神様転生杯タグが気に入ったので書いちゃった
内容のできは……語るより見るがやすし
それでは本文をどうぞ
夢の中
「前沢さん ちょっと多いけどこの資料片づけて」
「はい分かりました」
三桁を超える全てのページに余白の存在を許さないかのように文字とグラフが蒔き散らされている。一体これの何処がちょっとなのか凡人の私には理解が出来ない。
私の職場は俗に言うブラック企業だ、毎日の残業に休日返上は当たり前。だが私はそこまでこの職場が嫌いじゃない、何なら好ましく思ってすらいる。仕事が多ければ余計な人に会うことも減るし、給料はしっかり出ているので無駄遣いも出来る。それに、
「今日も仕事は10時まで確定ね、よく眠れそうだわ」
意識が消えるほどの眠りならあの夢を見なくて済む。
コロナウイルスの世界的な流行の為、事業継続が困難
な状況になりました。つきまして誠に勝手ながら当社は
事業を終了することにいたします。失業手当の為の退職
証明書がほしい方は一週間以内に事務にて手続きをお願
いいたします。
ハーメルン競取り商事
「嘘でしょ」
収入減が無くなったのはどうでもよい。仕事ばかりしてたおかげで貯金は4桁万円ある。
「明日からどうやって眠ればいいのよ……」
この状況で病院に行って薬を貰うのは憚れる。外出もできないしどうやって疲れればいいのだ。
取りあえず映画を借りて見ることにした。数少ない常識的な友人に何回も見れる映画は無いかとアドバイスを求めたものだ。一日中見ていればそれなりに疲れるだろう。
「まさか全部同じ監督とは思わなかったけど。そんなにスゴイのこのアニメ監督」
絵が綺麗だの、甘酸っぱいだの、共感しかないだの言っていたが本当だろうか。
順番は気にしなくてもよいと言っていたが、ここはひとまず一番古い作品から見てみよう。
あっという間に25分が過ぎた。友人の目は確かだったようだ。
「後でラインでも送るか、疑って悪かったわ」
飲もうと思って空けたビールはとっくに仕事を放棄してぬるくなっていた。
「――――糞マズい。しかし、ガラケーでも宇宙にメール出来るのね、意外」
これは次も期待できるな、アイツもこれが一番好きだって言ってたし。
「やべぇなこの監督、ええ話や。雪と桜の花びらとかどうやって思いつくんだよ」
◯海○時代の漫画にあったような気がするが忘れた。字面似てるし一緒一緒。
またぬるいビールを生産してしまったが捨てた。映画のお供はやっぱりコーラだお前じゃない。
「そうなると次はどうするかな」
ここまで良作続きだと自分の感性で次の映画は選んでみたい。
「ダメだ違いが判らん、売り上げが高いのにしよう」
美しい映像だった、でも開始20分もしない内に私の心はそれどころじゃなくなった。
「夢の中で入れ替わる……あの夢は誰かの人生で……私以外にも居るかもしれない」
映画のようなロマンチックな話じゃないけど、私は変わった夢、いや悪夢を見る。夢の中での私はいつも小さな女の子で、顔は見えないが多分母親であろう人物に手を引かれている。多少の違いはあるけれど最後に必ず――――人が死ぬ。
映画のなかで入れ替わった男女は、時間のずれを利用して世界を変える。
「変えられるの?あの夢を」
考えたこともなかった、早く終われと願うばかりで自分の意思が及ぶなんてちっとも頭をよぎらなかった。
「試してみるか……」
幸いと言うべきかたいして身体は疲れていない、まだ昼過ぎだがこのまま眠ればあの夢を見る。
「おやすみなさい」
布団に俯せた私は間もなく夢に誘われた。
「梶原、この荷物お前の担当だろ!さっさと持ってけ」
「……あぁホントだ。すんません最上さん」
「コロナの所為で仕事が増えて疲れるのは分かるけどよぉ、だからって手ぇ抜かれちゃ困るぜ。悩みがあるなら今度聞くからよ」
「いえ大丈夫です。疲れて気抜けてました」
言っても信じるわけないし、解決も出来るわけない。
「早く終息しねぇかなコロナ。有給がしっかりとれる良い会社だったんだけどなぁ」
それなりに仕事には慣れて来たが流石にか疲れがたまる。それに死ぬほど疲れたときは決まってあの夢を見る。
「何でよりによってトラックで人を轢く夢なんだよ」
せめてもの抵抗で早く仕事を終わらせてしまおうと、力強くアクセルを踏み込み配送の仕事を始めた。
「⊿∟∮´`¨。,.。゛;・゜〆々”^―#」
何と言っているのかは分からないが私に話しかける声がする。
(あの夢だ……いつものあの人だ)
見るのは正月ぶりだろうか、我ながら驚きの社畜ぶりだ。
(今はそんなこと考えている場合じゃないか)
あたしが道路に飛び出しさえしなければこの夢の結末は変えられるはず。
「___ _____」
(声が出せない、喉が張り付いたみたいに動かせない)
私に聞こえないだけじゃないかと思い隣の、多分母に当たる人物を見上げるが変化はない。
(ん?見上げる?)
