2期放映当日ギリギリになりましたが私は後悔していない(しなさい)
ロストプリンセス
肖像画を見ているコッコロと三日月。
間違いなくペコリーヌがいる。
「………」
そしてドアが開く音が再び。
そこにはペコリーヌ本人がいた。
「ペコリーヌさま!ご無事で!」
「…よかった」
コッコロと三日月は安堵の表情を浮かべる。
「ですが…ここは一体…」
「ここは……ランドソル城です」
ペコリーヌは知っているような素振り…
いや間違いなく知っているものであった。
「…そっか」
三日月も察してあえて何も言わなかった。
そして3人は再び肖像画を見る。
やはりペコリーヌが描かれている。
「ランドソル城…」
「多分…ですけど…ただ、誰も居ないのでなんとも言えませんが…」
「この肖像画は…」
「…ごめんなさい。コッコロちゃんや三日月君…みんなに隠してて…」
「…!」
「……」
そしてペコリーヌは淋しげな表情をしつつも話し始めた。
「私の名は…『ユースティアナ・フォン・アストライア』…ランドソルの…プリンセスです」
「ですが…」
「はい。陛下と呼ばれているあの人も『ユースティアナ』と呼ばれていますね」
「……」
酔っぱらいが話していた「ユースティアナ」とペコリーヌが今名乗った「ユースティアナ」
その重なりについて疑問を浮かべるコッコロだがすぐにペコリーヌが話し始める。
三日月もただヤシを食べて聞いているだけだ。
「私は……みんなから忘れ去られた人間なんです」
そこからペコリーヌは今にも泣きそうなその表情を抑えて話し始める。
その内容は要約すると
彼女は両親の言いつけにより見聞を広めるべく旅をすることになったのだが、その旅を終えてランドソルへ帰還したときには彼女のことを覚えている者が誰一人居なかった。
頼みの綱で両親の場所へ必死に戻るも、両親も同様で、更にそこには同じくユースティアナを名乗る別の「何か」が居た。
そこから追い出される形で終わりのない旅に出たというわけだが…。
「そんな時、コッコロちゃんやユウキ君、オルガ君、三日月君、キャルちゃんに出会ったんです。
嬉しかった。幸せだった…みんなに出会えて…一緒に暖かいご飯を食べられて……」
「……」
「でも…不安だったんです。また皆が私を忘れてしまうんじゃないかって…幸せになればなるほど……皆がいつか離れていってしまうんじゃないか…って」
徐々にペコリーヌは泣くのをこらえるためか言葉が遅くなる。
「ほんとの私を…、ユースティアナであることを伝えたら…っ…また…」
そしてついには下に崩れ落ちてしまった。
(だから…だからペコリーヌ様は、大切な人達を抱きしめていたのですね…繋がりが…離れていかないように…)
コッコロの脳裏に浮かぶのは美食殿の思い出。
どこかの場面でペコリーヌは必ず抱きついていた。
それは単なるスキンシップではない。離れたくない故のモノであった。
「…ほんとのことを伝えず…私のワガママばかりで……こんな私だから…身勝手な私だから……キャルチャンも離れていっちゃいました…」
そしてコッコロはそんなペコリーヌを優しく抱きしめた。
まるで、聖母のように…。
「わたくしは離れませんよ…あなたが…ユースティアナさまであっても…ペコリーヌさまであっても……共に過ごした美食殿の日々は…わたくしにとっても宝のような……大切な絆なのです。それはきっと、主さまも…オルガさまも、三日月さまも…キャルさまも同じ気持ちのはずです」
コッコロがそう言うと三日月も頷いている。
同意していると見て間違いはない。
「…っ…ぅっ…」
ペコリーヌはコッコロの胸の中でついには泣いた。
ただただ泣いていた。
今までの我慢していたのが溢れ出すかのように……。
「もうすこしだけ…もうすこしだけ…こうしてていいですか…?」
コッコロはそれに答えるようにペコリーヌの頭を撫でる。
子をあやす親のように……。
「……」
三日月はそれを見て安堵の表情を浮かべる。
だが何かに見られていると思いふと扉の方を見るとそこには誰もいない。
だが三日月はその正体を察した。
―――――
そして場所は変わり荒れ果てた場所。
そこでは彼女とユウキ、オルガが対面していた。
「今頃…彼女たちも一つの真実にたどり着いた頃かな」
「あんた…一体…」
ユウキとオルガは疑問視せざるを得なかった。
「信じてほしい。アタシは君達の敵じゃない…味方というには…アタシは君を…ユウキ君を巻き込みすぎてしまっているね…本当に」
「……」
(何を言ってやがる…?)
