派手なのは苦手なので、とりあえず隠れて敵を倒そうと思う 作:名無しの投稿者
実は書いている途中で『このメダルスキルって無理があるんじゃないかな?』と思いまして……結構な文字数消したんですよ。
そして消した文字と共に失ったモチベーションを元に戻したり、新しいスキル考えたりと色々手間取りまして……こんなに遅くなってしまいました。
では言い訳はこの辺にして、本編をどうぞ。
イベントが終了し元の場所に戻った後、ハイドは個別に送られた専用の部屋でメダルと何を交換するのかを迷っていた。
(う~ん、少し期待してた姿を隠すスキルはなさそうだな。あれば迷わず取ったんだけどね)
スキルを選ぶ専用の部屋に転移された際、ハイドはスキル一覧から真っ先に自身の姿を隠せるスキルを探していた。
ハイドの戦闘スタイルでは、如何に敵に見つからないように攻撃するかが肝なので、そういったスキルはいくらあっても困らない。
しかし探しても見つからなかったので、ハイドは他のスキルを探す事にした。
(まず短剣以外の武器スキルは除外する。後【STR】と【AGI】以外振ってない俺のステータスだと、そもそも使えるスキルが限られてくる)
【DEX】が0の為、生産職系スキルは覚える事すらできない。
また【INT】が0の為、魔法系スキルを覚えても大した威力が出ない。
ハイドはスキルの詳細を見ながら、覚えられないあるいは覚えても大した威力を発揮できないスキルを次々と候補から消していく。
(【STR】や【AGI】のステータスアップ系スキルは結構魅力的だ。でもそれより正直こっちが気になるな)
【追刃】
武器での攻撃が成功した際、その攻撃の三分の一の威力の追撃が発生する。
(【暗殺】と【
ハイドは現在NWOトップクラスのレベルなので、それに比例して【STR】はかなり高くなっている。
しかしそのハイドの【STR】をもってしても、まだクロムのようなタンクを一撃で相手のHPを削りきれる程の攻撃はできない。
よって倒しきれないにしても、少しでも多くのHPを減らすために【追刃】を選択する事にした。
(後一つ、か。出来れば【STR】や【AGI】のステータスアップのスキルは一緒に取りたいけど、一通り見て【追刃】みたいな丁度いいスキルが無かったらしょうがないからどっちかのスキルを……お?)
考えながらスキルを見ていたハイドは、とあるスキルを見た時にその指を止めた。
【不意打ち】
認識されていない状態で攻撃に成功した際、その攻撃の威力が三割上昇する。
(んん? このスキルは丁度いいんじゃないか? デメリットも特になさそうだし、俺のスタイルにも合うな)
このスキルは攻撃の威力が増えるスキルのため、先程ハイドが選んだ【追刃】とも相性が良いし、攻撃にスキルを使っていると『攻撃の威力』の範囲にスキルも入ってくる。まさに一石二鳥なスキルだった。
(よし! スキルはこの【不意打ち】と【追刃】に決定だ!)
