ぐっ!?」
「そろそろ……オルガさま!?」
そして続いてコッコロとキャルが気づいた途端に、モンスターは凄まじい勢いで走り去った。
「「「わぁああああああああああ!?」」」
当然ならペコリーヌ、キャル、コッコロの3人は驚いた。
ユウキはキョトンとした表情で状況を理解できておらず、三日月は「また?」とやれやれとした表情になっていたそうな。
―――――――――
狼のような怪物に食われかけていた俺は、急に口から放されて木に激突した。
それで暫く気絶していたんだが、横からある声が聞こえてくる。
「あ、頭から突っ込んじゃってましたよ!?」
「だから言ったじゃないか!もうちょっとひきつけてからって!」
口調は違うが、同じような声質な気がした。
それで目を開けると、目の前には木を切った置物に顔が書いてあるようなものがあった。
なんだ…これ?
「お、お怪我はありませんか?」
「……は?」
その声はどこかダミ声であった。
いや本来は普通に話せるやつがダミ声を出している感じってやつだ。
「よ、余計なことかとお、おもいましたが、魔物に襲われていたご様子だったので」
「……」
とりあえず起き上がることとする。
ちなみに俺の体はなんともねえ……いや、恐らく途中で希望の花が発動して蘇生したからだろう。
昔より体の耐久力が減っちまったんだよなあ……
なおその木の置物には細工がしてある様子はない…でも声が聞こえるのは…魔法かなんかか?
そう思い、辺りを見回すと……
「は、はわわ……」
そこの木の陰に一人のエルフの少女がいた。
全体的に緑色の装いで、後ろには弓と矢を抱えている。
「……お前が助けてくれたのか?」
「ん…んぐぐぐぐっ……」
「サンキューな、助かった」
それで置物を彼女に渡した。
「ど、ど、どういたしまして!あのっ!私っ、アオイといいます!」
「俺は…鉄華団…じゃねえ…美食殿の…オルガ・イツカだぞぉ……!」
彼女の自己紹介に俺はいつもの返しで返す。
今の俺は団長じゃねえから、こういうのになっちまったが。
癖になっちまってな…。
「ところで気になってたんだが、お前の他にも誰か居たのか?話してたみてえだが…」
「わ、私、怪しいものでは!ただ人形と話すというだけで」
十分怪しいじゃねえか…
まあ今まで色々と変なやつを見てきたから、今更人形で変とは思わねえけどな……。
バエルバカ、将棋やらデスデス言うやつ、女神っぽくねえ女神やら……。
希望の花を持つ自分で言うのもアレだがオンパレードすぎて感覚が麻痺してんだよ…。
「え、えっと…この木の物は友達ができた時のための練習用人形「だいじょぶマイフレンド君1号」です」
「なんなんだよそいつは……」
「私、動物や植物とはお話できるんですけど、人間の友達が一人も居なくて…友達が欲しいって、ずっとずーっと思ってたんです…それから早数年……自分でこしらえただいじょぶマイフレンド君1号と話していたんですが、流石に会話のレパートリーも枯渇してしまい……きっと私みたいな者には友達なんて10年早いんです」
……深刻だな…
よほどの引っ込み思案ってやつか?
まあ友達なぁ……
「そんなにか?」
「だって友達ができるって、凄いことですもん……でも、いつかは…いつかは、ぼっちとさよならしたい!それが…私のささやかな夢なんです……」
「ささやかな夢…か」
それが夢ってのは俺にとっては夢にはならないだろうと思う。
だがアオイの様子を見る限り、あいつにとっては多分相当なものなんだろう。
やけに表情が明るく出そうにも暗い雰囲気のままなのはその証拠だ。
「あ、すみません。長々とお話してしまって……ではオルガさん、まずここから魔物がいないところに……」
「………いや、ちょっと待て」
「え?」
なんというか、こいつ……アオイのことを見ているとどうにも放っておけねえ。
こういうやつとは出会ったことは今までなかった分、余計にそう思う。
……なら、俺が一肌脱がねえとな…!
「俺も友達ってやつは少ない…いや、殆どいないって言っても良い」
実際俺も友達ってのはよくわからねえ。
ミカとは相棒だし、鉄華団のあいつらとは家族だったし、名瀬の兄貴は兄貴分、マクギリスは論外。今までの異世界のあいつらともなんか違う。今の美食殿とも家族と言えるだろう。
まあアオイにとっては違うかもしれねえが…少なくとも俺はそうだ。
「だからよ……一緒に友達を作る方法ってやつを考えてみようじゃねえか?」
「作る方法……え?……ええええええええ!?」
それをアオイが聞いた途端、言い表しにくい悲鳴的なものが響く。
「ほ、ほんとですか!?そんなエルフ栄誉賞レベルの素晴らしいことを、お願いしてしまって良いんですか!?」
「おう」
エルフ栄誉賞レベルって……大げさじゃねえか……。
だがアオイの目はキラキラと輝いていた。
「オルガさんと一緒に友だちを作っていく!新チーム結成です!わーーーーーーーーい!!」
だから大げさだぞぉ……
まあ喜んでくれるのは何よりってやつだが。
「じゃあ名前は……BB団ですね!」
「BB団?」
「バイバイぼっち団の略称です!もちろんオルガさんが団長です!」
「……お、おう?」
久しぶりに団長って呼ばれたな俺…。
だが悪い気はしねえな……
そう何か盛り上がりはじめたその時に――
「オルガさまー!」
「オルガくん!大丈夫ですかー?」
そこにコッコロとペコリーヌ、キャル、ミカ、ユウキが駆けつけた。
「大丈夫、オルガ?」
「お前ら……こんくれえなんてこたねえ……!」
「いつも通りの強がりねえ……ホントあんた打たれ弱いんだから」
「ぐっ……」
キャルの言う通り、打たれ弱すぎる俺だぞぉ……。
あんま否定できねえのが……!
だがそんな風に話していたからか。
「………」
アオイはいつの間にかコンピューターのフリーズのように固まってしまった。
……こりゃ道のりはなげえぞ…。
アオイはいいぞ!
アオイはいいぞ!
アオイは!いいぞ!!!!!!!!!!!
というわけで大改変にご承諾くださった作者様に感謝いたします。
だってまあ……ざーさんだし?ざーさんが団長って言うんやぞ?
これなら当てはめるしか無いと言うか(こじつけ)
次回はアグニカバカがやっと参戦します。