「この空間はアタシが構築したものなんだ。ユウキ君…もしかしたらオルガ君にも見覚えがあるかな」
「……」
「見覚え…」
あまりにも荒れ果てたまるで廃墟のよう場所。
だがそれはアメスがいるあの場所と雰囲気が不思議なほど似ていた。
変わっているようにも見えるにも関わらず。
「アメス…」
「…そう、今はアメスって名乗ってるんだね。君をサポートしようとしているんだろう?優しい子だ。ユウキ君の記憶を少しずつ丁寧に戻そうとしている痕跡がある」
彼女はユウキの目を見てこう話す。
ちなみにユウキの目はまじりっけもないキレイなものである。
「…いいかい。この力は君の仲間を救うものではあるが、同時に君自身を壊してしまうかもしれない力なんだ」
「そいつはどういうことだ?」
「今のユウキ君は記憶を失ってしまっているようだ。それがリダイブの影響なのかどうかはまだわからない…」
(リダイブ…ユウキがあのアメスで目覚めた時のアレか?)
「そんな状態で力を開放したら、君の…ユウキという存在自体にどんな影響を及ぼすかわからない」
「ちょっと待ってくれ。そもそも名前も名乗ってねえのになんで…」
「君達のことはそれをよく知っている知り合いから聞いているよ。マクギ…いや、モンタークというべきか」
(あいつか…)
オルガはなんとなく察しが付いた。
「それで、先程の戦いでうまくいかなかったのもそのためだろう。シャドウは人の魂を求め襲ってくる…すでに壊滅した村も出ている…そして恐らく……より強力な魂を求め…君達の前へ現れた」
そして彼女はユウキの胸元で展開した魔法陣のようなものを閉じる。
「あれは偶発的に現れたものじゃない。ある意思によって存在している。この世界に囚われている限り……その意思から逃れることはできない。この世界が生まれたきっかけは……君とその意思が戦ったことによるから……」
「…!」
(意思…だと?ユウキが……?)
「まさか……」
ユウキが脳裏に浮かんだのはあの夢。
敵と戦い…ボロボロになり、そしてある少女をかばった夢。
それは紛れもなく夢ではなく現実であるものだった。
―――――
一方、キャルは孤軍奮闘していた。
「ライジング!テンペスト!!」
その魔法を放ちシャドウ2体を抑える。
片方の方は何かを探しているようであまり動いていないが故であるが。
(また私…陛下の邪魔をしてる……でも…!)
「グウアアアアッ」
(仕方ないじゃない!選べないじゃない!!)
脳裏に浮かぶのは陛下の顔…そしてコッコロとペコリーヌが抱き合うところ、オルガが死んでるところ、三日月が木を切ってるところ…様々な場面であった。
(今のアタシは……いつからアタシはこんなになっちゃったのかな……アタシの全ては陛下のものだったはずなのに……バカだなぁ…アタシ…)
そして魔法を維持できず押し返され、ついには魔法を放つのをやめてしまった。
「フォォォッ!!!」
(ホント…バカ…)
「罪深き子供…!!」
「ごおおっ!!」
そしてキャルは目閉じ、その身をそのまま任せた。
瞬間、衝撃波が生じその二体のシャドウを遠ざけた。
その目の前にはバルバトスルプスレクス…三日月・オーガスと剣を再び構えたペコリーヌの姿があった。
「大丈夫?」
「ミカ…ペコリーヌ…」
「ごめんなさい。私やっぱり、キャルちゃんの言う通り身勝手でわがままなんです。だから…私と一緒にあの魔物達を倒すのを手伝ってください!」
「……バカ」
そう言いつつも目は再び生気を取り戻していた。
その後ろにはもちろんコッコロもいる。
―――――
場面は戻り、オルガとユウキの所。
ユウキは少し押し黙ってしまった。
オルガもそれを見ているだけしかできない。
「ごめん…一度にたくさん話しすぎた。でも大丈夫。君達のことはアタシ『ラビリンス』が守るから…」
「…守るよ」
「え?」
「ユウキ…お前…」
「仲間は僕が守る」
その目は覚悟ができていたそのものであった。
「…君の状態を直接確かめたくてこんな遠回りをしてしまったけど…その甲斐はあったようだね」
彼女のその声はまるでユウキを見守る母のような優しさを持っていた。
『マスター!流石にこれ以上は!』
『お兄ちゃんの仲間、ピンチですよ!!』
強大なシャドウ2体と戦うというのはいくらペコリーヌと三日月の連携があろうとも骨が折れるどころの騒ぎではない。
やはり「彼」の力が不可欠と明言できる。
『どうする?敵にバレちゃうけどやっぱり私達も加勢しようか?』
