鉄血のプリンセスコネクト!Re:Dive   作:モンターク

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というわけで後編です。



後編

次の日、俺たちは働きにでることにした。

まあ、寝てる最中に何回もユウキや俺を狼たちが狙ってくるからよ……おかげで俺は最低5回は死んじまった。

勘弁してくれよ……。このままじゃ俺以外の二人が確実に殺される。

だからさっさと宿に泊まれるくらいの金を稼ごうってことだ。

それで俺たちはギルド管理協会ってところの依頼募集の掲示板をあたることにした。

 

「ここですかね……でもよろしいのですか?働かれるということで」

 

そのコッコロの問いにユウキはにっこりと肯定の意味で微笑む。

なお最初は赤ん坊なあいつに働かせるわけにもいかねえと思い、俺とコッコロだけで行こうとしたが、ユウキも自分から働きたいと示してきたので、一緒に働くってことになった。

 

「どうしました?」

 

そんでギルド管理協会の建物へ入っていくと、誰かから声をかけられた。

目の前には緑色の髪でメガネをしている女が現れた。あのフミタンに比べればどこかおっとりしているような感じだが。

 

「私がギルド管理協会の職員。カリンと申します」

 

「俺は…」

 

「わからないことがあったら、遠慮なく聞いてくださいね」

 

……いつもの俺の挨拶が聞かれることもなく、そのままスルーされちまった。

まあこういうのも慣れてるがよ…。

 

「こちらにお仕事募集の掲示板があると聞いたのですが……」

 

「はい、ご案内しますね」

 

カリンの案内ですぐにその掲示板が見えた。

その掲示板には一面びっしりと様々な依頼が貼られていた。

……しかし街も似てると思ったが、こういうところもカズマんところに似てる気がするな。

まあ色々と異世界がある以上、似てるやつが現れてもおかしくはねえからな。

 

「えーっと、討伐クエストに護衛クエスト…それにダンジョン探索……。どれも初心者の方にはお勧めしずらいですね」

 

「仮にやるとしても危険な賭けになっちまうか…」

 

基本こういうのは金額が高ければ高いほどいいもんだが、そういうのにはだいたい裏がある。

俺は最悪死にまくってもいいが、コッコロやユウキはそうもいかねえ。

コッコロが蘇生魔法が使えるわけでもなさそうだしよ……。

 

そしてコッコロはある依頼の紙を手にとってその内容を読み上げる。

 

「ランドソル周辺にドラゴンの目撃情報あり、財宝などに誘われたドラゴンは人的被害を及ぼすため討伐隊を求む……。わたくし達の手に追えるクエストではございませんね」

 

「あっ、これなんか良いと思いますよ」

 

悩む俺たちにカリンが出した依頼書は、きのこが載っている絵だった。

 

「採取クエストなんですが、ガド遺跡に群生するきのこを集めてほしいそうです。危険も少なそうですし、おすすめですよ」

 

「本当か?」

 

採取系のクエストか……なら魔物と直接対峙する必要もねえからとっとときのこを集めて戻ればいい。

もちろん、魔物はいるだろうから警戒することには変わらねえが、討伐クエストよりは結構マシだ。

急にでけえカエルに食われたりする心配も少ねえ。

 

これならいけるぞぉ…!

 

「「よろしくおねがいします!」」

 

「よろしく頼んます」

 

ってことで俺たち最初のクエストは決まった。

初の仕事だ。気ぃ引き締めていくぞ!

 

――――――――――――

 

そしてそのガド遺跡にやってきた俺達はきのこを採り始めた。

しかし本当にきのこだらけだな……目につくところ全部にありやがる。

まあ依頼の内容にはできる限り多めでと書いてあったから、その通りに多く集めることにした。

 

「……?」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

そんな時にユウキはきのこでもねえ何かを見つけて、それをじっと見ていた。。

俺がそこに駆け寄ると、何故か女が道の真ん中で倒れていた。

 

「大丈夫か、気分はどうだ!?」

 

「うぅ…おなかペコペコ………」

 

 

俺の問いかけにぐーっと腹の音が鳴りつつ、ぼそぼそ。どうやら腹が減って行き倒れているらしい。

その証拠に俺たちが持ってきた飯を与えてみると、ガツガツと食い始めた。

 

「はむはむはむ…はむはむはむ…んーっ!」

 

俺たちはその光景をポカーンって感じで眺めていた。

本当によく食ってやがる……一応三人分だぞ、それ。

 

「はむ…んっまーい!ごはんは命のエネルギー!いやあ、助かっちゃいました。見ず知らずの私に美味しいごはんを恵んでくれるなんて、一生恩に着ます!」

 

そいつは手を合わせつつも俺たちに感謝しているようだった。

飯出してただけでオーバーじゃねえのか…?