私は辺りをキョロキョロ見渡す。
(動けるじゃん。普通に)
試しに歩いているのをスキップに変えてみる。
(出来るな。今までそんなことなかったのに)
小学生5年生の頃から悩まされていた悪夢がこんなに簡単に解決するとは思ってもいなかった。
(だったら道路に近づかなきゃ、いや動かなければ良いのか。その間にトラックが通過すれば解決する)
私はその場に立ち止まる、母親(仮)がなにかいっているが聞き取れない。
「結局家に着くのは12時過ぎかよ」
仕事と収入がなくなっている人には申し訳ないが、こうも忙しいと今日の疲れを癒す前に次の仕事が来てしまう。
「シャワーだけ浴びて寝るか」
飯はコンビニで済ましてきた、人を轢く夢を見る可能性があろうとも眠らないことには疲れはとれない。
「たまにはビール景気づけでも……いや、よそう。正夢になるといけねぇ」
下らないこと言ってないでさっさと寝るか。ベットに横になり天井を見上げていると次第に意識が薄れていった。
3分ぐらい経っただろうか、母親(仮)は説得を諦めて横に座り込んだ。
(しかしトラック来ないな、いつもはすぐに轢きに来るのに)
自分の命を狙う存在を待ちわびるのはなんとも良く分からない感覚だがこちらにも生活がかかっている。
十分経過、二十分経過、三十分経過……、____遅い、遅すぎる。
(待ち合わせしてるわけじゃないんだから早く来れば____)
嫌な予感がした、恐らくそれは当たっているだろう。合っているかどうかを確かめるには後ろを振り向けば事が済む。だがそれをこの身体は許さない。
(前に進む以外は許されないのね)
さっきのスキップは偶然だった、この夢のなかに入った時点でほぼ全ての事象は確定していた。
(せめて此処が何処か分かるヒントが)
しかし、見えるのはなんの変哲もない道路と公園のみ。
(電柱はすぐ後ろにあるけど見えない、次の電柱はまだ先)
かなり薄い希望だかどうせ前にしか進めないのだ、四の五の言っている場合ではない。
(それに、私が死なない限りこの夢から出られないみたいだし。現実の方からどうにかするしかなさそうね)
ここまで来れば開き直りだ、覚悟をきめて言葉の通り突っ走る。
(あともうチョッとで……)
あと一歩で住所が見える所で
視界の隅に風船が映ると、私の身体は写真で撮られたみたいに静止した。
(あぁ、もうダメだ)
さっきまでの全力ダッシュなど無かったかのように、言うことを聞かない体はふらふらと風船を追いかけて車道に飛び出し、
ヴァギォ
さっきまで音すらしなかったトラックに轢かれそうになり顔も名前も知らない男性に助けられた。何度見たかわからない鉄屑と肉塊の混ぜ物が目の前に出来上がったとき、私は布団から起き上がった。
如何だったでしょうか?
〇海〇監督って誰ですかね?私にはわかりませんがきっと凄いんでしょうね
多分次で完結します 気になった方は是非
最後までお読みくださった皆様ありがとうございました