そしてスキルの選択を終えたハイドは、光に包まれて専用の部屋から姿を消したのだった。
◇◇◇
~~運営ルーム~~
「くそぅ……! メイプルめぇ~……!!」
「まさか【
イベントが終わって一息ついた運営陣だったが、メイプルがメダルによって選択したまさかのスキルにより、再び頭を悩ませる結果となってしまった。
「パートナー持ってるプレイヤーは、メイプル合わせても三人だけですしね。見逃してもしょうがありませんよ」
「そういう事情だから修正もし辛いけどな。飛べるとは言え、【悪食】みたいにゲームバランスを崩壊するレベルじゃないし」
「「「「「それな」」」」」
自由自在に空を飛べるのは確かに便利だし空から攻撃すれば有利ではあるが、完全に無敵という訳ではない。
空を飛んでいる相手でも魔法を使えば普通に攻撃が当たるし、何より浮遊したシロップは移動速度がそこまで早くない。巨大化している故に的も大きいので、全体で見れば鳥型モンスターの方が厄介な場合もあるのだ。
「メイプルと言えば、相方のサリーって子がいたろ?」
「あぁ。凄い避ける子な。流石、メイプルの相棒だよ」
「スキルじゃないから修正なんてできないしな。一体どんな反射神経してるんだ」
「分からん」
男達の頭の中に、あの【銀翼】の弾幕をスルスルと躱し続けるサリーの姿が浮かび上がる。
予知系スキルも回避系スキルも使わずそんな芸当が出来るのは、恐らくサリーぐらいだろう。
アレにはモニターを確認した全員が度肝を抜かれた……メイプルの突拍子もない行動にもいつも頭を悩ませているが、サリーのそれは完全に別方向だった。
「じゃなくて! あの子はどんなスキルを選んだんだ?」
「【追刃】。武器で攻撃したら追撃を発生するスキルだ。このスキルじゃ予想外の結果は起きないだろ」
「メイプルが規格外なだけで普通はそんな想定外な事態は起きないだろ」
「「「「「ホントそれな!」」」」」
「メイプルと、ついでにサリー以外で想定外だったことなんて……」
喋っていた一人の言葉が不意に止まる。明らかに不自然だったので、その人にこの場にいる者の視線が集まる。
「おい、どうした? 急に黙り込んで」
「……いや、今思い出したんだがな?」
「何を?」
「確かもう一人いたよな? メイプルとサリー以外でパートナーを持ってるプレイヤー」
その言葉を聞き、全員の頭にハイドの存在が浮かび上がる。確かにあのプレイヤーも予想外な事態を起こしてパートナーを手に入れていた。
「……おい。アイツ、えぇっと、名前何だったか……まぁいい。そのパートナーを持ってる最後のプレイヤーはメダルを何枚手に入れたか確認しろ」
「は、はい」
指示された男は、慌ててモニターにハイドのステータスの画面を表示する。
「プレイヤーネームは『ハイド』。今回のイベントの最終結果は金メダル一枚と銀メダル十四枚です」
「ならスキル二つ分か。選んだスキルは?」
「一つはサリーと同じ【追刃】。もう一つは【不意打ち】ですね」
「……何と言うか、安心したな」
「どちらも
「一応スキルの中には、あまりバランスを崩すのは入れませんでしたからねぇ」
今回のイベントでは、初めて報酬のスキルをプレイヤーに選ばせるという形をとった。
なので運営としても、選択肢のスキルは試験的で分かりやすいものが多かったのだ……本来の使い方を逸脱した方法を思いつくメイプルのような例外がいたのは、流石に想定外だったが。
「ハイドの攻撃力は上がり、【暗殺】が失敗しても高威力の攻撃が出来るようになったが……メイプルと比べれば可愛いものだな」
「そりゃ誰だってアレと比べたら可愛いもんだろうよ」
「比べる対象が悪い」
ハイドを含めて上位プレイヤーの何人かは、運営陣に『独自の感性を持つ奴』認定されているが、メイプルはそれに加えて『何を仕出かすか分からない奴』と認識されている。
まぁ攻撃もせずに最弱の魔物と一時間も戯れたり、普通の攻撃が通じないからとモンスターの腐肉を食べ始めたりするので、あながち間違っている評価とは言い切れないのだが。
「とりあえず、サリーとハイドが選んだスキルは問題ない。だがメイプルの前例があるから、メダルでスキルを取得したプレイヤーを片っ端から確認するぞ」
「あぁ~、やっぱした方がいいよなぁ~……」
「また残業かぁ……」
「くそぅ……! メイプルめぇ~……!!」
そして男達は、頭を抱えてブツブツと文句を言いながら確認作業を開始する。
なお幸いな事に、メイプル以外で奇特なスキルの使い方をしたプレイヤーはいなかった。
もっともこれから先、メイプルの影響で頭を抱える機会が多くなるのだが……そんな未来の事は知る由もなく、運営陣は一先ずこの結果に安堵の息を吐いて作業を終了した。
今回結構短いです。でもこれ以上は引き延ばせなかったです……。
次回、リアルの話です。