 

「あの…このようなところでどうしたのです?」

 

「はい。実は色々とあって旅をしていたのですが、久しぶりに故郷のランドソルに帰ろうとしていたらお腹ペコペコになりすぎちゃって」

 

「んで、行き倒れちまった…と?」

 

「はい。やばいですね☆……」

 

戦ってる最中に腹減って動けなくなったやつはまあ見たことはあるが……これはそいつ以上だな……。

 

「ところで、貴方達は…」

 

「わたくし達はきのこを採りに…」

 

「おー!!美味しそうですね☆」

 

きのこを見た瞬間、目をものすごく光らせていた。

本当に食べ物全般が好きらしい。

 

「よければどうぞ。焚き火で焼いただけですが…」

 

「本当ですか!?あなた達は神様ですね!」

 

神様って……まあ本当の神様は結構碌でもねえぞ?

最初の時はダインスレイヴは落としてきたやつで、カズマの時の女神…アクアは物凄くトラブルメーカーだったしよ……。

まあ、今となっては懐かしいがよ……。

 

そんできのこをもぐもぐとこいつが食っている間にコッコロが俺たちの簡単に自己紹介をする。

まあ本当は「俺は…」でやりたがったが、それでまたできなかったがよ…。

 

「はむはむはむ……なるほど。ユウキ君にコッコロちゃんとオルガ君って言うんですか」

 

そんなふうにしていると、後ろからなんかの重い足音が聞こえてきた。

 

「キィー!」

 

それに気になり、俺達は一斉に振り向くとなんとでけえきのこ…いやでけえきのこの魔物が俺たちのほうに威嚇してきやがった。

 

「なんなんだよありゃ!?」

 

そしてそのでけえきのこは俺たちを襲おうとする。

 

「ま、待ってくれ!ぐっ!?」

 

寸前まできのこを食ってたペコリーヌやコッコロ、ユウキはなんとか避けることができたが、俺逃げ遅れて「希望の花」を発動させた。

 

「オルガ君、大丈夫ですか?」

 

「こんくれえなんてこたぁねえ…!」

 

生き返った後、俺はなんとかコッコロ達のところに退避した。

結構痛えじゃねえかよ……。

 

「たぶん、私を狙ってきたんです。3人を巻き込んじゃいましたね…ごめんなさい」

 

こいつがそう言っている内に、ユウキは前に出て剣を構える。

お前……守りてえのはわかるが弱いのに、あんま前に出るんじゃねえぞ…!?

仕方ねえ、俺も前に出るぞぉ…

 

「え?…ユウキ君とオルガ君?」

 

「えっと、お腹ペコペコのペコリーヌ様…と仮にお呼びしますね」

 

そういや俺たちはこいつの名前聞いてねえな。

でもコッコロのペコリーヌってがしっくり来るな。

俺もそう呼ぶとするか……。

 

「乗りかかった船です。共に窮地を脱しましょう」

 

「おや?ペコリーヌって私ですか?かわいいあだ名をつけられちゃいました。やばいですね☆」

 

コッコロも杖を構える。

確かに乗りかかった船だ。ここで降りることは逃げることになっちまう。

中途半端なのも気分が悪りいからな。

 

「でも、あなた達の気持ち。嬉しいです」

 

そのペコリーヌの声と同時にきのこたちは一斉に俺たちを襲いにかかってきた。

だがペコリーヌはそんなのを物ともせず、体術の要領できのこの突撃を流し、更にきのこの群の頭を踏みつけながら上に大きく飛び上がり―――

 

「これは……!」

 

ペコリーヌの体全体…いや、服が光り輝き、その力で更に拳を握りしめてきのこの群れに叩きつけた。

 

「ギャアアアアアッ!」

 

「グオオオオッ!」

 

これで結構な数のきのこを蹴散らしちまった。

すげえよ……ペコリーヌは……。

 

それに比べてこっちは――

 

「やあああああっ!」

 

「ぐっ!?」

 

俺とユウキはコッコロの魔法ですばやさが上がったが、きのこには全く太刀打ちできずにむしろ一方的にやられちまった。

俺はまた「希望の花」発動しちまったしよ。

 

「主さま、オルガさ…まっ!?」

 

「ってえ……こ、コッコロォ!?」

 

そして後ろに回り込まれてたきのこにコッコロが捕まっちまった。

 

「コッコロちゃん!?」

 

ペコリーヌは他のきのこの相手で手一杯で、俺も希望の花ですぐに立ち直れねえ……!

 

「……あっ!」

 

「マイタケ……」

 

そして別のきのこが槍でコッコロを刺そうとする。

だがそこはなんとか起き上がったユウキがそれを剣で受け止めた。

だが、ユウキはあの力に耐えれるほどのものは持ってねえ…!