「…いや、準備はできているみたいだ」
「…」コクリ
「では行こう!!」
それと同時にこの空間は姿を変えていく。
「アタシの力はこのオブジェクト変更だ」
「空間ごと変えてるだと?魔法…いや神みてえだ!」
「…神か…まあ、確かにこの中だとそうかもしれない…だがアタシは実際は一人の少年…そして君達に命運を託すしかないただの人間さ」
意味深なことを言うと同時に下に穴が空き落ちていく。
「君が…君達が前に進むために…今は少しだけ力を貸そう。
「なんだ?」
「事故のように巻き込んですまない。本来は君はこことは何も関係ない別世界の人間であるのだが…」
「気にすんじゃねえ。こういうのはもう慣れちまったからな…世界がどうというのは俺はどうでもいい。だがな、辿り着く場所をやっと見つけられたかもしれねえ!そのために俺は何度死のうとも構わねえよ」
「そうか……聞いた通りの人間で安心したよ」
そしてユウキとオルガはそのまま降下し、ユウキはシャドウに切りかかり、オルガはそのまま落ちて希望の花であった。
「ユウキ君!オルガ君!」
「ユウキ…オルガ…」
「主さま!オルガさま!」
「ユウキとオルガ…遅い」
「へっ、だがミカ…間に合っただろ?」
「…ん」
そしてオルガとユウキは態勢を立て直す。
ユウキはすでにあの能力を使える準備ができている。
「いこう!みんな!」
「さあ、反撃開始と行こうじゃねえか!!」
同時にユウキは力を展開し、皆に力を与える。
「力が…!」
「魔力が…!」
「主さまの思いが…」
「……体が軽くなった」
「俺の獅電だぞぉ…」
他の5人の力が強化され、オルガは獅電を身にまとった。
そして6人は一斉に並んだ。
美食殿、決戦の時である。
「グアアアッ!!!」
「また…また…!」
「光の御加護を!!」
コッコロは補助魔法を更にかける。
そして一番槍はペコリーヌと三日月。
「プリンセス!ストラアアアアイク!!!」
「はああああっ!!」
ペコリーヌは仮面のシャドウの仮面を切り裂く。
三日月は鉄血太刀でアインの左腕を切断した。
「グオオッ!!」
「こいつ急に動きが…!モビルスーツの装甲を…フレームごと…!」
ユウキのバフにより今の三日月はバルバトスのリミッター解除と同等のことを行っている。
三日月に過大な負担をかけるリミッター解除とは異なり、その負担がないため三日月も気にせず全力を出せる寸法だ。
続いてオルガがアインを誘い込み、仮面のシャドウと接近させる。
「おらあああああっ!!!こっちだ!!!」
「貴様!」
「今だ!キャル!」
「ええ!…覚悟は、いいかしら!グリムバースト!!」
多数の魔法陣を展開し、その2体のシャドウを包み込むように結界を作り、その中で魔力を爆発させ確実にダメージを与える。
それによりアインと仮面のシャドウは再び融合し始めていた。恐らく修復するためであろう。
同時にオルガは巻き込まれ希望の花を咲かせるがそれも想定内。
最後の一撃はユウキに託された。
「主さまに…鋼の体を!隼のごとき素早さを!!いざ、参りましょう!!」
「やっちまえ!!ユウキィィィィ!!!」
ユウキは走り出す。いつもへっぽこの走りとは違う…まさに男として覚悟を決めたものだ。
「我らの勝利のために!!」
「はああああああああああっ!!!!!」
そして高く飛び上がり、剣を大きく振りかざし、斬りつけた。
「グアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
「この…化け物があああああああああああっ!!」
「……お前にだけは言われたくないよ」
それと同時に仮面は破壊され、それとともにその存在は文字通り「消滅」した。
そして再び『彼女』は手カメラのポーズを取ると、その先にはユウキがいて、コッコロ、ペコリーヌ、キャル、オルガ、三日月が駆け寄る。
まさに仲間たちであるという証拠であった。
「…いい太刀筋だ。アタシの『
そう呟くと再びオブジェクトを変え、美食殿を包み込んだ。
―――――
ランドソル・コカトリス亭ではイカッチ、チャーリーが泣きわめき、ヤスコに慰め…という何かを受けている。
そしてその場にはシノもいた。
シノはあのシャドウの騒動ではその前に街道が開通したために増えた荷物運びの臨時バイトをしていたためランドソルにはいなかったのだ。
(オルガと三日月が…いやそんな簡単に死ぬわけがねえ……くっ、俺もあの場にいれれば…)
シノがそう思う中、店のマスターも葉巻を吸いつつもどこか寂しげな表情だ。