他のきのこも着々とユウキのことを狙っていやがる…!

 

「ぐっ……!」

 

クソッ、こんなところで……化けきのこなんかによ……!

こんなところじゃ……転生してきたばかりで仲間を失うわけにはいかねえってのに……!

 

 

その瞬間、俺は今いるはずもない相棒が頭に思い浮かぶ。

 

「こんなところじゃ……終われねえ…………!」

 

 

 

それでいつの間にかその名を――

 

「ミカァ!!!」

 

いつの間にか叫んでいた。

 

 

 

 

 

その次の瞬間、目の前で土煙が舞い上がる。

そしてその土煙の中から現れたのは俺がよく知る()()()()()()

俺たちの世界での厄祭戦の際に対モビルアーマー用に作られたガンダム・フレームの中の一体「ガンダム・バルバトス」だった。

 

そしてそのバルバトスはユウキを狙った別のきのこをメイスを振りかざして潰しちまった。

このメイス捌き……間違いねえ……!

 

「ミカ…遅えぞ」

 

「ごめん。でも間に合ったでしょ?」

 

「ああ、全くな……頼めるか?ミカ」

 

「うん。丁度いい肩慣らしになるし」

 

ミカが来てくれたならもう安心だが、まだ数は多い……。

そして今のバルバトスの形態は一番最初のやつ…恐らく形態変化できるだろうからそれはあんま関係ねえがどちらにしろ一度に大勢の敵を殲滅できる装備はルプスレクスにもねえ。ちまちま潰すのは骨が折れるな……。

 

だが今度はきのこの攻撃を耐えていたユウキのやつが自分の周りに魔法陣のようなものを展開した。

 

「はああああああああああああああっ!」

 

「こいつは……?」

 

その魔法陣の光と同時に、ペコリーヌ…そしてミカのバルバトスの周りに光が舞う。

そして俺やコッコロもだ。

力が急に湧き上がる感じもしてきた。

 

 

「これは……!」

 

ペコリーヌはその拳で相手していたきのこを吹き飛ばし、次にコッコロを拘束していたきのこをコッコロへの拘束を解くのと同時に吹き飛ばした。

ミカもミカで湧き上がってくるきのこ達を凄まじい勢いで消し去っていく。

すげえ強くなってる感じだ。

 

「…アメスさまの御神託通り……なんと神々しい……。」

 

確かにユウキの輝きは更に強くなってきやがる……物凄く眩しい。

 

「これこそ、主さまだけの力……プリンセスナイトの証…!」

 

「力がドンドンみなぎってきますよー!もしかして、ユウキ君のおかげですか?」

 

「うん、俺もなんか力が来てる」

 

「はい。主さまはこの『プリンセスナイト』の力により他者の能力を大きく引き出すことが可能になるんです……」

 

なるほどな……それがユウキの持つ力ってやつか……。

見る限り本人は強くならねえようだが、こんなミソッカスの俺も強化されるほどの結構なもんらしい。

 

 

「しかしあなた様は…大きな巨人…ですか?」

 

コッコロも流石にバルバトスには驚いている。

まあこの世界にはロボットとかも居なさそうだし、当然だが。

 

「三日月・オーガス…です」

 

「こいつは俺の相棒だ。なんつーか…今は巨人を操るために術士つーのか…とにかく、俺達の味方だ」

 

「なるほど……オルガ様の……」

 

今は説明する余裕なんかねえ…このきのこの群れをぶっ倒さねえとな…!

 

「では参りましょう……風の精霊よ、力を!」

 

コッコロは精霊を出し、きのこ達の目くらましを行う。

 

「いくぞ…バルバトス!」

 

「いっちゃいますよー!!」

 

ペコリーヌはどこからか拾ってきた古い剣を構え、ミカもメイスを構える。

 

「やっちまえ!ペコリーヌ!ミカァ!」

 

「はああああああっ!!!」

 

「これなら……殺しきれる…!」

 

ペコリーヌとミカは同時に飛び上がり――

 

 

「プリンセスストライク!!!」

 

「吹き飛べ……!」

 

一気にその得物をきのこ達へ叩きつけた。

それによりきのこ達は一気に吹き飛……え?

 

まて、俺はまだ退避してねえぞ。まてよ待てって!

 

 

「ギヤアアアアアアアアアアアアッ!」

 

「ぐおおおおおおおおおおおおっ!?」

 

俺は二人の全力全開のその攻撃の衝撃をまともに喰らい――再び「希望の花」を咲かせた。

 

 

 

「だからよ……止まるんじゃねえぞ……」

 




ちなみにあの男二人組はここでは原作通りの感じなので、この小説では次回からの登場予定です。
小ネタもまあボチボチ……。

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