だがそんな時……。
ガシャン!と大きな物音がした。
マスターが目をやるとそこにはいなくなったはずの美食殿の面々が落ちてきたかのように居たのだ。
なおコッコロの下敷きにユウキが、三日月の下敷きにオルガがおり、オルガは当然希望の花を咲かせていた。
「え…?」
「ペコ姉さん!」
「無事だったんですねええええ!!」
「オルガ!三日月!!」
それと同時に心配してきた面々はあたりに駆け寄る。
あの戦いのあとだ。当然である。
ヤスコも泣き、マスターも安堵の表情を浮かべている。
一方の面々は突然だったのでキョトンとしていたがすぐに理解して、更にペコリーヌはキャルにこう話す。
「キャルちゃん…」
「ん…」
「私のわがまま聞いてくれて…ありがとうっ」
「……ふんっ、もうこれっきりよ…」
「…はい!」
そしてペコリーヌはキャルを大きく抱きしめた。
「大好きです!キャルちゃん!!」
「……」
キャルはそのまま軽く抱き返した。
三日月はそれを見て安堵していたのは言うまでもない。
―――――
「…なるほどな。ペコリーヌはお姫様ってことか」
「うん、ああいうお姫様は見たことなかったからわからなかった」
「ミカでもそういう時はあるんだな…まあつっても最初に異世界で会ったユミナを初め…俺達が出会ってきたお姫様はイメージどおりじゃねえのが殆どだからな…そしてそのペコリーヌを全て忘れさせるほどの魔法を持つのが今の「ユースティアナ」ってわけか」
「オルガ、次は…」
「まだしばらく様子見と行こうじゃねえか。どうやらこの世界は俺達が今まで居た異世界とは様子が違う見てえだ…あいつ…ギルド「ラビリンス」のマスターが言っていたことも気になってるしよ」
「言っていたこと?」
「リダイブってやつだ。それでユウキは記憶喪失になっちまったみてえだが……そのこともよくわかんねえしよ。マクギリスを捕まえようにも連絡は取れねえし…まあ会ってもあいつの言うことは信用できねえが」
「…じゃあ待つしかないってこと?」
「ああ、暫くは普通にギルド活動してるしかねえ。シノと明宏にもそう伝えておいた。今は動くんじゃねえぞってな」
昔のオルガならそこまで考えなかったが、今はそういうわけにもいかない。
再び破滅は誰もが御免被ることであろう。
「ちょっとー、ミカー手伝ってー!」
そんな時にキャルは三日月を呼ぶ。
どうやら洗濯物を干すのを手伝ってほしいらしい。
「うん、わかったー」
スッタカと三日月は行くのであったがその前に三日月は思い出したようでふと話し出す。
「あ、ペコリーヌの正体のこと。ユウキやキャルにはまだ黙ってて。オルガも知らないフリで」
「なんでだ?」
「ペコリーヌのことだからどこかで自分で話すときが来ると思う。だから」
「ああ、わかってる。でもそれを考えててなんで俺に教えたんだ?」
「報連相は大事だから。前みたいにはなりたくないのもあるけど」
「…ははっ。そうだな」
そうして三日月は再びスタスタとキャルのほうへ向かっていくのであった。
「…さてと…俺も用事を済ませに行くか…」
―――――
「あ、あわわわ…!」
その用事とはフォレスティエのアオイに久しぶりに会うことであった。
暫くBB団の活動もできてないというのもあったのだが…。
「だ、だ、大丈夫ですか!?風のうわさで聞いたのですが、ランドソルにデストロイヤーとか言う大きな魔物が現れて…それで美食殿の皆さんが食われたとかで…も、もしかして…幽霊…!」
(どういう噂だ…つかなんか混ざってねえか…?)
「こんくれえなんてこたねえよ。ちゃんと足もあるだろ?つか俺は死のうにも死なねえしよ…」
「そ、そうですが……」
「それより久しぶりにBB団と行こうじゃねえか?なあ?」
「そ、そうですね!!じゃあ……」
アオイがあわあわしつつやっていた仕事を片付けている。
その光景を見てオルガはデジャヴのようなものを感じた。
(なんかアオイを見てると引っかかる…つってもポチとはなんか違うしよ……ま、考えるだけ無駄か)
そう思い考えていたことをとりあえず棚上げするオルガであった。
Next Stage
IRON-BLOODED PRINCESS CONNECT! Re:Dive Season2
言うまでもなく2期も引き続きお送りしますがとりあえず第一部完!(ゲーム一部の範囲は全く終わってないけど)
ちなみに動画版も聞く限りではしっかりと作成中です
こちらの小説版とはまた違った展開をどうぞお楽しみに